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「お久しぶり、何やってるの」
「おいす。ちょいと、ガンダムの戦闘シーンを観てるんです」
「ユニコーンガンダム第一話。もう一昨年だよね。コマ送りとは感心だな」
「この無名の量産機側の芝居が格好良いんですよ。結局負けるんですけどね。そこまでの駆け引きの描写が面白い。オタクの御同輩らも解説をコメントしてくれています」
「拝見しよう」
「…動くねこれ」
「この戦闘の部分だけで当初予算を使い切った、とかなんとか」
「いや、はや、この盾や、爆発タイミング…うへえ、これはひどい」
「ほう。どうひどい」
「盾っていうのは、ガンダムシリーズの発明のひとつなんだ。盾を構えさせることでロボットの体を隠し、それによって作画コストを下げるわけ。ところがこれ、冒頭にやられるロボット2機の盾が、ぜんぜん体を隠してないでしょ。それどころかロボ・盾ともにぐるっと回転させて裏側まで描いてる。どうかしてる作画コスト。確かにお金かかりそう」
「あー」
「爆発ってのもあってさ。弾がメカに当たったら、すぐ爆発させちゃうのがいいわけだよ、コスト面では。即座に爆発させてメカを消してしまうにしくはない。ところがこの爆発のタイミングはどうよ」
「遅いですね。むしろビームで破壊されていく過程をねちねち描き込んで、その後でやっと爆発させてる。」
「作画力がっつりつぎ込んでるなあ。これはひどい。もっとやれ。」
「盾はですね、正面からのビームは止めてるんですが、射線が回りこんで裏側から照射されると抜ける、という描写も…ほらここ」
「うわぁ…」
「で、その2機がやられた後からですが。コマ送りしますよ」
「待って、長くなるんだろう。飲み物とってくる」
※この枠内読まなくてもいいです
クシャトリヤvsジェガン戦メモ
クシャトリヤの目的は敵部隊から母艦を守ること。敵部隊のうち足の遅い艦艇は10分で振り切れる。
ジェガンの目的は敵艦を制圧すること。
「目標捕捉。足の速いジェガンがいる。特務仕様かもしれない」→モニターの表示が「RGM-89」が2つ、「UNKNOWN」が1つ。これはたぶん制作者のミス。
「ジェガン(系)が3機いて、そのうちの1機が速度からして特務仕様かもしれない」なのだから、表示は3つとも「RGM-89」なはず。
ジェガン側はジェガン2機・スタークジェガン1機の二手に分かれ、前者がクシャトリヤへ、後者は母艦を追う。
クシャトリヤがファンネルビットを12体放出して前者2機を屠る。このファンネルのビームには一撃で相手を大破させるほどの威力はなく、囲んで長時間照射することで倒している。
スタークジェガンが進路を変更してクシャトリヤへ。バズーカの散弾で進路を抑えて減速させ、ミサイル6発を全弾発射し、さらにバズーカを連射して散弾を重ねる。
先に火力投射されてファンネルビットを出す時間がないため、クシャトリヤは不規則蛇行で前進。弾幕の内側に入ってから残る12体のファンネルビットを展開。
スタークジェガンのシステムは展開された12体をすべてファンネルビットと認識する(ここでモニターの表示に対してターゲットトラッキングパネル上の切替がずれていて遅い。これもミスっぽい)が、パイロットはこのターゲットロックをすべて外し、バズーカとミサイルポッドを投棄して突進する。
>ファンネルビットを認識・ロックできるところまで技術の対応は進んでいるのだが、対策としては中途半端で、現時点ではむしろそれが足を引っ張っているという描写
スタークジェガンはカメラとコクピットを守りつつ突撃、抜刀。ファンネルの照射が数箇所に当たるが、短時間の照射では深刻なダメージは与えられない。
いったん接近すると射角が自機にかぶり、制御の余裕もなくなるので、クシャトリヤもビームサーベルを抜く。軸線を合わせるためロール。
最初の打ち合い。交錯してすれ違う
スタークジェガンは体勢の崩れを立て直しながら振り向くが、クシャトリヤの機体は安定しており、一瞬で振り返る。体勢の崩れは重量差によるもの、振り向きの差は、4枚羽根に8基のブースターを備えるクシャトリヤの運動性の優位からくるものである。
