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2012-05-26

人間はコンテンツでしかない―聴衆化する僕らと旧メディア化するネット

悪いけど今回はなかよしできない。いい加減堪忍袋の緒が切れた。

「人間はコンテンツじゃない!」と叫ぶのは、結局の所「人間は歯車じゃない!」と叫んでいるのと同じだ。
程度の低い感情論でしかない。

いいか、もう一度言う。


人間はコンテンツでしかない。


コミュニケーションによってコンテンツ力が高まる

おまえが何かのコンテンツに対して言及したとしよう。その時点で既にお前の発言も「そのコンテンツと同化」する。これがお前がコンテンツである大きな理由の一つだ。

俺たちがコンテンツに対して発言をしたり話題にしたりすればするほど、そのコンテンツがもつ温度は高まっていく。

ソーシャルネットワーク化したネット上では、自分でコメントを考えなくてもボタンひとつで「シャアします!」できるしな。さらに自分の友だちがそのコンテンツに対して言及してたら効果は二倍だ。気になるアイツが言ってるのって、ついついクリックしちまうしな。結局言及されたもん勝ちってこった。


誰かの発言からしかコンテンツに辿り着かない

しかも今のネットでは結局のところ、他人の発言とかアクティビティを見てコンテンツにたどり着くはてブ連携とかツイートボタンとかシェアします!とかな。これは前回のエントリでわざわざご丁寧に説明した。それ読んで。読まない人はそのまま騙されてて。どうせ読まないだろうけど。俺は知ったこっちゃない。

みんな能動的にネットウォッチなんてしない

だってだらだら見てるだけだから。テレビつけておせんべパクつきながらごろごろしてるのと変わんないよね。ユーザーストリームさまさまですよ。ぼーっと待ってるだけでおもしろいものは流れてくるじゃん。自分からdigったりなんてしませんよ。自動的に流れるユーザーストリームを死んだ目で見てるだけネットサーフィン?そんな言葉ありましたねー。

ああそうそうネットウォッチ?それ業界の内輪ネタとどう違うの?芸能人とか政治家の悪そうなとこつっついたりプライベートな生活のこと聞いて喜ぶ人とどう違うの?所詮人間なんておもしろがるものは一緒だってか。普段政治家に対して「細かいところを叩くのはいかん、仕事で評価するべき」とか言ってる人見てますかー?きみもネットで炎上楽しんでるよねー?


どこからどこまで文脈が共有されているかわからない

多重化するクラスターによって、どこまでがひとつのグループなのかわからない。発言してもストリームに流されてゆき、全員が必ず見るわけじゃない。そういう環境ならこれはしょうがないこと。(ちなみにコミュニケーションのときに文脈が共有されてるとやりやすいし楽しいってことはわかるよな?「青いいよな」「いい…」みたいな。)

でもツイッターとかフェイスブックとか、結局みんなひとりごとだろ?「あーあー誰かランチいっしょにいってくれないかなーあーあー」っていう。はいはいコミュ障さん良かったですね。自己満足承認が得られるね、おめでとう!

文脈が共有されづらい環境にいるからこそ、文脈が共有されたときには一気に燃え上がる





絶対的な話題は文脈を共有できる(地震・日食)

地震とか日食とか、"リアル"世界でデカイイベントが起きるとプチ祭り状態になる。

その理由は明らか。全員が文脈を共有できるから。ネットの出来事なんて炎上しない限りみんな知りませんよ、そんなことより「ゆれた?」ってツイートする方が楽しいだろ?あの非日常感を知らないとは言わせないぜ。世間話としては最高のネタだよな。え?みんなネットまで来てわざわざ世間話するのが楽しいんでしょ?ネットの世間を語る!いやーすてきですねー!


