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2009-01-14 くいすた1巻

[新作情報] 『QuickStart!!』(くいっくすたーと!!) 1巻  [新作情報] 『QuickStart!!』(くいっくすたーと!!) 1巻を含むブックマーク  [新作情報] 『QuickStart!!』(くいっくすたーと!!) 1巻のブックマークコメント


 『ゲーマーズ・フィールド』誌で好評連載中の『QuickStart!!』(くいっくすたーと!!)、略して「くいすた」をまとめた単行本が2008年12月に発売されました。
 内容はある高校(女子高なのか共学なのか不明)に集まった女の子TRPGゲーマー4人組が集結して学園TRPGライフが始まり、3年の先輩も加わり、やがてゲーマーの先生を顧問に巻き込んでゲーム部も設立していく……というまったりTRPG学園もののコメディ4コマ漫画ですね。
 何気に面白くてしかもネタが濃いのでいつもGF誌で密かに楽しみにしていたのですが、このたび単行本になりました。これを機会にまとめて読むのも面白いのではないでしょうか。
 登場人物紹介がないのが残念ですが、単行本化に当たってはあちこち書き直されているようです。また、カバーを外すと、何気に作中で進行中の『アルシャードff』のキャンペーンのキャラが中の表紙と裏表紙に渡って書いてあるのでここも要チェックです。w

 コメディなのでまぁ当然ですが、登場人物たちは女子高校生とは思えない重度のTRPGゲーマーです。どんな人たちかというと……
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モモ

 ショートカットの元気っ子。とにかく一直線、TRPGも勢いで遊んでいる主人公タイプ。整理整頓が苦手ですがルールブックは綺麗に使っているようです。レコードシートなんかはきっと溜まりっ放しになっているんじゃないですかね。
 キャラクターに細かい設定がなくても、とにかくダイスを振ったり喋ったりしていれば満足するタイプです。第三者的な視点から見下ろして考慮の末に発する台詞や行動でなく、プレイヤーの思考とキャラクターの思考が直結した反応、いわゆる「脊髄反射」的な動きも見られますね。思ったことがそのまま口に出るシーンも多く、行動もランダムで予想がつかないところがあります。キャラ的にもなるほどという感じですが、推理もののシナリオは苦手なようです。
 実際のプレイではこういうタイプのPLさんに、ファイターとか戦う役、比較的若年で主人公的な枠、いわゆるPC1っぽい役どころを頼むと大抵うまくハマるものです。作中で進行している『アルシャードff』キャンペーンでもPC1をやっていますね。

サチ

 長い髪にポニーテール、カラー表紙だと髪が紫色で描かれていますが、ラノベ/アニメ絵的なイメージでいうときっと赤い髪なんでしょう。何よりもキャラが生き残ることを最優先し、ルールをしっかり読み込んでガチで強いキャラクターを作ってくるマンチ系タイプです。反面、キャラクターの名前なんかにはまったくこだわりがなし。きっとFEARゲーから離れてもっとシビアなTRPGでも生きていけるんじゃないでしょうか。w
 敵が強いことが分かっているシナリオを遊ぶ際、シナリオを自作して敵データ作成に困る際にこういう友人がいると助かりますね。
 どうも作者さんをモデルにしているところがあるのか、ダイス運が極めて悪く、本人も気にしているようです。確率を勉強すれば分かりますが数学的には、実際には運はありません。作中でフミが言っているように、ここぞという所で悪い目が出るのが印象に残りやすく、「サチ=目が悪い」というイメージでサークル内で共通化されて今に至っているのでしょう。
 長く遊んでいると、どこのサークルやコミュニティにもこういう人って1人2人いるものですね。w
 実際のセッションではこういうタイプのPLさんの対処法は簡単、周囲の期待通りにダイス目が悪かったり、期待を裏切ってダイス目が良いとき、回りから拍手したり盛り上げてあげるとその人のイメージがさらに固まります。
 ランダム性が低いシステムを遊んでみるのも手ですね。そういえば有限乱数のトランプを使うN◎VAをサチが遊ぶと、引きの方はどうなんだろう……?

