Mood of 2010-Album Section#1-
今年は2回に分けて10枚のアルバムをふりかえり。そんで、フィギア・スケートみたいに評価ポイントを2つ作ってみる。最大★5つで表示。“アンセム値”は楽曲個々の評価。強力な楽曲が1曲でもあれば高くなる。“作品構成値”はアルバム全体の流れを評価。強い曲がなくても作品として優れていれば高得点。つまり“アンセム値”だけ高い作品はiTunesで済ましても良し。逆に“作品構成値”が突出してるならアルバム買っても損はナシ。けど読み解くまでに時間がかかるかもね。両方高けりゃ…墓場まで持ってけ。
10位
- アーティスト: Best Coast
- 出版社/メーカー: Mexican Summer
- 発売日: 2010/07/27
- メディア: CD
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東のドラムス、西のベスト・コースト。レトロ、ビーチ、ギターという2010年のムードを形成したこの2組にはお世話になった。最初はドラムスで決まりかなと思っていたけど、西海岸で最もアツいオンナ、ベサニー嬢の甘さが一枚上手だったね。今年しか聴かないんだろうケド、また夏になったら引っ張り出しちゃうかも。ワン・アイデアをアルバム一枚押し通してしまったので、ずっと聴くのは正直辛い。楽曲にムラがあったのもちょい残念。けれども何曲か、キラリと輝く夏の思い出が飛び出してくる瞬間があって、出会えてよかったと思う。
9位
- アーティスト: パレーズ
- 出版社/メーカー: Pヴァイン・レコード
- 発売日: 2010/12/02
- メディア: CD
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オーストラリアってやっぱ変わってるね。AC/DCだけじゃないんだね。一聴した印象はブロック・パーティの1st。そこにミューの近作っぽいコーラスやヴァンパイア・ウィークエンドっぽいリズム遊びが顔を出す。随所に盛り込まれた打ち込みもヘヴィになりすぎずバランスよし。ここ4〜5年に誕生した色んなアイデアをごった煮にしたしたようなバンドです。よって好きな人は多いのかなと。でも、じゃあこのバンドの個性はなに?って聞かれると正直答えかたに困る。ジャケも含めツボはしっかり押さえてるのでこのへんで。
8位
- アーティスト: Foals
- 出版社/メーカー: Imports
- 発売日: 2010/05/12
- メディア: CD
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完全に化けたね。1stの躁病的なアンサンブル重視から、ちゃんと語れるバンドになった。深海を思わせるコンセプトも良い。5分越えの曲がいくつかあって、このタイプのバンドにしてみれば長い方なのだけれど、本作ではかえってそうした長尺の曲の方が断然いい。充分に浸れるムードを演出しつつ、フロアにも対応できるひねくれたポップスがある。クラクソンズのこけかたとは全く逆で痛快この上なし。
7位
- アーティスト: National
- 出版社/メーカー: 4AD / Hostess
- 発売日: 2010/05/11
- メディア: CD
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声とドラムだけで成立したような作品。いや、本作で鳴っているのは野太いバリトンだけである。その隙間を埋めるように手数の多いドラムが機能し、ギターやベースは色彩を加えるに留まっている。そしてその声こそ、実り多きUSインディの潤沢さを物語るにふさわしい。ときに祈りの如く煌々としていて、ときに勤勉な農夫の掛け声の如く朗々としている。アントニーが神の声ならばこちらは摩利支天だ。この声はもっと多くの者を導くべきだ。歌にフォーカスするならば、近年中屈指の作品。
6位
- アーティスト: jj
- 出版社/メーカー: Secretly Canadian
- 発売日: 2010/03/09
- メディア: CD
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やっぱりスウェーデンには人知をこえた磁場が宿っているのかしら。JJ。綺麗なおねぇさんが読む雑誌のようなユニット名を冠した男女デュオが鳴らすのは、サイケやシューゲイズとはまたちがった逃避。そうした意味ではグローファイの文脈で語られるべきだろうけど、グローファイ勢の多くが“まどろみ”を喚起しているのに対して彼女たちは“覚醒”を念頭に置いている。ひんやりしたムードのなかに挿入されるハーモニカや横笛などの生音の妙。ヒップ・ホップから拝借してきたリズムやR&Bっぽい節回しも無視できない。9曲で30分弱というわかり易さも重要。