ユーリの部屋

2015年04月01日 エイプリルフールではない (2)

4月に入り、桜も満開に。でも、今日はエイプリルフールではありません(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140401)。

では、久しぶりにメムリを(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%A5%E1%A5%E0%A5%EA&of=50)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%A5%E1%A5%E0%A5%EA)。

『メムリ』

http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=SP114615


Special Dispatch Series No 1146 Feb/24/2015


地中海からゴランまで―イランが構築する対イスラエル広域一体化正面

Y・カルモン(MEMRIの創立者で会長)Y・エホシュア(調査担当の副会長でMEMRI Israel の統括部長)


イスラエルは重大な危機に直面している。イスラエルはイランの核武装計画を恐れているが、それに勝るとも劣らぬ脅威にさらされているのである。アメリカとの核の合意が成立する前にイランがイスラエル国境にせまっているとは、夢にも思わなかったであろう。イスラエルに対するイランの脅威は、最早仮定の問題ではない。それは、イスラエルの核抑止力とも関係ない。そもそも核兵器は、国際的パワーバランスを考えると、使用できない。この脅威はいわば通常型。しかし直接的であり具体的である※1。


はじめに


近年、イランはシリアに基地を構築した。イランの部隊がシリア国内特にゴラン高原に直接進出しているほか、新しくヒズボラ・シリア組織をつくり、それをレバノン内の支配域の線に沿って配置している。

シリア特にシリア側ゴランにおけるイランの部隊進出は、当初複数の指揮所の設置と特殊部隊の限定的兵力の配置だけであったが、次第にイランの意図が明らかになってきた。その配置は後方ではなく境界域に近い。それだけではない。イランの計画によると、指揮所は「訓練をうけてシリア入りを待つイランのバシジ(民兵隊)13万を運用する」ために設置された。この意図は、イスラム革命防衛隊(IRGC)幹部ホセイン・ハメダニの声明(2014年5月)に明らかである。この声明はイランで発表された後すぐ検閲にかかり削除された※2。

反イスラエル活動を目的とするゴランの前線形成化については、イランとシリアの政府関係者が早くも2013年から口にしていた。その後2年の間に拠点作りは公然と実行されてきた(2013年5月27日付緊急報告シリーズNo.5307「ゴラン高原戦場化を意図するアサド政権とその盟友達」を参照)。この間ゴランではテロ作戦が何度か実施されたほか、情報蒐集活動もいろいろあった。イスラエル側は、ヒズボラとイランが関与している、と主張している。その行動には、ロケット発射、道路際の仕掛爆弾、ドロン機発進、ヒズボラへの武器搬送が含まれる。これに対してイスラエルはシリア領内にピンポイント爆撃で対応している。例えば、ミサイル搬送コンボイに対する空爆、シリア内のイラン側要人攻撃が指摘される。後者のケースでは、2015年1月の空爆がある。イラン軍幹部モハマド・アリ・アッラーダディ将軍が、爆死した。イランの主張によると、革命防衛隊最高幹部ハサン・シャテリの暗殺(2013年2月)もイスラエルの手による※3。

イランの直接的ゴラン展開で、地中海沿岸ロシュピナからゴランのクネイトラまでが、ひとつの戦場となる※4。ヨムキプール戦争の後1974年に兵力分離協力が成立し、以来ゴランは静穏であつた。イランの直接展開は、この体制を破るものであり※5、それよりも何よりも、ヒズボラによる国連安保理決議1701の違反がある※6。今年2月初旬、イランのAl-Alam TVのインタビューで、シリアのワリード・アル・ムアッリム外相は、「ヌスラ(Jabhat Al-Nusra)集団に対しイスラエルの意図に対し、ゴランで抵抗戦が展開中である」と言った。ヒズボラに近いレバノンの専門家アニス・ナカシュも「実際にゴランで抵抗戦が行われている」と述べている。彼によると、シリアの人民抵抗であるゴラン抵抗戦がイスラエルを相手に展開中で、イスラエルはこれに対して成す術もなく、お手上げ状態にあることを知られたくないので、認めようとしないという。安保理決議1701の違反についてナカシュは「最初から行き違いがあった。我々抵抗陣営は、彼等が履行を始めた瞬間から、決議1701を破った」と述べている※8。

更に、イランが境界域に展開したことは、この地域に戦争が勃発する可能性を示唆し、更に戦争の形態がどのようになるのか、その性格の予想もつく。端的にいえば、極めてローカルな事件がすぐに地域紛争に発展する可能性が強まった。今やイランは自国からイラク、シリア、レバノンそして地中海までをひとつの戦場として統制する※9。ここで指摘しておかねばならないが、2015年1月18日のイスラエルの攻撃に対して、ヒズボラが1月28日に報復したものの、大きい戦闘にエスカレートしなかった。イスラエルが反撃を控えたからである。イランの上級スポークスマンは、「イスラエルは全面戦争になることを極端に恐れている」と断言した※10。

イランがゴランに展開する目的はいくつかある。核武装計画に対するイスラエルの阻止行動を牽制し、抵抗枢軸の一部としてのシリアを防衛し、基地を整備して、イスラエルに対するテロ戦線を形成する。イスラエル側ゴランの解放すら視野に入れたものである。イラン政権はイデオロギー上イスラエルの合法的存在を拒否し、抹殺すべきものと考えるアリ・ハメネイ最高指導者自身がそう言っている。この対イスラエル観に従って、イスラエル抹殺の前段としてガザ回廊同様ウェストバンクは武装化しなければならない。

イランは、イスラエル抹殺の目的を以て展開しているだけではない。イスラエル国外のイスラエル/ユダヤをターゲットにする作戦能力の構築をはかっており、時々行動にでている※11。

 イランは、中東地域でさまざまな問題に介入し、イスラエル北部境界域に展開している。そのため、戦力を吸収され先細り状態になりつつある。それで、各地域の兵力に依存する度合を強めている。しかし、イランのイスラム革命の輸出がイラン政権のサバイバルに直接寄与しているのである。何故ならば、イラン国外での闘争というイデオロギー上の枠組のなかで、国軍と壮丁を動員するのは、イランの独裁政権にとって、国内蜂起と反政府闘争に対する予防接種役を果しているのである。


