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 移行後のはてなブログ:izumino’s note

メディアと受け手の関係について考えなければいけないこと

 某所で書いていたメモを手直しして転載。

ストーリーテラーにとって「描きたい展開」と「描きたい展開に持っていくための展開」はまるで別物なのに、それを区別できない受け手はホント見てて可哀想

例えば、自分のブログなんかの文章の前半だけ読んで、後半は読み飛ばしている読者から「あなたが前半で言っていることは最低です」とかコメントを付けられたら「あー(国語的な意味で)可哀想な人だな……」と思うでしょう

話の途中で「こんなものが描きたかったのか」などと印象を決め付けるのはそれと同じようなもの

これは物語にかぎったリテラシーの問題のようですが、もっと日常的な「人の話は最後まで聞きなさい」に通じる問題かもしれなくて、「きっとこの人は、会話した時でも人の話を最後まで聞かないタイプなのかしら」という空気は、受け手の感想からでも伝わってくる気がすることがあります(←こういう先入観を「決め付け」と言いますが)

しかしそう考えてみると、そもそも「人の話を最後まで聞く」というのは誰でも当たり前にできることではない……、一種の「能力」なので、誰にでもそれを求めること自体にムリがあるのだろう、という気付きも出てきます

 あと、「連載モノ(連続ドラマ)」と、「完結モノ(シリーズ全巻が揃った作品)」でも読まれ方は明確に違ってくるので、そういう「メディアによる落差」を埋め合わせながら(差し引きながら)作品を楽しめるか? というのも受け手のリテラシーに関わってくる問題です。


 最近、赤松健の日記帳でも書かれていたことなのですが(強調は筆者)。

日記帳(2008年4月7日)

昨日の日経に「漫画雑誌の年間販売部数がピークからほぼ半減」という記事
があり、95年に7億1700万冊出ていた漫画雑誌が47%減ったと書い
てありました。(※ただし単行本は5%減で済んでいる)

この記事自体はそれほど物珍しいトピックではなかったのですが、その中に
注目すべき指摘が。

 「最近の読者は、週刊誌や月刊誌の発行サイクルを遅いと感じている」

・・・という出版科学研究所員の指摘です。

う〜む、確かにそれはあるかも。
例えば音楽の話ですが、私がFMなどで欲しい楽曲を見つけたとき、CD屋
へ行って買ってくる・・・などという遅いことはせず、アマゾンで適当に
検索して買っちゃう・・・のも遅くてイライラするので、iTunes(Store)で
その一曲(\150)だけ買ってすぐ聴いてしまいます。その間2分。アマゾンで
も早ければ翌日には届くのに、もうそれさえ耐えられないのです。

こういう現代において、”週刊”などという前世紀のサイクル・スパンに、
最近の読者が耐えられるのでしょうか(^^;)。(いわんや月刊をや)

しかし、週二とかで漫画雑誌を出すのは、編集部も漫画家もちょっと無理。
前述のように、作品をまとめて読める「単行本」の売り上げはそれほど
下がっていないので、漫画雑誌業界は今後さらに「雑誌より単行本重視」の
方向へ進んでいくと個人的には考えております。
(雑誌には、単行本販売の
広告媒体としての役割もあったが、最近は薄まってきた。例えば、のだめが
売れていても、その掲載誌は意外と知られていない)

 このようなメディア的/産業的な問題は、実は真剣に考えなければならないことではないか、という気もしています。
 漫画論の世界ではあまり俎上に登らないテーマだと思うので、ちゃんと問題提議しておく必要があるでしょう。
 『漫画をめくる冒険』の下巻でも、実はこの問題に触れる予定でいます。

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鼎談記事「マンガにおける視点と主体をめぐって」より

メディア論的マンガ論のほうへ

 下巻の方で触れる内容なんですけど、週刊連載を読むときのマンガと単行本で読むマンガって明らかに違うものだと思うんです。雑誌で読むときにけっこう評判の悪かったマンガが単行本で読むとそうではないとか、逆に単行本だとすっと読んじゃったけど、週刊連載だと、毎週の引きで盛り上がりまくるっていうパターンもあります。これは経験的にみんなわかっているはずなんだけど、あまり表立って言う人がいない。

漫画をめくる冒険―読み方から見え方まで― 上巻・視点漫画をめくる冒険―読み方から見え方まで― 上巻・視点
泉 信行

ピアノ・ファイア・パブリッシング 2008-03-14

アスリートの目

 テレビで北京オリンピックの報道がよくやってますが、ぼく自身は競技スポーツやショースポーツには興味無いものの、代表選手がカメラに映されている所を見るのは好きです。


 エース級のアスリートは、目つきが鋭いのがいいですね。基本的にアスリートはマゾヒストじゃなきゃ続けられないというのと、何か他のことを「切り捨てて」いないといけないので、ちょっと浮世離れした意識が目にも出てくるものです。
 見ているものが、どこか我々よりも「遠い先」にあるような感じ。


 最近は、体操の鶴見虹子さんが凛々しくてお気に入りです。
 福原愛ちゃんも、そういう理由で前から好きだなー。