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虫記事
[カミキリ星撮表]
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ディアスポラ数理研 /白熱光メモ 読み中
 

2017-11-25

[][] 関わった書籍

その1「東京都のカミキリ虫」:写真と文章を使っていただきました

http://tengyu2.web.fc2.com/books/book-tokyo.htm

その2「シルトの梯子」:用語チェックがたいへんでした。

何もない空間では、粒子の波束はつねに拡散し、際限なく広がる。しかし粒子が古典力学のばねのひっぱりに類似した引力を受ける場合、特定の形状、特定のガウス型の形状、統計学の釣鐘カーブのような形状、は安定である。それよりも狭く鋭い波束は全て、必然的に運動量の値が一定の幅をもち、それにより広がることになる。それは不確定性原理そのものだ。正しいガウス型波束は、しかし、正しい環境において位置と運動量の不確定性が完全な妥協を示し、波が動くとともに形が変わらないことを可能にする。(出版されたバージョンでは修正がある可能性あり)

ウソみたいだろ。小説なんだぜ。

http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013725/

2017-10-24

[] ドラゴン・ガール

お寺で法事で聞いたお話。むかし8歳の竜の女の子が成仏したという話http://yoji.jitenon.jp/yojim/6262.html

あー、と思いましたね。これを思い出して:

http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%81%E3%82%AD

幼い女の子が竜になって、滅茶苦茶強いということで印象に残っています。下手するとゲームバランス崩れる位に強いのですが、かなり終盤で仲間になるので絶妙なバランスになってます。

2017-04-21

[][] 2+2次元

Dichronauts

Dichronauts

3+1次元に限界を感じ、5+1次元とか4+0次元でSFを書きはじめたイーガンさんですが、今度は2+2次元です。

前にも書きましたが timelikeな方向が二つあるからといって、時間が流れるのは一方向です。残りの一つは計量が負の変な空間方向となります。

作品中では南北方向がそれに対応するため、主人公たちは南北を向けないとか、生まれた時から顔が西向きか東向きかのどっちか、とか、かなり変な世界です。こんな世界で物質が存在できるのか。ちょっと初歩的な計算実験をしてみました。LJポテンシャルを使い、100個の粒子が互いに距離1程度の位置にいようとする系を考えます。

我々の世界では二次元だと以下の様に三角格子になります。

f:id:ita:20170421213425p:image

ここで距離の定義を変えてsqrt(|X^2-Y^2|)として同じ計算をしたのが以下:青と緑の線はX^2-Y^2の符号の違い。こうした集団がアボガドロ数まで拡張できるかは不明。

斜め方向に他の粒子が来てはいけないので、Nクィーン問題のようになります。http://www.info.kanagawa-u.ac.jp/~hatori/study/yousi2003-3.htm

f:id:ita:20170421213423p:image

これら粒子の相互の距離を不変に保ちつつ回転させるには、ローレンツ変換で変形させる必要があります。南北にカニ歩きしてる時に躓いて転ぶと身長が何倍にもなりリます。


そういえば以下の本に解説を書きました。あと6月に出る「白熱光」文庫本と電子版にも解説が載る予定。

2016-09-26

[] 量子論の発展

『エターナル・フレイム』作中で量子力学が確立されていく過程。

「とびとび」

1900年代はじめ、各国は国力を上げる競争をしていました。そこで重要なのが製鉄。溶鉱炉の色から温度が分かれば色々便利そうです。赤、黄色、白とだんだん熱くなっていくのを数値で現そうという。しかしモデルを立てて計算してみると、無限のエネルギーの光が出てくるという無意味な結果しか出てこない!なにかが間違っている。とりあえず「物理屋つかえねーな」と無視して経験則で鉄を作ってれば問題ないですが。

そこである物理屋が、何故か「光の強さがとびとびの値しか取れない」ということに根拠もなくしてみると、うまく実験と合うことを発見しました*1。物理屋すげー。しかし、なんでそうなるんだぜ? 【ノーベル賞】

http://eman-physics.net/statistic/planck.html

「とびとび2」

原子から出る光を調べていた人が、特定の周波数の光だけ強く出てくることを見つけました。またしても、とびとび。 【ノーベル賞】

http://teito-vision.sunnyday.jp/teito-key/problem/004balmer/

電子は波?

