証し

証し (幻冬舎文庫)

証し (幻冬舎文庫)



若い頃は全然考えたこともなかったけれど、年をとってから急に子どもが欲しくなるというのはドラマにしろ現実にしろよく聞く話です。お金や時間の余裕がない若い時分には子どもなんて考えられなかった人が、時間/金銭に余裕が出来たことで遺伝子を残すということに興味が出てくるというのも、まあ分からないでもない気がします。
ただそれも、この作品の木綿子のように過去にお金に困った末に売った卵子の行き先を突き止めてその子を自分のものにしようとするほどの熱意と言うか狂気にまで至るというのは正直理解しがいと感じたし、その執着心には言いようのない怖さを感じました。そんな木綿子の暴走っぷりが怖過ぎて、他の印象がかすんでしまうほどです。こういう性格のおばちゃん、ヤダなあ。。。


この本を読んだという意味では、昨日釣りだなんだと話題になっていたこの質問も結構タイムリーな話題でした。

これってそんなにおかしいですか?出来れば女性に・・・・・・

子供が欲しくなかったので(責任を持つ自信がなかったので)、妻にその旨を説明して避妊してきました。
でも40半ばを過ぎてやっぱり自分の遺伝子を残したくなりました。でも妻は年齢的に妊娠は難しいです。
まだ見つかってはいませんが、出来れば妊娠可能な若い女性と人生をやり直したいです。
妻に情はありますが、自分の子供を産めない以上この先の人生を一緒に歩むことはできません。
その話を友人にしたら驚かれました。確かに避妊をお願いしたのは自分なので勝手かも知れませんが、
子供を欲する気持ちは人としてごく自然なことではないでしょうか?
妻も一度は納得して避妊をし続けていたのだから、子供が持てなかったことに文句はないと思うんです。
で、今現在、夫は子供を欲しがっている・・・・産めないんだから自ら身を引く考えが浮かんでも良いと思うんですが・・・・
そんなに不自然な考えでしょうか?男女の違いなのだろうか・・・・

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1316872173


私はまだ若い*1せいか、あまり血縁関係の大事さって分からないのですが年を取ると、自分の子/孫っていうのはすごく重要なファクターになるのかも知れません。


そういえば、矢口さんの著書はこれで2冊目(1冊目は償いで感想はこちら)ですが、償いの時にも感じた印象同様に、非常に惜しいと感じる作品でした。導入部分の読みやすさというか分かりやすさはとても良いですし、中盤から後半にかけての「次が気になってしょうがない」展開のうまさも素晴らしいとしか評しえないくらいなのですがどうも最後がしっくり来ないのです。たぶんそれ以外の部分に比べて普通過ぎるんだろうなと感じます。全体としてはバランスがよくない気がします。


あの盛り上がり方で最後までいけたらすごいのにな...と思わずにはいられない作品でした。

*1:自称