光の春2〜石川淳集〜井上雄彦×伊藤比呂美対談立ち読み〜最後のマンガ展

最初に。
前回、この季節のことをさすことばとしてあげた「光の春」について、勝手ながら、はてなキーワードの達人蟹マスターさんに言及したところ、早速いろいろ調べてくださった。ここに感謝の気持ちを込め、トラックバックさせていただきます。(なお、私がうろ覚えで「畳一つぶん光が長くなる」云々の季語も補足されています。)

http://d.hatena.ne.jp/kanimaster/20100222/1266850645

今日は、用事があり御池に出る。第二の用事までの間、錦市場を通り、錦天神にお参り。昨年の正月お守りを買って友人にあげた記憶がある。鳥居のしたの牛が黒光りしている。撫でるとご利益があるからで、ご婦人がなでた手で足やひざをさすっていた。痛むのかもしれない。
第二の用事をすませ、河原町通りに出ようと新京極を歩き、途中をふと昔八千代館というポルノ映画館があったところにコジャレた服屋ができているのを見る。
知っている人はいるだろうか。
前の公園はまだありヤンキー?風な若者がたむろしている。昔からそうだった。
京都の繁華街は大阪みたいに若者ばかりがいるアメリカ村風の場所はないが、ここから蛸薬師にかけて、ロフトやもうすぐなくなるらしいがビブレのある辺りは、アメリカ村風ではある。
学生の頃、ここにある美松の映画館によく来た。昔から中高生のメッカだった。
路地が細いわりに人が多い。
なんとなくパリの裏町という感じだった。いまも雰囲気はある。
懐かしいので路地にあった喫茶店で茶を飲む。ここらでもサ店がセルフになっている。
河原町五条まで歩く。東角になか卯があるところだ。ここのなか卯にはたしか時々来た。会社が近かったためだ。コーヒーも出していた記憶がある。
ちなみにここと同志社今出川なか卯はセルフだ。大学生協からヒントを得たのかもしれないが、牛丼も日本式ジャンクフードなので当然のなりゆきか。しかしなか卯には用はなく、河原町五条を下がったところになんと市民の交流センターがありそこに行った。
ひとまち記念館という。(知らない人多いだろう)
それよりなんとあの五条大橋から斜めに河原町通りに出る道があり、そこに柔道整骨士の学校があるのにはじめて気付く。
結構おおきい。
そんなに生徒が多いのだろうか。そもそも柔道向け?の整骨士養成ということだろうが、需要はあるのだろうか?
謎だ。
ひとまち交流館はまだ開いてはいたが人はほとんどいず、目当ての窓口はしまっていた。残念だったがちらしをいくつかもらう。
ロビーになんと各方面へ帰る市バスの時刻表と「まもなく来ます」と丸い表示が出る独特の案内板(京都にいたことがある人ならご存じか)があり驚く。
それを見てバス停に向かう。
しばらく待って銀閣寺行きのバスに乗る。
ガケ書房による用事を思い立ったのだ。バスの表示を見てひらめいた。
旅のような感覚だが、実際バスの中に外人さんを見掛けた。彼らも銀閣寺で降りた。まさにアメリカ人という感じの年輩のカップルだった。
さてガケ書房の前に銀閣寺の交差点に近く古本もおいていた新刊の本屋さんをのぞいた。二年ほど前に偶然覗くと一昔前(三十年は前かな)に学生が読んでましたよ的な本が以外に多くあり、中には掘り出し物もあった。
それを思いだしちょっと入る。
これはもう古書店の雰囲気だが妙に建物が白く、新刊もあるので、なんとなく古書がかびくさく現実よりも古びて見えてしまう。
ただちょっとあたらしめのちくま日本文学全集が並んでいた。
石川淳の背表紙にひかれほしかったので買ってしまった。
種村季弘さんが解説を書いている。わりと面白い解説だった。それも読みたかった。
ちなみにこのブログのタイトル「為才」は、石川淳の雅号「為斎(いさい)」から借用いたしました。なんと石川淳と、その弟子の安部公房、そしてかく申すわたしの誕生日は同じなのです。
さて、そこから北白川通りを向かいの大黒屋を見ながら歩くこと3分、かに道楽を過ぎてビジョン眼鏡のとなりがガケ書房だ。
壁から車が飛び出て白っぽい新しいペイントがされていた。
先週も寄ったのではあるがそのとき買えなかったものを見に来た。
昔の映画の宣伝用スチール写真が乱暴に段ボール箱に入れられ一枚百円均一で売られている。
おそらくマニアの放出品だろう。
他にも自分の秘蔵の本やレコード、VHSビデオ「太陽に吠えろ」なんかも箱詰めにして「暇つぶし堂」なんてプレート(これも段ボール)をつけておいてある。
こういう味はなかなかない。
ガケ書房にも古書店が棚を一部借りている古書のコーナーがある。しかしハトロンをかけたりしていたり、棚がくろく照明が暗かったりしているせいか古くささを感じない。
ここは他の本屋がスペースを食うので嫌がるだろう面出し置きの本が多く、本を作っている人にはうれしい店だろう。
奥に表紙が赤々としている本が目立った。
井上雄彦伊藤比呂美の異色な対談だ。
読んでいてビックリするがあの赤は血の色から連想されているのかと思う。
伊藤比呂美スラムダンクの熱狂的なファンで、熊本(昔から熊本に住んでいた)の歯医者に全巻あったのをあまりにも熱心によんでいたので彼女にくれたらしい。
その後も熊本中の本屋さんをめぐり集めて読んだとか話していた。何度読んでも発見があるという。
井上雄彦伊藤比呂美の詩を「血が出るような言葉だ」と誉めていた。
立ち読みにとどめスチール写真だけを買って帰る。
店長の山下さんがレジにおられたので少し話す。もし蔵書で売りたい本があればと言われたが絶版の本しかダメだそうだ。
古書業は免許が要ったはずだ。
さていま大阪天保山サントリーミュージアム井上雄彦の「最後のマンガ展」が開かれているのをご存じか。二階建てビル相当の生の武蔵の壁画があるらしい。
3月14日まで。詳しくはhttp://suntory.jp/SMT/

下記は買ってきた写真。まんなかは森繁久弥音羽信子だ。映画館のある路地にいたせいかスチールと縁ができた。