行楽弁当

師走17日、箱根に向かった。ロマンスカーのシートに座り、おもむろに弁当を取り出すと、連れは大きなザックの中を何やらモゾモゾ。

取り出したのはなんとスパークリングワイン。何でも宝くじ整理で5000円ゲットしたらしい。
「朝から? 車内で? 飲むわけ?」「そうそう、嬉しいだろ?」とニタニタ

何を考えているのやら。ロマンスカーでスパークリングを一本開ける御仁はいるのだろうか。

「どうしてもここで飲むんだ? じゃ、こぼれないように気を付けて、回りの迷惑にならないようにね!」と釘をさす。

連れは大振のハンカチをボトルの口にあて、音もなく開けるのに成功し、ニタリと笑った。

プラスチックのカップに注ぐと、「すごい泡だよ。すごいね」と大はしゃぎである。

さて弁当は、だし巻き玉子に豚の生姜焼、ブロッコリーの塩ゆでと定番の菜だが、椀には素麺と豚汁の具が仕込んである。保温ボトルから熱々の汁を注げば、連れの好物の豚汁煮麺の出来上がりだ。

かくして箱根までの道中は言わずもがな宴会の様相。

しかし当方、到着後は飲みすぎで箱根の湯を満喫するには至らず…

何のために朝から弁当を背負い箱根まで来たのか、後悔しきりの1日であった。