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Wed 2007.12/05

リソースバトルとしての『魔人探偵脳噛ネウロ』

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 14巻が発売されて、「新しい血族」との戦いが前面化したネウロですが、これから展開されるであろう、ネウロの特徴的なバトルの形式について考えてみたいと思います。

パワーバトルと相性バトル

 少年漫画におけるバトルというと、大きく分けて「強い方が弱い方に勝つ」力比べであるパワーバトルと、「相性の良さで勝敗が左右される」駆け引き重視の相性バトルという二種に分けられると思います。

 パワーバトルでは、強さの序列がハッキリしたヒエラルキーを形作りますが、相性バトルの強弱は絶対的でなく、「Aと戦うと不利だがBには勝てる」というように相対化されやすいのが特徴です。


 戦闘力を数値化したドラゴンボールや、「とにかくスケールで上回った方が勝つ」北斗の拳聖闘士星矢などは、典型的なパワーバトルの漫画だと言えるでしょう。

 ジョジョハンターハンターワンピーステニプリなどは、うまくパワーバトルと相性バトルの両要素を同居させている漫画だと言えます(相性で戦いが左右される局面と、格の違いで勝敗が決まる局面が両方ある、ということ)。

 この二種類のバトル形式は、それぞれ「パワーインフレ」と「ルールインフレ」という形でインフレするのだ、と元長柾木氏がユリイカ荒木飛呂彦特集で指摘していたのが記憶に新しい所です。

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 さて、ではネウロは?

 魔人であるネウロは、一対一の戦いなら負ける相手の居ない、無敵のモンスターとして描かれます。

 また、ネウロ自身には「戦闘力の成長」という要素がありませんから、パワーインフレも起こりません。

 便利アイテムストック777個も持っている以上、能力的にはなんでもありですから、相性バトルもあまり意味を持ちません。相性バトルは、使えるカードが予め限定されているからこそ盛り上がるのですし、「カードのストックが多い方が勝つ」というルールではパワーバトルとあまり変わらなくなるのです(『遊戯王』のバトルを思い出してみてください)。


 ではネウロのバトル形式は何なのか……ということを考えるには、ネウロの作風に最も近い漫画を思い出すのが近道となるでしょう。

 それは横山光輝の『バビル2世』です。

リソースバトル=リソースの削り合い

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 ネウロバビル2世というのは、実は去年の『STUDIO VOICE』にちっこい記事を書いた時から提唱していたことなんですが(誰も覚えてなさそう)、無敵の力を持っているように見えるバビル2世ネウロでも、エネルギーが切れれば戦闘不能になるわけで、そこを狙えばトドメを刺せるという点でも共通しています。


 そのエネルギーリソース人海戦術や捨て駒などを利用して削ることを、リソースバトル」と呼ぶことにしましょう。

 そこで、皆さん大好きヨミ様は「油断・うっかり・部下思い」の三拍子が揃った超いい人なので、バビル2世にトドメを刺すチャンスを幾度も見逃しているわけですが、ここでお出ましなのがシックス先生です。


 「ヨミ様から油断とうっかりと部下思いを抜いた存在であるシックスは、まず間違いなくネウロに勝つでしょう。 *1

 魔人ネウロは、ネウロ一人では間違いなくシックスに負けます。

 それは「もしヨミ様が遠慮しない性格だったら」という思考実験を行ってみれば火を見るよりも明らかでしょう。

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 シックスネウロと一対一で戦わずとも、エネルギーを削らせることは可能です。例えば、大量に死人が出る災害を起こして、それをネウロの魔力で防がせる、など。

 パワーバトルと相性バトルに二極化しがちな現在少年誌において、横山光輝的な「リソースの削り合い」……ドロドロの泥仕合の面白さを取り戻したというのも、ネウロの評価すべき点の一つだと思います。

新しい血族 vs ネウロ人間

 そんな泥仕合必至の戦いを前にして、人間の弥子に何ができるのか? というと、ネウロに「人脈」という、魔力とは別のリソースを与えることなのではないでしょうか。

 つまり、ネウロ一人では人間と直接協力することができないのですが、弥子なら多くの人間を直接言葉で動かすことができる。

 名探偵という立場を得た弥子にそういうスケールの可能性が眠っていることは、多くの伏線物語っています。

 また、どちら側につくとも定かではない「X(サイ)」は、『バビル2世』における「三つのしもべ」を思わせる危うさもあり、弥子がサイとどんな関係を結ぶのか、というのも鍵となってきそうです。


 よって、弥子がその口から、「ネウロに協力してあげて」あるいは「ネウロを助けて」と、今まで築いてきた人脈に対して号令するまでが、シックス編における一つの山場なのだろうと予想できるわけですが、さて。