フミ

 おっとりしたお嬢様タイプの子。ラノベ/アニメ絵的なイメージでいうとカラー表紙と同じく絶対金髪でしょう。TRPGは機会に恵まれなかったもののリプレイを大量に読み、キャラ作成まではかなりやっています。いわゆる「リプレイ知識先行型」、TRPGプレイヤーをタイプ分けする上で昔から語られてきたテンプレートのひとつですね。彼らを侮ってはいけません。作中でイエローサブマリンがモデルと思われるTRPGショップを訪れる際、N◎VAのツクダ版を見分けるぐらいに濃いのですから!w
 キャラクター設定を紙に何枚も作ってきてしまったり、やっと遊べたセッションが楽しくて徹夜でリプレイを起こしてしまったり、誰でも懐かしい微笑ましいことをしています。きっと楽しみにしているセッションがあると前の晩に、ミクシィに自キャラのオープニングを描いたショートストーリーを上げてしまったりするタイプでしょう。w
 キャラ傾向としては人外萌えトカゲ系サカナ系が大好きなようです。『ダブルクロス』ではエグザイル、『アリアンロッドRPG』ではギルマン、『異界戦記カオスフレア』ではアムルタート、『アルシャードff』ではザウルス、『ブレイドオブアルカナ』ではザルムやクレアータの少年や魔器ディアボルスなど人外Onlyで固めています。(ブレカナは異種族がみなかっこいいので、これは割と見られますね)
 GF誌連載の漫画なので著作権上も登場は難しいですが、『ソードワールド2.0』をやったら絶対にリルドラケンを選ぶはず。と読者の皆さんは必ず思ったはずです。w
 センスにかなり独特なところがあるようで、『アルシャードff』のジャーヘッドの仮面の下がアメーバ生命体だと何が萌えるのかよく分かりません。w
 『トーキョーN◎VA』で新キャストを作る話は、ナイトワーデン社の新人設定のカブト◎,チャクラ,ミストレス●のショートカットの北米出身の女の子。RLサイド目線から見ても、ブロッカー社長の見込んだ新人という系のカブト枠用のキャストとしてはかなりいい線を行ってると思います。
 これで可愛い男の子や女の子を守って悪漢たちと戦ってほしいとイメージするところですが……そこでメイン武器がダブル・リップス(喉から蛇のように飛び出る白兵用サイバー武器)ですからねー。これで<※呼吸>反撃とかするんでしょうね。新しすぎます。シナリオヒロインが見たらマジ反応に困りますよ。w
 実際のセッションではこういうPLさんの対処の鍵は、やはり前もってそのキャラクターの設定を把握しておくことでしょう。専用のハンドアウトを書いてあげたり、セッション中に過去設定をうまく活かしたり、NPCがキャラの個性を認識した反応を返すと、たいていとても喜ぶものです。

サクラ

 モモの双子の眼鏡っ子。豪快なモモと反対に几帳面な委員長タイプのようです。人数分のレコードシートをちゃんと常備していたり、セッションの場で周りに気遣いができるタイプですね。
 ダブルクロスでは春日恭二、アルシャードffでは『ヴァーレスライヒ』に出てくるゾンバルト副官のヒンビッヒ中佐が大好き、そしてトーキョーN◎VAではキャスト全員に稲垣光平のコネを取らせているという、オフィシャルNPC萌えな子です。果たして敵っぽい組織所属のPCが好きなのはNPC萌えと関係しているのでしょうか。w
 作中でN◎VAのアクトのオープニングで自分のキャストが料亭で稲垣と話しながら中の人萌えている場面にはつい笑ってしまいました。w あるある、こういう光景って実際にありますね。
 トーキョーN◎VAでは、その人の持ちキャスト一覧を素早く調査してコネ技能や設定をチェックすればこういうタイプのゲーマーさんは見抜けます。実際のセッションでの対応方法は明白で、大好きなNPCセッション中に出してあげれば満足します。萌え対象のNPCを理解して台詞をひとつふたつ用意して演技できるようにしておくのもイケますね。

池上先輩

 高校3年生の熟練ゲーマー。初対面のモモと出会い頭にゲーマーのオーラを互いに感じて即座に打ち解ける辺りからしてもコミュニケーション能力が高く、敵データの作りこみでバランス感覚があるなど、上の4人に比べるとTRPG経験そのものが豊富のように見えます。敵の攻撃を自分に引き付ける口プロヴォックが成立するのも慣れている証拠ですね。シナリオに登場する敵NPCを作っていたら愛着が沸いてきてPCとして使いたくなったりするくだりも、GM経験がある人なら共感しちゃうでしょう。
 TRPGは続けているといろんな本や漫画や映画を見たり、神話伝承関係で余計な知識がついたり、ネーミングで何がカッコイイかが分かってくるものですが、ネーミングセンスが未だにぶっとんでるのは先輩の味ということでしょうか。w
 作中でセッション開始前に「そういえばPC1やったことがないのだ!」と頭を抱えたりPC1力ゲージが切れて語尾が「ごわす」になるシーンがありますが、これは割と意外でした。でもゲームマスター経験が豊富になるとセッション全体を見渡す視点が身につきますから、プレイヤーの際も脇を固める役に回ったりするのは考えられることでしょうか。
 実際のセッションでもこういうタイプのマスター経験のあるPLさんがいると、主人公枠とはまた別の、ストーリー上大事な縁の下の力持ち的な枠どころにいてもらうと助かる場合があります。作中の『アルシャードff』キャンペーンでも立場的に自由な吟遊詩人タイプのヴァグランツでPC4枠をやっていますね。

