ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

トルコのキリスト教会

http://www.christiantoday.co.jp
「トルコ、キリスト教会新建設を許可 建国以来初」
2015年1月5日


トルコ政府は3日、最大都市イスタンブール郊外にキリスト教の教会を新設することを許可したと明らかにした。フランス公共ラジオが報じ、日本でも共同通信などが伝えている。
この報道は、同国のアフメト・ダウトオール首相が同日、イスタンブールで宗教指導者たちと会談した直後になされた。
同国にはギリシャ正教アルメニア正教、カトリックなどの教会が存在し、修理や改築は認められてきたものの、新設が認められた例はなかった。新たな教会建設が認められるのはオスマン帝国滅亡後、1923年にトルコ共和国が建国されて以来初めてだという。
同国は2005年10月から欧州連合(EU)への加盟交渉を進めており、この動きは、EU加盟実現に向けて、少数派の権利拡大に取り組む姿勢を強調する狙いがあるとみられる。
人口約7500万人で国民の99%がイスラム教徒の同国には現在、約10万人のキリスト教徒が住んでいる。キリスト教人口はイラクとシリアでの戦闘のために、近年増加しているとみられている。
昨年8月に初の国民直接投票による大統領選挙が行われ、レジェップ・タイイップ・エルドアン氏が選出された。だが、公正発展党(AKP)出身のエルドアン政権が、政教分離を掲げていながら、イスラム教色を強めているとの声が上がっている。
歴史的に見れば、トルコは政府の統制下で、公共の広場での宗教活動を禁じ、西洋化や世俗化を取り込んできた。しかしながら、その一方でイスラム主義系党の流れを持つAKPが、中東および他のイスラム教国家と提携することに努めており、依然としてイスラム教の持つ力は強く、キリスト教などの少数派は攻撃の対象となることが多い。
トルコ国内でも、2013年7月のラマダンには、ハギア・ソフィア博物館(キリスト教会の大聖堂を起源に持つ建築物)がイスラム教徒の礼拝所として使用され、最近も、古代ビザンティウム教会のモスクへの変換が、キリスト教の過去を消し去ろうとしているのではないか、と批判された。
今回、教会の新設許可を得たのは、少数派シリア人のための教会で、すでにギリシャ正教アルメニア正教、カトリック教会の会堂があるイスタンブール郊外、マルマラ海岸のイェシルコイに建設される予定だという。同国の南東には、2万人弱の古代シリア系少数民族が住んでおり、正教会カトリック教会に属する傾向にある。
アフメト・ダウトオール首相は、「宗教差別はトルコでは一切問題ではない」と主張し、「AKPは、市民を平等に扱い、等しい公民権の原則はトルコの特性であり続ける」と述べた。
(引用終)

・・・というニュース。トルコは新約文書ゆかりのキリスト教遺跡が多く、聖地旅行の一環として、日本でも人気スポット。それ故に、本ニュースは一見喜ばしいようだが、トルコのイスラーム主義の内実と意図を知ってこそ、初めて態度決定ができるのでは?
私はと言えば、現在のトルコの政治状況から(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130628)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130718)、教会がニュース通りに建設されるとしても、その先をかなり疑っている。例えば、中東アラブ諸国にも、サウジアラビア以外は教会がたくさんある。マレーシアにも教会は非常に多く存在する。ただし問題は、その位置づけと実践状況(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120129)。教会内は自由だが、ムスリムに対してどう振る舞うべきかが、我々非イスラーム圏の想像の域を出ていると言えよう。
さて、結果はいかに?
エルドアン氏を引き継いだ現在のトルコ首相ダウトオール氏については、パイプス先生が辛辣なコラムを公表されている(http://www.danielpipes.org/14838/)。
これを訳す時、タイトルが英語特有の掛詞なので、どのように表現すべきかパイプス先生にお尋ねしたところ、即座に「非英語圏の訳者は、何もパン風にしなくとも、平凡な訳出でよろしい」とメールで指示が出た。あえてそういう風に言われると、こちらも俄然張り切りたくなるので、わざわざ凝り固まったへんてこな訳出を試みた次第。トルコと七面鳥を掛け合わせた駄洒落。他の言語訳も見てみると、素直な訳から気取ったものまでさまざま。裏話でした。