炎上しないと見向きもされない

だーからこそネットの出来事なんて、それこそ炎上でもして「ある程度みんなが文脈を共有できるようになる」「世間話として通用する」ようにならないと見向きもされない。だってみんな他の人の発言を見て何かを知るから。

リアルタイム、非リアルタイム、どっちでもいいけど、第三者間のコミュニケーションを見て俺たちは何かを知る。発言を誘発するのはなんだ?そりゃあおまえあれだ、「話のネタになる」「ついついツッコミ入れたくなるような」「大喜利せずにはいられないような」ネタだよ。


バイラルコンテンツをつくるしかない

あー、まあぶっちゃけコミュニケーションとかバイラルとか言わなくても「クチコミ」って言えばいいよな。そういうクチコミでどんどん広がるようなさ、がっつり広報のメソッドブチ込んだ、っつーか炎上要素ブチ込んだやつしか見られないわけよ。

だってそういう風な環境に俺らはいて、その環境を受け入れてるから


文脈をつくってくれる、みんなで話題にできるものが正解

みんなで大喜利したり石投げたりフルボッコにできるような、そういう共通の文脈を作ってくれるようなモノをみんなが求めてる。ヒャッハー火種だぜ!サツバツ!みんな祭りを求めやがる。しかも自分で何かやろうとはしない。誰かがやってくれるのを待つだけ。

いや別に悪くないよ?だってネットなんてそういうものだからね。なんだっけネットウォッチだっけ?はいはいかっこいいですねー、「くらえ俺の”観測範囲”!」ってかんじ?


1、コミュニケーションによってコンテンツが発展する。
2、さらに俺たちはコミュニケーション自体をコンテンツにしてしまう
3、しかも誰かによってなされたコンテンツに対するコミュニケーションを通してコンテンツにたどり着く


ネットにはコミュニケーションキチガイしかいない。他人の目から逃れられない。
誰かがお前を見ているぞ、お前も誰かのコンテンツ。ユートピアですね!



広告代理店とかそういうプロの得意分野

ちょっと前まで「コピーライトは死んだーうわー」とか言ってたじゃん、だけど今のネットってまさにここなんだよな。

具体例?ホッテントリのタイトルとかまとめブログのエントリタイトルとか。あとなんだ、とにかく「大量の情報のなかに紛れ込んだときに目についてクリックしてもらえるようなパンチの効いた文言」とか「とにかくなんか言及したり大喜利したくなるような名前」とかそういう。文章が書けない奴はインターネットで簡単に死んでいくっていったの、本当に言いたかったのはここですよ。非言語コミュニケーション?何言ってンスか。情報技術の発展からなる夢を見るのもいいっすけど、AndroidとかiPhoneですぐに表示できない画像とか動画とかウェブページとかなんてクソっすよ。小さい画面で素早くデータ容量も少なく大量に表示できるのは何?誰でも簡単にインターネット上に送信できるのは何?そりゃ文字だろ

でそういうプロがこれからどんどん流れてくるよなって話。だってバリバリ得意分野じゃん。今でこそノウハウまとめられてないけど、「コミュニケーションデザイナー」とかの肩書きになってソーシャル担当の人ガンガン増えてくるんじゃない?いや今でもツイッターアカウント管理とかそういうのふつうにその道のプロの人がやってますけどね。

文言とかテキストの分野だけじゃないですよ。「人に見てもらうこと」を生み出すプロがどんどんこのネット環境にマッチするものを作って、俺たちはそっちに釣られていく。素人が輝けるネットは終わった。これからは上手な奴が勝つ。それはこのネット環境から見ると、必然のことだ。

民度が下がったネットはどんどんリアル化していきますよーリアルの人間に侵食されていきますよー。楽しいですね、新しい逃避先は見つかりました?


プロのウェルメイドな、ウケるような作品ばかり

ってな感じで、パッと見てすごいのとか人の目に止まるような、そういう「元々すっげーできる人」「元々わたしは有名人」みたいな人が投下したものしかスポットライトが当たりませんね。ああ、そういう人たちがdigってくれれば底辺コンテンツくんたちにも陽の目が当たるかな?でも底辺同士が頑張ってたって無理無理。だって無自覚なレコメンドくらいしか俺たちがコンテンツに辿り着ける方法なんて無いもん。それこそ星の数ほどコンテンツはありますからね。

っていうかユーザーID持った時点でその人もコンテンツですけどね。だってIDをもつということはもうコミュニケーションしてますよ?「私はここにいる」ってメッセージをみんなに送ってますからね。コンテンツつくるよりもまず自分のフォロワー増やして力つけないと。はいはいソーシャルソーシャル


エンターテイナーを心待ちにするネット、でも自分はやらない

「みんなが話していて盛り上がっているところに途中参加する」のがナウいネットの楽しみかただろ?

