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Wed 2011.11/30

「楽しみ方」の共有は受け手側だけが行うべきなのか?

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 ちょっと与太話です。

 今のネットにおいて、アニメ番組感想考察のまとめなど、ソーシャル情報交換には価値がある、と思われているようです。

 つまり、アニメ番組二次情報には高い需要集客力がある。その価値が多くの人から認められている。


 だとすれば、もはやテレビアニメは公式に「番組の楽しみ方トーク番組」などを放送して、積極的にその価値を奪いにかかるべきではないか。

 「つまらないと思われているアニメ面白さに気付かせる」という干渉はわりと可能なことで、それは文字よりもトークの方が有効なところもありますから。


 ただまあそこに「お仕着せにならないライブ感」を与えるのは難しいし、「気付き」を与えようとしてハズしたらしょっぱい、というリスクはあるでしょうけど。

 スタッフ(送り手の代表)を出演させる*1よりも、単なるファン(受け手の代表)に語らせた方が目的に合うと思いますが、公式のメディアでどこまで「受け手目線の楽しみ方」の垂れ流しが許されるのか、というデリケートな問題もあります。


 今までアニメ番組にはラジオ番組タイアップが付き物でした。

 でもほとんどが「本編の面白さに気付かせる」トークは放棄してますからね。パーソナリティ役割はそこにない、と考えられている。


 ちなみに「送り手が解説したら負け」という思想はあまり好きではなくて、むしろ『まどかマギカだって虚淵玄さんが毎週「解説者」になってあれだけ盛り上がった番組でしょう。

 虚淵さんのTwitterアングルを誘導しすぎる観もあってヒドい、と思う面もあったものの参照すべき成果ではあったと思います。

 かなり早い時期から「声優スタッフTwitterで喋ると面白い」という効果にまず目を付けていたのは星海社太田克史さんでしたっけ。その頃はまだ「スタッフが作品の外で作品語りしちゃダメでしょう」みたいな空気が破られる前だったと思います。*2


この話のまとめ

 まぁ、まとめサイトの物量的な圧力に負ける前に、送り手側は対抗策を練るべきじゃないでしょうかという話です。


 「送り手が解説したら負け」という以前に、沈黙を守る美学を墨守しすぎると、「視聴者に解説してもらおうと期待して未完成品を世に出す情けなさ」が生じるようにもぼくは感じます。


 けして未完成品だと思って作ってはいなくても、「ネットで釣れればいいな」と期待して世に出すという行為は、そういう媚びや甘えを孕むものだと思うんですよね。

 もちろん、消費者の話題を完全にコントロールしようとするのは傲慢しょうが、逆に受け手に振り回されることを良しとするのも、不甲斐ないことでしょうから。

*1:例えば『プリティーリズム・オーロラドリーム』のDVD発売記特番(→http://live.nicovideo.jp/gate/lv54724203)など。

*2:不評の多いアニメに関しては、やはりスタッフは発言を控えた方が無難な流れに今なっていますが。

TT 2011/12/01 00:32 作者が自分の作品について語るなら、「自分が何を意図してこういう描き方をしたか」という自分語りに徹してほしいですね。
作品が一度野に放たれた以上「作品をどう解釈するか」については作者といえども一人の観客にすぎませんから、出過ぎた真似をすると反発を受けるだけでしょうけど、
制作意図を語るということについては完全に作者だけの特権ですから。

izuminoizumino 2011/12/01 00:50 アニメや映画の場合、一人のスタッフの「意図」はスタッフ全員の意図と一致しなかったりもするのでややこしかったりしますね。

なまえだよ〜なまえだよ〜 2011/12/06 06:01 パーティートークをしたいからパーティー会場を用意しろ。
すなわちアニメは舞台である。…と。これならハイコンテクストにも
対応できる? どことなく歌舞伎に似ていなくもない。

ダーク・ディグラーダーク・ディグラー 2012/02/28 00:19 泉信行さん 初めまして ダーク・ディグラーと申します。

クリエーターって誤読を嫌う傾向がありますからね。
スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』も『プレイボーイ』1968年9月号エリック・ノーダーンによるキューブリックインタビューで「解説したくない」と言いながら質問に答えてベラベラしゃべりまくってます。

