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子持ちししゃもといっしょ RSSフィード

2013-01-25

「ビフォア・サンライズ」「ビフォア・サンセット」見たよ


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twitterで「ビフォア・サンセット」をオールタイムベストだとおっしゃっていた方がいたので、その前作である「ビフォア・サンライズ」と合わせて観てみました。


「ビフォア・サンライズ」と「ビフォア・サンセット」はジェシーとセリーヌという二人の男女を描いた作品であり、いわゆるラブストーリーに類する作品です。ただ、普通のラブストーリーとはちょっと趣が違っていて、二人がひたすら会話を続けながら短い時間をいっしょに過ごすというとてもユニークな作品なのです。

ちなみに「ビフォア・サンセット」は「ビフォア・サンライズ」の9年後を描いておりまして、つまりこの2作は続編関係にあります。

「ビフォア・サンライズ」は20代前半の二人が電車の中での出会いからいっしょに過ごした一晩を描いており、「ビフォア・サンセット」は9年後の二人の再会を描いています*1


まずは個々の作品についての感想をまとめます。


「ビフォア・サンライズ」の感想
ビフォア・サンライズ 恋人までの距離 [DVD]

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離 [DVD]

ヨーロッパの長距離列車の中で出会ったアメリカ人学生ジェシーと、フランス人女学生セリーヌ。ふとしたことから意気投合した二人は、翌日の朝までの時間、ウィーンの街を歩き回る。

恋人までの距離 - Wikipedia

電車の中で出会った若い男女が、ウィーンで途中下車をして翌朝までいっしょに過ごすというただそれだけのお話でしたがとてもおもしろかったです。電車で出会ったかわいい女の子を一晩だけのデートに誘うというシチュエーションがわたしの琴線に触れまくったのですが、こういう出会いってなんかあこがれちゃうんですよね。


話はちょっとそれますが、わたしは大学生のころに大学のあった山形と実家のあった秋田の間を鈍行で往復することがよくありました。

理由は帰省だったり、友だちに会いにだったりといろいろでしたが、山形と秋田って隣県同士ですがものすごい遠いんですよね。直線距離にすると250kmくらいなんですが、新幹線も特急も急行もないので*2鈍行で3時間から4時間乗り継いでいかないといけなかったのです。


片道3-4時間ですからかなり大変だったはずなのですが、途中で乗ってくる人たちを見ているのが楽しくてわりと飽きずに過ごしていました。比較的大きな町の駅、例えば大曲や横手、新庄や天童あたりでは人がたくさん乗り込んできて、そして次の大きな駅に着くまでの間に通る小さな駅に少しずつその人たちを降ろしていく、その繰り返しがとても楽しく感じられました。


話がほんとそれちゃいましたが、そんな長時間の電車移動の際に電車の中ですごくかわいい子を見かけることがありました。

そんな子を見かけると、不意に「声かけようかな」と思ったりするわけですが根が小心者なので「でも急に話しかけたら...」なんて躊躇してうだうだ考えているうちに降りちゃうのです。

結局、何十回と秋田-山形間を電車で往復して、何十人とかわいい子を見かけたけれど一度たりとも一人たりとも声をかけることはできませんでした。

もちろんそのことをいまも後悔しているわけではないのですが、そのときの自分には出来なかったことをやってのけてしかもうまくいっちゃったケースを目の当たりにしてしまったために、記憶の片隅にあった後悔の欠片みたいなものが刺激されて興奮しちゃったんじゃないかと思います。


想いを積み重ねていく恋愛というのも好きですが、こういう瞬間的な出会いから始まる恋愛というのもいいなと実感しました。



「ビフォア・サンセット」の感想
ビフォア・サンセット [DVD]

ビフォア・サンセット [DVD]

ウィーンでの出会いから9年後。あの一夜のことを描いた小説 "This Time "を書いたジェシーは、小説のプロモーションで各地の書店を回る一環でパリの書店を訪れる。そこでインタビューを受けていた時、ふと横を見るとセリーヌが立っていた。ほほ笑むセリーヌと、驚くジェシー。ジェシーの飛行機が出るまでの短い間、二人は秋のパリを歩きながら思い出を語り合う。

ビフォア・サンセット - Wikipedia

で、9年後に再会したジェシーとセリーヌを描いたのがこの「ビフォア・サンセット」。

再会という言葉があらわすとおり、9年前に2人は別れてそれっきりとなっていたのですが、9年前の出来事を小説にしたジェシーがプロモーションで訪れたパリで2人は再会するというとてもドラマチックな展開で物語は始まります。




