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いとちりBooks

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2014-04-20

ブクレコに引っ越しました。

21:24 |

 長いこと開店休業状態になっている「いとちりBooks」ですが、SNSの書評サービス「ブクレコ」に引っ越しさせてもらいました。このブログ自体も、ジャンル分けをして、装い新たにまた再出発をしようと思っています。「いとちり」はどんな本を読んでんだ?という事に興味のある奇特な方は、ぜひ「ブクレコ」をご覧ください。

ブクレコの書棚はこちらです。

http://www.bookreco.jp/my/bookshelves/index/shelf

f:id:itochiri:20140420212300j:image

2013-05-06

おじさん・・・。

14:37 |

[rakuten:booxstore:11011458:detail]

 タイトルを見て、「おうおう、おじさん世代も大変よのう」と思って読んでみたら、自分たちも(団塊ジュニア世代ターゲットだった。タイトルに騙されてはいけない(いい意味で)。人脈もコミュニケーション能力も高い「おじさん」達が、ソーシャルメディアという武器を手にすると、どういう化学反応が起こるのかが具体的に示されている。

 特にマーケティングに関するワザ、「パーソナルブランディング」の在り方など、「悩める中年」には朗報。ただ、「毎日ブログ」「twitterとFacebookの上手な使い分け」など、著者が言う「ソーシャル疲れ」に関する記述も「やっぱりねー」と思うところも多い。

 「道具としてのソーシャルメディア」でなく、「ソーシャルメディアのための日々の活動(とその記録)」に走りすぎた「失敗例」も、多々あるような気がしてならない。そのあたりにも言及が欲しかった。

2013-05-05

ビッグデータとは?

07:09 |

 

 シリコンバレー在住のコンサルタントながら、「ビデオの録画すらできないワーキングマザー」である著者が、丹念な取材をもとに書いた極めて「文系ライク」な入門書。「ビッグデータ」という言葉が何かとてつもなく素晴らしく、高度な技術のように見えるが「なんだ、そういうことか」と腑に落ちる。

 「会社そのものがビッグデータ」ともいえるGoogleのビジネスモデルや、「ビッグデータ関係者はなぜか野球のたとえが好き」であり、彼らの仕事を一気に広める機会なった映画原作小説データ分析の部分がもっとマニアックに書かれているらしい)「マネー・ボール」の紹介、「組織票ドブ板」の共和党優勢に対して「ビッグデータ・草の根」で見事に勝った2期目のオバマ大統領の選挙震災後の交通情報で一躍有名になったホンダのカーナビデータ分析など最近日本の話題まで、コンパクトにまとまっていて大変わかりやすい。 言語画像に比べて数字の羅列である位置情報GPS)は分析がしやすく、今後技術を牽引する可能性があること、いくらビッグデータはいえ、分析者が明確な意図を持って加工し、導き出そうとしない限り、データは活用されないことなど、当たり前のことながら、「地理学」をやっている人間にとっては福音とも言える見解が散りばめられている。

2013-03-26

今時のエリート

22:18 |

 

 灘中学在学中にiPhoneアプリを世に出し、無料アプリランキング世界3位になった「スーパーIT中学生」(現:高校生)と、日本のコンピューターサイエンスの草分けにして元グーグル日本法人社長の対談。

 秀才があふれる中で、自分も埋もれるまいとアプリ開発を独学で始め、アップルプレゼンをユーストリームで翻訳実況中継する才児の進路相談に「アメリカに行くしかない」と応じる66歳。対して「とりあえず、日本大学に行って、その上で目指してみようかな。でも、東大は嫌」とさらっとかわす17歳。日本式の「鉄板成功モデル」が崩れつつある中、危機感は共通しているが、対処の違いがくっきりと現れている。

 現役の生徒が語る「灘高生」は恐ろしく頭が良い。それを受け止めて伸ばそうとしている教師陣もすごい。スーパー中学生高校生となり、「その下の世代」の台頭を意識し、ネットに溺れる同世代クールに代弁する17歳。アプリのダメ出し自分で最低30箇所出してから直すなど、独自のポリシープライドを持ち、審査に納得いかなければアップル担当者とやりあう。彼にとってはアメリカは「日常」の延長線にあるのだろう。村上氏の「アメリカすごい、日本教育ダメダメ」論に対して時には同調し、適度に噛み付きながら「進路相談」する姿は微笑ましくもある。