難解な映画を作り自身の作品にはあまり語りたがらないデビッド・リンチも質問の仕方さえやれば結構しゃべるクリエーターで『ロスト・ハイウェイ』は「あれはOJ・シンプソンの僕なり推理さ」とデビッド・リンチはあらゆる箇所で答えてます。

『マルホランド・ドライブ』は当初TVシリーズの予定がパイロット版制作してたらTVの企画が流れてフランスの映画会社が「映画化するなら出資してもいい」と言われてインタビューでのデビッド・リンチの名台詞「いや〜映画ってちゃんとオチ考えないといけないんだよね。」(・・・・・って当たり前だろう!)

『マルホランドドライブ 』の基本ラインはビリー・ワイルダー監督の『サンセット大通り』でレズビアンの関係性はリンチの下働きしてたイーライ・ロス(『ホステル』の監督で俳優として『イングロリアス・バスターズ』や『ピラニア3D』に出演)にDVDやインターネットをリンチに教えたた所ウォンシャスキー兄弟の『バウンド』のレズ・シーンに興奮してそれにインスピレーション受けたというのが真相でオチはハーク・ハーヴェイ監督の唯一の作品『恐怖の足跡』でして全てはしに行く女性の夢と言うのがオチです。

宮崎駿も『千と千尋の神隠し』でもう休刊した映画雑誌『プレミア』で風俗の話と断言してます。

まぁ『地獄の黙示録』のフランシス・コッポラみたいに最後に大アクションやる予定がカーツ大佐役のマーロン・ブランドが腐肉の如く肥太り脚本さえもロクに読んでおらず酒びたりでしょうがないんでデニス・ジェイコブが「フィッシャーキングの話にしたらどうか」と助言して『地獄の黙示録』の元ネタの『闇の奥』を,フィッシャーキングをキーワードにしてフレイザーの『金枝篇』J・L・ウェストンの『祭祀からロマンスへ』そしてT・S・エリオットの詩集と出来上がったのはベトナム戦争版『新世紀エヴァンゲリオン』になっちゃって詩や民俗学の気取った引用を批判されると思って記者会見じゃあ「もったいぶって難解な映画ってどういしょうもないね」と先手打って「だけどさぁいくつかは答えだしてると思うね四十七くらいのレベルで違った答えがあるよ陳腐にならないレベルで語るのは難しくない」と言って切り抜けたました。

最近だと『インセプション』のクリストファー・ノーラン監督が最後のラストは自分で考えて欲しいって言ってました。
『インセプション』はベルナルド・ベルトルッチ監督の『ラスト・タンゴ・イン・パリ』に影響を受けてます。

そういえば『ラスト・タンゴ・イン・パリ』も『地獄の黙示録』もマーロン・ブランドが出演してるな。

これからもよろしくお願いします

Tue 2011.11/29

防寒具あれこれ

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 冬対策に防寒具を調達しています。

 ただでさえ冷えに弱くて、春でもルームブーツを履いて生活するくらいだったので注意が必要です。


 しかし室内暖房効率が悪いし、ノドにも良くないので基本的には厚着したり毛布をかぶる方向で。


 「着る毛布」とか。


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 キーボードを打つ指のかじかみ対策に、「USB手袋」なんかを調達しました。


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 使い勝手は良好ですが、まだこれから寒くなっていくんでしょうねえ。


 あと室内でニットキャップ被ってたりするので、全身が上から下まで茶色でモコモコです。


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Mon 2011.11/28

二項対立の『バクマン。』(大場つぐみ)と三項対立の『HUNTERXHUNTER』(冨樫義博)

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今週のジャンプの話

 『バクマン。』は「人気の出る敵キャラクターの作り方」テーマで、新妻エイジの新作は当初のライバルキャラを殺して新しい敵と交換できるのだが、サイコーとシュージンの新作は二項対立構造がしっかりしすぎているためにライバル交換が利かない、という話。