さらに軌道を縮めながら2度打ち合い、鍔迫り合いに。
クシャトリヤは鍔迫りのまま、ブースターを活かして彼我を水平に回し始める。
この方向への推力では圧倒的にスタークジェガンが劣位である。加減速によって体勢を制されるのを嫌ったスタークジェガンが切り払って身を離す。
スタークジェガンは太陽を背にして突進。刀身を頬脇に構え刺突を狙う。
クシャトリヤ、8基のブースターを全開にして突進を阻み、内側上方にあおって、またもスタークジェガンの体勢を崩す。
上方へのベクトルに抗えず、のけぞってしまうスタークジェガンの胴を切り払って決着。
クシャトリヤはファンネルビット12体を回収して帰投する(第1陣の12体は全て破壊されたか、この後回収するかまたは放棄)
「長い!! オタクのコマ送り長い! 日が暮れたよ」
「決まり手はクシャトリヤのブースター勝ち、というところでしょうかね。ファンネルの威力も目立ちますが、それに対策してきた相手を常に推力の差で抑え込み、可動バインダーブースターを完全に使いこなしてさばききってみせた、という駆け引きです。作戦的には、ジェガン側が2機・1機の二手に分かれずに、最初から3対1で仕掛ければ戦術的結果はぜんぜん違うのでしょうが、その場合、クシャトリヤが接触を避け遅滞して時間を稼げば母艦が逃げきってしまいますから、最初に機体性能差がわかっていないこともあって、詮方なしですね。どうしました」
「ずいぶんこういうのやってなかったから僕もなまったよ。」
「じゃあ晩御飯食べに行きますか。回転寿司どうですか。サーモン地獄。」
「サーモン地獄行くか」
「サーモン3つと下足1つ」
「サーモン3つとオクラ1つ」
「よし。ガンダムシリーズの世界観というのは、商品構成上、第二次大戦以降の現代戦の中にちょっとファンタジーをまぜる点にポイントがある」
「商品構成上?」
「ファンタジーな部分は主に少数生産の専用機にある。少数生産の専用機というのは、世界の中で突出した強さと、突出しているがゆえにそれに乗るパイロットの責任、苦悩、成長を描くことができ、悲劇を展開することができる。この部分がドラマになり、それによってそのロボットの玩具に強い商品価値を持たせる。戦後日本の文化として、秘密の最強兵器…戦艦大和だな…が国の誇りであり、また同時に軍国主義の大失敗の悲劇をも体現しているというのは、非常に腑に落ちる構造でもある。専用機の悲劇、と言って日本人にピンとくるぐらいに、キリストの受難、と言って欧米人にピンとくるようなものだ。よし来たな」
「また適当なことを。お茶足しますか?」
「ありがとう。やっぱりサーモンだな。これしかない。さて、ファンタジーが専用機ならば、それに対するのは第二次大戦の論理…この場合、量産機だ。工業力の差を活かし大量生産された、量産機の物量が力である。実際には工業力の差は量のみならず、けっきょくのところ質にもあらわれてきて、質量ともに圧倒されるものなのだが、敗戦国のロマンというのは一騎当千の質の幻想にあるんで、そこは一点御勘弁いただく。」
「ふむ。それで量産機を当て馬に、専用機に勝たせることで人気を出して、プラモデルなり商品を売ると」
「いやいや。そこがこの構造の巧妙なところでね。勝利に自己を投影する若年視聴者にはそれでいい。専用機、この場合主にガンダムを買ってもらう。それはそれで大変結構、じゃんじゃん売る。それに対して、高校〜大学あたりからは、現代戦の論理を好むようになる層がある。さらに上になると、戦後日本の製造業の論理も出てくる。少数生産のファンタジーを卒業しはじめて、現用兵器の機能をモチーフに載っけたデザイン、あるいは大量生産に向いたプロダクトデザインの格好良さを好む視聴者だ」
「ほう」
「彼らにとっては、場面場面で量産機が専用機に敗北していくのは、悲劇ではあり、その敗北のドラマに心を揺らしもする。それらの敗北し戦死していくパイロットは脇役ながら、そうした視聴層が感情を投影することができる人物像である。そしてこの視聴層にとっては、それら個々の敗北は、局地的な戦術レベルの敗北であり、戦略のレイヤーにおいて量産機の設計思想は正しいのだ、と見なされる。単体での戦力比を腕くらべすれば、それは専用機が勝つが、戦力と生産数との総合で評価すれば量産機が正しいのだ。眼前で敗北したからといって、決してただ弱くて無価値なロボットとは考えない。すみませんサーモン2つとコハダ。したがってこの視聴層は量産機に共感し、専用機に対してかなわぬまでも時間を稼いだり、一矢をひねり出して報いる姿に喜んで、プラモデルを買う。」