地域的背景:イスラエル国境域に兵力を展開するイラン―名目は対スンニジハード集団戦


近年イランは、中東情勢の変動を利用して、兵力の展開をはかっている。アメリカを中心とする西側陣営はシリア正面を放棄し、以来イラク、シリアそしてレバノンは、アフガニスタンのように、文字通りの無人地帯と化している。イランはそこにつけこんで支配力を強め、対イスラエル戦を念頭において拠点を設け、兵力を展開しつつある。先述のように、西側がシリア正面を放棄し、シリアの反体制派の蜂起に続く状況悪化に歯止めがかからなくなった。かくしてシリアは、地域のみならずグローバルな紛争の場となった。この紛争にかかわるのは、ヌスラ派(Jabhat Al- Nusra)、イスラムテロ組織ISISなどスンニ派の支援をうけている集団、それに対抗するイランとその衛星グループである。衛星グループには、ヒズボラ・レバノン、ヒズボラ・シリア、イラク民兵隊ハック(Asa`ib `Ahl Al-Haqq)、アフガンシーア派のファティミヨウン旅団(Fatimyyoun)などがある※12。

西側のシリア不介入は、イランのシリア浸透を引き起しただけではない。この不介入はおレバノン情勢に暗い影をおとし、状況の悪化を招いた。数百万の難民が流入し行政の破綻をきたしただけでない。レバノンは、イラン対スンニジハード集団の闘争の場となったのである。シリア不介入は、イラクの状況を更に悪化させた。ISISは、最初シリアで足場を築き、それからイラクのスンニ派域に浸透して、そこで支配権を固めた。イラク国軍は崩壊状態にあり、それに乗じて親イラン派民兵と革命防衛隊(IRGC)のクードス部隊(カセム・ソレイマニが指揮)が進出した※13。

かくしてイランは、同国の政府関係者が度々述べているように、イランから地中海沿岸まで戦場を一本化したのである。例えば、前IRGC司令官で最高指導者ハタミの安全保障問題顧問サファビ(Yahya Rahim Safavi)は、2014年5月に「我々の戦略縦深は地中海に達している。イスラエルの頭上まで広がっているのだ」と豪語した※14。最近も似たような発言がいろいろある。ハメネイが自分の代理としてIRGCに派遣しているサエーディ(Ali Saeedi)は、「イスラム共和国イランの境界は(ずっと)地中海まで拡大した。その地域内諸国はイランに支援されている」、「我々は、イスラム革命のグローバル化の地固めをしなければならない」と言った※15。別の機会には、「かつて我々の境界はハジ・オムラン(イラン・イラク国境)であったが、その境界は今や西の地中海から東のバブエルマンデブ(イエメン)までとなった」とも述べている※16。IRGC司令官ジャファリ(Mohammad Ali Jafari)は、「イスラム共和国イランと(イスラム)革命は今や拡大して、国境で自国を守らなくてもよくなった。傲慢(アメリカを初めとする西側)の正面に対し、我々はシーア派スンニ派の兄弟達としっかり肩を組み戦っている。イラン国境から何千キロも離れた所でだ」と言った※17。

イランは、地理的にはイスラエルから相当離れているが、シリアとレバノンがイラン主導の抵抗体の構成員となり、イスラエルに膚接したところに存在し、イラン自体がイスラエルの国境域に展開することになった。つまりはイスラエルの隣人になった。


ロシュハニクラからクネイトラまで―対イスラエル闘争正面の形成


イランは、過去2年間にだされた声明を実行し、ロシュハニクラからクネイトラまで地続きの闘争正面をつくりあげた。イランとその衛星のヒズボラ・レバノンとヒズボラ・シリアは、国連安保理決議1701に公然と違反しながら、自由にイスラエルを相手とした行動をとっている。1974年に成立したイスラエルとシリア間の兵力分離協定は、有名無実となってきた。

声明実行の一環として、シリア側ゴランは、イランの作戦正面になっている。ゴランにおけるイランの戦略的プレゼンスは、最初秘密裡で、「スンニ派テロリズムに対する戦争」の名のもとに「抵抗枢軸を守るため」と称して、密かに拠点をつくり兵力を送りこんだ。しかし時間がたつうちに、公然の行為となった。シリア側からイスラエル国内のターゲットにあからさまな威嚇をするのである。例えば、2013年5月にイランからヒズボラへ、ファテフ型長距離ミサイル(Fateh 110)が搬送されている時、イスラエル空軍機が攻撃した。その際イラン、シリアそしてヒズボラの各スポークスマンが、ゴランにおける抵抗の必要性を説く声明をだした※18。2013年5月7日、イランのサレヒ(Ali Akbar Salehi)外相との会談で、シリアのアサド大統領は「ゴランは抵抗の最前線になる」と言明した※19。イランのフィロウザバディ(Hassan Firouzabadi)参謀総長も、「アサドの戦略的決心に従って、ヒズボラ型をベースとした人民抵抗がシリアの端から端まで構築中である」と述べている※20。

抵抗枢軸の最高幹部達は、それぞれ声明のなかで、枢軸の枢軸たる所以は、対イスラエル闘争正面としてシリア側ゴランを活性化だけでなく、イスラエルからシリア領 シリア領ゴランを解放することにある、と強調する。イランのヤゼイエリ(Mas`oud Jazeyeri)参謀次長は、この地域に多くの変化が生じるとし、「その変化のうちいくつかは、ゴランを介して生起する」と明言したうえで、「ゴランの解放は不可能ではない」と言った※21。一方ヒズボラのナスララ書記長は「シリア領ゴランを解放するため」にシリアの抵抗を支援すると発表した※22。ハッタル(Nahed Hattar)はレバノン紙Al-Akhbarで「イスラエルの手からゴランを奪回しなければ、シリアの戦争(ジハード諸組織をシリアから駆逐する戦い)は完結しない」と主張している※23。

ヒズボラ・レバノンは、ロシュハニクラからクネイトラまでを地続きの正面として一体化する方針にもとづき、レバノン・シリア国境を無視し、シリア特にシリア側ゴランで自由に作戦行動をしている。レバノン内での批判など意に介しない※24。イスラエルのクネイトラ空爆(1月18日)に対するヒズボラの報復(1月28日)の2日後、ナスララ書記長は、「地域の分断はない」との現実認識を示し、抵抗は戦いを有利に展開するため「己の望む場所と方法で」敵と対決すると主張した。更にナスララ書記長は、この日の演説で、イスラエルの空爆で死亡したヒズボラとIRGC工作員に触れ、「シリアの地でレバノンとイランの血がまじり合った」と表現し、この血の結合は「大義はひとつ、将来はひとつ、戦いもひとつ」であることを物語ると述べた※25。この演説でナスララ書記長は、イスラエルとの交戦ルール(安保理決議1701に示されている規定)は変ったと言っている。実際のところ、ヒズボラはこの安保理決議にいろいろな面で違反行為をやっている。リタニ川以南にIRGC部隊と並んで配置についているのは、違反行為のひとつである。

