御浦風物誌

2016-11-14

見てきたかのような「嘘」2

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 "Lampyris noctiluca" ♀ 2016年11月制作

 欧州で「蛍」といえば、まずこの種が取り上げられるほど、とかくに有名な種で、雌は上下翅が二次的に退化していて、日本にも分布するマドボタル属 Pyrocoelia と近い。時に、「幼虫型」などと表現されるが、無論のこと誤りである。

 有名とはいえ、古い年代に記載された種であるから、その正体を確かに見定めるとすれば、恐らく、かなり難しい作業となるのであろう、とは容易に想像できる。

2016-11-12

見てきたかのような「嘘」

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 "Lampyris noctiluca" ♂ 2016年11月制作

 

 これもまた、一連の挿画の仕事のひとつ。

 一見、ある程度緻密な「標本画」に見えなくもない。だが、この種との確かな同定に基づく「実物(標本)」は一切見たことがない。欧州のサイトを閲覧すると、いくつもの鮮明な標本画像あるいは生体画像が見つかる。それらを参考に、いかにも見たかのように描いている。であるから、この図は言うまでもなく「嘘」に他ならない。


 ただ、私自身はその昔に、この類の研究の真似事をした経験があったので、ある程度鮮明な写真一葉さえあれば、おおよその察しだけはつく。見よう見まねの「研究」は自分にとり (何らの役には立たなかった、時間の浪費だった) と久しく思ってきたが、今回の仕事で図らずも、少しばかりの役は立った、とだけは云えようか。

2016-11-02

雨上がり

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 ジョロウグモ 巣(円網) 川崎市多摩区 2016年10月

 ジョロウグモの張る網に、「雨上がり」がくっきりと浮き出ていた。

2016-11-01

幸と不幸

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 ヒバカリ(シュレーゲルアオガエルを捕食) 川崎市多摩区 2016年10月

 お互いの冬籠りを前にして、蛙にとっては実に不運なことに、蛇にとっては誠に幸いなことであったろう。

2016-10-31

虎穴の主

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 コハンミョウ 幼虫 川崎市多摩区 2016年10月

 この地味な種は、今まで特に話柄に上がるようなものではなかったように思える。

 が、少なくとも、神奈川県東部では、その生息状況は今や、楽観できるような状態にはないのではなかろうか。硬く締まり、なおかつ、常に少しばかりの湿り気が保たれているような露地など、今現代において、そうそう存在するものでもない。かつては、内陸ばかりでなく砂地まじりの岩礁にもみられ、三浦半島では、時に、シロヘリハンミョウに混じってみられたものだが、相模湾側の一角で、2007年に得た個体が最後のものとなった。

 この半島での今、唯一知る生息地は、北部の一ヶ所のみにすぎない。


 川崎市では、一見して、そのような種が棲んでいるとは気付かれないような地点に群生しているのを発見、驚喜した。惜しむらくは、岩田久二雄博士が活写した、「虎穴に入るツヤアリバチ」の姿だけはみられない。いつか必ずや、向き合いたい蜂の一つである。