指輪世界の第二日記

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2005-09-10 政権を取っていない党のすること/10、20、50議席 このエントリーを含むブックマーク

 あの政党は妥協して政権を取ろうとしないから駄目だ、という台詞もまま聞きます。が、そうでもないのです。

 政党は政権を取らなくても機能しています。

 具体的には10議席、20議席、50議席に閾値があります。

 10議席で代表質問権、および党首討論参加権が取れます。突っ込みのきつい党がこれを持っていると、その応対を報道されるプレッシャーが生じ、うかつにへぼいことがしにくくなります。

 20議席で議案提出権が取れます。理想主義の党がこれを持っていると理想ばかり見た議案を提出するので、政権党はある程度それに対応した議案を作らなければならなくなります。これもプレッシャーといえますが、別の言い方でいうと、政権党を妥協させる効果があります。

 50議席で予算付議案提出権が取れます。野党がこれを持って、政権党の予算案に対案を提出すると、それらを基準として審議が戦われることになり、「対案がない、これしかない」という甘えや傲慢が減ります。

 政権を取っていない党もけっこう役に立ったり邪魔したりしているのです。



(追記)

 9議席の党の機能が足りないと思ったら、10議席にすればよろしい。どうもよくわからないのが、たとえばその10議席でいえば、現に10議席取れていない党に対して「役に立っていない。だから投票しない。」と言われることのあることだ。

 どうも人によっては、政党というのはどこかよそでがんばって議席をとってくるもので、それへ有権者がご褒美に票をあげてやるもののように思っているようだ。それで「どこそこは野党としての価値を失いつつある。だから頼むに値しない」みたいなことを言う。

 そうではない。

 政党の議席が、なんかどっかの黒緞帳の裏で、争って取り合いをしているもので、そこでその政党ががんばれば議席が増やせる、とか思っていてはいけない。議席は有権者の投票で、眼前の表舞台で取るものだ。

 妥協しないから…などと気軽に言うが、どうも妥協を魔法の杖のように思っている気配がある。どれくらい妥協すれば政権が取れる見積りなのか? おそろしく甘く見積もっているように思う*2。少数党はそんな簡単に入閣できない。ちょっとそこの角まで行って妥協してくるわ、といったものではあるまい。なんでもかんでも叩き売りしなければなるまい。

 叩き売りよりも、質問と無予算議案とでプレッシャーをかけていたほうが有効だと思う。それよりもっと強くと思うなら50議席にして予算付議案提出権まで取らせればよろしい。それでは強すぎて危ういと思うなら30議席のあたりを目指せばいいと思う。


*2 どこまで妥協することになるかの見積り

 政権を取れるかどうかの瀬戸際となれば、第二党が少数党に譲歩をして、連立を組んでくれる、だから少数党もある程度の譲歩をすれば政権に加わることができる……ちょいとそれらしく聞こえます。しかしこれも、政党の目標が政権を取ることにある、政権を得たら勝ちだ、と考える誤謬の応用形です。第二党にとっても、譲歩して得た政権では、意味が無くなるのです。彼らにも掲げる政策があり、実現したいからこそ掲げている。政権が取れるんだからといったって、それらをじゃんじゃんばらばらと譲歩するわけにはいかない。そも、譲歩して政権をとるつもりなら、与党に譲歩するほうがはるかに近いのです。したがって第二党からの有意な譲歩はほとんど望めず、やるなら叩き売りになると見積もれるのです。



(追記)

 われわれの通常の社会生活では、才能あるリーダーや人数の多い集団を選ぶことは大事だ。そこに入ったことで面白いことができたりできなかったり、得したり損したりする。

 政党政治での選挙投票状況はそれと異なる特性を持っているので注意が必要だ。選挙には個人へのキックバックがない。現有議席や世論流行・派閥人脈などから政党の強弱を読み、ある政党が勝つことを予見してそこに投票しても、「あなたの予想通り勝ちました。卓見御見事。はいご褒美です」というものはない。「あなたは負け馬に投票しました。見る目がありませんでしたね、罰金徴収です」ということもない*1。勝ち馬を読めたって偉いということにはならない。どこに投票した人であれ、同じ日本国の政策の結果を、良いものも悪いものも被ることになる。これは普段はなかなかお目にかからない意思決定状況である(この段の理屈はid:ityou:20050816と同じ)。

 人間は人生の四六時中を集団の評価をしながら生きており、集団の勝敗率を判断基準に入れることが習い性になっている。要注意だ。


*1 個人へのキックバックはない

 ときとしてキックバックをしている候補者もいるが、そういうやりかたは国家意思をへぼませやすくお勧めできない。

spcateg政治[政治]

信長信長 2005/09/10 10:54 野党の仕事の解説ありがとうございます。私の記憶が確かなら、共産党は前回9議席だったのでは。しかも小選挙区は0議席。サンデープロジェクトの田原さんが、共産党に対する対応が年々冷ややかになっているのは、共産党が野党としての価値を失いつつあることを表していると、私は感じています。私の妻は共産党のファン(共産党員ではない)です。しかし、彼女の投票行動を見ていると、比例区では共産党と書いても良いが、小選挙区では?だと言います。今回私の小選挙区では、共産党が立候補していないので、彼女の悩みは無いでしょう。私は、政権を取る気の無い政党は、有権者の気持ちを無駄にしていると思います。