この作品は前作以上に会話が多いのですが、その二人のやり取りからは、9年という年月が若々しくて勢い任せなところのあった20代の男女を30代の大人へと変えたことを見事に見せてくれます。とくにセリーヌは大人になったというよりも、ややこじらせてしまった感もあって観ていて痛々しく感じられるところも出てきました。

そして2人は会話をジャブのように打ち合って、お互いの近況やら9年前の別れのあとの話を引き出し、相手のいまの状況や自分に対する気持ちを確認しようとするのですが、このあたりの会話という名の攻防は眺めているだけで心がおどります。


ラストの余韻の残し方と言い、まさにパーフェクトといっていい作品でした。



まとめ

というわけで、2作品ともにたいへん気に入ったわけですが、最初にも書いたとおり両作品ともにジェシーとセリーヌの会話がひたすら続くとてもユニークな構成となっています。ぶっちゃけていえば観るまでは「男女がただただ会話をしているだけだなんて本当におもしろいの?」と疑っていたのですが、もう疑ってごめんなさいというほかありません。


言葉を交わすことによってまるで天秤がゆれるように両者の関係やパワーバランスが変わっていくのがとてもおもしろかったです。


ちなみに、DVDを観た直後に3作目として「ビフォア・ミッドナイト」が製作中というニュースが飛び込んできました。

ギリシャで撮影中と伝えられたばかりの映画『恋人までの距離(ディスタンス)』『ビフォア・サンセット』の続編が、現地時間9月4日夜に同国のメッシニアにて撮影終了していたことが、Deadline.Comにより報じられた。

『恋人までの距離』『ビフォア・サンセット』続編 『ビフォア・ミッドナイト』のタイトルで撮影終了! - シネマトゥデイ

公開は来年以降になりそうですが、サンライズもサンセットも気に入ったのでその続編であるミッドナイトがとても楽しみになりました。というか、イーサンとジュリーはもういっそ結婚しちゃえばいいのに!とか思っちゃいます。

*1:って書くとややネタバレになることにいま気付きましたがどうせあらすじのところにも書いてるしまあいいか....。

*2:途中の大曲-秋田間は新幹線がありますがそこだけ新幹線に乗ってもね...という距離なんですよね。あと実はこまくさという急行が1997年まであったのですが、不人気過ぎて無くなってしまいました。

2012-01-17

「フローズン・タイム」見たよ

フローズン・タイム [DVD]

フローズン・タイム [DVD]

失恋のショックで不眠症になったアーティストのベン。眠れないため、深夜のスーパーマーケットでのアルバイトをはじめる。不眠症がエスカレートして、ついには自分以外の時間が止まってしまう。

フローズン・タイム - Wikipedia

本作品も「映画を一本おすすめしてください」エントリーで募集して教えていただいた作品です。ありがとうございました。


大好きな子に振られたショックで不眠症になるというところまでは現実でもよく聞く話なのですが、眠れなくなった影響で時間を止めることができるようになるという点がたいへんユニークでかわいらしい作品でした。

大好きだった人に振られてしまったり会えなくなってしまったときの言葉ではなかなか表しようのない喪失感や、そこから立ち直るプロセスなんかはとても切実に描かれていてリアリティを感じさせてくれるのですが、一方で止めることのできないはず時間を止めてしまいその中で自分ひとりが生きているようなSFチックな世界も違和感なく描いているのです。

いっけん矛盾しそうなリアリティと虚構の世界。

この二つの世界がここまでしっくりとなじんで描かれていたのは、単にすごいとかおもしろいというのを超えた「すごいものを見た感」が感じられてとてもよかったです。


ちなみにわたしが「時間を止める」という言葉を聞いて思い出すのは写真なんですね。

写真って「あるとき、ある場所のある瞬間を切り抜くもの」なんですが、それって時間が止まってしまった世界と同じなんじゃないかなと。時間というのは不可逆であるがゆえに誰もが過去に戻ることはできません。ですが、戻りたい過去の写った写真を見ることができたら、いつでも気持ちの上ではそのときに戻れるんですよね。

時間の流れというのは大河のようなものだと思っています。

その流れに身をまかせることは簡単にできるけれどそれに逆らって進むことはもちろんのこと、立ち止まることさえもできないのです。

だから、好きだった子との蜜月や別れのターニングポイントとなったときのことを思い出し「あのころに戻りたい」と過去への回帰をつよく願う気持ちを表すために、"時間を止めてみせる"というのはすごくバランスがよいアイディアだと思うわけです。時間を戻せるようになるというのは明らかにやり過ぎだし、それをやってしまうと物語は途端にそのかがやきを失ってしまうのは目に見えています。