聴衆化してますねー誰かが痛いことやってそれに偉そうな口でコメントしてふぁぼもらって楽しいと。いや楽しいよ?だって匿名掲示板じゃなくて今はIDを持ってますからね、自分は安全なところで炎の火をちょこっと借りて自分のところで焚き火すればいいわけだ。わーぱちぱち燃えてるねーって。きれいだねーって。


文脈が無いからテレビはおもしろくない

そうそう、お前らよく「テレビはつまらない番組ばかりだ、その点ネットはすばらしい」っていうじゃん。それって結局自分の好きなものだけ見れるからだろ?あと大量に情報が流れてくる中から興味のあるものだけ選べるからだろ。そりゃあおまえネットのチャンネルは無限だからな、無理だよ。

でもさぁ、それ以外にも「テレビには文脈がない」っていう理由も考えられるよな。ネットはずっと一定のノリとか文脈をチョイスできて、そのぬるま湯の上でずーっとぐだぐだしてられるじゃん。でもテレビって番組自体で文脈つくらなきゃいけないし、その上かなりの数の人間に向けて放映されるんだぜ?細かい欲求に答えてられねーよ。

たまたまつけたときに見栄えが良くてそこそこ見れればいーんだよテレビなんて。そういう消費方法してるだろ?


インターネットのテレビ化、初見で楽しめるコンテンツ

たまたまつけたときに見栄えが良くてそこそこ見れればいい”ものに食いついてるのってさあ、ネットでもそうだよな

だってテレビに対する欲望と今のネットに対する欲望ってほとんど一緒じゃん。とりあえず暇だから自動的に流れるのをチラ見してちょっと暇潰せればいいんだろ?それテレビと一緒じゃん

スマートフォンの普及も一役買ってるよな。ネットをみんながいつでもどこでもチラ見するようになった。チラ見するようになった人間が多くなったってことは、今までの「もしもしはクソ」っていうのはなくなるわけだ。

ネットの使い方が変われば、ネットでの行動も欲望も変わるよなあ?そしたらおまえネットの環境も変わるわ。





ハイコンテクストな半年ROMれの崩壊

ネットノリ死んできてるよな。ちょっと前までネット全体が「俺たち全員察してます」みたいな文化がちゃんとあったから、そのまま楽しくできた。でもいまガンガンネットユーザー増えてきて、もはやそういうスキルっていうのは必要不可欠じゃなくなったよな。匿名掲示板からネット全体に広がっていた文化が、だんだん押し戻されてきてるって感じ。いや当たり前ですよね。

「ネットリテラシー」?それってお前らの居心地がいい「半年ROMれ」の世界を押し付けるってこと?「それがネットだから」って?はー、結構結構。ネットの未来に貢献するとか良く言えたもんだね。なんだっけ?ネットで世界を変えるんでしたっけ?すっげーっすね。


話のネタとして成立するもの、表面上が全て、「後で読まない」問題

世間話のネタになるような尖ったものとか燃えそうなものとかそういうのばっかチョイスして発言する。そりゃ発言ってのは世間話したいからするのであって当然だよな。で、その第三者の発言から俺たちはそのコンテンツを知る。

おーおーもうアレですね、ホッテントリタイトルでおなじみの「○○の法則!」とかそういうので釣らないとだめですね。あとおなじみの「後で読む=読まない、読んだ=読んでない、RT批判=タイトルだけ読んだ」、みたいなそういう上っ面のインスタント消費ばっかり。
だってコンテンツの数も多いしユーザーストリームは風の速さで駆け抜けていくんだよ!もう避けようがないっすねー。

いやー「最近出版される本はゴミばかりだ、ネットの方がよっぽど素晴らしいテキストがある」って言って電子書籍とか言ってる人息してる?スポーツ新聞とか赤新聞みたいになってますよーネットのコンテンツ!しょせんどこいったって人間の喜ぶようなものは一緒なんですよ。


メディア化するネット

ってな感じで「新聞の見出しに悪意がある」とか「この映像の編集には恣意的な要素がある」みたいに言って旧メディアを叩いてるネットのみなさん、だんだんネットもそうなっていきますよね。っていうかなってるよね。「みんなの目に付くようにちょっと頑張っちゃいました!」だから燃えるんでしょ?だからついつい燃やしちゃうんでしょ?