ロシュハニクラからクネイトラまで―イスラエルとの対決に向けた正面の一本化

イランのめざす新しい正面の形成は、次の二つの要素がある。a)ヒズボラ・レバノン型をベースとしたヒズボラ・シリアの編成、b)ゴランに対するイラン部隊の直接介入。


A.ヒズボラ・シリア―対イスラエル闘争の新集団


今後の対イスラエル闘争に備えた戦略的考慮から、イラン主導でヒズボラ・シリアが編成中である。2014年5月に行った演説で、革命防衛隊(IRGC)幹部ハメダニ(Hosseim Hamedani)は「地域のパワーバランス上シリアが決定的な地政学的地域になった」、「イランは第2のヒズボラを編成した。14のシリア行政地区に民兵隊を配置。隊員はシリアのシーア派スンニ派そしてアラウイ派で構成され、兵力7万である」と述べている※26。

イランの保守穏健派ウェブサイトFardaがだした分析(2014年4月21日付)は、「ヒズボラ・シリアの編成は、抵抗の発芽であり、シリア危機にインパクトを与えるのみならず、抵抗の強力な武器となり、シオニストに悪夢となるであろう。シオニスト政権は、従来レバノン国境沿いの脅威を懸念していたが、今や新しい状況に対応せざるを得なくなった。昨今の出来事が示すように、抵抗正面は日一日と一体化しつつあり、シオニストとのその支持者にとって状況は日増しに悪化している」と解説した※27。

バシジ(イラン民兵隊)のナクディ(Mohammad Reza Naqdi)司令官も、同じようなことを述べ、「ヒズボラは1982年のレバノン戦争後に登場した。パレスチナ人対するさまざまな攻撃の後、パレスチナのインティファダが生まれた。そして今日。シリアに対する策謀や攻撃に続いて軍部隊が編成されている。見ての通りだ。この抵抗部隊がエルサレムを解放する」と主張した※28。


B.ゴラン及びレバノンに対するイランの直接介入


かつてイランは、シリアのアサドそしてレバノンのヒズボラを使って対イスラエル闘争を続けてきた。しかし最近になると、イランの直接介入が強まってくる。シリア特にシリア側ゴランに革命防衛隊とクードス部隊兵が公然と駐留する。前述のように前革命防衛隊司令(テヘラン地区担当)ハメダニは、「訓練をうけたイランのバシジ隊13万人が、腕を撫してシリア行きを待っている」と言った※129。

アラブメディアも、2013年5月以来イラン部隊がゴランに常駐している、と報じている。その報道には、シリアの反政府諸勢力が提供した詳しい情報が含まれている。例えば革命防衛隊が駐留する重要基地として、シャアル(Tal Al-Sha`ar)、アフマル(Tal Al-Ahmar)、第90師団司令部、アマル(Mazari` Al-Amal)近くのスパイ基地、シュハダ(Al-Shuhada)のキャンプなどが指摘されている※30。

イスラエル・レバノン国境に革命防衛隊がかなりの数駐留していることは、革命防衛隊に近いツイッターにも写真付きで掲載され、「被占領下パレスチナ(とレバノンとの)国境に駐留するイスラム革命のIRGC兵達」と説明がある※31。そういえば、2012年1月にレバノンで怒りの声があがったことがある。革命防衛隊のクードス部隊指揮官ソレイマニ(Qassem Soleimani)将軍が「イランは南レバノンとイラクに部隊を駐留させている」とし、「この二つの地域は、イスラム共和国イランの哲学と活動のもとにある」と言ったからである。

ゴランと南レバノンに革命防衛隊の上級将官が物理的に存在することは、イランの目から見ればこの二地域が重要であることを示唆する。その将官には、例えばゴランにアッラーダディ(Mohammad Ali Allahdadi)将軍がいた。2015年1月のイスラエルの空爆で爆死した後、その存在が明らかになった。レバノンにイランの将軍で革命防衛隊の指揮官シャテリ(Hassan Shateri)がいたが、2014年2月にダマスカスからベイルートへ向かう軍コンボイ空爆されて、こちらも爆死した※33。そして、ソレイマニ将軍の存在もある。こちらは、シリアでも特にクネイトラとダルアーを中心に活動していた※34。


パレスチナ抵抗運動の北部正面参戦


ハマスのようなパレスチナ抵抗運動も、北部正面でイスラエルと戦う意志を示している。その地域の難民キャンプ居住のパレスチナ人を動員するのである。

ハマス幹部のザハル(Mahmoud Al-Zahar)は、「北部パレスチナから敵に抵抗するため」にレバノンとシリアの難民キャンプに、ハマスの軍事部門であるカッサム旅団の所属隊編成を呼びかけている※35。それと同時に、ハマスとイラン及びヒズボラとが関係を修復しつつあるという情報が次第に増えている。ハマスがシリアの革命を支持したことから、緊張した関係にあったのである※36。

パレスチナ解放人民戦線PFLP)の副議長ファド(Abu Ahumad Fouad)はザハルの呼びかけを支持し、「この民兵隊の編成は抵抗運動という枠組のもとで実行されなければならない。その枠組にはレバノン・ヒズボラも含まれる」と主張する。Al-Mayadeen TVでは、「我々は、イスラエルの占領に対する統一戦線の形成について、ヒズボラ書記長が言ったことを信じる。この件に関して話合いが行われているところだ。パレスチナ抵抗作戦を展開し、レバノンの抵抗と協調するのが狙いだ」と述べている※37。

ハマスのAl-Aqsa TV報道ディレクターであるザクート(`Imad Zaqout)は、カッサム旅団が近隣諸国で戦闘グループを既に運用しており、2014年のガザ戦争(イスラエルの呼称は境界防衛作戦)でレバノンからイスラエルへロケットが撃ちこまれたのは、旅団の命令による、と初めて明らかにした。更にこの報道ディレクターは「今後、敵シオニストとの戦いは全方位の統一戦闘になる。ハマスはそのように考え計画している」とつけ加えた※38。


Vゴランのイラン正面―目的はイスラエル抹殺イデオロギーの顕現


ロシュハニクラからクネイトラまで地続きの統一正面をつくることは、イランのイスラエル抹殺戦略とかみ合っている。イランの最高幹部達は、最高指導者ハメネイから政府と軍の首脳まで繰返しこの目的遂行の責務を語ってきた※39。

その数例を次に紹介する。

最高指導者ハメネイは、2014年7月23日の演説で、「シオニスト体制の破壊が唯一の解決である」と言った※40。革命防衛隊情報部長ホセイン・タエブとは兄弟のアッマル司令部(ハメネイのシンクタンク)所長メフディ・タエブ(Mehdi Taeb)は、2014年11月12日にコムでおこなった講演で「イランの刃は呪われたイスラエルの喉元に突きつられている。イスラム共和国の父であるホメイニ師の御遺訓に従って、我々はこの暴虐存在体を地図から抹消しなければならない…ホメイニ師は、バシジ隊をシオニスト撃減の(武力)と考えられた。今日、神の御加護によりイランはこの同じ人民軍でイスラエルを包囲した」と述べた※41。