ツブのような電子が、波みたいに振る舞う?としか考えられない実験が!こちらがわかりやすい。

https://haken.inte.co.jp/i-engineer/interesting/ryoshirikigaku

【ノーベル賞】

波で「とびとび」

笛とか、吹き具合によってオクターブ上の音が出ます。周波数は二倍。うまくすれば三倍、四倍なんかも理論的には出ます。音の波がちょうど笛の長さの1/2, 1/3, 1/4になるような音が出てきます。お!波!で?とびとび!?なんかこれ意味深じゃね? 【ノーベル賞】

光は粒子

光をぶつけた電子が、なにか粒子にぶつかったように振る舞うことが発見されました。電子が時に波のように振る舞うかと思えば、今度は光が粒子として振る舞う。【ノーベル賞】

そういえば、粒子って一個、二個と数えられるね。これって「とびとび」じゃね?なんか全部つながるんじゃね?

みたいな

かんじですわ。量が変わる時、とびとびで変わる。「量子」てのはその「とび」の最小単位。量のつぶ。

しかし、こういった現象を直感的に、日常の感覚で理解しようとしてはいけない。人間の頭はこういうのを理解するように進化してきてはいない。なんでこうなるか、というのは誰にも分からない。

*1:実際は試行錯誤して作った式が後になってそう解釈できた

2016-08-24

[] エターナル・フレイム

刊行日 : 2016/08/24

http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013295/

故郷の惑星を直交星群との衝突による滅亡から救うため、巨大ロケット〈孤絶〉が飛び立って数世代後。いまだその解決策が見つからないなか、〈孤絶〉の天文学者タマラは、近傍を通過する天体〈物体〉を発見する。この宇宙の特異な性質から、直交星群の物質でできた〈物体〉はただの岩ではなく、母星帰還への道をひらくエネルギー源になるかもしれない! 光と物質の新たな法則を見いだそうとしていた物理学者カルラは、タマラとともに〈物体〉探査チームに加わるが……。現代ハードSFの旗手イーガンが、我々の世界とは異なる物理法則に支配される宇宙を描いた〈直交〉三部作、第二弾!

量子力学の確立という一大科学イベント、別の宇宙だとどうなる?という壮大な思考実験。スピノル?四元数で表せるので、とっても簡単になるそうです(白目)

急げ<弧絶>。故郷滅亡のその日まで、あと∞日

献本御礼。見本が届きました。

何の話なのか

この三部作でイーガンが考えていること、それはズバリ「時間とは何か」でしょう。哲学的な難問ですぐ答の出る話ではないですが。

物理の法則の中には、時間の特徴である、前に進めるけど後ろに戻れない、原因があって結果がある、といったことが数式として出てきています。ではその数式をいじくって、我々の世界の時間の特徴がなくなるような式にしてしまったら、どういう世界が出てくるのか。それを描くことで時間に対する洞察を得る、というのが一番やりたいことのはず。そいうった哲学的テーマが一番前面に出てくるのが第三巻になります。

一、二巻ではウォームアップとして、相対性理論と量子力学がそれぞれ我々の宇宙とどう違ってくるか、という話が展開されます。相対性理論は我々の世界より非常に分かりやすく単純になり、その帰結としてストーリーの鍵となるアイディアが出てきます。

量子力学はどうか。全然単純になりません。むしろ面倒になるかも (参考: http://d.hatena.ne.jp/ita/00000202/p19)。そしてあまり派手な違いは出てきません。第二巻ではこっちの宇宙より困難な状況で量子力学を確立していく過程が描かれます。

とかく量子力学というとその奇妙な側面ばかりがクローズアップされ、シュレディンガーの猫とか言葉だけが独り歩きしてアニメで適当な設定の味付けに使われたりしてます。しかし量子力学が確立する以前の、「なんでこんな実験結果になるんだ意味がわかんねー」という混乱状況に「なぜか分からんけど、こういう変な仮定をしたら全部説明できるようになった!」という強烈なAha体験を伴って颯爽と登場したのが量子力学です。第二巻である本書の背後には、そのようなAha体験を読者にも体験してほしい、という作者の強い願いがあるように思います。

こちらの量子力学を熟知していて、全体像が既に見えている人であれば、読んでいて「志村〜!第二量子化!第二量子化!」などとツッコミをいれつつ楽しめるでしょう。そうでない場合でも、苦労はするけど、後ろにいる幽霊にいちいちビックリしつつ楽しめるんじゃないかと思います。

マニア向け

あちらの世界では電子相当のものが光子を出して上のエネルギー準位にいきます。そんなむちゃくちゃな世界で物質が安定に存在できる?できるんだなこれが。

 
Contact: Mitsuhiro Itakura/板倉充洋
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