ラノベ・漫画・小説に限らず「物語」を求めたい。

 書いてからなんだが、タイトルご大層に気取りすぎじゃねーの自分。


面白いけど売れてない?らしいライトノベルニュー速クオリティ)
 タイトルは新城カズマ新シリーズ『15×24』のことですが、気になるのはコメント欄のほう。
 なんというか、「外側」の人たちからライトノベルを見ても、やっぱ萌え系に偏っているのは明白なのですねえ。平仮名四文字や、ヒロインの名前+@といった、同じようなパターンのタイトル群を見てもねえ*1
 しかし不思議なのは、コメントしている人たちがなぜこうも両極端なのか、ということでした。「ラノベ読むくらいなら、漫画を読むし、小説読みたきゃがっつり文学読むよ」みたいな。
 漫画で面白いストーリーを求めるなら、ラノベという媒体でも、同じように面白さを求めたりしたくならないんでしょうか? 小説の面白さと漫画の面白さには、媒体の違いから来る差異は無論あるわけですが、ラノベはそのへんの溝を(多少は)埋めてくれるものだと思います。
 で、ラノベってラノベ専門作家の他にも、SFや一般の作家も書くんですよね(まあSFもラノベの一ジャンルに数えられていることが多いような気がしますが……)。「越境作家」という言葉があるように、ラノベから一般へ、一般からラノベ(こっちは稀少)へ進出する作家もいます。好きな作家を追いかけていたらラノベも読んでいたって人は結構いるはず。
 コメント欄には「小説とラノベを線引きする意味はない」という意見もあるにはありましたが、大多数は「小説」と「ラノベ」を区別し、ラノベの存在自体を疑問視する意見のようでして、それが自分には歯がゆい限り。
 漫画と小説は別の物だからいいんですが、「小説」にラノベとそうじゃないの、という区分けなんているのかな?
 何というか、私が上のニュースについてたコメントの数々にイラッと来るのは、「ラノベをバカにすんじゃねー!」という気持ちが根源にあります。が、そんな私も、あんましラノベは読みません。最近はもっぱらハヤカワ文庫を愛読してます。
 最後に読んだラノベは先月の『アンシーズ』(SD文庫)、最後に買ったラノベは新人・刈野ミカタ氏の『プシュケープリンセス』(MF文庫、積読中)。
 後者はMFの新人賞投稿者ならよく知られた方で、確か五回ぐらい最終選考あたりまで行ったのに五回ぐらい落とされてのデビューという「なんでそんなにMFでデビューしたいの!?」と思わずにおられない強者でした。落とし続ける編集も凄い。作者に興味あるんで買ったんですが、中身をぱらっと見たら何かいまいちな気が……。設定や粗筋に斬新さを感じないどころかパクリ臭が……。まあそのうち読みますけど。
 閑話休題
 前者アンシーズも新人の作品で、このブログでも前に感想を書きました。えーと。童貞高校生が女の子に変身してバトロワする性転換特殊能力戦闘物です。
 そんなストーリーと設定が気に入ったので買いました。読みました。面白かったです。私は寡聞にして存じませぬが、同じような設定の漫画があるってなら誰か教えてくださいごきげんようこんちくしょうめ。性別ゆらぎ大スキー*2
 私はワナビラノベ作家志望者)です。にもかかわらずラノベをあまり読まなくなってきている。そんな自分に危機感を覚えるから、ラノベの新刊を買うけれど、大抵は積んで詰めて本棚の肥やし。で、好きな作家や気になった粗筋の奴だけ消化の繰り返し。
 それでもラノベを書きたいとか、ラノベバカにすんな! って気持ちになるのは、やっぱりまだラノベが好きだからです。もっと言うと、「ラノベの可能性」を信じているからです(はいここ笑う所ですよ!)。
 ラノベ産業はコンテンツのメディアミックス化、新規レーベルの参入・誕生など、明らかに拡大しています。アニメ業界のコンテンツ不足がラノベのアニメ化を推し進めているとかそういう背景もあるんでしょうが、結構元気なんじゃないでしょうか。まあ萌え系に偏った奇形進化をしそうな感じはしますが……(っていうか、既にそうなっている or なりつつあるかも?)。
 とにもかくも、昔バカにされ、今もやっぱりバカにされ、偏見に取り囲まれたるラノベですが、その中身は段々と成熟していると思うのです。「ラノベ」と一括りにされてもぴんからきりまで、がっつりSFやらエンターティメントやら諸々のジャンルが、ラノベの名のもと広く浅く集結し、それぞれが発展を遂げている、と。
 まあ中高生が対象読者層ということで、改行の多さとか擬音とか会話とかのフォーマットがあるにはありますが……。
 それと、ラノベだから出来る話ってのもあるんじゃないかと思ってます。先のアンシーズといい、ラノベは中々ニッチなネタの作品も(時々)出ますし。シュピーゲル・シリーズなんて、テロリストとか国際情勢とか人種差別とか歴史とか戦争とかの話をガチガチにやりつつ「悲惨な過去を背負ってサイボーグ化された美少女たちがテロリストどもをぶっ飛ばす」話ですが、この両方を漫画で両立できるもんでしょうか。
 それはそうと『15×24』買ったまま積んでます、すんませんすんません、えろうすんまへん。


 余談。

77 ノイズe(埼玉県) 2009/11/03(火) 18:23:30.39 ID:64U8GOO/
疑問なんだが
何とか大賞って応募した時点で作品が完成してるんだろ?
なのに受賞してから2巻3巻と続くのはどうして?
予め続きが書けるように終わらせてるのか?でもそうしたら何を訴えたくてどう終わらすのかが審査時に全く伝わらないよな
応募時の物語を発刊時にはうんと引き延ばしてるってことか?
作品の続編が出ないって状況も理解できないんだが、ハルヒとかは構想当初のストーリーを引き延ばしてる内に伏線やら矛盾やらが収拾つかなくなったってこと?

 確かハルヒとかは受賞後に、新しく続編への伏線を仕込んでから出版したかと。
 あと投稿しても、大抵の作者の中にはその物語の世界は続いているもんです。むしろ一冊で完全無欠な綺麗な終わり方をしているほうが少ないのではないかと。電撃なんて受賞したら最低三冊出させてくれますからね。
 まーだからって伏線込み込み・いかにも続きますよってな作品は落とされますけれど。その話はその話で終わらせつつ、やろうと思えば続編も出来るように設計しておくのは、商業作品やる上では必要なスキルでがんしょう。
 ……そしてその辺の詰めが甘いと、無理やり続けたことで失速するというわけです。ふぅ。
 しかし一方続編が出ないのは……お察しくださいってやつでせうなあ。

*1:応募時には全然違うタイトルだったが、出版時にそれ系のタイトルに変更された作品は数しれず。

*2:「志貴智志『XBLADE』逆設定じゃないかと聞いたけれど、検索してみる限り違うような…、