革命防衛隊の幹部達も同じようなことを言っている。2014年8月27日、副司令官サラミ(Hossein Salami)は、「シオニスト存在体の壊滅は至極明確な課題である…漸次生起していく。これは我々の単なる願望を越えた(神に対する)誓いである」言った※42。2014年11月26日、バシジのナクディ司令官は「イラン人民とバシジ隊々員は、イマム(ハメネイ)を先頭にアルアクサモスクで勝利の礼拝を行う決意である」と主張する※43。その翌日革命防衛隊海上部隊幹部ラズムジョウ(Ali Razmjou)も、「シオニスト存在体は、バシジとヒズボラ戦闘員の抵抗によって、近い将来世界地図から抹消される」と述べた※44。


V1ウェストバンクとイスラエルのアラブ系住民の武装化によるパレスチナ正面の形成


イランのイスラエル抹殺戦略は、シリア及びゴランにおける活動に加えて、ウェストバンクそしてイスラエル国内のアラブ系住民の武装化を含む。ガザ回廊を武装化したように、この二地域もそれをやるわけで、その戦場化をめざす。これが総合戦略で、イランの体制側は日増しにこの発言をするようになった※45。ハメネイ自身ウェストバンクの武装化を何度か口にしている。例えば2014年7月23日の演説で、「アッラーの御意志である。この存在体が破壊される日は必ずくる。(しかし)この偽りの存在が動きまわっているなら、どうすればよいのか。全面的な武力抵抗が解決法である…つまり、ウェストバンクもガザと同じように武装化が必要ということである」と言った※46。ハメネイのフェイスブックには、2014年7月26日付で「ウェストバンクはガザと同じように武装化されなければならない」との主張が掲載された※47。

ほかの幹部達も、戦略の一環としてのウェストバンク武装化を主張している。マジリス国家安全保障委員会の副委員長ハギーガートポール(Mansour Haghighatpour)は、「目標のひとつはウェストバンク武装化だ。シオニスト存在体と戦うためには、これが最適の手段である」と言った※48。アフマディネジャド大統領時代国防相で革命防衛隊クードス部隊の司令官でもあったヴァヒディ(Ahmad Vahidi)は、「ウェストバンク武装化は最高指導者ハメネイ師の戦略政策であり、その実行でパレスチナ正面は変貌する」と述べ、1948年の被占領地(イスラエル)の武装化さえ呼びかけた※49。2015年1月27日、テヘランでヒズボラ代表出席のもとヒズボラ戦死兵(クネイトラ空爆の爆死者)追悼式が行われ、席上国防相デフガン(Hassan Dehghan)は、「我々は、ウェストバンク武装化に尽す…強奪と占領の権化であるシオニスト存在体を撲滅するため、ウェストバンクの武装化、抵抗枢軸とヒズボラ戦力の強化を推進する。これがイスラム共和国の政策である」と明言した※50。

2014年8月29日、2014年のガザ戦争の停戦に際して、革命防衛隊司令官ジャファリは、パレスチナ人民に対する祝意メッセージを送り、ガザの抵抗に対するイランの支持を表明し、シオニスト存在体の抹殺期待に触れ、「我々は目的達成まであなた方と共に断固として戦う。ジハードの旗を掲げて神の道をあゆむ。君達の名誉そして全ムスリムの名誉がこの聖なるジハードとリンクしているのである。アッラーの御加護により、崩壊の一途をたどる吸血体シオニストを、やがて抹殺する。これがこの神の道の最大の成果となる。この究極の勝利は遠くない」と述べた※51。


ダラ域の戦闘でイスラエル包囲環は完成


ここで指摘しておかなければならない点がある。シリア軍、ヒズボラそしてイラン部隊がシリア南部正面で共同攻撃を行ない、ダラ域から反政府勢力を駆逐した。この作戦は「クネイトラ殉教者の戦い」と称され、シリア政府がシリア領内におけるイラン部隊の存在とアサド政権軍の共同戦闘を公然と認めたのである。それに加えて、ソレイマニ将軍が現地を訪れ、更にヒズボラと革命防衛隊の旗が掲揚された※52。

シリア南部を奪回する共同作戦は、シリア、イラン及びヒズボラが、イスラエルとその盟友に対する闘争の一環とみなす戦いである。この地域における勝利で、イラン部隊が南部ではヨルダン西ではイスラエルの各国境に一歩近付く。そしてクネイトラ域の反政府勢力を駆逐する地固めとなり、更にはダラ、ダマスカスそしてクネイトラを結ぶ線は面となり、それがレバノンまで地続きとなる。

シリアの軍司令官はシリアのテレビで、ダラ域の作戦が「ヒズボラの抵抗枢軸との共闘で実施された」ことを認め、ダラ及びクネイトラ域の作戦は「隣接諸国(イスラエルとヨルダン)との境界域の静穏を確保し。彼等が安全保障地帯を設定しないようにする」のが目的であると言った※53。

シリアの政権に近いAl-Hadath Newsウェブサイトも、戦闘にイランが介入したことを明らかにしたうえ、現地に姿を見せたソレイマニ将軍の写真も掲載した。その報道は次の通りである、

「イランはこれまでシリア軍内に軍事アドバイザーを常駐させる形でシリアでの戦闘に関与していたが、最近公式且つ公然と戦闘に参加することを決めた」、「ソレイマニ将軍が南シリア作戦の直接指揮のため現地入りした」、「将軍の出現は、作戦に明確な地政学的軍事的性格を付与した。つまり、南レバノンで采配を振うことを意味する」、「本攻撃の第1目標は、ダラ域で反政府武装勢力を撃破することである。ついでクネイトラを掃討する。これは敵シオニストに大きい打撃となる」、「南シリアは今やシリアの内部紛争或いはシリア対タクフィリ勢力(ジハード集団)との紛争ではなく、抵抗枢軸(イラン、シリア、ヒズボラ)対イスラエル‐ヨルダン‐アメリカ同盟の紛争の場となった」※54。

ヒズボラに近いレバノン紙Al-Akhbar会長のイブラヒム・アルアミンは、2月11日紙面で本件を書き、抵抗枢軸の最高指導部が、「ヨルダン及び被占領下パレスチナの境界沿いに新しい政治、軍事及び安全保障上の現実をつくる」ことを決定した、と報じた※55。