 Tehu氏が語るライフヒストリーの章も面白いが、村上氏との対談というスパイスを効かせることで、今時のエリートの置かれている境遇価値観がより鮮明に見えてくる。新書ありがちな企画だが、本書はソフトカバーの¥1500。その分、専門用語人名には脚注がついていて、付加価値は高い。とりあえず、Macが欲しくなる本でもある。

2013-02-23

山手線をめぐる官民の攻防史

09:23 |

 

 地方公務員(区役所勤務)の傍ら「鉄道研究家」として執筆活動を続ける著者。日本人なら誰でも知っている「山手線」を題材に、明治日本鉄道敷設をめぐる官・民・そして地域住民の攻防をわかりやすい文章で活写している。

 新橋横浜間に鉄道を開設することに奔走した若き官僚20代後半)だった伊藤博文と大隈重信のエピソードから物語は始まる。敷設に強硬に反対した薩摩藩邸や軍の敷地を避けるために海上に堤を作ってその上を通す(今は埋め立てられて陸続き)奇策が面白い。その後、西日本までの路線をどうするか(当初は高崎から西に向かう「中山道線」が最有力)の検討が進む中、華族出資した初の私鉄「日本鉄道」が上野から北へ工事を始め、品川上野をどうつなぐかでの駆け引き、何もない原っぱに作られた「東京駅」、用地買収と煤煙対策で最後まで難航した「秋葉原東京」間など、1周するのに50年かかったという鉄道史はドラマそのものである。各駅もそれぞれの思惑の中で引越しを繰り返している(品川駅品川区でなく港区にある理由の説明に感心した)。

 会話を増やし、小説仕立てにして読みやすさを狙っているものの、「ほんとにそう言ったかなー?」と思えるところもあるのでちょっとマイナス。それでも、硬い文章の学術書、雑学うんちく本とも違う読みやすくてためになる本である

2013-02-17

  

八重の桜 一

八重の桜 一

  2013年大河ドラマの脚本小説化。原作もっと短いと思われるが、当時の会津藩上層部京都の政略等の場面をふんだんに取り入れて分かりやすくまとめている。

 会津藩砲術指南役の家に生まれた主人公。「女に鉄砲なんぞ」という時代の中で密かに火薬の調合などをまとめた本を写し、見よう見まねで知識を得る。年の離れた兄は東奔西走養子として藩を担うことになった藩主、松平容保は幼い頃の主人公と一瞬交差しつつ、京都の政局の大激流に飲み込まれ・・・NHK出版による、いわば「大河予習本」であるが、読み物としても十分楽しめる。3ヶ月おきに全4巻が出されるらしいので、映像を見る習慣がない人にも勧めたい。

2013-02-16 異聞・新選組

 

播磨の国高砂の塩商人から、新選組に入った主人公から見た新選組の成長と崩壊会計担当しつつ、豊かな実家の支援を受けて隊士らに個人的に金を貸し(ただし無利子・無期限)、武士に憧れながらもどこか「商人の打算」とネイティブ武士の「商人蔑視」へのコンプレックスから抜け出せない主人公。彼の目を通して見る土方歳三芹沢鴨山南敬助沖田総司はお馴染みの「新選組キャラクター」とはひと味もふた味も違う。

 実在する人物をモデルにしつつも、彼が日々つけたとする架空の日誌、悲劇的な最期、そして著者流の「現代の企業社会に例えた解説」で味をつけて、「幕末ビジネス小説」に仕立てている。理想萌え集団が内部対立を乗り越える上での知恵と非情。「組織の維持」が目的化した時に起こる本末転倒は、原題にも通じる教訓である。「そんなにかっこいいもんじゃない」という意味での「異聞」というタイトルに込められた批判精神史実との違いを考慮に入れつつ「ビジネス書」として読みたい。

2013-02-08 鉄道の地理学

 

