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子持ちししゃもといっしょ RSSフィード Twitter

2011-12-22

「恋の罪」見たよ

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21世紀直前に起きた渋谷区円山町ラブホテル街での事件。あの日、どしゃぶりの雨がふりしきる中、いまにも崩れ落ちそうなアパートで、その女は死んでいた…。3人の女の生き様を、SEX、言葉、狂気、生と死、家族を鮮烈な映像で美しく描く壮絶な愛の地獄の物語――。衝撃作『冷たい熱帯魚』に引き続き、実際に起きた事件からインスパイされて製作された園子温監督最新作。

『恋の罪』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ川崎で観てきました。

飲み会で飲み終わったあとに24時からという遅い回で観たのですが、始まる前は眠かったのに気付いたらズルズルと引きずり込まれるように作品の世界に引き込まれしまっていました。さらに観終わってからも数日間はこの作品のことばかり考えてしまうほど頭がこの作品のことでいっぱいになってしまいまして、日常を取り戻すのに大変苦労しました...。


本作は「貞淑な妻を演じていたけど最終的に堕ちるところまで堕ちていく女性」と「堕ちている女性」、そして「足を踏み外して堕ちる要素のある女性」という3人の女性を軸に物語はすすんでいきます。ここでいう「堕ちる」というのは、体を売り物にするとか肉欲に溺れてしまうという類の状況を指すわけですが、彼女たちを観ていたら何とも言いがたい感情が自分の中に渦巻いてきたのです。

おっぱいや性行為にいそしむシーンを観てドキドキしたのも事実ですが、でもそういう分かりやすい感情ではなくてもっとモヤモヤしていてつかみどころのない、まだうまく言葉にできない感情でした。観ている最中からそのことに気付いていたのですが、観終えてもそれが何か分かりませんでした。

自分が何かしらの感情を抱いているのは分かっているのに、その感情がどういうことを示しているのかわからないのはとても気持ちが悪くて観終えてしばらくその感情の正体について考えずにはいられませんでした。なんだろう、なんだろうと考えていたら、ふと「私が初めてエロ本を見たときの気持ち」にすごく似ているんじゃないかということに思いいたったのです。


私が生まれて初めてエロ本を読んだのは6歳の頃でした。

いま、長女がようやく7歳になったばかりなので彼女を見てから思い返してみると6歳というのは性への目覚めとしてはちょっと早いかなと思うのですが、でも当時のことはあまりにインパクトが強くてまだに忘れられないくらいの衝撃でしたのでけっして間違いではないと断言します。


当時、私は2つ下の弟と近所に住む同い年の友だちSと遊ぶことが日課でして、よく3人で家の裏手にある森や林に遊びに出かけていました。今はもう大きなショッピングセンターの駐車場になってしまいましたが、当時は灯り一つない完全な野山でして、子どもたちの秘密基地を作ったりするのにうってつけの場所だったのです。

ある日。いつもどおり3人で出かけると、モルタルが塗られた木材が山積していた場所に見慣れぬ本が落ちていました。目ざとく見つけたSがさっそく開いてみると、そこには裸で見たことのない表情をしている女性の姿が写っていたのです。


具体的な雑誌の内容はもう覚えていませんが、それを見たわたしは言いようのない感情が自分の中に生まれてくる不思議な感覚を味わいました。さすがに詳しいところまでは記憶していないので断言はできませんが、6歳の頃の自分がその写真を見て感じたのは直接的な欲情ではなかったし、それよりも「嫌悪感に近い不快感」と「見てはいけないものを見てしまったことへの背徳感」という負の感情をともなったものであったことは記憶しています。


思うに、私は当時すでに自分の中に性的な欲求が生まれていたのですが、自分の知っている女性(というか女の子)と性的な欲求の向く先としての女性のギャップを埋めることが出来なかったために、結果として自分の感情の源泉にたどり着くことができなかったんじゃないかと思うわけです。

そしてもし私がこの作品を観て感じた言いようのない感情がこの時に感じた感情と似ているのであれば、それは自分自身の持つ女性像と作品の中で見える女性像のギャップを埋めることが出来なくて、同じように自分の中にある感情とその正体をうまくリンクすることができないんじゃないかと思うわけです。

自分の周りにいる女性と、いずみや美津子を同じものを内面に宿しているとは到底思えなかったし、いずみや美津子のような女性をリアルに想像することがなかなか出来なかったんですよね。「そういう人もいるかも知れないけれどでも実際にはね...」というくらいに遠い存在としか思えなかったのです。


いや、もしかしたら実はギャップを埋めることが出来ないじゃなくて、私は既にそのギャップを埋めるだけの情報はもっているのにギャップがないことを認めるのが怖いだけなんじゃないかという気がしてきました...。

女性が誰しも堕ちていく素養をもっているんだなんてことは微塵も思っていませんが、でも実はそういう偏見のような考えを内面にもっているくせにそういった部分を見ないふりをしているだけなんじゃないのか?ということをこの作品から突きつけられていたのかも知れません。


「恋は求めるもの、愛は与えるもの」という言葉がありますが、恋が相手に求めるだけの行為だとすれば、「恋の罪」とは他者に対して体やお金を求めることしか出来ない人*1がもつ原罪のことなのかなと思いました。


だいぶとりとめが無くなってきましたが、言葉ではうまく言えない感情を引き出してくれるとてもおもしろい作品でした。近くでの上映がなかったので願いはかないそうにありませんが、本当はもう一回観たかったです。


公式サイトはこちら

*1:これを女性に限定していいのか分かりませんが、この作品では女性がそう描かれていたように感じました