信長信長 2005/09/10 11:09 例えば、共産党が言っている消費税廃止。誰もが望む政策です。しかし、共産党の支持率も議席も格段にアップする事はありません。共産党という名前が邪魔している?いいえ、私は実現不可能な夢物語だと有権者が思っているからだと感じています。例えば、「民主党と協力して政権を取った場合は、消費税率のアップはしません」という公約なら、実現する可能性があります。消費税廃止という政策には及びませんが、民主党の言っている年金目的の消費税アップは阻止できます(別の財源を探さなくてはなりませんが)。このまま野党だった場合には、自民政権では、2007年以降に消費税がアップされるのは確実、民主政権でも同様で、それを阻止する力は共産党にはありません。与党になればアップを阻止する事が可能なのでは。これからは、政権党の細かい部分を調整するのが政権の取れない小さい党の役割だと思います。公明党がキャスティングボードを握る事は良いとは思えません。

ityouityou 2005/09/10 12:48 信長さんどうも。連立のためにどれくらいの妥協をすることになるという見積りでしょうか? それでたとえば相手が、一桁議席の党と連立して税率アップを止める、という交換をするでしょうか? そんなに高く買い取ってくれるものかしらん。

ityouityou 2005/09/10 13:10 妥協したときに、国会に反対者のいない議題ができて、それらががんがん通過してったら、コストがかかりすぎて赤字だと思うのです。議題はかなりたくさんあります

信長信長 2005/09/10 13:25 選挙前に協力を表明しないと意味がないことを前提に話をします。例えば共産党と民主党が自民党と公明党の協力のような関係で選挙を始めたなら、結果一桁議席しか確保できなくても、小選挙区では目に見えない議席を確保していることになります。民主単独で政権が確保できる確率が低いのが現状ですから、共産党の協力で政権が確保できるなら、かなりの譲歩が期待できると思います。消費税率のアップの阻止(もしくは民主の公約より低いアップ)は可能と考えます(無論代替えの財源を探す必要あり)。他の政策についても共産党の理想から遠く離れて行くようなものを引き寄せるのは無理でも、引き止める事は可能と考えます。現在の民主党の幹部が本気で自力で政権が取れると思っているなら、そのような妥協の協力はしないかもしれません。でもそれは、甘い考えだと私は思います。次回の衆議院選挙では、「小選挙区は民主党、比例区は共産党」をスローガンに戦う共産党を見たなら、私は迷わず比例で共産党と書きますし、政権交代が可能だと考えます(でも、その時は消費税が何%か分からん。その責任の一端に、単独政権を夢見る共産党の責任があると思ってしまいます)。何か、今回の選挙では政権交代が不可能と言っているように見えますが、確率が低いのは確かです。以前なら投票率が70%を超えるなら民主党の単独政権の可能性も見えたのですが、今回は無党派層が自民に流れているような報道がされているので、どっちに転んでも不可能っぽい雰囲気が感じられます。(共産党批判だと感じた方へ)もう少し国政に影響を与える共産党を見たい、いちファンの戯れ言だと思って下さい。

信長信長 2005/09/10 13:38 現時点でも、自民と公明の妥協で赤字だらけなんだから、民主と共産の妥協でも同じだと思う。どうせ同じなら違う政党が行うのが面白い。小泉政権誕生時に田中眞紀子氏が外務大臣に就いた時、(田中氏の外交能力は別の問題)官僚の言う事を聞かない政治家が大臣を行う事が重要だと感じた(日本の利益の為に外交を支えるのが仕事の官僚が、大臣が自分たちの言う事を聞かないから引きずり降ろすなんて、日本の利益ではなく自分達の利益を守る行動のように見えた)。政権を変える事によって、いつもと違う政治家が官僚と接する事が官僚の腐敗を防止する一つの方法だと思う(日本国民は官僚を選ぶ事ができないからね)。

ityouityou 2005/09/11 00:46 第二党が政権を得るために譲歩すると考えるのもまた、政党の目標が政権を取ることにある、政権を得たら勝ちだ、と考える誤謬です。この誤謬はたいへん重要なので注意してください。第二党にとっても、譲歩して得た政権では意味が無くなるのです。彼らにも掲げる政策があり、実現したいからこそ掲げている。政権が取れるんだからといったって、それらをじゃんじゃんばらばらと譲歩するわけにはいきません。そも、譲歩して政権をとるつもりなら、与党に譲歩するほうがはるかに近いのです。したがって第二党からの有意な譲歩はほとんど望めず、やるなら叩き売りになると見積もれるのです。

chiaki25chiaki25 2005/09/11 16:33 トラックバック送りました。重要なのに忘れられがちな観点ですよね。議案提出権の「20議席」「50議席」には国会法の規定があって「10議席」は慣行だと知ったときには、なんだか割り切れない思いをもったものですが。

ityouityou 2005/09/11 18:12 chiakiさん、はじめまして、こんにちは。今回、受け答えになってなにかと調べものができました。このへんは面白いですね。

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