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2017-10-04

それでも「原発ゼロ」が選挙の争点になりそうもない事情 希望の党が掲げたところで…

| 11:29

現代ビジネスに10月4日にアップされた原稿です。オリジナルページ→http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53097

争点はまだ見えない

10月22日に投開票を迎える衆議院総選挙は、民進党の事実上の解党によって、「自民・公明」、「希望・維新」、「立憲民主・共産」という3つの勢力におおむね分かれて戦われる構図になりそうだ。政策的にも一枚岩でなかった民主党左派と右派が実質的に分裂したことで、政治理念ではそれぞれの立場が分かり易くなったとも言えるが、各党が何を政策の柱とするのか、まだまだ見えて来ない。

安倍首相は「大義なき解散」と批判されながらも、2019年10月に予定されている消費増税による税収の使途を変更することを国民に問うとしている。「人づくり革命」をキャッチフレーズに掲げ、高等教育の無償化などに増える税収の一部を使うとしている。

安倍内閣批判を強める野党側は、当然、増税凍結を掲げて選挙を戦うと見られるが、そんな中で、小池百合子東京都知事が率いる希望の党は、「脱原発」をもうひとつの政策の柱として打ち出した。

小池氏は、脱原発を主張する小泉純一郎元首相との連携も強くアピールしている。小泉元首相は、2014年の東京都知事選挙で、脱原発を掲げて候補に立った細川護熙元首相を応援したが、その時の都知事選では脱原発は争点にならず、細川・小泉コンビは惨敗した。今度は国政選挙とはいえ、このタイミングで「脱原発」は争点になるのだろうか。

玉虫色のまま進む

実はちょうど今、政府が中長期のエネルギー政策を定める「エネルギー基本計画」の見直しが始まったところだ。現在の第4次基本計画は2014年4月に閣議決定されたが、法令でおおむね3年ごとの見直しが求められている。今年8月から経済産業相の諮問機関である総合資源エネルギー調査会基本政策分科会(分科会長・坂根正弘コマツ相談役)で議論が始まっている。

現在の第4次基本計画の策定に当たっては、原発の扱いが最大の焦点だった。民主党政権は2012年に「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」という方針を打ち出したていたが、第4次計画では、この民主党方針を「撤回」、エネルギー需給構造の安定性を支える「ベースロード電源」と原発を位置付ける一方で、「可能な限り低減させる」という玉虫色の方針をしめした。

これを受けて定めた「エネルギー・ミックス(電源構成)」の2030年度の目標は、再生エネルギーを22〜24%、原子力を22〜20%、とするとしている。来年3月末をメドに原案をまとめる第5次基本計画では、これを見直すかどうかが焦点になる。

8月に開かれた分科会では、2030年のエネルギー・ミックスの目標は見直さず、そのまま次の基本計画にも引き継ぐべきだ、という意見が坂根分科会長や事務方から出されたが、委員の中からは、原子力の目標値事態が達成不可能になっているとして、原発の扱いを真正面から議論するべきだという声も出た。

経済産業省の推計では2016年度の再生エネルギーの比率は15%で、原子力は2%に過ぎない。安全性が確認された原発から再稼働を進めているが、2030年に22%を達成するには、新たな原発の建設や老朽化した原子炉の更新(リプレース)が不可欠だという指摘も出た。

ベースロード電源」と位置付けた一方で、原発依存度を「可能な限り低減させる」という矛盾する基本計画をそのまま引き継ぐのかどうかが議論の的になっているのだ。

政局のたびに議論を回避でいいのか

解散となったことで、この原発論議はしばし小休止となっている。小池都知事が打ち出した「脱原発」は2012年に民主党が打ち出した方針に再度戻すというもの。仮に「希望」が衆議院で一定以上の議席を確保すれば、政府原発政策国会の場で追及されることになりかねない。

国会内で「脱原発」派が一定の勢力を持つようになれば、政府はますます国民世論を気にして原発推進を言い出せなくなる。

経産省の中には、安倍内閣が安定政権であるうちに、原発政策について本音の議論をするべきだ、という声があった。現状の再稼働によるなし崩しの原発利用を続けていても、稼働期限である40年がたてば、次々と廃炉になっていく。将来にわたって原子力を利用しようと考えれば、早い段階で方針を決めなければ、原子力技術者など人材も枯渇していく。

原発を巡る世論は大きく二分されている。とくに、東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、「脱原発」の意見を持つ人の方が多いとみられる。そうした世論に配慮するからこそ、エネルギー基本計画が「玉虫色」になったともいえる。

安倍首相も「安全性が確認されたものから再稼働する」とは言い続けたものの、さらに踏み込んで、原発を推進するか、あるいは脱原発に舵をきるのかを示すことは避けてきた。あえて議論を起こさなかったと言ってもいい。

野田内閣脱原発の方針を打ち出したのも、首相官邸前での反原発デモなどがボディーブローのようにきいた結果だった。おそらく、今回の選挙戦でも自民党公明党原発を争点化することを避けるに違いない。

原発について真正面から議論せずに、なし崩しに「脱原発」化が進んでいく状況が続くことになりそうだ。

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