 一方、『HUNTERXHUNTER』は「総選挙編」と「アルカ編」が同時進行中。


単純な二項対立から三項対立に持っていけない大場つぐみ

 大場つぐみは『野望の王国』を創作の参考にしていそうなわりに、柿崎川中島)という魅力的な「第三勢力」の存在価値を理解していない……とは先日の『HUNTERXHUNTER』Ustでも論じていたことでした。


  • 1:17:30あたりから

 小池一夫キャラクター論でも、漫画成功させるにはまず「魅力的な主人公」、そして「魅力的な悪役」だ、と続くのですが、「主人公とライバル重要」という構造は基本中の基本の話であって、それだけでキャラクターの魅力が引き出せるわけではない、という話ですね。


 今週のバクマンでは、まさしく「カッチリ決まった二項対立からの変化に乏しい」という欠点を作中漫画に背負わせたことで、この問題には自覚的だったのかな……? と思ったものの、その作中漫画と同じ欠点バクマンそのものが自ら抱えているというのはどうなんでしょ。


二項対立を破却させる異分子役割

 例えば、七峰君がせっかく作り出したマーケティングとブレーンのシステムを有効に取り出せなかった……要するにアンケート対決という単純な勝負のシステムに異分子を混入できなかった」バクマンは、ハンタでいえば選挙編にアルカを絡ませずに選挙だけやってるようなもの」なんですよね。


 大量殺戮兵器であるアルカが投票結果や選挙システムすら台無しにしてしまうのでは、というスリルが発生するように*1、今の『バクマン。』に必要なのはジャンプアンケート主義すら無意味化してしまうような、横殴りの外部圧力存在だと思うんですよね。


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*1:まぁそうなるとはまだわかりませんが

Sun 2011.11/27

漫画購入録/宙『やさしい教師の躾け方』2巻

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 「美人総受け」な漫画ということで、好みで読んでる四コマ漫画です。

 ゆるめの萌え四コマエロコメの中間くらいなテイストで、これがもし中高の男子生徒と絡むような話だったらほぼエロコメとなってNGなところを、小学生女子と絡ませることで萌えコメディとしてOKになっている感じでしょうか。ちょい百合描写もあり。


 主人公の先生がちゃんと美人に見えるように描かれ、(大人も含む)周囲のキャラクターたちが魅了されていく様子もしっかり描写されているので、美人漫画好き(いるのか?)にはお勧めの作品です。

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Sat 2011.11/26

橙乃ままれ『まおゆう魔王勇者 エピソード1 楡の国の女魔法使い』

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 遅ればせながら、まおゆう外伝「楡の国の女魔法使いを読み終わりました。

 勇者パーティの一人、女魔法使いの前日譚なのですが、まおゆうで一番好きなキャラ外伝なので嬉しい。

 キャラクター精神構造について、わりと大きな隠し設定の後出しがあるにも関わらず、キャライメージはちゃんと良い方向に強化される描写だったのも良かったです。


 ちなみに付属のドラマCDはなんとなくもったいなくて、まだ聴いてません。


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 本編も来年でついに全巻完走ですね。

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Fri 2011.11/25

麻辣香鍋で打ち合わせ

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 今日編集さんとの打ち合わせで、阪急梅田muse CHINA 麻辣香鍋 紅」さんで食事してきました。

 大阪で打ち合わせというのは珍しいのですが、店選びは地元に近いウチがすることに。


 ここはオープンしたばかりのお店ですが、雰囲気も良くて女性も誘いやすいし、味も本格的な四川料理本店北京にあるらしい)だし、中国茶中国酒も飲めるしで文句なしのお店ですね。

Thu 2011.11/24

『鬼灯さん家のアネキ』完結巻が来月発売

| 『鬼灯さん家のアネキ』完結巻が来月発売を含むブックマーク

 作者の五十嵐さんのブログから。特典ペーパー情報も。


鬼灯さん家のアネキ4巻、12月3日発売です。

最終巻です。24ページの描き下ろし漫画ものってます。

4巻の特典ペーパーなどはこんな感じです↓

今回もアネキのコスプレまつりです

 

アニメイト様 アオザイ

ゲーマーズ様 三つ編み+ネクタイシャツ

コミックZIN様 ツインテ+ジャージ

とらのあな様 三角ビキニ アネキ&吾朗の設定画(4P小冊子)