*1:もっともジャンプの最新号でDRの戦い方を読む限り、部下レベルでは油断やうっかりが多そうですが

nmnm 2007/12/06 02:41 リソースバトルも能力バトル(相性バトルよりこちらが一般的ですね)の一種といえるかもしれませんね。弱点、制限がエネルギー切れの最強能力って感じで。

 2007/12/06 03:32 ヘルシング、といったほうがわかりやすいような気もする。

izuminoizumino 2007/12/06 09:50 ネウロ以外の魔人というのは登場しなくて、必ず「最強のネウロ対○○」という視線で楽しめるのが相性ゲームとの違いかもしれません。対戦カードが複雑化して、組み合わせが相対的になってからが「相性ゲーム」のミソですし。//そういう意味では「対アーカード」のヘルシングや「対DIO」が強調されたジョジョ一部はバビル2世に近い、っていう言い方もできそうですね(ジョジョは三部以降から「波紋はスタンド戦であまり役に立たない」という「相性の悪さ」が生まれる)。

izuminoizumino 2007/12/06 10:06 ああ、あともちろん少佐はシックスですよね。勝ちフラグ立ててますし。>ヘルシング

matukatamatukata 2007/12/06 17:52 それだと最終的にネウロは負けるけど、人間が血族に勝利しそうですね。

izuminoizumino 2007/12/06 18:17 >matukataさん これは記事とは全然違う見立てなんですが、シックス=白面の者、ネウロ=とら、弥子=潮という『うしおととら』ビジョンも期待できるかなーと。ネウロをどう救うのかがキモですね。//この場合の弥子は潮というより『あやかし堂のホウライ』のアヤカの方なのですが。

アホーガンアホーガン 2007/12/07 00:38 スクランのときもそうなのですが、こちらのサイトを読んでいて一番、何に感銘を受けるかというと、同じ漫画を読んでいるにもかかわらず、私が漠然と面白いなーぐらいの気持ちで読んでいる漫画にたいして理路整然と漫画Aは何がどうなっているから、Bに比べて、どうなのか、というのを説明してくれるところです。それはまさに、同じ手がかりを見ながら、事件の真相にたどり着くホームズと、その真相を聞きながら、いちいち大げさに驚いてくれるワトソンぐらいの差があるように感じるわけで、管理人様の考察の深さには毎回驚かされます。ネウロに関しても、連載当初は「また流行のイロモノ推理漫画かー」ぐらいの感想でしたし、今も「最初推理漫画が、今はバトル推理漫画?ジャンプは何でもバトルにするな。面白いからいいけど」ぐらいの感想です。そのバトルのカテゴリー、各人物の役割、今後の予想など、作者任せで、僕は全く考えていませんでした。こちらのサイトを拝見してから、その解説された漫画、解説に使われた漫画を漫喫で全巻読み返すのが、最近の楽しみの一つです。長々と失礼致しました

izuminoizumino 2007/12/08 01:51 アホーガンさん コメントありがとうございます。大袈裟にお褒めいただいて、恥ずかしいやらなにやらです。こういう「解説芸」をウリとしてやってますので、ご愛顧どうぞ宜しくお願いしますね

梵 2007/12/25 22:40 「人脈」のくだりを読んで、ちょっと僕の仮説を書きたくなりました。橋の下のおっさんは刹那の父親ではないでしょうか?HAL編において、脳が破壊され、破壊や暴言を繰り返す『悪意』の塊みたいな状態になる刹那の病気について、春川の助手がさりげなく「この病気は人為的に起こされたのではないか?」と発言していますが、この伏線は未だ解決されていません。そして春川と刹那の父親は、机上の空論とも言えそうな計算や理論を吹っかけ合って遊んでいたらしい描写もあります(刹那経由でのみかもしれませんが)。そしてヤコは橋のおっさんが春川に似ていると指摘している。つまり、あのおっさんは刹那の父親で、娘の死後世捨て人になっていた。刹那の病気はシックスの手によって引き起こされたもので、それが動機で彼は対シックス戦に参戦する。では、どうやってその事実を知るのか?春川の過去に触れたのはヤコとサイ(シックスが彼の記憶からHAL戦の詳細を引き出せたという事は、サイが劣化版HALを観察した際にHALの記憶は全て受け継いだと考えて良いでしょう)のみです。しかしヤコはシックスからあまりに遠い。という事は、現在囚われの身であるサイが何らかの方法で脱出し、シックス側の情報をヤコに提供する可能性があります。彼にもアイを殺されたという動機がありますし。で、その辺を繋ぐのがヤコの仕事。という展開はどうでしょう?



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