「南極料理人」見たよ


昭和基地からもはるか遠くに離れた、ペンギンもいなければウイルスさえ存在しない、地の果てにある南極ドームふじ基地。日々研究に励む南極越冬隊員を支えるべく、料理人・西村が単身赴任でやってくる。孤立無援の僻地で、西村はフォアグラ、伊勢エビ、松坂牛など…絢爛豪華な高級食材による数々の料理をふるう! 実話を基に、南極越冬隊の男たちの生活と人間模様を描いたハートウォーミング・ストーリー。

『南極料理人』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。


ストーリーは極地での日常をただただ描いただけの作品なのですが、ものすごくよかったです。


この世の果てとも言える極地で過ごす毎日は意外にも穏やかに過ぎていき、隊員たちはこの極地での生活にうまくなじんでいるように見えるのですが、実は澱がたまるように日々少しずつ心の中に辛さや寂しさがたまっていてそれがいつのまにか抑えきれないほど大きくなってしまってしまう。あー、こういう状況ってすごく分かるなと見ていて泣きたくなってしまいました。


大きなストレスで一気につぶされてしまうような場合だと本人的にも周囲の人的にも対処しやすいのですが、でも現実に多いのはこの作品で描かれていたように「その瞬間は我慢できる範囲のストレス」が日常的に積み重ねられた結果として耐え切れなくなるというケースが多いと思うんですよねー。
嫌なことを少しずつ我慢して我慢して気付いたらベッドから出られなくなっていた、となったときに回りの人たちに何が出来るのかといわれると本当に何も出来ることなんてないのです。
作品の冒頭で「誰も助けてやれない。自分が強くなるしかないんだよ。」という言葉が冗談として発せられたのですが、実は全然冗談じゃなくてそのとおりだったんですよね。
そしてその言葉どおり、環境に適応していく隊員の姿には人間のたくましさを感じたし、自分ももっと頑張れるぞという気分になれました。


と、ここまで書いた内容を見てみると、どうも悲壮感漂う作品だと思われてしまいそうですが、全然そんなことはなくてものすごく楽しい作品でした。南極という立地を存分に活かして日常を楽しむ様子や、閉鎖的なのにそれを感じさせない皆の明るさや振る舞いにはぐっときました。


あとは主演の堺さんがすごくよかったです。かなり期待していたけれどそれ以上のすばらしさでした。
最初はものすごくさわやかな感じだったのに、髪が伸びてボウボウになったあたりから怪しい流しのカンフー青年みたいな風貌になってしまったのがおかしくて、こういう適当な格好もすごく似合うしかっこいいなあと感心してしまいました。
料理係というのはチームには絶対不可欠な存在ですが、その役を柔らかいけれども強い存在感のあるオーラをまとっている彼が演じるというのはとても自然に感じられるし、実際に彼にはものすごく適役だったように感じます。
強いリーダーシップがあるわけではないけれど、でも誰からも頼られる存在がすごく似合うんですよね。


堺さんは10月にも主演作(クヒオ大佐)の公開を控えているので、そちらも今から楽しみです。
今度は詐欺師かー。似合う似合うw


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