「陽なたのアオシグレ」/「台風のノルダ」見たよ

先日、TOHOシネマズで「百日紅」を観たときにこの作品の予告が流れたのですが、キャラクターの造形や世界観がすごくわたし好みだったので観に行ってきました。

本作は「陽なたのアオシグレ」と「台風のノルダ」という2つの短編の同時上映であり、わたしが予告で観たのは後者の「台風のノルダ」の方でした。アニメには詳しくないので調べてみると、スタジオコロリドというところが初めて作った劇場作品ということでした。

6月5日から劇場で公開されているアニメーション映画『台風のノルダ』は、20代を中心とする新進気鋭のアニメーターたちが集結したスタジオコロリドが、初めて大規模な制作を行った劇場作品。この作品で、劇場アニメ監督デビューを果たしたのが、スタジオジブリ出身の新井陽次郎監督だ。

ジブリ出身の新鋭・新井陽次郎が『台風のノルダ』で描きたかったもの - 制作の現場から生まれたセリフ「好きなことから逃げたら後悔する」 | マイナビニュース


細かいことはあとにしてとりあえずそれぞれの作品の感想を簡単にまとめます。

陽なたのアオシグレ


冴えない小学生男子の初恋を描いた作品でしたが、ストーリーや細々とした演出があまりにみずみずしくて直視できないタイプの作品でした。正直「この歳になるとこういう話はもうダメだわ...」なんて思っていましたが、そういった合わない部分とは別に映像がとにかく非常に魅力的で最初から最後まで目が離せませんでした。

物語がすすむにつれ顕著になるのですが、作品全体に宿っている躍動感がとにかく半端ではありません。

とくにスピッツの「不思議」とともに始まるラスト間際の一連のシーンはもう圧巻の一言。

大人から見たら「たかが引っ越し」「たかがクラスメイトとの別れ」程度のことであっても、当事者である子どもにとってはこの世の終わりに等しい大きな出来事であって大人が想像する以上に受け止めることも抗うことも難しいことなのです。ですから、辛いことに耐える強さ、抗う勇気を絞り出すことは誇張でもなんでもなく本当に人生をかけた大冒険に挑むことと同じくらい大きな出来事であって、そのことを見事に表現したこのシーンはほんとうにすばらしいとしか評しようがありません。


取ってつけたようなラストだけがちょっと残念でしたがあれはあれで案外悪くないのかも知れません。


台風のノルダ


舞台はとある離島、文化祭前日の中学校。幼いころからずっと続けていた野球をやめたことがきっかけで親友の西条とケンカした東は、突如現れた赤い目をした不思議な少女ノルダと出会う。「“地の渦”と“空の渦”と“私”が一つに繋がれたとき、この星は生まれ変わる…」。その頃、観測史上最大級の台風が学校を襲おうしていた──。

『台風のノルダ』作品情報 | cinemacafe.net

出てくる登場人物はだれもが十分過ぎるくらい魅力的ですし、文化祭前日の学校に閉じ込められるというシチュエーションもたいへんわたし好みでよいのですが、上映時間が短い都合なのか細かい設定に関する説明が非常に物足りなくてとてももったいないと感じました。

中でもノルダがどういう経緯でこの役割を担うことになったのか、どういうことをしたいと考えているのかがいまいち飲み込めず最後まで物語の蚊帳の外に置かれているというか、作品から置いてけぼりにされている印象を受けました。そういう細かいことは気にせず楽しむことも出来たかも知れませんが、パズルはすべてのピースが埋まらないと気持ち悪い派なのでそういう細部であっても自分なりに飲み込めないと気持ち悪くてダメなんですよね...。


ここまで説明を端折るのであれば、いっそもっと上映時間を短くして説明はまったくせずにすべて勢いで乗り切った方がまだよかったかも知れないなあと感じました。

まとめ

設定やキャラクター、ストーリーの好き嫌いで言えば「台風のノルダ」の方に分があるのですが、映像のおもしろさや作品そのものの好き嫌いだと圧倒的に「陽なたのアオシグレ」の方がよかったです。


わたしはあまりアニメは観ないのですが、こういうおもしろい作品を観るともうちょっといろんな作品を観てみたいなと思います。
機会を見つけていろんな作品を観てみようと思います。