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フライドポテトが、おいしいのは意外な香料が入っているから?コーク1缶にスプーン10杯分の砂糖が!!世界はもうファストフードに支配されている。

最近の米国(アメリカ)は、ゴア元副大統領の環境温暖化の“不都合な真実”や巨漢マイケル・ムーア監督の突撃取材“ボーリング・バイ・コロンバイン” の銃規制問題や、テロ対策やイラク戦争批判の“華氏911”と、問題提起型のドキュメンタリーが目白押しだ。2004年映画「スーパーサイズ・ミー」注1はファストフード訴訟と洗脳された食文化崩壊を、1ヶ月間ひたすら特大(スーパーサイズ)のフライドポテト、バーガー、ナゲット、コークを喰い続け、身体や精神がどうなっていくか!?で、問題提起している。


閑話(それは)休題(さておき)―― アメリカンドリーム絵巻の幕が開ける。本書の冒頭はファスト・フードの代名詞マクドナルド・ハンバーガーの創世記からのサクセスストーリーが、時代を映す鏡のようにロールする。時はフォードが自動車をベルトコンベア式のオートメーション工場で大量生産をはじめた頃。リチャードとマック(モーリス)のマクドナルド兄弟はモータリゼーションの波に乗りカリフォルニアで生まれた新商売(モーテルやドライブイン)に目を付けた。当時あまり評判の良くなかったハンバーガーとドライブインを組み合わせ、成功させた。しかし1940年代の終わり頃には、コックの入れ替わりや車まで料理を運ぶカーポップと呼ばれるティーンのウエイトレスの求人や、それを目当てに集まる客が皿やグラスを壊すのにウンザリしていた。1948年、兄弟はカーポップを全員クビにし、店を大改装した。メニューはバーガーとチーズバーガーの2種類だけで、皿やコップともおさらばし、紙コップと紙皿に変えた。キッチンも熟練のコックでなく素人を数人雇った。組み立てラインで働く工員のように1人はグリルでパテを、1人はシェイクを、1人はフライドポテトを作る、といった具合に単純作業を1日中させた。客は車を降りて列に並ばなくてはいけない。『セルフサービス』の誕生だ!! 道路から目につきやすい屋根にMの字の黄金のアーチを乗せ、建物に広告をつけることで世界一有名な企業ロゴが生まれた。ライバルチェーンもこぞってこれをまねた。ダンキンドーナッツ、ウェンディーズ、ドミノピザ、KFC、皆、起業家は貧しい家庭の出身で大学すら出ていない、自分の力だけで叩き上げて、チェーン展開し夢を実現してきた人達だ。


レイ・クロックはシェイクマシーンのセールスマンからマクドナルドの共同経営者となりフランチャイズ方式でマックをカリフォルニアから全米へ広げ、全社の権利を買い取り世界へ進出させた。彼は“画一性!”を重んじ全ての店でおなじメニュー、おなじ味、おなじ接客、おなじスピードを徹底させた。これに右に習へした他のファストフードの影響で全米から家族経営のレストランや食料品店が消えた。どこへ行ってもおなじ看板、おなじ建物、おなじ顔の街ばかりになった。人々は疑いもせず子供の時から列に並び、おなじ物を口にいれる。染み付いた習慣はなかなか変えられない。――人は2歳にしてブランドへの忠誠心を持つようになり一生そこの商品を買うようになる。全米の子供達が大企業の宣伝のターゲットに変わってしまった大きな責任は、彼とウォルト・ディズニーにある。2人ともイリノイ出身で第1次大戦では同じ部隊に所属しカリフォルニアでまったく新しい産業を生み出した。ディズニーはすでに1930年代には何十社もと契約し、広告や商品にミッキーマウスの写真を使う事を認め、子供達に本、洋服、スナック菓子を売っていた。時代はやがて映画からテレビの影響下へと変化していった。彼もこれにならってピエロのドナルドというキャラクターのテレビCMで売り上げを伸ばしていった。かつて、家族での外食は贅沢なイベントだった。共働き夫婦が増え子供と過ごす時間が少なくなった大人達は、埋め合わせに子供がねだるファストフード店に足を運ぶようになり、店ではオモチャ付のセットを与えた。  
そして、子供達の味の記憶は一生残る事になる―― 。


ファストフードは現在の産業形態にまで影響をおよぼしている。冷凍ポテトは巨大会社3社が市場の80%を占めジャガイモの価格を支配している。仕入れ値の20倍でフライドポテトを売り、Lサイズ$1.50のうち農家に入るのは2セントにすぎない。アイダホでは30年間に農家が半分に減った。ポテトは最初、牛脂で揚げていたが動物性脂肪が身体によくないと批判されたため、1990年に植物油に変更しビーフの香料を加えた。同じ味や香りが、子供達の記憶に残ればポテトや清涼飲料を子供に奨めることは割のいい商売だ。これから子供達は、添加された香料、着色料、保存料を長期的に大量に採ることになる。そして、今や多くの学校が清涼飲料の自販機を設置し、売店で栄養はないがカロリーは高いスナックを売り、カフェテリアではファストフードやジャンクフードを出し、ニューヨーク州の65%の子供が標準体重より重い肥満予備軍で、将来の健康被害は甚大だ!!
バーガーやナゲットのウシや鶏も工場化された牧場や養鶏場で管理されるようになり、じきに巨大ファストフード企業に支配されるようになった。その処理場も営利優先のシワ寄せで不法移民を使い劣悪な労働環境や衛生環境から、食中毒の危険性も高まっている。ファストフード店自体も正社員はわずかで、保険や補償が要らなく解雇しやすいアルバイトの高校生や移民を大量に最低賃金で雇い入れている。いつしか世界は、身入りが少なくマニュアルで厳しく管理され、長時間働かされることを “マックジョブ”と呼ぶようになった。かつてのアメリカンドリームは今や悪夢となって増殖している!!
――映画は“Look(つねに) after(客様) the(の) customer(ご要望に) and(気を) the(くば) business(れば商) will(売は) take(おのずと) care(成功) of(す) it(る) self(。).” Ray(レイ) Krock(クロック)で始まり、 特大(スーパー サイズ)230gのポテト、1700ccのコークは我々に本当に必要なのか!?で終わっている。――マック食のみで、1か月間監督が摂取した砂糖は13キロ、脂肪は5キロ。しかし、2003年米議会下院では肥満で食品会社を訴えることを禁止する“チーズバーガー法”を通過させた。―――サンダンス映画祭で“スーパーサイズ・ミー”が上映された6週後、マックは特大(スーパーサイズ)の発売中止を発表した!?

クイント2007.10より     

おいしいハンバーガーのこわい話

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