イランとその代理人によるイスラエル包囲の意味するもの


イランは、ゴラン、レバノンそして地中海沿岸に進出した。イランのプレゼンスは、極くローカルな事件でも、イランが直接かかわる中東地域の総合戦に発展する状況をつくりだした。ヒズボラのナスララ書記長は、2015年1月後半に行った演説で、クネイトラで爆死した工作員6名の報復は完了したと述べ、組織は戦争など考えていない、と言った。しかしイランは攻撃の構えを崩さず、威嚇を続けている。世界各地のヒズボラ細胞を使って、地域内外で騒ぎを起す可能性がある※56。レバノンの報道には、局地戦争の勃発の可能性を示す記事がいくつもだされている※57。

ヒズボラがレバノンから行動する限り、イスラエルはそれを阻止できる。ヒズボラが保有するミサイル戦力(10万発を越える)の総動員でイスラエルをレバノンから攻撃すれば、レバノンのインフラ全壊をもたらす。このシナリオがヒズボラを制する抑止力として働いている。しかし、ヒズボラがレバノン国外からイスラエルを攻撃すれば、イスラエルは同じ方式では対応できなくなる。

イランについてはどうであろうか。イランは地中海から南シリアまで地続きの一体化正面をつくりあげ、イスラエルと対峙することになった。ヒズボラを動員することも可能である。この組織は重大な代償を払うことになるが、イランからみれば手駒である。

実際のところ、シリア正面特にゴランは、イランにとって都合のよい作戦域になったといえる。イラン国内を発進基地にするのと違って、ここで行動すれば戦争が国内に波及する恐れは小さくなる。2013年2月8日、ハメネイのアドバイザー役ベラヤチ(Al Ahmad Velayati)はこの主旨に沿って「イランは国境外の防衛線構築を計画し、自国とイスラム諸国を運命共同体にした。(シリアの大統領)アサドのような人々を徹低して支援するのはそこに理由がある…」と言った※58。ハメネイのシンクタンク(Ammar)所長メフディ・タエブは「シリアの喪失はテヘラン自体の喪失につながる」と言っている※59。

イスラエルに膚接した地域にイラン部隊が存在することは、イランの核武装計画に対するイスラエルの軍事手段行使力が制約されることである。イランは長距離ミサイルを保有し、これがイラン部隊の常駐を補完する。イランの核武装計画に対するイスラエルの軍事力行使を或る程度抑止したのは、これまでヒズボラ・レバノンであった。今やヒズボラ・シリアの出現とイラン部隊のゴラン進出で抑止力は大いに強くなった。

メフディ・タエブによると、イランの対イスラエル抑止力の中心に位置したのは、ヒズボラ・レバノンで、2006年のレバノン戦争でそれが証明されたという。タエブは2013年に行った講演で、イランがイスラエルの核兵器を攻撃する必要はなかったとし、「我々はヒズボラを以て(イスラエルを)完全に封じこめていたからである。2006年のレバノン戦争時シオニスト政権はこの封鎖環(ヒズボラのこと)をこわそうとした。しかし、33日間の戦闘後、あきらめて(レバノンから)去ったのである」と言った※60。

Al-Akhbarのコラムニストであるハッタル(Nahed Al-Hattar)も、イスラエル国境域へのイラン部隊展開について、「イスラエルは国際上の配慮から核の使用ができない。一方イランは、イスラエルに対して?通常型の直接的且つ有力な?脅威をつくりあげた」、「今やイスラエルは致命的な危機に直面するに至った。イランの核計画には大変な恐怖感を抱いていたが、アメリカとの核の合意が成立する前にイランがイスラエルの境界にせまるなど夢にも思っていなかった。イスラエルの持つ核の抑止力は、国際的なパワーバランスを考えると使用できない。かくして、イスラエルに対するイランの脅威は机上の空論ではなく、現実のものとなり、前述のように通常型の直接的になったのである」と述べている※61。


[1] ハッタル(Nahed Al-Hattar)記事。2,015年2月13日付daily Al-Akhbar.(レバノン)

[2] Fars (Iran), April 5, 2014. 次も参照:MEMRI Special Dispatch No. 5848, Iranian Media Reports Deleted Following Publication (1): Senior IRGC Official Speaking On Iran's Military Involvement In Syria Says Iran Has Established 'Second Hizbullah' There, September 25, 2014.

[3] イスラエルの北部国境域では過去2年間に沢山の事件が発生した。2013年4月、南レバノンからドロン機を発進させた事件。イスラエルの判定では革命防衛隊々員による。2013年5月、ヘルモン山のイスラエル側観測所を狙ったロケット発射。2013年8月、イスラエル・レバノン国境付近における道路際の仕掛爆弾。2014年3月及び10月、イスラエル・シリア境界付近の道路仕掛爆弾。2014年6月イスラエルの車両に対するシリアからの対戦車ミサイル発射。2014年8月、クネイトラからイスラエルへのドロン機侵入。2015年1月、ゴランでのロケット発射。これは武器弾薬の搬入に対するイスラエルの攻撃と平行して起きている。搬入、保管に対するイスラエル機の空爆は、次のものが含まれる。2013年1月、シリアのヒズボラへのSA-17対空ミサイル搬入。2014年2月、ミサイル及びランチャー搭載のトラック搬入。2014年12月シリアからレバノンへ向かう途中のロシア製ミサイル保管所。

[4] ロシュハニクラからクネイトラまで(地中海からゴランまでの意)という表現はレバノン紙に繰返しでてくる。例えば次を参照。

2015年1月19日付Al-Safir, 同日付アルショウフ(Firas Al-Shoufi )記事Al-Akhbar, 及び2015年1月21日付ハッタル(Nahed Hattar)記事Al-Akhbar. このAl-Akhba紙会長アルアミン(Ibrahim Al-Amin)も2013年5月27日から同種のことを述べ始めている。

[5] 四十余年に及ぶ兵力分離協定の維持が破られたのは極めて深刻なことである。アサドは2015年1月25日付フォーリンアフェヤーズ誌のインタビューで、協定違反を否定し、「1974年の停戦以来、ゴラン高原で対イスラエル作戦が実施されたことは一度もない。一度もない。作戦計画があったというイスラエルの主張は実際とは全然違う。誰かヒズボラの者を殺したいための言いがかりである」としらを切った。

[6] ヒズボラの決議1701違反については、次を参照:MEMRI Special Dispatch No. 5857, "Daily Close To Hizbullah: In Violation Of UNSCR 1701, Hizbullah Has Resumed Operations South Of The Litani River," October 13, 2014.

[7] Al-Alam TV (Iran), February 2, 2015.

[8] LDC (Lebanon), January 29, 2015.