さーさー次の逃避先探さなきゃ。リアルからネットへ。ネットからどこへ?火星にでも行きますか?


全体で作り上げた環境と慣習と文化と価値観

人間個人が悪いんじゃない。俺たちがこういうネットを無意識的に作り上げたんだ
そこに適応するからこういうゲスいコンテンツばかりが目につくようになる。

だってお前らゲスいものの方が世間話しやすいだろ?ほんとはそういうもの求めてるんだろ?
言及しないわけにはいかねーよなー!そうまさに今この私もそのとおり!インターネットたーのしーなー!



悪いのは個人じゃない。っつーか悪くない。
だってそいつを作り上げたのは他でもない俺たちだから。

ネットで発言する限り、俺たちはコンテンツ化から逃れることはできない。
ぼくらのコンテンツ戦争は始まっている。

それでもまだ「人間はコンテンツじゃない」って言いたいのか?
だったらこう言い換えてやる。




俺たちはコンテンツを産む機械だ。ざまーみろ。

2012-05-18

ソーシャル・ステルス・マーケティングのしくみ

この記事は、なかよしインターネッツ Advent Calendar jp:2012の1回目の記事です。
今日から週に一回ずつ、「プログラミング技術ネタでないインターネットについてのお役立ちtips」をテーマにいくつか投稿していきます。

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なかよしクッキングへようこそ!
今回は、ソーシャルマーケティングステルスマーケティングの仕組みと、それが発生する理由について。
じゅんばんに、フルコースをごちそうします!おたのしみに!

ステルスマーケティングが発生するのって、すごく自然で合理的なことなんだよーってことについて書くから、
「よくわからないけどステマって言っておけばいいんでしょ」
マーケティングは企業とか卑しい奴がやること」
みたいに、感情的にわーわー叫ぶような人がいないか、しんぱいかも……。


でも、インターネットがだいすきなみんなだったら、きっとそんな人はいないから、だいじょうぶだよね。
さっそくおりょうりをめしあがってください!



---前菜1---

◯ノウハウがあるようで?
「できる!ソーシャルマーケティング!」みたいな本、よく見かけるようになったよね。
ビジネス本の棚に置いてあるけど、あんまり売れてないみたい。
ソーシャルメディアについて書いてある本も最近いくつか出てるみたいだけど、
そのどれもが、ネットで起きた出来事についてちょっと説明して、「ソーシャルメディアが世界を変える!」ってお約束のように叫んでるだけ。
「ネットとかよくわからないけどみんなの話についていきたい」おじさん向けって範疇を出ないよね。
新刊もどんどん出てるみたいだけど、その本で書いてあるのって、ほんとにナウいインターネットのこと書いてあるのかな?
それを読めば、インターネットがもっと楽しくなるのかな?

◯日曜インターネットユーザー向けが多い
Webページ作成を受託して作って検索に乗っかるようにして……みたいな、(もちろんそれが基本でいちばん大事だけど)それだけかよっ!って内容がメインになってたりもする。
書いてあったとしても、「SNSのクチコミで広めよう!ここでいうSNSとは、TwitterFacebookのことです!」程度だったり。
えーっそこからなのーって感想は、インターネットがだいすきなみんなだったら、味わったことがあると思う。

◯Webの環境というのは日進月歩
いま、みんなが集まっていて、ネットで力を持っているのはTwitterFacebookなどの、ユーザーストリーム、つまりタイムライン型のSNSだよね。
だからといってSNSだけに焦点を絞って分析すればいいのかというと、それはちがうと思うんだ。
ウェブ全体の使われ方と、そこにいる人間の動きについて」。そこから考えると、きっと何かが見えてくるんじゃないかと思うんだよね。

◯いま考えるべき「ソーシャルマーケティング
古ぼけたネットマーケティングの対象は、いま私たちが考えるマーケティングの対象とはズレている。
インターネットがだいすきな私たちに向けた、インターネットがだいすきだからこそ理解できる、
知っておくと得するソーシャルマーケティングの基本的な仕組みと、ウェブアーキテクチャ設計について、いっしょに見ていこう!