鉄道の地理学

鉄道の地理学

著者は鉄道史学会、歴史地理学会の会長を務めた鉄道史の権威。「鉄道の成り立ちがわかる事典」の名にふさわしく、古今東西(主に日本西欧)ありとあらゆる「鉄道のうんちく」が各テーマ2,3ページにコンパクトにまとめられている。

 前半は、「鉄道発達史」的な内容で、地理学?という面もあるが、列車が加速するがごとく、5章「地形に挑む鉄道」6章「大河や海を渡る鉄道」7章「気候条件が鉄道に与える影響」、10章「駅の地理学」あたりになってくると、「歴史地理学者」の本領発揮といった趣になる。

 「陸蒸気」がやってくると禍が起きるということで、明治開業当時、人々が村に鉄道を通る事を忌避したという「鉄道忌避伝説」が全く根拠のない「伝説である事を長編で立証した著者。ここでも忌避伝説の否定や、当初の計画は中山道まわりで計画されていた東京大阪間のルート陸軍による艦砲射撃の忌避ではなく、内陸部の経済振興目的や、東海道沿岸部での船運(鉄道より安いので需要が見込めない)という判断があったことなどを丁寧に解説している(少なくとも、艦砲射撃を恐れた陸軍の反対ではなさそうである)。その上で、できる限りトンネルの掘削費用橋梁の設置費用節約するためのルート取り、輸送力に応じた路線の付け替え等、日本だけでなくヨーロッパアメリカ比較しながら「システム」としての鉄道建設と維持について豊富な事例を提供している。

「事典」ゆえの制約か、著者の「持ちネタ」的部分と、一般的に知られている内容の部分と内容の濃さにややムラがある(例えば、最終章の新幹線項や、鉄道地図の項はかなり薄味)。編集サイドで一般受けするネタを後から継ぎ足した「連結部分」が目立つようにも思える。それをマイナスするものの、著者にしか絶対書けそうもない研究の成果の片鱗が現れている良本である

2013-01-12 飯舘村は負けない

 

震災から中山間地域未来を引っ張るモデル農村」として飯舘村研究してきた福島大学の2人の研究者が、発災直後から全村避難、そして除染作業をめぐる対立が続く現在にいたるまでを豊富な聞き取り調査をもとにまとめたルポ

 1956年、飯曽村と大舘村が合併してできた飯舘村。広大な村域でよく言えば集落独立性、悪く言えば旧村対立が続いていた村をまとめるために取られてきた試みがようやく実を結ぼうとしていた矢先の放射能汚染。第3章の「村づくりのこれまで」に見る飯舘村履歴書は一読の価値がある。役場の職員時代から旗振りをしてきた現村長は、計画的避難地域指定後も村内の事業所を存続させ(従業員は村外から車で通勤除染を国の事業として行わせるために東奔西走するが、その政策が100%村民から支持されているわけではなく、特に若い世代からの反発が強い。

 「がんばろう!」「負けない!」「被災地」というレッテルを貼ることで、思考停止してしまいがちなジャーナリズムに対して「物言う少数派」の主張と行動を汲み取って問題提起する姿勢は高く評価できる。ただ、「中立」に徹するあまり、著者の考え方が今ひとつ見えない。調査者としての姿勢かもしれないが、もう少し社会科学研究者としての肉声が欲しかった。

2013-01-10 欧州のエネルギーシフト

 

欧州のエネルギーシフト (岩波新書)

欧州のエネルギーシフト (岩波新書)

朝日新聞ブリュッセル局長を勤めた記者(現:論説委員)が、福島第一原発後にヨーロッパ各国の原発や、原発に取り組む関係者を取材してまとめたルポ。「欧州・・・」とひとくくりにできない多様性が見て取れる。