その他一部書店様 みみあて+マフラー

IGATZ(イガッツ)/ 五十嵐藍 Web

 雑誌連載で最終話は読んでいましたが、描き下ろしが付くことは当時からアナウンスされていたので楽しみです。

鬼灯さん家のアネキ (4)鬼灯さん家のアネキ (4)
五十嵐

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Tue 2011.11/22

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Sun 2011.11/20

『HUNTERXHUNTER』の主人公分析エントリと、Ustの保存先

| 『HUNTERXHUNTER』の主人公分析エントリと、Ustの保存先を含むブックマーク

 土曜夜の『HUNTERXHUNTER』Ustはy2k000さんと三時間くらい喋っていたんですが、その半分くらいを録音してある保存先をリンクしておきます。


 自分で聴き直したときに「音声にムラがありすぎて聴きにくい……」と落胆していたのですが、「fidelizer」という音質向上ソフトを導入してみると驚くほど改善できました。

 Windows環境の人はfidelizerの導入をぜひ試してから聴いてみてください。


ニコ生PLANETS」視聴者によるすばらしい主人公分析

 実はこの紹介が本題なんですが、先日のニコ生PLANETS12月号「徹底評論!『HUNTER×HUNTER』」視聴者さんが、番組内での議論の延長で、詳細な主人公論をアップしてくれていました。

 具体的な要所の指摘が充分で、ステキです。

 番組を見逃したという人でも、先日アップした、番組そのもののまとめ記事とセットで読んでいただけるといいでしょうね。

  1. 越境   なぜゴンさん化したのか?―「楽しいゲームを仲間と共有する」ハンター世界の主人公
  2. 越境   なぜゴンさん化したのか?―「楽しいゲームを仲間と共有する」ハンター世界の主人公2
  3. 越境   なぜゴンさん化したのか?―「楽しいゲームを仲間と共有する」ハンター世界の主人公3

HUNTER×HUNTERハンター協会公式発行ハンターズ・ガイド (ジャンプコミックス)HUNTER×HUNTERハンター協会公式発行ハンターズ・ガイド (ジャンプコミックス)
冨樫 義博

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Sat 2011.11/19

漫画購入録/『ちょっと江戸まで』6巻(完結)

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ちょっと江戸まで 6 (花とゆめCOMICS)ちょっと江戸まで 6 (花とゆめCOMICS)
津田雅美

白泉社 2011-11-04
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 前に感想を書いた『カナシカナシカ』と同じ日に買って読んだ本です。

 まぁ、兎にも角にも名作ですね。


 「作者が剣客小説の背景を勉強していく過程で描くことになった」という、江戸時代文化の入門漫画として最適な内容から始まって、その江戸時代特有の空気を再現した上で、少女漫画としては主従の関係性や、身分差の恋男女の性役割曖昧ジェンダートラブルの恋へと物語の軸が移りはじめ、大団円ロマンスとして完結しています。

 いずれも高いレベルのバランス感覚を要するテーマであるところを、飄々と描ききっていく技量にはため息をつくばかり。6巻はその中でもコミカル寄りで、肩の力をゆるゆる抜いて描かれているイメージですが、「余裕」を感じちゃいますね。


 「江戸時代の空気だから」可能だったこととして、津田雅美作品としては悪人が良く出てくるのですが、『彼氏彼女の事情』などと比べると『ちょっと江戸まで』の善悪観は淡白です。

 不幸な出来事は存在するし、被害者や悪者も出てくるけど、ただ「それはそういうもの」として冷静に描かれていく。

 特に満月院のキャラって、カレカノにおける有馬の実母に通じると思うんですが、カレカノでは最後まで彼女に救いを与えようとしなかった(悪役は悪役のまま断罪するしかなかった)のに対して、満月院には「相応の成敗」とセットで小さな救いも与えているように感じられますから。