---前菜2---

◯広告のチェンジ
マーケティング」ってことばから連想される意味は、ぶっちゃけ広告・宣伝のことだよね。
広告も、インターネットと発展とともに変化しているよ。
昔は、企業からわたしたち生活者に向けて、一方的に「うちの商品はすげーですよ!」と説得する形をとっていたんだ。
「企業からドカン!と広告を打って、みんなに振り向いてもらう」やり方だね。
……でも、いまはそのやり方じゃ、インターネットでは見向きもされなくなっちゃったんだ。
何故かって?
昔だったら情報を得る通路、つまりチャンネルが少なかったよね。テレビ・ラジオ・新聞……などなど、そういったメディアからしか情報を得ることはできなかった。
今はインターネットがみんなに普及してるよね。
みんなが情報を得るチャンネルが増えちゃって、どこに広告を打っていいか、わからなくなっちゃったからなんだ。

◯でも、ちょっと待って!
これで、テレビ・ラジオ・新聞・インターネット、「3+1=4!チャンネルが4つに増えました!」みたいな小学生でもわかる足し算のもんだいになったかと言われればそうではないよ。
テレビのチャンネルって、数に限りがあるよね。でもさあ、Webページの数って、それこそ無限に増殖していくよね?
プログラミングをよく知らない人でもメモ帳ブラウザさえあれば自分のウェブページを作って情報を発信できるし、
ブログサービスやインスタントできて誰でもチャンネルをつくることができる。
これじゃ、テレビのリモコンのボタンが無限にあるようなものだよ!いったいどのチャンネルを見ればいいの?
ひとつのチャンネルに情報をドカンと投げてみんなに見てもらうというのは、ひじょうに難しくなった。しょうがないよね。



---スープ---

◯僕たち若者世代はテレビを見ない。じゃあどこを見てるの?

インターネットです
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---メイン料理・おさかな---

◯ネットのクチコミ?
ちょっと昔の広告のしくみはこう。
☆一方的に説得
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企業が生活者に、一方的にメッセージを伝えていたんだ。  
「うちの製品はかっこいいですよ、良いですよ!」ってね。

でも今は残念ながら、メッセージを伝える空間の中に企業が入れなくなっているんだ。

わかりやすい例を上げてみよう。
あるパワーユーザーが「ジュエルペットサンシャイン、渋い」とツイートしました。
発言を目にしたその人のともだちが、「ジュエルペット、キャラ全員が異常者っぽい」とツイートしました。
そうすると、その人たちの会話を見ていた私たちは「みんなもりあがってるな、ジュエルペットってなんだろう?」と不思議に思って、ちょっとyoutubeで動画検索してみたり、ググってみたりするよね。
これって立派な”宣伝”じゃないかな?

このように、今のクチコミのしくみは、こんな感じ。
☆双方向的に紹介
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ひとりの人間が心からつながりあえる人間(相手)には限りがあるが、コミュニティによって形成される横のつながりは無限だよ。

このように、現在のクチコミは、昔のように「企業がドカンと投げたメッセージを生活者が受け止めてから、クチコミで広がっていく」のではなく、
生活者が宣伝している自覚のないままオススメしているのを(クチコミからスタートするってこと)、第三者が目にすることによって広がっていく」のが主流だよ。

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ユーザー当人たちには、商品の魅力を語っていながら、別に周りの人間におすすめする意図はない!
でもさぁ、まわりの私たちは、その会話を見てその商品とか作品とかコンテンツとか気になっちゃうよね。
気づけば購入・アクセスに走ってしまったり……。私たちって単純だよね。



---メイン料理・おにく---

ステマで当たり前
こういうことを考えていくと、巷でいう「ステルスマーケティング」はすごい合理的だということがわかる。
よく言われるのが、2ちゃんねるまとめサイト。管理人さんが恣意的に発言をチョイスして、さも商品が話題になっているかのうように仕込んだりするんだっけ?
これって、2ちゃんねるの中で複数人がコミュニケーションしていて、第三者である私たちがログという形でそれを見て、気になっちゃうってことだよね。
まさにネットのクチコミだ!双方向的な紹介が生きるウェブの環境ならではだね。