フランス原発依存度が高く、ドイツは脱原発。でも、電線国境を越えてつながっているからドイツフランスから原発電力を買っている・・・地理の授業ではお馴染みの「常識」だが、そもそもなぜフランス原発に傾倒するようになったのか、ドイツは“フランス依存”の脱却のためにどんな戦略を取ろうとしているのかなど、「なるほど」と思わせるところが多い。また、「風力のデンマーク」のスマートグリッド、氷河湖はあるのに落差がないため水力発電ができず、ロシアからの電力輸入に頼るフィンランド世界で初めて使用済み核燃料の最終処分場を建設)、衰退した工場跡地を「エコシティ」として再開発して若者を引き寄せるドイツの取り組みなど、新聞の外報面「特集」を一冊にまとめたような構成で、どこからでも読める。

 ヨーロッパにとって「チェルノブイリ」がいかにインパクトをもたらす事件であったのか、そこから綿々と議論と技術革新が積み重ねられて今日があることを筆者は指摘する。日本の「フクシマ」の悲劇を足がかりに、単なるYesかNoかではなく、何をどうしていくべきか真剣に考えなければならないと思わせる。

2013-01-04 やらなきゃゼロ

 

高卒東京都の職員に。苦学して法政大学の夜間コースを卒業した著者。都の交流人事で夕張市派遣され、地域コミュニティ活動に没入したのをきっかけに、帰京後、市長選に推されて「日本最年少市長」に当選。と、書けばあっという間だが、その時その時のエピソードが実に面白い。財政再建都市のため、ほんの少しの支出変更でも北海道と国(総務省)にお伺いを立てなければ前に進まず、「金が出ない」ことから政策を考えなければならない辛さは、「そう遠くない未来日本の姿」と言い切る。

 都職員からの着任1日目、夕方5時で暖房が打ち切られ、職員はスキーウエアを羽織って室温マイナス近くの中で黙々と残業に励む中、「防寒対策不足でリタイア」のエピソードが象徴的。職員が辞めていく中で負担は増す一方で、最低限の経費すら自由にならないジレンマ。でも、それを「笑い話」で済まさずに安定した身分を投げ打って再び乗り込んでいった著者もすごいし、こういう本が岩波ジュニアとして出るのも意義あること。若いもんは堂々と「公務員」を目指していいと思うし、公務員はもっともっと地方に、そして地域に飛び出して行って欲しいと思える本である

2012-12-31 十字架

 

十字架 (講談社文庫)

十字架 (講談社文庫)

1980年代末、14歳でいじめを苦に自殺した少年遺書に「親友」と書かれた主人公片思い告白を受けた少女、そして家族のその後20年にわたる物語。いじめた側、見殺しにした側、糾弾する世間、時とともに風化する一方で、主人公は父となり、ずっと自分十字架を突きつけてきた「あの人」(自殺した友の父)と向き合う・・・最初から最後まで重い、とにかく重い。でも、「当事者」以外は忘れ去っていくものであるという達観と、それに抗う「父」の行動は切なくもドラマチックである。ドロドロに描きつつも、最後は淡い希望を持たせるのが重松流か。

 「いじめ」とは何か、「自殺とは何か」、キャラの濃いそれぞれの登場人物に感情移入しながら色々な読み方ができる作品である。団塊ジュニア世代特にお勧め

2012-12-19 この地名が危ない

 

この地名が危ない (幻冬舎新書)

この地名が危ない (幻冬舎新書)

著者は地理学を修め、編集者を経て「地名評論家」として活躍する著述家。様々な史料を駆使しながらこれまであまり試みられることがなかった大字、小字レベルの地名から「危ないところ」を指摘し、権威ある地名辞典の誤り等を指摘している。「地名は先人が遺したメッセージである」という趣旨はわかるし、「なるほど、こういうことを調べる分野もあるのか」という点ではためになるのだが、徹頭徹尾「危ないところ探し」「私は知っていたぞ」的なトーンには、今ひとつ同調できない。

 先人のメッセージには、「危ないから気をつけろ」だけでなく、「ここは住むに良いところだ」「ここは大事なところだから荒らしてはならぬ」といったメッセージもあるはず。そうしたポジティブ伝承地域への愛着をもたらす要素もあるだろうし、そうした研究の蓄積もあるだろうに、編集方針なのか、著者の博識を顕示したい要求なのか、そのあたりのバランスのなさが読後の後味を悪くしている。

2012-12-16 ブラック企業

 

