ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

両論併記と相対主義

https://cakes.mu/posts/8473
俗流フクシマ論批判」
開沼博


【最終回】もはやメディアの「両論併記」型は、百害あって一利なし!
2015年2月25日


・もはや「両論併記」型は百害あって一利なし


 最後に、「適切な反応」を促すためにしておくべき課題は、「判断は任せます」型・「両論併記」型の結論付けをどう崩していくかということです。
「福島の問題」「放射線の問題」について、よくあるのが、「それぞれの判断を尊重して判断・行動していくべきだと思います」という話法です。
 これは、知識も良識もある人がよく結論に持ってきがちです。
一方、新聞・テレビなどでセンセーショナリズムに走った報道が、「安全だと思っている人も危険だと思っている人もいます」などと、「多様性を反映しました」というポーズをとるパターンもあります。
 もちろん、その全てを否定するつもりはありません。そういうもの言いが必要な場面もあるでしょう。ただ、その上でも、わかってきていることは明確に、毅然と言うべきです。


・「科学的な前提にもとづく限定的な相対主義」に移行せよ


 もちろん、そういう悪質なものではなくても、知識・良識がある人が、知識・良識があるからこそ、色々なバランスを気にしすぎて、歯切れ悪く「それぞれの判断を尊重して判断・行動していくべきだと思います」という場合もあります。
 いずれにせよ、「こういう人もいれば、逆の人もいる」「それぞれの判断を尊重して」というのは便利な言い回しです。
 これは相対主義的なもの言いだと言ってよいでしょう。「Aという考えも、Bという考えも、Cという考えも尊重されるべき」というのが相対主義です。


・主張の内容のいかんにかかわらず何十通と「人殺し」とメールが届いたり、実際にそうなのかどうかにかかわらず「御用学者」として誹謗中傷・罵詈雑言をネット上に書き連ねられたり、身の危険を感じるような脅迫状や不幸の手紙が職場に届いたり、仕事先に「あいつ使うな・関わるな」としつこくクレーム電話をいれられたり、といったことをされます。

(部分引用終)
「両論併記」については、過去ブログを(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120521)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120929)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130704)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131001)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131024)。
冒頭の記事は、以下の池内恵氏のフェイスブックに掲載されていたものでした。

https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi?fref=nf


・ただし私のように「中東」「イスラーム」といった狭い特殊な分野にいると、私の方はもっとややこしいし先がない話だなあとは思う。学者コミュニティそのものの多数派・重鎮で科研費ばんばん取っているような人たちがもともと「日本のエリートになれなかったからとにかく一生エリートっぽい人叩くぞー」「東大出てる奴はもう許さん」みたいなあるタイプの人たちで、そんな人たちの若い時の世界観を補強するものとして「反欧米」「反オリエンタリズム」とかの看板を掲げてしまって、それですごい派閥闘争やって大学で場所確保して偉い先生になって狭い業界で権力振るいまくっているが、いざ日本社会でこの分野が注目されて、本当のことを伝えろと言われるとこれまで言ってきたことと現実が違いすぎてもう引っ込みつかない、と言う状態。


・専門家でちゃんとした人はいるがそういう人は、とてつもないムラ社会の抑圧をスルーすることのできるものすごい信念を持ったブレない個人だから、群れないし、むやみに発言しない。基本社会に興味ない。

https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi?fref=nf


まあ、パレスチナで文字通り「石を投げる」のが一番偉い、という価値観が支配的な学会だからなあ・・・よその学会と比べ物にはならんわな。実際にパレスチナで石を投げるわけではないから、日本国内で石を投げる相手を探すのが主な仕事、という人が学会の主流派。普通の学会ではありません。私は学会の自立性を徹底して守るリベラルな立場なので、世代交代を待つしかないという結論です。政治介入とかしないでね。学会の自立的な判断に任せてこれまでどおりどんどん予算をあげて、数十年後に「成果出なかったなー」と気づくというのが人類の叡智の作り方です。

(部分引用終)


池内先生の所属されている「石投げ学会」だけじゃないですよ。他にもいろいろあります。日本のみならず、アメリカでも。
ダニエル・パイプス先生と知り合って私は幸運だったということ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120114)、知り合ったタイミングが絶妙だったということ、学部を国文学専攻にした(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150220)のは正解だったということを、つくづく思います。