ito_kei2009-08-16


後躯麻痺状態の鳥は比較的多くきます。
立ち上がれない、とまり木にもとまれない、翼を動かすだけ。
いわゆる脊椎ヘルニアとおなじ状態でやってきます。

ごくごくまれに投薬で回復するものはいますが、本当にまれ
立ち上がれないくらいの麻痺であるとほとんど見込みなしです。
いわゆる脳しんとう状態で意識もないくらいだと、数時間で意識回復とともに回復することもあり(脳内出血でそのあと…というのは考えうることですが、早めにリリースしてしまうのでわかりません)
意識がはっきりしていて、暴れるものの立ち上がれない、となるとかなり厳しいです。

レントゲンでもほとんど分かるようなことは少ない(造影でもできると違うかもですが… しかし手術となるとさらに程遠い…)
コンパニオンアニマルであれば、介助すれば生活はできます。
でも、相手は野生動物、その環境を享受してくれることはありません。


オオタカハヤブサはなぜかよくこういう状態でやってくる。
そして予後も良くない。
興奮し暴れて羽は一日ですれ、糞で体中汚れる。暴れることでの傷を作る。
強制給餌しないと餌は食べれない(食べれるものもいるけど、暴れてさらに汚れる可能性の方がずっと高い)
撫でさすって落ち着くことは絶対にないし、声をかければストレスになる一方。
もはや死をもって逃げられるかのような。


野外の猛禽はとても美しい。
それがたった一日二日で汚れ、みじめに死ぬしかない
オオタカハヤブサは法律で守られているため、予後不良と判断出来ても「薬で死期を早める」行為は出来ない。
いわば死んでいくのを待つしかない。


同じような症状で来るものはたくさんいるのに、技術が及ばない
技術向上の余地は絶対にある。
たとえ回復不能と判断出来ても、よりよい飼養管理はもっと絶対にある。


すれて汚れ、ストレスの影響と思われるものでみじめに死んでいく
あの美しさは何十分の一くらいになってしまう。
なんとかもう少し、逃げる命、なくなる威厳、追いかけられたらと思ってしまいます。





※お盆は無事終わり、岐阜に戻りました。お盆中のことはまた書きます。