漱石『行人』

 漱石『行人』の登場人物一郎は漱石の自画像?
 失敗した人生という感じの、悲惨さ。この小説は重苦しい。
 不安な未来よりも、取り返しのつかない過去に比重が掛かっている。
 ありえたかもしれない、しかも現実にはなかったことが確定したよりましな人生は、永遠に失われている、という感覚。
 『こころ』の先生の、有名な自殺へと自然に繋がっていくらしい。

 ・・・まだ半分しか読んでいないけれども、後半、どうなるのか。
 これは、一郎の行動が予感されるだけに怖い小説。