[9] ヒズボラとイランに近いコラムニストの多くが、イスラエルとの全面戦争が近いというシナリオを発表している。例えば、カンソ(Wafiq Qanso)は、ヒズボラの先制攻撃の検討について書き、「時と場所そして対処法は、抵抗指導部の検討課題である」とし、「地域の現実と(イスラエルによる)反撃及び大々的戦闘に発展する可能性を含め、さまざまな要素を考慮することになる」と述べた(2015年1月21日付Al-Akhbar)。レバノンの評論家アリ・ハイダルは「イスラエル直接的軍事介入は、もっと評論家アリ・ハイダルは「イスラエルの直接的軍事介入は、もっと重大な規模も大きい地域介入を引き起し、エスカレートしていく」シナリオを描く(㋁13日付同紙)。一方政権に近いイランの評論家ハサン・ハニザデーは、「現今の衝突は、南レバノンに封じこめられない大々的戦争のプレリュードで、クネイトラの南の方まで拡大するかも知れない」と分析する(1月28日付Fars)。前出アル・アクバル紙のイブラヒム・アルアミン会長は、「全面的な対決になる可能性がある。そうなれば、レバノンとシリアの境界など排除されてしまう」と書いた(2013年5月27日付Al-Akhbar)。

[10] 革命防衛隊のハメネイ代表部アドバイザーのジャバニ(Yadollah Javani)准将は、2015年2月15日放映のアルアラムTVのインタビューで、「ナスララ書記長は彼等(ヒズボラ)が(1月18日の)攻撃に反撃する、と発表した。それが実行されたのは、見ての通りである。シオニスト達は対応しなかった。これがこの反撃の見事なところだ。彼等(イスラエル)が全面戦争になるのを恐れている証拠である」と述べた。

[11] 最近世界中のイランとヒズボラの細胞が、イスラエルとユダヤ関連の施術等に攻撃を意図し、多数の計画が発覚している。例えば2015年1月初旬、ウルグアイ政府がモンデビデオ在イラン大使館のトップ外交官のひとりを追放した。イスラエル大使館の近くに爆弾を仕掛けた事件の関係者である(2015年2月6日付alarabiya.net)。2014年4月にはヒズボラ工作員2名が、イスラエル人観光客を襲撃しようとして、タイで逮捕された(2014年4月18日付al-Arabiya.net)。2013年5月、ナイジェリアの治安部隊が、ヒズボラの細胞を摘発した。同国及び西アフリカ各地のイスラエル人と施設を襲撃する意図であった。2013年2月、ナイジェリアの治安部隊が革命防衛隊のクードス部隊所属のテロ集団を摘発した。ラゴスにあるユダヤ教施設ハバッドハウスとイスラエル海軍チムの事務所を攻撃する計画であった(Haaretz, IBA, May 30, 2013)。

[12]  イラン部隊がシリアで戦闘に参加しているニュースは、2013年初めからイランで報道されていた。次を参照:MEMRI Inquiry & Analysis No. 1040, "Despite Denials By Iranian Regime, Statements By Majlis Member And Reports In Iran Indicate Involvement Of Iranian Troops In Syria Fighting," December 4, 2013.

最近、Al-Sharq Al-Awsat(2015年2月13日付、ロンドン)が、シリア革命・反政府勢力の国民連合メンバーであるアフマド・ラマダンの発言を引用する形で、イランがイラクとアフガニスタンのシーア派戦士をシリアのラタキアに空輸している、と報じた。ダルアーへ派遣される前に革命防衛隊によって訓練されているという。

[13] 次を参照:MEMRI Special Dispatch No. 5877, Iranian Campaign Touts IRGC Qods Force Commander Qassem Soleimani As 'Savior Of Iraq'; Soleimani: Iran Has Thousands Of Organizations Like Hizbullah; I Pray To Die A Martyr, November 10, 2014.

[14] Mehr (Iran), February 5, 2015.

[15] Tasnim (Iran), February 11, 2015.

[16] Tasnim (Iran), February 4, 2015.

[17] Mehr (Iran), January 30, 2015.

[18] 次を参照:MEMRI Special Dispatch No. 5848, Iranian Media Reports Deleted Following Publication (1): Senior IRGC Official Speaking On Iran's Military Involvement In Syria Says Iran Has Established 'Second Hizbullah' There, September 25, 2014.

[19] Al-Quds Al-Arabi (London), Almayadeen.net, May 7, 2013.

[20] ISNA (Iran), May 11, 2013.

[21] 声明は、ヒズボラのAl-Manar TVインタビューでだされた。Irinn.ir, May 17, 2013.

[22] Al-Safir (Lebanon), May 10, 2013.

[23] Al-Akhbar (Lebanon), February 13, 2015.

[24] 最近、レバノンの前首相でムスタクバル派の議長であるハリリ(Sa`d Al-Hariri)が、ヒズボラのシリア介入を激しく批判した。父親ラフィク・ハリリの暗殺10周年の追悼演説で、「我々はヒズボラに、シリアの戦争に介入するのは狂気の沙汰だ、と言ってきた。この組織は我国にテロリストの狂気を既に持ちこみ済みである。この組織は、南(レバノン)をゴランと結びつけている。これを狂気も沙汰である。シリアから出て行け。シリアの大火をレバノンに持ちこむな、テロリストの火災は消せ、ゴランから火事を持ちこむな。このままでは、火災がどうなるか判らぬような状態になる」と警告した。次を参照:Youtube.com/watch?v=G90oHQpD-AU#t=174, February 14, 2015.

ヒズボラのシリア介入に関するレバノン国内のこれまでの批判については、次を参照:MEMRI Inquiry & Analysis No. 980, Lebanon Openly Enters Fighting In Syria, June 13, 2013. ヒズボラに近いレバノン紙は、2013年5月以来レバノン・シリア国境の廃止、レバノンからシリアへ至る地続きの抵抗正面の形成を、機会ある毎に提唱している。イスラエルとの全面対決を前提とした呼びかけである。例えばイブラヒム・アルアミンはAl-Akhbar (2013年5月27日付)で、「実際問題として考えれば、(イスラエルの北部正面はレバノンからシリアまでだから)、誰でもこの北部正面という広域化をベースとして考え、行動すべきである。近い将来、(対イスラエル)レバノン国境は静かなまま推移し、パレスチナ(イスラエルのこと)・シリア国境域(ゴラン)が最も動きの激しい正面になる、と思われる…つまり、レバノンの抵抗戦線とシリアとの統合は新しいレベルに達するということである。全面的な紛争になると、シリアとレバノンを分けて考えるのは無理である」と主張している。同紙2015年1月23日付には、コラムニストのハッタル(Nahed Hattar)が、「ゴランは、レバノン、シリア、ヨルダンそしてイラク(人民)の共有する汎アラブ域である。本日以降部分的な抵抗や国別の部分的計画は最早存在しない」と述べた。次も参照: MEMRI Inquiry & Analysis No. 1138, Following Killing Of Hizbullah Operative Jihad Mughniyah, New Information Comes To Light Regarding Hizbullah, Iranian Activity In Syrian Golan On Israeli Border, January 28, 2015.