「ふんふん。同じロボットに見えても、2つの評価基準から受け取りうるようになっているというわけですかね」
「そう、そこがポイントだ。それぞれ有力な2つの評価軸が仕込んである。だから逆でもいい。本当に多数の量産機に囲まれて、奮戦およばずも、なんとか仲間のため足止めを成し遂げて崩れ落ちる専用機、でも同様に成立する。強いファンタジーと、それに拮抗できるだけの強度のある論理との二本立てで、どちらを勝たせてもいける。この二元評価の構造によって、一つの番組で年齢層の下と上を同時に市場にすることができ、また登場したロボットを高率で商品化することができる。」
「調子のいい理屈ですね。サーモン3つお願いします」
「まあ八方良くなる祭りの太鼓ってわけじゃなくて、第二次大戦型の戦争の中で少年の成長物語をやるっていう構造に伴う深刻な弱点というのも、また別に一席、あるんだけどね…あとプラモデルのアソート制度って聞いたことある?」
「なんでしたっけ。小売店にガンダムΩを5体を仕入れるならザクΩを3体とジムΩを2体一緒に仕入れなきゃいけない…とかでしたっけ」
「そう、おおざっぱにいって専用機と量産機を一定比率の抱き合わせで仕入れさせる制度だが、これは一面では、小売店が専用機だけを売る/量産機だけを売る販売努力に陥ることを防ぎ、その地域の両方の層にアプローチし続けるよう指向させる戦略ともとれるのではないか的な気がするように思える」
「そこまでくるとエスパーですね」
「まーね。もう少しいくか。サーモン2つとアジを。」
「サーモンとまぐろとタコください」
「お勘定お願いします。しかしあれじゃないですか、そうすると今日見たスタークジェガンの健闘は、まさに量産機が専用機に一矢報いた構図じゃないですか。専用機じゃないでしょ。パイロットは無名でまるで無言だし」
「あれは、いや、ねえ、うっかり振れ幅がマックス出ちゃってやっちまったケースなんだと思うね。すごすぎるよ。本来、名無し顔無し台詞無しでは場面が持たないはずで、戦闘中にダイアローグの台詞を喋らせ続け、そのドラマによってシーンを持たせ、乏しい作画でロボットに思い入れを持たせるのがガンダムシリーズの技法なんだ。そこに富野先生の超絶強力なダイアローグががっちりはまるわけだよ。強キャラ同士が超能力で話し合えるのだって半分はそのためがあるんじゃないかな。それをあれはさ、あんな、最後に『袖付きめ…』っていう、敵方の呼称だけ伝えて終わるなんてね。確かにその一言だけ本当に必要で、まったく他に無しで成立してるからね。ほんとやりすぎだよ。寿命が延びる。もっとやってほしいね」
シャア専用ブログ@アクシズ
Great Mechanics DX12 古橋一浩インタビュー
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大人のガンダム2010 古橋一浩監督×小形尚弘プロデューサーインタビュー

「おはようございます」
「おはよう。何書いてるの」
「ちょっとしたメモを…先輩、スーパーエースとか撃墜機数って、どう思います」
「エース? 戦闘機パイロットとかのか? どうってどういうこと。ハルトマンが三百何十機だ、バルクホルンが何百機だ、というやつでしょ。何怒ってるの」
「そう。僕はああいったああいうのにロマンを見出すのが苦手でして。その怒りを書きとめておこうと。」
「フム。ときどき血圧を高めるのは健康と寝起きにいい。どういう話」
「たとえば第二次大戦で対地攻撃機の英雄ルーデルは、一人で赤軍戦車を五百両、車両を八百両撃破したといいます。すごい数字なことは確かです。そこでたまに見かける話が、《もしルーデルが一個大隊いたならばソ連軍涙目》てなものですが、いいですか先輩。先輩も軍事おたくの末席を汚しているならば」