 この作品は、ちゃんと語って評価を残していかないといけない作品ですね、と仲間たちとも良く話しているのですが、今日は時間も無いのでこのあたりで。

 みなさんも是非読んでみてください。

『HUNTER×HUNTER』Ustの告知および、ニコ生PLANETS12月号のまとめ

| 『HUNTER×HUNTER』Ustの告知および、ニコ生PLANETS12月号のまとめを含むブックマーク

 はい、漫画研究家泉信行です。



 16日は上京してニコ論壇ニコ生PLANETS12月号「徹底評論!『HUNTER×HUNTER』」に出演させていただきました。

 コメントでも言われていたように、いかにも「時間が足りない!」という効率の悪いトークでしたし、非公式に反省会Ustでもやろうかなあと考えています。


 時間は(急ですが)今晩の9時以降から。告知はぼくのTwitterで。(→http://twitter.com/izumino

 相方は、よくハンタについてのつぶやきTogetterにまとめられたりしているy2k000(ヤツ)さんにお願いしています。


「徹底評論!『HUNTER×HUNTER』」の復習

 ではUstの予習用に、ニコ生のおさらいをしておきたいと思います。

 ありがたいことに、細かなレポートを上げてくれていた有志がおられましたので、そのまとめを下敷きにしてポイントを箇条書きしておきます。脚注は本番では喋っていなかったポイントの補足です。

(※ただ、いずれこの回は『PLANETS』の誌上再現コーナーで公式にテキスト化されると思うのですが。)


 そういえばコムギを襲った鳥が強者」っていうネタがまぁ冗談なのは確かなんですが、あの「ピトーの円を抜けた」というのは円というよりもオーラの話で、「護衛団のオーラを抜けた」のがスゴいっていう意味でした。

 「ノブさんの心が折れたレベルの凶悪なオーラ」を、鳥でも感じられるのかっていう疑問は挟まるんですが。

 23巻で「オーラを練っているネテロから鷲が逃げる」という描写が入ってましたから、「普通の鳥は強いオーラを怖がるもの」という前提で考えるとあそこまで侵入してる鳥は只者じゃないんでは? というツッコミに繋がるわけですね。閑話休題





  • HUNTER×HUNTER』について
    • ハンタは、初期はドラゴンボールの子供時代悟空のようなものであったはず。それがどんどん冨樫らしいブラックさが出始めた
    • 石岡氏がパネルを使って作品分析。ハンタは二項対立の脱臼から成り立っている。キメラアント編は、最初は人vs蟻という対立であったはずだが、軍儀とコムギの登場によって、ほんの遊びにすぎなかったゲームが王にとって自己目的化していき、対立は脱臼を起こし作品が進化した
    • 石岡「28巻と29巻はそれぞれの裏表紙の色が同じで、共に宗教モチーフとしたイラストであり、西洋的一神教と東洋的多神教という対をなしている(二項対立のアレゴリー)」
    • 宇野「インフレバトルと知能バトルの対立から、目的のあるバトルと手段を目的化したバトルの対立に移行していると」
    • 石岡「コムギと王の関係は無償の愛よりも、個人的な能力主義を前提にしている。王はコムギには絶対に勝てない、その信頼の元に技術を二人して高めるというもの」
    • 泉「つまり女王とプフは種の繁栄という、自分の死後にも刻まれる結果を目的とするが、棋譜を残そうとしない王とコムギは個人の技量しか目的にない、という対比ですね」
    • 少年漫画少女漫画が同時並行で進んでいる
    • 成馬「王とコムギの関係は、山岸凉子日出処の天子』の聖徳太子が最終巻で娶った幼女との関係の発展」
    • 泉「キメラアント編の貧者の薔薇に続き、会長選挙編のアルカも大量殺戮兵器が鍵になるという連続がある」 しかも、規模的には今回の方が危険性が高い。選挙結果にも影響する
    • 石岡「ゴンの黒い瞳が一番怖い、闇には闇をということで同レベルのアルカを登場させたのでは」
    • 宇野「生徒としての役割の多かった主人公たちは、キメラアント編でその役割を無効なものとした。その影響で、初期設定として超越的な存在であった父は、後半になると単なる1キャラクターとして格下げされた」
    • 泉「『寄生獣』との差異。異種族との共存というよりも人間同士の話なのがキメラアント編」
    • 宇野「いろんな人集めてハンタ評論本を出したいくらい」