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)

著者は1983年生まれ。大学在学中、「何が何でも正社員に」という大学側の「キャリア教育」に疑問を持ち、就活トラブルを受け付けるNPOを設置。以来、わざと多めに採用してふるい落とす「研修」や「カウンセリング」の果てに「自己都合退職に持ち込むように仕向けられた若手正社員達の相談を通じて、若い人材をにしてはばからない「ブラック企業」や、それを指南する「ブラック士業」(悪徳弁護士、コンサルタント、社労士)が、日本経済および社会にいかに害悪をもたらすかを指摘する。

 ユニクロワタミローソンなど、誰でも知っている企業から内定を得た新卒者が「社内シューカツ」でボロボロにされ、鬱病による「休職」を経てから退職に追い込まれる姿は壮絶。ただ、それが単なる「告発」にとどまらず、廻りまわっていかに日本の社会に悪影響を及ぼすのかや、「戦略的な人格破壊」に対して若者はどう自己防衛するべきかなどを具体的に示している。

 「日本型雇用慣行」は、実はそれほど古いものではなく、1950年代の壮絶な労使対決の中で紛争回避のための「落としどころ」として至ったこと(強大な指揮命令権やサービス残業を強いる代わりに永年雇用福利厚生保証)、現代の企業の「ブラック化」は、雇用不安の中で企業が日本型雇用の「いいとこどり」をしている(指揮命令権を維持しつつ、身分保障は放棄)という指摘は鋭い。厳しい就職活動を勝ち抜いたエリートほど理不尽研修に着いていけない自分を責めてしまい、鬱病になる構造は、「DV被害者」と同じである。

 「シューカツ」に違和感を感じる大学生、「だからゆとり”は・・・」と嘆く上の世代、そして「キャリア教育」の美名に酔ってしまっている教育関係者はぜひ読んで欲しい。そして、筆者がいうように、「鬱病になる前に相談」が鉄則だと思う。

2012-12-05 前田敦子はキリストをこえた

 

前田敦子はキリストを超えた: 〈宗教〉としてのAKB48 (ちくま新書)

前田敦子はキリストを超えた: 〈宗教〉としてのAKB48 (ちくま新書)

気鋭の社会学者にして「AKBヲタである批評家が綴る、AKB論および「センター」論。

 人間の罪を一身に背負い、石もって追われながら磔死したキリストと、匿名ネット空間からアンチ」の集中砲火を一身に受け止めて踏ん張った前田敦子に「宗教」的共通性を見出して、AKBを「宗教」に例える試みは面白い。ただ、それを補強するために次から次へと持ち出される聖書やらマルクスやらニーチェやらウェーバーやらで塗り固め、かと思えばAKB劇場の公演はいかに素晴らしいかといった「レポ」(レポート)に飛んでみたりと、まとまりや一貫性に欠けてしまっている。

 黒板いっぱいにキーワードやら参考文献やらを書き連ねたと思えば「ところでさー、この間ねー」と、机に腰掛けてどうでもいい話を「知的に」語る(つもりでいる)「Gパンをはいた准教授」の講義を聞かされているような読後感。「ヲタ」の心理を知る分には良いかもしれないが、論理は思いつきのレベルを超えていない。著者自身、何年後かに読み返したら、間違いなく赤面ものだろう。

2012-02-04

アウトロー集団の組織論

07:41 |

暴力団 (新潮新書)

暴力団 (新潮新書)

ヤクザに学ぶ組織論 (ちくま新書)

ヤクザに学ぶ組織論 (ちくま新書)

 同じ対象を扱ってはいるが、捉え方は180度違うので、読み比べてみると面白い

 前者は、まさに「非合法暴力集団」としての彼らの行動分析と、どうすればトラブルに巻き込まれないかの指南後者はヤクザを「負のサービス産業」(ややこしいこと、できれば関わりたくないトラブルを解決してもらう)として、「カタギさんのニーズ」のもとにあるととらえ、彼らが組織を維持していくための様々な努力業界の入門書といった内容。

「たぐいまれな才能」をどう伸ばすか?