「時間を戻す」という表現をとるのではなく、あえて「時間を止める」に留めていたところには好感と共感をおぼえました。


そしてベン以外が凍り付くように止まっている世界において、まるで氷が解けだすようにシャロンが動けるようになった瞬間に、やや大げさですが打ち震えるようなよろこびを感じたのでした。

2012-01-13

「ダークシティ」見たよ

ダークシティ [DVD]

ダークシティ [DVD]

太陽が出ない街、ダークシティ。ある日、マードック(ルーファス・シーウェル)が目を覚ますとそこはバスタブの中。それまでの記憶もなく、自分が一体なぜそこにいるのかわからず全裸のまま歩いていくと、ベッドのそばには若い娼婦の死体が。次第に連続娼婦殺人事件の犯人が自分になっていることを知ったマードックは、殺人も何も身に覚えがない。何者かによって記憶を略奪されたことを知ったマードックは、頭の片隅にわずかに残っている記憶を頼りに、そんな疑惑を晴らそうとする。

ダークシティ - Wikipedia

(注意)

本エントリーは作品の内容に触れている部分もあるので、未見の方はご注意ください。


本作品も「映画を一本おすすめしてください」エントリーで募集して教えていただいた作品です。


ひじょうに突拍子もないお話でしたが、人の過去と今をつなぐものが"記憶"という曖昧なものしかないという事実を白日のもとに引きずり出したすばらしい作品でした。SFチックなお話でしたが、決して別の世界の話とは思わせないリアリティを獲得していて、観ながら常に「自分だったらどうしよう」と自分のことに置き換えることを考えながら鑑賞しました。

期待以上におもしろかったです!


この作品には時を止めたりする力をもつ宇宙人が出てくるのですが、彼らは一つの心を共有しているために多様性が無く、故に滅びかけているというところはすごくおもしろい設定だなと感じました。その個性のなさを克服するために、毎晩実験台を選んではその人の記憶を書き換えて心の作用を研究し、いずれ個々人の心を手に入れようとするというその発想がなんというかあまりにユニークで感心してしまいました。


過去といまをつなぐものが自分の記憶しかなく、そしてその記憶というのが見知らぬ誰かに勝手に書き換えられるような曖昧なものであったとすれば、果たして人は何をよりどころに昨日と今日をつないで生きていけばいいのかとブルブル震えずにはいられない怖さがすごく印象に残ったのですが、たとえ昨日と今日をつなぐことができなかったりつながり自体がそもそも虚構だったとしても、人は今を生きていくことで生をつなげられるんだなということに希望をもてたのでした。


あと、箱庭感たっぷりの世界観や映像もすごくわたし好みでした。

2012-01-08

「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」見たよ

デトロイト・タイガースのベテラン投手のビリー・チャペルは、優勝に王手をかけたニューヨーク・ヤンキースを相手にしていた。彼はその前日、20年所属してきたチームからトレードを通告され、さらに5年付き合っていた恋人のジェーンから別れを告げられていたのだった。

ラブ・オブ・ザ・ゲーム - Wikipedia

(注意)

本エントリーは結末に触れている部分もあるので、未見の方はご注意ください。


本作品も「映画を一本おすすめしてください」というエントリーで募集した際に教えていただきました。ありがとうございました(ぺこり)。


本作は、ベテランピッチャーであるチャペルの現役最後の試合を描いた作品でしたがひじょうにおもしろかったです。試合の合間に織り込まれる恋人のジェーンと共に過ごしてきたチャペルの野球人生。その起伏をなぞるようにピッチングの調子を上げ下げしながら展開していく試合の行く末が超気になって最後まで目が離せませんでした。


特に疲れや昔の怪我の影響がでてきて打たれ出した8回以降はもうドキドキがノンストップでして、最終回のラストバッターとしてケンと対峙するシーンはもうここ最近味わったことが無いくらいに興奮してしまいました。ぶっちゃけ、流れ的に最後がどうなるのかはおおよそ予想はついちゃうんですが、それでもちゃんと結末を観るまでは気持ちが落ち着かなくて最後は正座をして真剣に見入ってしまいました。


