数寄者 石山政義の時空遊泳 その123

昨日関東に降った雪は鎌倉にも10センチ程積もった
しかし雪質としては湿っていたせいか、わりと早く溶けたのは幸いだな
4年前のときは20センチは積もったようでその振りようったら容赦がなかった
大船で電車が動けず締め出されて一晩、駅構内で過ごすところだったが
拙宅に出入りしてもらってる大工さんが迎えにきてくれ危うく難を脱することが出来た
そんなことを思い出し乍ら拙宅の門をくぐれば案の定、辺りは真っ白だ
路の両端からは雪の重さで倒れ掛かってるお化けが如き竹林の群れが行く先を遮る
しかし、この風情、数寄なものからすればたまらなくイイもの・・・・・
は、さておき、これらを右へ左へと避けつつ妖しく光る新雪から僅かに覗く石段を慎重に踏みながらやっと母屋に着く

さて、急ぎ着替えて茶室に入った拙僧
昨日冷やしておいた純米大吟醸の冷酒を御覧の志野筒茶碗に注いでまずは一煽り
この酒、東京の、とある経営ブレーン幹部を潔く辞めて遠く北海道に自らの天地を求め、去っていった友人の置き土産
夫婦での新生活は如何ばかりであろうか
賢い彼のこと、愉しくやってることだろうて
そんことを想ってるうちに酒のほうは1合八尺程呑んだ、とおもう
床の間に常備の茶筅片手に山田屋の薄皮饅頭ほうばりながら桃山時代独特の仄かな赤みに包まれた古志野茶碗に湯を注いで薄茶を点てる!
抹茶の芳醇な香りが茶室に漂う
吟醸酒のあとのこの一服、五臓六腑に・・・・・シミるゼ!
いま一服点じ、玄関正面に陣取る鮮やかな金彩と峻烈な碧空を従えた英鋒白富士に敬意を表して遅まきながら献茶
真に今宵に相応しいではないか・・・・・
う〜ん、眼福の極みではある