高見先生

 面々を指導している一見普通の美人の英語の先生ですが、隠していますがかなり濃いゲーマー。ブレカナの三王会戦が起こった年を覚えているあたりが相当濃いですね。英語が得意ということは大学の頃にFEARゲー以外にもD&Dとか洋ゲーの翻訳とかもやってたんじゃないでしょうか。一般人は滅多に使わないゲーム用語の「イニシアティブ」に慣れているところも怪しい。w
 キャラメイクの時に「27は若いわよね?」と静かに有無を言わせず強く主張しているあたりからも見ても、年齢設定は20代後半のもうすぐアラサーなのでしょう。w
 N◎VAを遊んでいると、オフィシャルゲストの千早冴子警部や早川美沙部長が出るシーンなんかでよくこの手の話題になりますね。
 自分が忙しい時に教え子たちが楽しそうにゲームをしていると呪いのオゥラを送りながら教室の入り口でうらやましそうに見ている辺りや、遊びたいけどキャンペーンと聞くと尻込みする辺りは忙しい社会人ゲーマーの共感を誘います。
 しかしこの高見先生の自分のキャラ設定の超人病は酷いですね。(笑) 教え子の前なんだから先輩ゲーマーとして手本を示せという気もしますが。「社会人ゲーマーが久々のセッションでつい自重を忘れてハッスルしちゃいました。てへ☆」というカンジでしょうか。
 むかーし一時期流行ったPC村の話で俗に「超人はPC5」などと言われますが、作中で先生が演じている神設定のようなキャラは、シナリオの本筋からある程度離れた、多少設定がぶっ飛んでいても大丈夫な位置に配置すると事故が防げます。
 また、この作中のようにプレイヤー陣の年齢構成にばらつきがある場合も、高校生組は自分に近い比較的若年キャラ、先生のようなオトナ組は一行を見守る年長キャラ、のような立ち位置にするとスムーズです。
 そういう意味では作中の『アルシャードff』キャンペーンで、高見先生の神設定のアルフがPC5に配置されているのは正解でしょう。プレイヤーの急な欠席の際も大丈夫というのもありますね。
 作中のこのアルシャのキャンペーン、何気にキャラ配置をうまくやってます。w




 TRPGリプレイは豊作が続く昨今、実際にプレイヤーたちが集まって話しているセッションの雰囲気に重点が置かれた作品もありますが、やはりリプレイというと作中のキャラクターたちの描写がメインになるものです。
 作中の登場人物たちが実際にセッションをしており、登場人物たちがセッションの中で演じているキャラクターも別に存在するという、二重のメタ視点で描かれているという点においても、珍しい作品です。
 絵柄とは裏腹にかなりネタが濃いので、FEAR系の旬なシステムを知っていないと楽しくない面が弱点ですが、「こんな風景あるある」とゲーマーならつい笑ってしまったり懐かしくなったり微笑ましくなるネタ満載、隠れた面白い作品です。GF誌上でも、もう一本こういう系統の学園TRPGネタ4コマ漫画『進め!TRPG生徒会』が連載中ですが、こういう作品ももっと増えてほしいですね。

 実は未読なのですがもう古本でないと売ってないのかな、『幻想主義』という1巻で終わっちゃったマイナーな漫画がTRPGが描かれているそうですね。
 また古い話で恐縮ですが、12,13年前か、朱鷺田祐介氏がログアウト誌で連載していた『粋なゲーマー養成講座』がこの“くいすた”と似た路線でした。あれもかなり面白くて役に立つ良作でした。


 ふと、『Role&Roll』誌でも掲載システムを使ってこういう系の漫画をやったら受けるんじゃないか……と思ったのですが、作者さんによる実際のプレイ記録をセッション内のキャラと一緒に描いている『スピタのコピタの!』が毛色は違えど似たようなものでした。w