ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

グリル故障から学ぶ

ガスコンロのグリル部分の故障(点火直後にガスが消えてしまい、魚が焼けない)のため、購入した会社のサービスセンターへ電話しました。事情を話すと、「明日また連絡しますので」とのこと。ところが、30分ほど家で用事を片付けていると電話が鳴り「今ちょうど、近くを回ってるんです。あと5-10分で着けると思うんですが」と。さっそく来ていただきました。15分ほどで修理完了。部品の接続が悪かったため、交換したそうです。しかも、「まだ年数が経っていないので、お代はいりません」。
実はこのガスコンロは二代目で、初代は1997年から2006年10月中旬まで使っていました。コンロなんて一生使うものだと思っていたら、「いや、普通は3,4年で寿命ですよ」とのこと。初代の場合は、突然、火がつかなくなったため、見てもらったところ「えらく長持ちしましたなあ。もうこれ、部品もなくなっているから、全部買い換えた方がいいですよ」と言われました。
その時、手入れをきちんとすれば長く使えるのだということを再確認し、アップグレードしたコンロを購入しました。まだ3年未満ですが、それでも、無料で修理してもらえたのです。これまで当たり前のことのように思っていたサービスですけれども、何だかうれしかったですね。
初代も二代目もコンロを選んだのは、主人です。こういうことが得意で、念入りに広告を見たり、パソコンで時間をかけて調べたりして、それから私を呼んで選ばせるのです。使うのは専ら私だからですが、その手前のメーカーと製品選びは、主人の方がさっさとしてくれます。二代目は、名古屋に本社があるものを選んでくれました。実際、名古屋のガスコンロ販売の大手は、P社とR社が有名なのですが、実家では誰も何も言わずに当たり前のようにP社を使っていたのでした。ところが、主人いわく「P社って、事故が多かったでしょう?あれ、一度だけでなく、何度か発生したということは、それが会社の体質なんだろうな。だから、うちではR社にしたんだよ」と。打ち明けてくれたのは、昨晩のことです。私は、R社が名古屋本社だということも知らずに、ただ使い勝手のいい進化したコンロだなあ、とそれだけで満足していました。
確かに、サービスセンターに電話して、半時間もしないうちに修理工のお兄さんが来てくれて、さっさと直し、しかも代金は不要と言ってくださるなんて、ありがたいサービスです。魚はフライパンで焼けばいいだけの話なので、グリルが故障しても、別段困ることもないといえばないのですが、今回、こういうところが日本社会の安定や成長を支えてきた勤労倫理なんだなあ、と忘れていたものを思い出したような気分でした。
実家にいた頃、P社製品の事故については、新聞で何度か読んで知ってはいました。ただ、だからP社製品を避けようという発想にはならず、「事故が起きないように、こちらが気をつけるしかない」という受け身体制でした。もっとも、ガスコンロのみならず何でも、実家では私に選択の権利がなかったので、たとえ不満があっても与えられたもので我慢する、という心理だったと思います。
...と、話は飛んでしまいましたが、言いたかったのは、何事も自分でよく吟味して、主体的に選ぶべきだということ、事故など悪いことが続くメーカーは、こちらから避けていくこと、自分が納得していれば、それなりによい益が返ってくること、そういうことの繰り返しが、日々の暮らしを快適にするのだろうということです。
そして、仕事は、どんな小さな仕事であれ、大事な役割を果たしているのだ、とも...。R社は、電話応対も丁重で気持ちよかったですし、修理のお兄さんも、きちんとした態度でした。こういう会社だから、事故を聞いたことがないんだなあ、ひいては、ガスコンロとグリルの手入れをもっと丁寧にして、長持ちさせたいなあ、という気持ちになります。こういう循環が、社会向上へとつながるのではないか、と。ちょっと大げさかもしれませんが。
ところで、朝のNHKラジオ番組で、時々、マレーシア特派員からのレポートが放送されます。聞いていた主人が今朝方、「マレーシア人って、外国人労働者に働かせて、自分は労働しないんだってね。聞きようによっては痛烈な批判だけど、そんな国なの?」と言いました。確かに、職人を尊ぶ気風が日本やドイツにはあるけれど、マレーシアでは...というコメントを受けたのは、昨年末のマレーシア研究会でのことでした。中東アラブでも、実際の手間暇かかる労働は外国人にやらせて、自国民は公務員などで口のリモコンみたいなことをしているそうで、そういう体質はムスリム社会に顕著なのかもしれませんね。
グローバル化で価値観が交錯する時代は、ともすれば大変なことにもなりそうです。日本ならば、小さな修理を即座に丁寧に無料で行うことで、企業のイメージアップに貢献するのに対して、そういう小さな労働は差別された外国人や移民系にさせて平気な国もあるという...。