「えっ」
「こんなこと言っていたら万一ぶっとばしますよ。いいですか、人材と装備で上回っている側は、パイロットのローテーションを十分とって負担を減らし、多対一で有利に戦わせるので、個人の撃墜数は上がらない。一方、人材と装備が不足している側は、一日に何度も出撃させて小勢で多勢と戦わせる。戦況が悪くなるほど、一人で無数の敵に立ち向かわされる。そこで統計上生き残った人間は膨大な撃墜数を残す。算数の話でしょう、これは。」
「ああ、はい、そうですねはい」
「何のロマンかと。組織、体制として圧敗していて、現場に極度の過負荷がかかっているってことでしょう。確かにこのスーパーエースたちは個人として優秀だったんでしょうけれど。こんな一人で百機だ何百機だなんて、景気のいい数字どころか、現場の目を覆うような人的物的リソース不足が見えて暗陰な気分になろうってもんじゃないですか。はん、まったくおめでたい数字だ。呼ばば前線の英雄算だ。」
「(のりのりだな)」

「うう。26:25〜とかよい子の起きてられる時間じゃないじゃないですか」
「あっ、ペルソナ4があるから、今日はその後で26:55〜だわ」
「もうこれ拷問じゃないですか。元気なお年寄りなら起きて来かねない時間ですよ。まあ、いいんですけど。じゃあペルソナ4から見ますか」
「はじまったぞ」
「つうかこの制服の模様描かせてる奴は大丈夫なのか…」
「縫い目が盛りだくさんですね。キャラクターデザインが弾劾されたりしないのかな。そんなこともないのか」
「なんだ? なんか芝居の進み方が」
「んー」
「なんかゲームならではのショック度の中規模なイベントの細かく続くテンポが」
「そうかわかったぞ、このアニメずっと喋ってる。誰かが喋ってないカットがない!」
「ああ? どういうこと」
「どのカットでも必ず誰かが台詞を言い続けている。台詞なしの表情や仕草、構図、サウンドで表現しようというカットがない。」
「あーそうかな」
「けっこう作画資源あるんだから、作画陣が表現してくれることを期待して、台詞なしの芝居に任せるシーンを作ってもいいのに、全く作画陣を信頼できなくて台詞で喋らせるしかないアニメみたいになっている」
「これ作画いいアニメに見えるのにね」
「背景もかなりかっこいいのに、キャラのいない風景だけのカットもほぼない。むあー。これさあ」
「ずっときゃんきゃんにぎやかだとあまり伝奇ものっぽくないね」
「これさあ、ゲームだと台詞こうなるんですよ。ゲームだと。」
「ああ、立ち絵のイベントだから?」
「そう、バストアップ絵のイベントで、ゲーム内のキャラは事実上ほとんど棒立ちのままで、構図も工夫できず、立ち絵の表情差分とエフェクトが多少使えるくらい… そういう条件下で話を説明・進行させるには、台詞に大きく頼るしかないわけですよ」
「台詞が絶対あると」
「イエスイエス。その意味ではゲームのバストアップイベントは、『ボタンを押して台詞送りすることが時間単位になっている』わけで、台詞を伴わない時間進行が存在しない世界なんですよ。常に台詞が表示され、それが読まれるのを待ってから、時間が進む。それくらい台詞に大幅に頼った表現をするものなんです。そうでしょう?」
「そうですか」
「ゲームだと、絵の表現の情報がおさえめになるから、そういうふうにじゃんじゃん台詞を使っても伝奇もの的空気が維持できるけれど、これはにぎやかすぎるなあ… ずっとにぎやかで情報が過多気味に供給されつづけているから、『それがなにか嫌な情報であることが薄々わかっていながら、その欠如している情報を求めていかなければならない』という伝奇ものの物語推進力が弱くなる」
「言ってみればゲームなら、求め進んでいくのはプレイヤーの能動的行為だから、それじたい君のおっしゃる伝奇もの的な効果を持っているのかもね」
「おっとバトルパートだ。しかし本当に喋り通したなあ。このアニメもしかすると、目をつぶって耳でだけ聞いても話が理解できるかもしれんですね、ラジオドラマというか。ちょっと飲み物取ってきます」
「あいはい」
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