超小型深宇宙探査機「PROCYON」ミッション概要説明会 起こし

今回もNVSさんの中継から勝手ながら起こさせて頂きました。ありがとうございます。

はやぶさ2に相乗り。東京大学はこれまでも超小型衛星を打ち上げてきたが、超小型の深宇宙探査に挑戦。深宇宙探査の経験があるJAXAに提案。
世界初cubesatを2003年から、PRISMという30m分解能の観測衛星、そしてPROCYON。はやぶさ2とともに打ち上げられ、打ち上げから1年後の2015年12月に地球スイングバイはやぶさ2とほぼ同じ。そこからはやぶさ2とは別の小惑星へ行く。超小型ということでいろいろチャレンジが出来る。サンプルリターンとは違うが観測が出来る。50kgと非常に小さい。独立した探査。先端的な技術の実証。通信実験や、惑星探査などのサイエンス。打ち上げ後2時間に分離されパドル展開。12月末にイオンスラスタ作動開始。
小天体にフライバイを行うものとしてはこれまでにNASAのスターダストというものなどがある。大型だと接近は危険だが小型なのでどんどん接近する。科学的にも価値が高い。
通信、軌道決定、軌道制御までを行うものとして非常に小さい。技術の実証、効率の高いアンプの実証、高精度軌道決定、高速フライバイ観測。先端的技術。サイエンス、地球周回軌道の高度からは観測できない地球大気(ジオコロナ)観測。
花びらのように開くパドル寸法はおよそ50cm四方、機体は高さ60cmほど。通信アンテナやエンジン、カメラなどが付いている。電気機器の構成、シンプルな構造ではあるが姿勢制御、電気系、ミッション系など。JAXA宇宙研がとりまとめ。中央計算機は東京理科大。ミッション系は東大・明星大。理学機器は立教大・東大。通信系はあかつきなどの経験を持つISASなど。
開発体制は東大とISASの共同研究。開発・試験・運用を行う。機器開発担当と協力。東京大学には探査機開発取り纏め、VISASは通信系開発、試験・運用設備の提供。
深宇宙通信系はISASとしても新しいもの。ずっとコンパクトに、民生品を用いて安く。1年という短期開発でチャレンジングだった。通信系機器は今後の超小型衛星でも活用できるのではないか。エンジンは「はやぶさ」でも用いている高効率なイオンスラスタ。「はやぶさ」と比べるとずっと小型で推力も小さいが、姿勢制御用コールドガスジェットも搭載している。ミッション系は鏡が回転し小惑星を追い何度も撮影する。ジオコロナ観測装置LAICA、時間経過による変化などはよく分かっていない。全体像を撮影する機会。紫外線を観測する。
開発スケジュール。相乗りが決定する前から研究は行っていたが、開発は去年9月から開始し今年11月打ち上げ。7月頃からFMインテグレーション総合試験。明日つくばで電機試験。かなりチャレンジングなスケジュールだったが、6年前に内閣府のプロジェクトで研究を行う取組みの公募があり、信頼度とリスクのバランスをとった構想、ほどよしを立ち上げた。小型衛星用廉価な機器を開発するプロジェクト。その残っていた開発環境を活用した。
熱構造モデル試験、真空チャンバは早稲田大。7月からはFMインテグレーション。イオンエンジン噴射試験、地下の真空チャンバ。衛星に取り付け試験。9月に九州工業大で熱真空試験。つくばで衝撃試験。
PROCYONの由来、こいぬ座1等星、おおいぬ座シリウスに先駆け、大きなものに先駆けてという意味。


質疑応答

―日テレ:今回のミッションの世界初の試みという所、そもそも深宇宙を小さな規模で行うことか、かつ通信などを行うことか。
50kgクラスでというのはある(しんえん?)。能動的に活動できるというのは今回が世界初。
―開発体制では東大とJAXAと他の大学も参加?
その通り。JAXAと東大を中心として。


―時事:打ち上げウインドウによって変わってくると思うが現在のターゲットの大きさや位置などは。
大きさなどは小さいものが多いが、はやぶさ2と同時打ち上げという条件など 実は分かっていない。打ち上げ結果に左右される。その後の段階で発表する。
―あまり大きなものはできないなどあるか。どのくらいのクラスになるか。
できるだけ早くからカメラに捉え、調整して接近したい。できれば太陽を背にしてと考えている。
―パドルの発生電力は。余裕があるのか。
2〜300くらいの発電量。


―共同:探査候補について。いつごろ決まるか。
打ち上げ後軌道決定してイオンエンジンの実際の性能評価、打ち上げ後1ヶ月以上かと。
―地球と火星の間の軌道など…
近地球型の小惑星、地球と火星の間。
―探査機の大きさ、重さ60kgは50kg級といえるか
10kg・50kg・100kgと区切るので。


―朝日:超小型衛星というとビジネスなどあるがこれはビジネスなのか国家プロジェクトなのか
ミッションに特化すると非常に大きな探査機に複数台の観測機器を搭載しランデブしとなる。ビジネスとしてはたとえば小惑星の資源探査、いきなり大型でいってもリスクが大きい、前段階の調査として小さい探査機を、という使い方も。


―フジテレビ:近くまで接近するもの、複数とあるが
まずは1つ。その後は軌道や燃料の条件。もしかしたら次へ行くかも。


―日経:予算は?
研究フェーズから全て合わせると5億円。


―地球から何万kmほどの小惑星を?
制約がある。太陽からの距離、通信する上での地球との距離1.5AU、2億kmくらいを上限として目安に。
―画像から何が分かるか
これ自体が資源探査を目指しているわけではないが、表面の形状、粒子のサイズ、そこから内部の密度など。


―読売:ほどよしの資金も入っているか
全体としてほどよしの技術や環境なども。
JAXA相乗りとしてだが、相乗り衛星用にお金があるか、全く自前か。
公募したJAXA、応募したJAXA


―毎日:5億円とあったが、相乗り決定前の段階からの合計か
この1年から。
―開発期間が短かった、もともと相乗り決定前の段階から超小型の深宇宙を目指すという構想が?
東京大学として次は是非深宇宙をというものはあった。2013年の前の年ごろから検討。


―共同:コールドガスジェット
イオンスラスタとコールドガスジェット、ともにキセノン。同じタンクから供給、非常にコンパクトな推進系。
―2.5kgのキセノン、それぞれどのくらい使えるか。
ノミナルだと半分以上コールドガスジェット。イオンエンジンとしては3〜4割。効率は非常にいいので加速量は大きい。
―つくばに持っていく理由は
インテグレーションを行いまとめて種子島へ。ほかの相乗り衛星と同じ。
―開発途中色々問題があったうちの例としては
開発期間が短いからといってトラブルが少ないということはなく、簡単なものでいうとケーブルの配線ミスなど。大変だったものはイオンスラスタの試験でなかなか衛星をチャンバに入れてエンジンを吹かすということがなかなかできなかった。実際の構成で噴射することで分かった不具合。断熱材との干渉など。