ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

仕事法

公式ブログ『国際インテリジェンス機密ファイル』(http://ameblo.jp/jyoho2040/


中野雅至キャリア官僚の仕事力。知られざる実態と思考法


・官僚の知的業務には、「書く」ことが深く関わっている。政策の企画書、白書、予算書、報告書など、書く仕事がとにかく多い。いずれも関連する膨大な量の資料、統計、文献などを頭にインプットし、それに自分ならではの分析を加えた上でアウトプットしなくはならない。


・書くためには、「読む」という仕事が必要だ。官僚は、とにかく大量の文書を読まなければいけない。新聞や雑誌から学者の論文まで、自分の仕事に関するあらゆる参考文献を読み漁る。関連する研究会の報告書、それに英語の文献も読んでおかなければならない。


・官僚には、瞬発力、相場観、危機察知力、リスクヘッジ力が必要。官僚仕事と瞬発力。一見、関連性が見いだせないかもしれないが、実は霞ヶ関では瞬発力が非常に求められる。


・フットワークの軽い者が評価される。役所で仕事を進めるには関係者の合意形成が欠かせない。関係者の合意を得ないままに強行突破することも可能だが、そういうことをすると袋叩きに遭いかねないので、合意を得てから仕事を進めるのが当たり前になっている。


・そのため、官僚は率先して関係者のもとに出向き、自分たちの立場や進めようとしている政策などを説明する。世間ではこれを「根回し」「ご説明」と揶揄するが、官僚としては必死だ。実際、相手に納得してもらって仕事を進めるためなら、平気で頭を下げるし、ゴマもする。


・局長や事務次官といった幹部クラスは、どういう仕事をしているのだろうか。彼らは課長補佐のような事務仕事はあまりしない。事実、パソコンを一心不乱に打っている局長などあまり見たことがない。人それぞれだが、だいたい朝9時半くらいに登庁して個室に入る。そして、新聞を読んだり、資料を読んだりする者が多いようだ。


霞ヶ関では、政治家相手の仕事を「マル政・案件」と呼ぶ。マル政案件は処理を一つ間違うと、お縄を頂戴することにもなりかねないだけに、あまりかかわりたくないものだが、局長はこういう仕事から逃れられない。局長は、この手の仕事を日々さばかねばならない。そのためには政治家を怒らせることなく、その要求をやんわり断るという技が求められる。


・政治家から電話がかかってきたその場で、「その件はちょっと引き受けかねます」などと言うようでは局長失格。「先生、なるほど、おっしゃる通りです。できるかどうか検討してみます。少しお時間をください」とか言って、一週間くらい経ってから、「申し訳ありませんが、やはり難しいようです。ただし、別のやり方もあるらしいです。資料をお持ちしますので、ぜひ説明させてください」などと言って、相手を丸め込むのが能力のある局長の対応だ。


・「マル政・案件」の裁き方で、局長の出来不出来がわかる。

1.人当たりのよさ。
意外なことかもしれないが、霞ヶ関の局長の多くは腰が低い。

2.腹の据わり。
どんな案件でも動じないことだ。政治家に気を使いながらも、政治家を平気で騙せるようではないといけない。

3.危険な仕事をシュアする能力。
政治家の案件を自分一人だけでかぶると、何かと危険がつきまとう。そのため、部下を仕事に巻き込むわけだ。


・かつての自民党政権時代、仕事を進めるためにはどんな案件でも、自民党の部会の了承を得なければならなかった。この部会の会議は昼飯時に開かれることが多いのだが、決まって出されるのが「カレーライス」だった。


腹の据わりが良いか悪いかは、このカレーライスの食べ方で大まかに分かる。
腹が据わっている局長は、たとえ数分後に自分が議員から吊るし上げられる可能性があるとしても、気にとめることなくカレーライスを平らげる。それに対して、小心者はカレーライスに手をつけることさえできず、ひたすら水を飲んだりする。


・些細なことでも把握しておきたい習性。局長は局のトップだけに、部下から上がってくる案件に対して最終判断を求められる。事務方の最終的な責任者は担当局長だ。局長に逃げ場は無い。


・官僚仕事で象徴的なのが、国会答弁書の作成だ。答弁書の作成のような「やっつけ仕事」は意外にセンスが求められる。そのためやっつけ仕事をやらせれば、「できる人材」かどうかの判断がつく。思い切りのよさ、作業の素早さなど、さまざまな力量が垣間見えるからだ。また仕事の相場観を鍛える訓練にもなる。


・省庁間の交渉も難しい。ただ担当者同士が合意しても、「経産省に負けるな」と難しい上司もいる。強気な上司も納得する交渉のテクニックはポイントがある。


・とにかく派手に交渉すること。電話口で怒鳴ったりするのだ。それに聞き耳を立てている上司は、「相当タフな交渉を仕掛けているな」と誤解する。そのため、「課長、ここまでようやくこぎ着けました」と息急き切って駆けつけたりすると、コロっと騙される。

(部分抜粋引用終)