07:25 |

演歌は国境を越えた――黒人歌手ジェロ 家族三代の物語

演歌は国境を越えた――黒人歌手ジェロ 家族三代の物語

 演歌歌手「ジェロ」が誕生するまでの秘話。彼のライフヒストリー面白いが、地方ののど自慢大会で彼の才能を見出して、どうすればヒットするか、どう売り出すかを考え抜いたレコード会社の担当者の熱意と執念に共感した。社内の大反対に遭いながらも試行錯誤を繰り返し、紅白にまで上り詰めさせた裏方の苦労は、音楽版「プロジェクトX」である

たぐいまれな才能、しかし世の中の「常識」とは全く合わない時、指導者はどうあるべきか。考える上でヒントになるのでは?

2012-01-15

廣島⇒ヒロシマ⇒広島

| 16:55 |

 修学旅行で行った広島原爆資料館の売店で購入。

 戦後、初の公選で当選した広島市長復興奮闘記。もともとは、中国新聞に連載された「市長秘話」が昭和42年単行本化されたもの2011年、東日本大震災に合わせて復刻された。

 戦前の「軍都」としての廣島市長はこの時、市役所の配給課長)、原爆が落ちて地獄と化したヒロシマ市長市民の為の衣食住の手配に自転車一つで奔走する)、そして40歳でいきなり市長選に担ぎ出され、焼け跡の再生に奔走、スキャンダルで一度落選してまた復活等々、ダイナミックな自叙伝である

 「ヒロシマ」は必ず「広島」になり、「廣島」以上の街になった。それを教訓に、これから起こりうる復興への課題に微力を尽くせればと思った。

「茶どころ」の人間は買って損はなし

| 16:46 |

僕は日本茶のソムリエ―お茶で世界をつなぐ夢

僕は日本茶のソムリエ―お茶で世界をつなぐ夢

 東京お茶屋さんが書いたお茶のうんちく…の域を越えて、お茶の取引の現場地域ごとの茶の栽培の違い、地位別のお茶の好みの違い、「日本茶セミナー」を立ち上げた時の苦労、そしてライフワークである番茶さがし」(その地域に伝わる独特の、様々な常用の茶)など非常にためになる話題が満載。

静岡鉄道」が、茶の問屋街と清水港を結ぶ輸出茶用の鉄道として機能していたとは知らなかった。

「オフレコ」の妙

16:42 |

昭和天皇―「理性の君主」の孤独 (中公新書)

昭和天皇―「理性の君主」の孤独 (中公新書)

 中公新書から立て続けに出た2冊の伝記。昭和天皇1901年生まれ、レーガンが1911年生まれと10歳の年齢差があるが、共に「戦中・戦後」の激動の中を生きてきた人である

 ある意味20世紀特に戦後両国民にとって「カリスマ」ともいえる2人であるが、その「戦前」に何をし、何を考えたかを見るとなかなか興味深い。昭和天皇は念願のヨーロッパ旅行を遂げ、レーガンはラジオDJから俳優になった。ともに極度なまでに「反共」にこだわり、「一言多い」人であったことも共通しているように見える。

 死後20年近くが経過して、「実はこんなことを言っていた」という事を出しても構わなくなってきたからこそ出てきた側近に語った「オフレコ発言」の数々が面白い

戦争は、重大なる才能の浪費である。

| 16:27 |

戦艦武蔵 (新潮文庫)

戦艦武蔵 (新潮文庫)

零式戦闘機 (新潮文庫)

零式戦闘機 (新潮文庫)

「槌音」が聞こえてきそうな技術小説理系高校生大学生に是非読んでほしい。

 コンピューターも、ロボットもない時代にこれほどの工作物が作られたこと、そして両者の冒頭で登場するシーンに象徴されるようにそれが一般市民から完璧なまでに秘匿された中で行われていたことに、この時代の熱さと重苦しさを感じる。

 民族の持つ最高の英知と、取り出せるを結集させ、それを一気に破壊してしまう戦争。1弌1gの細部までにこだわって設計し、食べる物も我慢して創り上げた工作物と熟練した技術者・乗組員を最後使い捨てが如く消耗して行く指導者達。戦争は重大な犯罪である。目に見える「死」は遠のいたものの「戦争」は、まだまだ続いているのかもしれない。

