「鎖」

鎖(下) (新潮文庫)鎖(上) (新潮文庫)
「凍える牙」の続編、大活躍の音道に大きな危機が訪れてしまう。腐ったヤツと組まされて仲違いした事で一気に彼女に危機が訪れて・・・・・・。

ネタバレしないでサスペンスを紹介するのは難しいなぁ。「凍える牙」はどんどんスピード感を増していって進んでいく感じなのですが、これは絶望と恐怖、そしてそれを追う人たちの焦りがなかなか展開を動かす事が出来ない。じりじりとした中で音道はデッドラインを迎えようとする時にクライマックスが訪れる・・・・・。

これを読んでいて、こういう絶望的な状況になった時人はどうするのか、こういう時こそ頑張るのが人間だなんてちょっとこれを読んでると違うのかもなんて思ったり。現実的にすり寄る恐怖、かすかにたぐり寄せようとする希望もなかなか光が見えてこず・・・・・。読んでいて「これぞサスペンス」という恐怖感でした。静と動という感じで続けて読むと対比としても面白いかも。

乃南アサ「鎖」 新潮文庫 上・¥629 下・¥552