[25]  2015年1月31日付Al-Safir (レバノン)。前日、革命防衛司令官ジャファリが「イランとヒズボラはひとつである。戦場に流れる我が殉教者の血はまじり合ってひとつとなる。我々の対応も同じとなる」と同じようなことを言った。2015年1月30日付Fars(イラン)。

[26] Fars (Iran), May 4, 2014. 次も参照:MEMRI Special Dispatch No. 5848, Iranian Media Reports Deleted Following Publication (1): Senior IRGC Official Speaking On Iran's Military Involvement In Syria Says Iran Has Established 'Second Hizbullah' There, September 25, 2014.

[27] Farda (Iran), April 21, 2014.

[28] Al-Manar TV (Lebanon), May 10, 2013.

[29] Fars (Iran), May 4, 2014.

[30] 次を参照:MEMRI Inquiry & Analysis Series Report No. 1138, Following Killing Of Hizbullah Operative Jihad Mughniyah, New Information Comes To Light Regarding Hizbullah, Iranian Activity In Syrian Golan On Israeli Border, January 28, 2015.

[31] 次を参照:MEMRI Special Dispatch No. 5915, Iranian Army Twitter Account, Iranian Army-Affiliated Blog Report: IRGC Troops At Lebanon-Israel Border, December 26, 2014.

[32] ISNA (Iran), January 18, 2012。レバノン政府はこの声明に関して説明を求めたが、イラン外務省による否定で終った。2012年1月25日付Fars (イラン)を参照。

[33] Al-Gumhouriyya (Egypt), Alarabiya.net, February 15, 2014.

[34] シリアの反政府側は、ソレイマニがクネイトラで目撃されたと報じた、2015年1月19日付Al-Nahar(レバノン)。2015年1月21日付Al-Akhbar(レバノン)にも「カッセム・ソレイマニがベイルートへ行く途中ダマスカスに立寄り、抵抗の首脳部と会った」という報道があった。ソレイマニが最近ダルアーを訪れたという報道が写真付きでいくつかある。Alhadathnews.net, February 10, 2015.

[35] Almanar.com, February 4, 2015.

[36] Al-Akhbar (Lebanon), January 10, 2015, October 23, 2014.

[37] Alwatanvoice.com, February 6, 2015.

[38] Alwatanvoice.com, February 6, 2015.

[39] 次を参照:MEMRI Special Dispatch No. 5906, Iranian Regime Escalates Threats To Annihilate Israel, December 17, 2014.

[40] 次を参照:MEMRI TV Clip 4366, Iran's Leader Khamenei: Armed Struggle Should Continue until Israel Is Destroyed by a Referendum, July 23, 2014.

[41] Snn.ir, November 12, 2014.

[42] Fars (Iran), August 27, 2014.

[43] Fars (Iran), November 26, 2014.

[44] IRNA (Iran), November 27, 2014.

[45] 次を参照:MEMRI Special Dispatch No. 5906, Iranian Regime Escalates Threats To Annihilate Israel, December 17, 2014.

[46] 次を参照:MEMRI TV Clip No. 4366, "Iran's Leader Khamenei: Armed Struggle Should Continue until Israel Is Destroyed by a Referendum," July 23, 2014.

[47] 次を参照:Special Dispatch No. 5808, "Iranian Supreme Leader Khamenei Calls For The Annihilation Of Israel," July 28, 2014.

[48] Fars (Iran), November 27, 2014.

[49] Tasnim (Iran), July 26, 2014.

[50] ISNA (Iran), January 27, 2015.

[51] Tasnim (Iran), August 29, 2014.

[52] ソレイマニがダルアーにいたという写真付報道は、2015年2月11日付Alhadathnews.netを参照。イラン部隊がダラの戦闘に介入した件は、アラブ紙にいろいろ報道された。例えば次を参照:2015年2月13日付Al-Akhbar, 同2月12日及び13日付Al-Sharq Al-Awsat。後者の新聞 (2015年2月12日付) 記事には、「この地域のヒズボラ指導部は、ダルアー 北方サナミンの第9師団基地の特別作戦本部室に位置する」とある。

[53] Lbcgrouop.tv; Al-Riyadh (Saudi Arabia), February 12, 2015.

[54] Alhadathnews.net, February 11, 2015.

[55] Al-Akhbar (Lebanon), February 11, 2015.

[56] イランはこれまでいろいろ威嚇してきた。クネイトラ攻撃の後、革命防衛隊クードス部隊副司令エスマイル・カーニは、「我々はイスラエルが抹殺されるまで休むことはない」と言った。2015年1月22日付Mekr (イラン)。革命防衛隊司令官アリ・ジャファリは、世界各地のヒズボラ細胞を動かして対応すると威嚇し、「彼等(イスラエル)は世界中に潜伏するヒズボラの力をよく知っている姿だ。イスラムの敵と戦うのだ。彼等はその実力を恐れている。境界で囲まれた地域だけでなく、シオニストやその支持者がいる所でも壊滅的打撃をうけることを、覚悟していなければならないと」と警告した。2015年1月30日付Fars(イラン)。

[57]これについては脚注9を参照。

[58] Yjc.ir, February 8, 2013

[59] 次を参照:MEMRI Inquiry & Analysis No. 946, "Iranian Official: The Loss Of Syria Will Lead To The Loss Of Tehran Itself; Syria Is An Iranian Province; Iran Has Formed A 60,000-Strong Syrian Basij; Israel Is Our Only Threat," March 11, 2013.