2011-11-24

重厚かつ人間味ある経済小説

| 21:04 |

男子の本懐 (新潮文庫)

男子の本懐 (新潮文庫)

 学生の頃、読もうとして挫折。

 日本史で「昭和初期の金解禁」がさっぱりわからアレルギーがあったが、経済の事を勉強したり教えざるを得なくなったおかげで面白く読めるようになったのと、それなりに経験を積んだからか。

 浜口雄幸もよいが、井上準之助に惹かれた。特にニューヨークに「飛ばされて」、不遇の中でだんだん壊れていく様は泣ける。それでもめげずに勉強を続けた不屈の精神は強い。

 久々に何度も読んでみようと思った小説。「全集」第一巻の冒頭に挙げられるだけあるのでは?

2011-11-06

芸能界に学ぶマーケティング

| 21:30 |

AKBの本というより、マーケティングとはどういうものなのかを手っ取りばやく知る上で良い本。

小論文面接の指導で頭を抱えている先生方、生徒募集に四苦八苦している学校の募集担当オススメしたい。

手取り足取り作り込むのではなく、コンセプトをピシッと決めて、マーケットを読めば、後はキャストが動いて行くし、競い合う。

2011-08-02

図書館本二種

| 22:29 |

図書館で調べる (ちくまプリマー新書)

図書館で調べる (ちくまプリマー新書)

 現役図書館員にしてライターの著者の最新刊。

ちくまプリマ―だけあって極めて平易な文章で、ある程度図書館を使っている人にはちょっと薄味かもしれない。ただ、「コラム」はとても面白いので、それだけでも読む価値はある。

 同じ「図書館もの」なら、後者の方がインパクトがある。こちらは、地方経済の特集を組む("名古屋もの”、″大阪もの”など)機会や出張が多い経済誌の記者が、その土地のことを一気に調べ上げるときノウハウをまとめたものである小論文対策などで「図書館調べもの初心者」には、この本をお勧めしている。本好きなら前者を、とにかく期日までに切れ味の鋭いレポートを書くためのノウハウを得たければ後者といったところか。

SEの世界

| 22:18 |

ウチのシステムはなぜ使えない SEとユーザの失敗学 (光文社新書)

ウチのシステムはなぜ使えない SEとユーザの失敗学 (光文社新書)

SE の教科書 ~成功するSEの考え方、仕事の進め方 (技評SE新書001)

SE の教科書 ~成功するSEの考え方、仕事の進め方 (技評SE新書001)

SEシステムエンジニア)とは何をする仕事なのか?

大学の「○○情報学部」って何をするところなのか?

ざっくり理解する必要に迫られて、この2冊を通販で買ってみた。(Amazonも大きなオーダーメイドの“コンピューターシステム”だ)。

 前者は、SEとはいかにしんどく、かつ浮世離れした仕事なのかを面白おかしく説明している。コンピューターシステム、つまりオーダーメイドのIT注文住宅自分達の場合はそんなゴージャスな物のお世話になる機会はあまりないが)は、そのまま大工現場監督の関係に該当するという例えは、なるほどと思った。実際、「ITゼネコン」という言葉があるくらい、「下請け」や「分担」が徹底している業界なので、全体を見渡しながら旗を振る役が必要らしい。ただ、「施主」がしっかりしましょうねというメッセージを伝えるために、ここまで茶化していいものかと心配になってくる。特に最終章の「小説」は面白いけどひどい。ちょっと蛇足感がぬぐえない。

 ちょっと後味の悪い読後感があったら、正統派の後者を読むことを勧める。「料理人、素材を語る」みたいな感じでよい。後者から読んで、「なんか、堅そうな業界だな」と思ったら前者を読めばよいし、

前者を読んでうんざりしたら、後者を始めとした「SEによる、SEのための」本を手に取ってみたらよい。

 なんにせよ、楽で華やかな仕事なんてないのだから愚痴ってないでしっかり仕事しなさいと言う事か。

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