  • HUNTER×HUNTER』を「遊び」という言葉を軸に読み解く
    • 宇野「手法が題材になっていくのが冨樫さん」 泉「手法が読者にとっても一番面白いし、手法がテーマにもなっているし、作者のモチベーションにもなっているしで、とても幸せな作品」
    • 泉「あれほど嫌悪していたように見えるジャンプバトルを、なぜかとても楽しそうに描いている。ハンタは作者のコレクション好きとゲーム好きが投影されたコレクション(ハント=狩り)の漫画。手段を目的化することでバトルの空虚さを打ち消した。幽白ではパワーバトルと知能バトルが別フレームに別れているが、ハンタでは念能力という同じ土俵で並べた。ハンタで描かれるゲーム人類発祥以来の、狩猟採集生活の本能的快楽に根ざしているため、ゲームや勝負を通じて、善悪を超越した友情でもロマンスでも生き甲斐でもなんでも描けることに気付いた。狩猟採集は少ない群れで行うものだから、トップダウンに政治や国家を描こうとはせず、少人数のゲームから積み重ねて*2ボトムアップ式にマスな世界を描いてきた。ビゼフ長官やパリストンの登場で、ようやく政治のレイヤーも視野に入ろうとしている」
    • 泉「ハンター協会の存在意義は政治や利潤ではなく文化事業。面白いから、を政治よりも優先させるネテロとジン。遊びの天才であるゴンが理想のハンターで、樹の打ち込んだくさびへの解答にもなりうる主人公。元々ゲーマーキルアはそんなゴンに戻って欲しいと努力するが、カイトトラウマによって遊びどころじゃなくなってしまった」
    • 泉「悪役論。ボマーの三人組やキメラアントのような悪人でも、狩りという遊びを共有した絆があれば肯定的に描かれる。*3ヒソカとパリストンの遊び心はソロプレイヤー寄りで、そんなパリストンがチードルは気に食わない。旅団のメンバーは遊びを与えてくれる団長が好きなのか、団長の与えてくれた遊びを愛するのかで割れる。ゴンの最大の対極が、おそらく遊び心を持たない、合理性の化物であるジャイロ」
    • 石岡「旅団にはカルトが、ジャイロにはウェルフィンとビゼフが、というように二項対立に必ず異分子を混ぜて脱却させようとするのが冨樫流」
    • 宇野「キルアはガチゲイ。ゴンが何のハンターかって言ったらメンヘル男子ハンターですよね。ドラゴンボールが描けなかったバディものの復権。クリリンが18号よりも悟空を愛していたらドラゴンボールの最後はあんな悲惨なことにはならなかったと思う」
    • 泉「ゴンとキルア、王とコムギは野生児とインドアゲーマーという関係性で繋がっていて、この二組のロマンスが作中で最も面白いのはテーマ的に当然*4
    • 「究極のマスゲーム」としての選挙AKB総選挙という時事ネタ。記名式であることから「美人投票の理論」が働いてしまう
    • ゴンの育て親であるミトは、ほぼ唯一「ハンター仕事の面白さ」を否定するキャラクター。冨樫の女親の描き方*5
    • 成馬「ゲームの果てにある暴力と死をどう描くのかという問題がある。復活は描かないが転生は描くようになった」

  • ジャイロについて

  ジャイロとは、NGLの設立者にして影の首領。堂々と仕掛けられた伏線。


 議論のなかで衝撃的だったのは、不可解であったジャイロについての説明です。前提として、ハンターハンターの世界では、遊び(広義でのゲーム)を共有できるのが仲間であり、遊びを提供できるやつが良い奴となる。その視点だと、人権を奪われて悪意をまき散らすためだけの合理的な思考を持つジャイロは、遊びの天才であるゴンの対極にいる存在であるがゆえに、作中では「ゴンとジャイロが運よく出会うことがなかった」という宿敵のような描かれ方をしたということです。その意味では王、ゲンスルーなどの相手は「敵」ではない。

 

 ここでの遊びというのは手段を目的化することであり、勝つためではなく戦いそれ自体を楽しむことを指しています。戦うのが面白いから戦うことです。勿論、GI、オークションも遊びに含まれます。