嫌儲っていうのもあるけどさあ
これ、今の環境にすごいマッチしてるのは事実だよね。
大きなCMを打てない、話題にしてもらえるような発言力のあるユーザーに届けることができない、商品自体に話題になるパワーがいまいち足りない、広報を打つ予算がない……などなど。
そんなときは、自分が「生活者」になっちゃえばいい。ネットでその商品についておしゃべりをして、それを第三者(ほんとうの生活者)に見てもらえばいい。
非常に合理的だよね。ちょっとずるいけど。

◯バレ回避
ツイッターは固定のIDをもってしまうので、生活者のフリをするのは難しい。
どうしても「こいつ絶対中の人だろ、GK乙」みたいな感じでバレちゃう。
だからこそ匿名の、固定の名前を持たなくてもよいところに書き込んで、コミュニケーションがあたかも盛り上がっているように演出し、それを第三者が見る。
そして視聴、購買、アクセス等に誘導する。
インターネットは、
同期(リアルタイム)=情報が伝達されるスピードがそれまでのメディアに比べて格段に早い
非同期=情報のアーカイブ化による非同期、つまり同時のタイミングでなくても情報が共有される
といった性質を兼ね備えているし、鬼に金棒だね!ステマ最強!

◯深呼吸からの……ヨッシャ
それで騙されてる!と思ってしまうのも、確かにその通りかもしれない。
だけど、「みんなにもっと見てもらえるようにする」っていう行為そのものが、悪いわけじゃないよね。
なんだか最近、そこをごっちゃにしてる人が多い気がするんだ。深呼吸しようよ。

「黙って作って置いておく。そうじゃないとかっこわるい」って?
くすくす、そんなんじゃ見てもらえるわけないよ!だってここはインターネットだよ!?
私がこうやってはてなダイアリーに書いているのは、はてなのシステムの中に放り込めば、自分のテキストサイトをつくるよりも、みんなに見てもらえる可能性が高くなるかもしれないからだよ。

インターネットがなかった頃に比べて、作品を見て貰える可能性はじゅうぶん高くなった」って?
そりゃそうだ。0から1にはなったろうね。だけどさ、もうみんなインターネット使ってるんだよ?他にもライバルはいっぱいいるんだよ?君のつくったものを誰かがたまたま見つけて拾って見てくれる可能性なんて、それこそ砂丘の中から砂金をひとつぶ見つけるようなものだよ?なんてったって無限にあるチャンネルの中から、君ひとりのチャンネルに目を向けてもらわないといけないからね!くすくす、そんなの難しいに決まってるじゃないか!

いま、君のつくったものが見てもらえるのは、インターネットのおかげじゃない。
インターネットにつくられた、見てもらえるための仕組み」のおかげだ。

しかもその仕組の中でもライバルがたくさんいるよね!pixiv問題はもちろんのこと、このはてなダイアリーだって!全部のブログホッテントリに入るわけじゃない!埋もれちゃうよね!ねえねえどう思う?どうしたら見てもらえるかな?

いま、君のつくったものをもっと見てもらいたいなら、外部の仕組みにただただ頼るだけじゃいけない。
その仕組みにもきっとライバルがたくさんいる。チャンネルがたくさんある。
だったらどうすればいいって?
つくるものの中にも、仕組みを仕込む」ことが、一抜けするポイントなんじゃないかな。



---デザート---

◯宣伝屋だけの仕事じゃない
今のインターネットにおいて、「バズを狙うということ=マーケティングの分野での話。モノを作る俺たちには関係ない」とか考えるのは、ちょっと古すぎるし頭が悪いと思うよ。
まずやらなくてはならないのは、プロダクト自体にクチコミされる要素、つまり話のネタになる要素があるかどうか発見/調査すること。
商品やサービスが市場に出る前に、そうした要素を仕込めるかどうかが鍵になってくる。

もちろん、「学生起業家による新進的なWebサービスがついにスタート」ってだけでみんなの注目があつまるのは、
話のネタとしての要素をプロダクト自体がもっているからだよ。
それだけで拡散されたりするもんね。たぶん彼らも狙ってやってるんじゃないかな?
おじさんが喜びそうな世迷いごとをブログで書いたり、世界を変えたい!って叫ぶのも、そうした要素を強化する演出だよね。
そういうの、うまいなぁと思いながらいつも見てるよ。やっぱりおもしろいしね!
「学生起業家スタートアップするってだけで注目されたりするのがムカつく、プロダクト自体はそんなに流行らないのに」って言ってる人は、ちょっと負け惜しみっぽいかも。
自分が学生起業家じゃないんだったら、その演出ができる事自体にやっかんでちゃだめだよ〜。他の要素を自分でつくらないと。
ちなみに、何の広告もプロモーションもやってないのに広がっているプロダクトは、既にそのプロダクト自体が話のネタになる要素を持っているということだよ。
そういう”要素”については、今度詳しく説明していきたいな。