チャペルの野球人生と最後の試合がまるでフラクタルのような相似関係として描かれていたところがいちばんグッときました。


そしていままでマイベスト・サムライミムービーは「スペル」でしたが、この作品を観てしまったのでこれからはこの作品がベストサムライミムービーになりました。


(関連リンク)

2012-01-05

おすすめしていただいた作品の進捗管理表

2か月ほど前に「映画を一本おすすめしてください」というエントリーをあげました。

最近、いろんな映画をもっと観てみたいと思うようになっていまして、いままでのように現在映画館でやっているものだけを追いかけるだけではちょっと物足りないと感じてきています。もっと幅広い作品を観てみたいのですが、なにぶん映画にはあまり詳しくないのでみなさんから一本これは観ておけという作品をおすすめしていただきたいと思っています。

映画を一本おすすめしてください - 子持ちししゃもといっしょ

誰にお願いを投げかけているのか曖昧、かつ、おすすめしてくれというぶしつけなお願いにも関わらずたくさんの作品を教えていただきました。本当にありがとうございます!


作品一覧

作品名教えていただいた方状態(感想リンク)
キング・オブ・コメディ空中キャンプさん鑑賞済み(2011/11/23)
ガタカたにしさん鑑賞済み(2012/01/03)
地上5センチの恋心立花いずみさん鑑賞済み(2012/01/04)
ラブ・オブ・ザ・ゲームルシフさん鑑賞済み(2012/01/08)
ダークシティたにしさん鑑賞済み(2012/01/13)
フローズン・タイムtigtigozさん鑑賞済み(2012/01/17)
ビフォア・サンライズ/ビフォア・サンセットあややさん鑑賞済み(2013/01/25)
カンパニーマンルシフさん未見
サンタ・サングレルシフさん未見
ロング・グッドバイカトキチさん未見
パリ、テキサスカトキチさん未見
ロシュフォールの恋人たちたにしさん未見
出発たにしさん未見
汚れた顔の天使サンジさん未見
七人の侍 ふもっふさん未見
大冒険samurai_kung_fuさん未見
クレージーだよ奇想天外samurai_kung_fuさん未見
童貞ウォーズsakuraiさん未見
ひゃくはちtreesouthさん未見
帝都物語外伝/機関童子D1953ColdSummerさん未見
ヘル・オブ・ザ・リビング・デッドりょんりょんさん未見
ショーン・オブ・ザ・デッドりょんりょんさん未見
麦秋りょんりょんさん未見
勝手にしやがれりょんりょんさん未見
父の祈りをrino5150さん未見
運動靴と赤い金魚パティさん未見

教えていただいた方の名前はtwitterアカウントへのリンクになっています。


ルール

    1. 観たらブログに感想を書く
    2. 教えてくれた人にお礼と感想を伝える

感想エントリーには[recommended]タグをつけてアップしますので、一覧が見たい方は*[recommended]で検索するか、ここをクリックしてください。


また、まだまだおすすめいただけるとたいへんうれしいので、これは観とけ的なものがあれば、ここに書いたとおり、コメント・ブクマ・リプライ・DM・メールなんでもよいので教えてください。よろしくお願いします(ぺこり)。

2012-01-04

「地上5センチの恋心」見たよ

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何かあればすぐにジョセフィン・ベイカーの曲を歌いながら踊りだし、いつでも地上から少し浮いているような主婦のオデット(カトリーヌ・フロ)。美容師の息子と生意気盛りの娘と一緒に住む彼女は、昼はデパートの化粧品売り場で働いて、夜はせっせと羽根飾りの内職に励む。そして寝る前にはお気に入りの作家、バルタザール・バルザン(アルベール・デュポンテル)の本を読むのがなによりの楽しみだ。バルタザールは、ベタベタのラブロマンス作家だが、オデットにとっては憧れの存在。ある日、彼に感謝の気持ちを伝えたいとファンレターを渡すことに成功する。一方のバルタザールは最新刊が酷評され、挙句に妻がその評論家と浮気していることを知る。そんな時、オデットのファンレターを読み…。

『地上5センチの恋心』作品情報 | cinemacafe.net

(注意)

本エントリーは結末に触れている部分もあるので、未見の方はご注意ください。


本作品も、昨日の「ガタカ」と同じく「映画を一本おすすめしてください」というエントリーで募集した際に教えていただきました。ありがとうございました!

