幻夜

幻夜 (集英社文庫)

幻夜 (集英社文庫)

あの女のすべてを知りたい。過去も目的も、真実の顔も―。名作「白夜行」から4年半。あの衝撃が、今ここに蘇る。長編エンタテインメント。

http://www.amazon.jp/dp/4087746682

テレビドラマにもなった白夜行の続編。
相変わらずものすごい厚さ(779ページ)でしたが、前作同様読む手を止めることは出来ず、一日で読みきってしまいました。おかげで寝る時間が遅くなってしまい、今朝、寝坊しそうになったのは内緒です。
# 気付いたら3時過ぎててびっくりしました


それにしても、救いようのない展開を書かせたら東野さんには誰も太刀打ち出来ないのではないかと思わずにはいられません。
前作「白夜行」しかり、「さまよう刃」しかり、「殺人の門」しかり。読むだけで心がものすごくすり減ります。生きることと言うよりも、むしろ生まれてきてしまったことすら嫌になるんですよね。こんな世の中を生きていかないといけないのかととても鬱々として気分になってしまいます。
それでもどうしても読まずにはいられない、目を背けられない何かが彼の作品の中にはあって、わたしはその何かに惹かれているのです。怖いもの見たさなのかも知れないし、もしかしたらこういう理不尽さこそが人生だと思っているのかも知れません。率直に言って自分自身でもまだしっかりと向き合いきれていないのですが、ある種の麻薬のような止められない力があることだけは間違いなくて、本をまとめ買いするときはたいてい一冊は東野さんの本を買ってしまうのです。一度彼の著書に惹かれる理由について考えてみるべきかも。


脱線してしまいました...。
本書の詳しい内容については触れませんが、自らの成功のためにどこまで他人を利用出来るのかというのはおもしろいなと感じました。いや、おもしろいというと語弊がありますが、程度の差こそあれ他人と関わりあう以上は何かしらの形で互いを利用しあっているわけですから、その意味で究極的とも言えるほど徹底して利己的に相手を利用しようと振舞う美冬という存在には興味を持たずにはいられません*1。「殺人の門」の倉持同様、このような徹底して利己的な人間の行動原理って理解出来なくて興味が尽きないんだよなあ。好きとか嫌いで言ったら絶対嫌いなんですけどね。どうも目が離せません。
白夜行」を読んでおもしろかったと思った人であれば楽しめると思います。厚いから長く楽しめておすすめです。


そうそう。
先日、急に前作「白夜行」が読みたくなって部屋の中を探しまわりましたが処分してしまったようで見つからず、しょうがないとひとまず諦めました。ところが、本書を読み終えて改めて読みたくなってしまいました。しかも幻夜を読んだせいで前よりもいっそう強烈に読みたくなる始末。しょうがない買おうかと思ったのですが、買いなおすのに新品で買うのも悔しい*2ので、仕事帰りにブックオフに立ち寄って探してみたのですがものの見事に見つかりませんでした。週末に探しても見つからなかったら諦めて本屋で買おうかな...。


[追記]
コメントで誤字を指摘していただいたので修正しました。
(百夜行白夜行)


妖怪...。

*1:リアルで居たら絶対に関わりたくないですが

*2:幻夜もそうですが、文庫で買っても1000円するのです。高い!!