---コーヒー---

◯まとめ
こういうのって、Webの環境・ネットの使われ方っていう観点からみると、意外とはっきりと納得できるものなんだよね。
うーん、ステルス・マーケティングって万死に値するようなものなのかな?死刑レベル?ともだちから絶交されちゃうくらいやっちゃいけないことかな……。

他の人がお金を儲けてうはうはーになってるのを見るのは、私たちの心ってとっても狭いから、たしかに嫉妬しちゃうよね。
だけどさ、宣伝とか「みんなに見てもらいたい!」って思ってくれる人がいないと、私たちはそのおもしろいコンテンツを知ることができないのは事実だよね。

自分が有名人でない限り、自分が有名企業でないかぎり、自分のコンテンツは見向きもされないのが現状。
それがきっと、「バズる要素」として機能しているからだよね。

このような状態を作り上げてしまったのは、
よりラクチンでたのしくコンテンツを得ることができるようなWeb環境・慣習・やり方を受け入れた、私たちにも責任があるとは言えないかな?
ネットを使っていたようで、ネットの設計にいつのまにか操られ調教されてしまっているという見方もできるよね。
私たちが喜ぶようなやり方を考えたら、ステルスマーケティングになってしまったんだよ。
「悪いのはぜんぶマーケティング!」って一言で言っちゃうのは、ちょっとどうかなーって感じも、あるよね。


マーケティング、宣伝と聞くと悪いイメージを持たれがちだけど、
そういったものがあるおかげで、彼らががんばってくれているおかげで、いろいろなコンテンツに出会うことができるのも事実。
話のネタとしておもしろいような演出をしてくれたり、また商品自体を生み出したり。
多チャンネル化したWebでは、全員がレコメンダー。みんながみんなおもしろいものを共有せずにはいられない。
わざわざ「シェアします!」なんて言わなくたって、きみが何かのモノやムーブメントの魅力について発言するだけで、いや、disだっていい。
それは結果的に、りっぱな宣伝活動に他ならない。なぜなら全員がレコメンダーだから。人の数だけチャンネルは存在するから。

加えて、ツイッターフェイスブックのユーザーストリームはそれを加速させるシステムになっている。これも大きなポイントだよね。
(詳しくはツイッターアーキテクチャについてゆるく書いてる前回前々回の記事で。これはまた今度しっかり、実用的なtipsといっしょに取り上げたいな。)



---ごちそうさまでした---

◯まあそんなこと言うけどさ
「企業がやんなきゃいいんだよ。だってそれ金儲けじゃん?素人がさ、俺の好きな人がやってくれればいいんだよ。それがネットだろ?」
っていう意見もあるよね。もちろんこれは感情論というか、文化というか、ロマンというか。そういう話だけどね。
じゃあさ、たのしい生活者になろう。楽しくインターネットしよう。楽しいものはみんなに教えちゃおう。盛り上がっちゃおう。
それがたぶん、単純なことだけど、楽しいインターネットだと思うから。

金銭が絡むからって嫉妬してる暇があったら、自分がどうやってネットを使っているか、どうやってコンテンツにたどり着いているかを考えて、
よりたのしいインターネットをみつけてくのが、大切なんじゃないかな。



---ばいば〜い---

◯このエントリは
巷に溢れてる、前提が間違ってたりただの精神論だったり、毒にも薬にもならない誰が考えてもわかるようなものだったり、上っ面の事実だけを並べましたーみたいなコンテンツに飽きたので、こういう感じでしっかり書いてみたよ。
だから、あんまし「バズる要素」はないかも。
これをたまたま見てくれた人に、少しでも役立てたらになるようにと思って、いっしょうけんめいお料理しました。
インターネットをたのしくしてくれるたくさんの人の力になれたら、きっとそれが私にできることなんだろうなって思ってます。


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