[60] 脚注59を参照。

[61] Al-Akhbar (Lebanon), February 13, 2015.

http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=AN598615


Announcement No 5986 Mar/22/2015


「治安協力を拒否し人民抵抗とエルサレム・インティファダを支持」


PLO中央評議会の決定


PLO中央評議会の第27期会議が、犒忍不抜人民抵抗瓩鬟好蹇璽ンとして、2015年3月4〜5日に開催された。会議終了に際してだされた声明で、評議会はイスラエルとのあらゆる形態の治安協力の停止、を発表した。更に評議会は、1967年6月4日現在の境界線1949年の休戦ライン)を境界とし、エルサレムを首都とするパレスチナ国家の建設、国連決議194に従った難民の帰還権の保証、アラブの和平イニシアチヴとパレスチナ人の自決権の顕現があって初めて平和は達成されるとし、ヘディル(Muhammad Khdeir)殺害で火がついたエルサレムのアラブ人によるインティファダ祝意を表明、人民抵抗への結集、イスラエル製品のボイコット国際刑事裁判所を舞台とする反イスラエル闘争を呼びかけた。

PLO中央評議会の決議は、アッバスPA議長の承認を必要とする。今のところそれは承認されていないので、治安協力は続いている。次に紹介するのは、評議会声明の概要である※1。


中央評議会のパレスチナ人指導者達(Safa.ps 2015年3月5日)


平和は帰還権と表裏一体


PLO中央評議会は、我等が民族の権利、我等が独立宣言、領土内におけるパレスチナ国家の国家主権の行使を高く掲げ、堅持する旨ここに宣言する。パレスチナ独立国家が1967年6月4日現在の線を境界にエルサレムを首都として建設され、国連決議194に従った難民の帰還権、アラブの和平イニシアチヴとパレスチナ人民の自決権が保証され達成されない限り、安全、平和そして安定が達成されないことを、評議会は強調する…。


我々は人民抵抗に結集しなければならない


この地域を震撼させている深刻な社会的政治的変容に鑑みて、PLO評議会は確固たる信念を貫き、PLOのまわりに結集して行動することが、我々の権利を否定し占領を継続するイスラエルの傲慢と、入植地及びエルサレムのユダヤ化を打倒する唯一の方法であることを、あらためて強調する。そのためにはしっかりと団結し、分派行動をとってはならない。我々の民族目的とは無関係の旗のもとに馳せ参じることは、避けるべきである。その意味で、これまでの会議で評議会が是認した人民抵抗は、最大限のコンセンサスを以て堅持しなければならない。主要民族諸派、団体、そして都市と村落及び難民キャンプの要人が一緒に力を合わせていかなければならぬ。我々のモスクと教会に対する入植者の侵害行為に終始符を打つために必要である。狠融キ瓣2の価格をつりあげる入植者の群れを阻止しなければならない。パレスチナ人民が占領と入植地に反対し、その人民抵抗によって土地、畑、モスク、教会を守ることを、知らしめるのである。


我々はエルサレムのアラブ住民インティファダを激励する


エルサレムに対する我々の民族的責務の一環として、評議会は我等の(当地)住民に対する支援を呼びかける。まわりからエルサレムを分離することを狙ったユダヤ化行動、入植地、土地奪取、家屋とりこわし、ムスリムキリスト教徒の礼拝所に対する反復攻撃に住民は異を唱え抵抗している。

中央評議会は、入植者と占領軍の横暴、蛮行に抵抗する(エルサレムの)英雄的インティファダ参加者、を称える。このインティファダは、イスラエルの過激派入植者によって焼死の憂目にあった若者ムハンマド・ハイデルの殉教で火がついたのである。このインティファダ時、エルサレムは高い代償を払った。数名(のアラブ人)が殉教し、数百名が負傷ないしは逮捕された。我方の(エルサレム)住民は、エルサレムをパレスチナ独立国家の首都とする名誉ある戦いを通して、不動の信念の持主であることが証明された。

中央評議会は、エルサレムとその英雄的インティファダの固い信念を更に強化するため、市の民族団体政治団体に献金を呼びかける。我方住民の不動の精神を一段と涵養し、聖所とアラブ的アイデンティティを強化するため、金の拠出を求める…。


治安協力は停止すべきである


入植(活動)は、国際法に抵触するが、イスラエルは活動を続けている。二国間の境界を1967年6月4日現在の線にすることを拒否し、国連決議と合意した協定を無視する。囚人の釈放を拒否し、パレスチナ住民の基金を盗賊さながらに不法使用する。パレスチナ侵害をエスカレートし、暗殺、急襲は日常茶飯事で、ガザ封鎖も続けている。以上の状況に鑑みて、評議会はここに以下の決定をおこなった。

イスラエルは、国際法によれば占領国であるから、占領下パレスチナのパレスチナ住民に対する責任を負っている。その故に、(イスラエルとの)あらゆる形の治安協力は、イスラエルが双方の署名した協定を順守しないことに鑑みて、停止する…ユダヤ人国家という認識、パレスチナ臨時政府という認識は即座に拒否しなければならない。イスラエル軍部隊や入植者をパレスチナの地に居残らせる方式も然りである。執行委員会は、イスラエルの戦争犯罪に入植という犯罪、ガザ侵攻中の戦争犯罪の責任者に釈明を求めるための国際刑事裁判所対高等民族フォローアップ委員会の活動をフォローする…。


イスラエル製品ボイコットの継続


中央評議会は、進行中のイスラエル製品ボイコットが人民抵抗の一環であることを強調する。評議会は、イスラエルボイコット・キャンペーンの継続、イスラエル処罰 、イスラエルに対する投資阻止、占領と入植を支持する企業のボイコットを、世界の平和愛好者とパレスチナ連帯員会に呼びかける。


1 2015年3月6日付 Al-Ayyam (パレスチナ自治区)

2 イスラエルの入植者による暴力行為につけられた名称。パレスチナ人或いはイスラエル人による入植者に対する暴力及び入植地企業に反対する行為について、同等の行為を以て(入植者が)報いることを特徴とする。

(引用終)

itunalilyitunalily 2015/04/01 17:20 (https://twitter.com/ituna4011)

Lily2 @ituna4011

『気高く、強く、美しくあれ』(http://www.amazon.co.jp/dp/4569762867/ref=cm_sw_r_tw_dp_-H6gvb0SDKBGA …)を何年かぶりに出かけた隣の市(いつもと反対方向)の本屋さんで買った。おっしゃりたいことは別の本や言論テレビで繰り返されていると思う。

(転載終)

itunalilyitunalily 2015/04/01 22:29 (https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi?fref=nf&pnref=story)

・日本のテレビ・コメンテーターや新書量産型の知識人が馬脚を現し、その背後にある広告・出版の構造的停滞と限界を露呈したここ半年であった。多大な焼け野原感がある。「番組改編」ぐらいで解消されるものなのだろうか。

(部分引用終)

itunalilyitunalily 2015/04/01 22:31 この後、例の「N氏」に関して、「N先輩」の「言論の自由」の観点上、池内氏は半ば擁護するような文を書いているが、立場上、接触がもっと密だった私には、池内氏に異論あり。

もしN氏に言論の自由があるならば(当然あるが)、この私にも言論の自由が付与されているはずだ。しかしながら、現地経験に基づく非ムスリムの立場からの私のマレーシア・イスラーム見解は、N氏によって一方的に排除され、抑圧され、黙殺され、追放されたのだ。

そんな「自由」なんて、大学の理念から、全くふさわしくない。

そのことを、池内先生は、大学人として、どのようにお考えですか?

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