生きるうえでもっとも大事にすべきものは何なのか、人は何を基準にして自分に大事なものを選び取るべきなのかということを教えてくれる良い作品でした。たいへんおもしろかったです。


本作でとくによかったのがオデットがたまに出くわすイエスという人物の存在です。

イエスは作中のところどころでオデットと出くわし、軽く一言二言かわすだけの存在だったのでてっきり近くに住んでいる知人なのかと思っていました。ところが、彼が出てくるシーンや交わすセリフ、さらに出会ったときの表情や状況を注意深く観察してみると、イエスは実在の人物ではなくオデットの心情を表現するためのキャラクターであることに気付いたのです。

大好きなバルタザールが自分を頼って来てくれたことで喜んで張り切っているときにはかいがいしく誰かの足を拭いてあげていたり、オデットがいっしょに働いている人たちから誤解を受けて傷つくその横で手にけがを負って静かに立ちすくんでいるのです。


そしてこのイエスを使った演出に限らず、本作はオデットの感情表現をベタすぎるくらい分かりやすく豊かに表現していてそれがまたかわいらしくて頬が緩んでしまいます。嬉しいことがあると思わず体が浮いて空に飛んでみせたり、大好きなバルタザールと腕を組んだことがうれしくて足が地を離れて体半分浮いてしまったりするのです。さらに、歌を歌いながら踊りまわキュートなオデットの姿を見ていると、彼女の朗らかさから幸せを分けてもらえるような気にさえなってくるんですよね。

とりわけ、オデットの家族3人とバルタザールと息子2人の5人で歌い踊り狂うシーンのお祭り感は本当に素晴らしくて、最初は笑いながら観ていたのに最後は泣きたくなるくらい満ち満ちた気持ちになってしまいました。

落ち込んだときに寝転がって眺めたら元気になれそうな、そんなすてきな作品でした。

地上5センチの恋心 [DVD]

地上5センチの恋心 [DVD]

2012-01-03

「ガタカ」見たよ

ガタカ [DVD]

ガタカ [DVD]

出生前の遺伝子操作により、生まれながらに優れた知能と体力と外見を持った「適正者」と、「欠陥」のある遺伝子を持ちうる自然出産により産まれた「不適正者」との間で厳格な社会的差別がある近未来。

「不適正者」として産まれた主人公ヴィンセントは、子供の頃から「適正者」のみに資格が与えられている宇宙飛行士になる事を夢見ていた。

ガタカ - Wikipedia

(注意)

本エントリーは結末に触れている部分もあるので、未見の方はご注意ください。


本作品は以前このブログで「映画を一本おすすめしてください」というエントリーで募集した際に教えていただきました。ありがとうございます。


本作は、遺伝子工学の発達によって遺伝子レベルで人間の能力の優劣を判別できるようになった近未来を舞台とした物語なのですが、たいへんおもしろかったです。

着床から生まれるまでは優れた遺伝子だけを選別することで優れた遺伝子を人工的に残そうとし、さらに生まれてからも大体の寿命や潜在的な疾患をすべて明確にして相対的な優劣を決定づけることで、生き方すべてをその優劣によって決めてしまうという差別的な世界をほころびなく丁寧に描いていると感じました。

世界の描き方というか、閉じたひとつの世界を完全に描いているところはもうすばらしいの一言です。

そして、そんな差別的な世界の中で遺伝子的には劣性である*1と扱われながらも、不断の努力を続けることによって宇宙飛行士になるという自分の夢をかなえた男性の物語でして、運や努力する才能といった「遺伝子上のポテンシャルだけでは判断できない要素」が、人間にはどこまでいってもついて回るのだということをつよく意識させられました。


あとこの作品には好きなシーンがたくさんあるのですが、特にラストシーンの切なさといったらなかったです。遺伝子だけが絶対的な存在証明であるあの世界では、逆にいえばヴィンセントがやったように他人の遺伝子を使えばその人になりすますことはできるわけです。見た目や声といった外見の違いではなく、それらは最低限似ていればそれで十分であって本当に大事なのは遺伝子だけなんです。

そんな世界において、自分の存在を消そうと思ったら燃えてなくなってしまうことだけが唯一できる方法なんですよね。金メダルを取れるだけの才能があったのに2番に甘んじてしまったことへの悔恨の象徴である銀メダルといっしょに、すべてを消し去ってしまう方法として自らを燃やし尽くす道を選んだジェロームの気持ちを思うと、ものすごく悲しいと感じながらも不思議とあたたかい気持ちも感じました。

そして鑑賞後に残されたのは多幸感と言ってもよいくらいの満たされた気分なのでした。

*1:作中ではinvalid==不適合と呼ばれてましたが