 キメラアント編を語ると、まずレオルとモウラが好きなアーティストが同じであったことを伏石として、最終的に軍儀を通じて王とコムギが深く通じ合えたことに「遊び」の価値が反映されているのです。

 

 さらに推し進めると、ネテロ会長と近寄った思想を持つパリストンは遊びを共有する気がないからこそ否定されて、ヒソカという存在が強調されて描かれるのは自分の遊びに没頭するソロプレイヤーだからこそ、というわけです。




 そして、楽しいかどうか」だけではなくて、「好きか嫌いか」という指標も当然ながらあります。それが顕著なのは旅団の関係性であり、オークション編でのクラピカが提案した取引のシーンでは、団長が提案する遊びを支持してルールを尊重する集団と、団長に惹かれて団長の存在の優先的に支持する集団に別れました。


 モラルの「同じ音楽趣味のやつとはやりづらい」という躊躇と、ゴンが「敵に仲間思いのやつがいたらどうするんだ」という葛藤が、善悪という価値観以上に「遊び」と「好き嫌い」という二つの指標が優先される世界観であることを端的に表しているようです。



 そして、ハンターハンターでは、キメラアントの女王、キルア母親など「母」という存在が歪んで描かれます。当初登場したミトさんがゴンがハンターになる夢を否定するように、冨樫義博イメージする母親は「遊びを否定する」存在がであるがゆえに、ハンターハンターに登場する母親はいびつな存在になる、ということです。


 他には、ゴンがゴンさんになってしまったのは、復讐という目的を持ってしまったからで、手段を目的化して楽しんでいたのが、目的の為に手段を講じるようになってしまったから、ゴンではなくなったようです。復讐に憑りつかれたクラピカの二の鉄を踏んでしまった、ということでしょう。



 まとめは以上です。結論だけを抜き出したので伝わりづらいかもしれません。



 やはり私が感銘受けた考察は、ジャイロの存在意義についてですね。彼だけが特別であったのは、遊びを楽しむことを完全に拒否している存在だからこそ、ってのは思いもよらなかったです。一方のゴンはGI編で「君が一番このゲームを楽しんだ」と言われたように主人公としてあらゆるゲームを楽しめる天才です。 

 

 それにキルアがなぜ特別かというと、彼はこれまでインドアゲーマーだったのが、遊びを共有できるようになったからで、いわゆるパリストン、ヒソカのように遊びを共有することがない存在であった。しかし、ゴンという遊びを誰よりも楽しんで、遊びをまわりにも提供できる存在に出会って、キルアが変わるようになったのが特別なのです。



 

 これでも議論されていた内容のほんの一部にすぎません。冨樫義博こそがキメラアントのハイブリッド性を持っている、などまだまだ重要な議論もありましたが、全てをまとめるのは不可能ですので自分にとっては刺激的であったことをまとめました。しつこいようですが、本当にジャイロさんの考察にやれましたね。

靴の先は二次元の入り口:ハンターハンターの世界観の考察、なぜジャイロがタイトルになったのか

『ザ・セル』のターセム監督が『300』のスタッフと製作した『タイタンの戦い』ばりのギリシア神話映画『インモータルズ ─神々の戦い─』

| 『ザ・セル』のターセム監督が『300』のスタッフと製作した『タイタンの戦い』ばりのギリシア神話映画『インモータルズ ─神々の戦い─』を含むブックマーク

 先日のニコ論壇出演のための上京中、合間を見つけて観賞してきました(新宿バルト9の3D版)。


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ザ・セル』のターセム・シン監督が、『300』スタッフと共に製作した、『タイタンの戦い(2010)』みたく金ピカなオリンポスの神々が出る映画……ということで「観にいかない理由が見当たらない映画」でした。


 って、上記の三要素がなぜ「観にいかない理由が見当たらない」に繋がるのか、よくわかんないと思いますが、どの映画好きな人ならこの複雑な気持ちはわかってもらえるでしょう。

 「また映画レビューで酷評書かれるんだろうなあ」と観る前から予想できる感覚とか(笑)


 内容はやはり、ターセム・シンビザールな映像センスを存分に味わえるもので、バイオレンスというよりは残酷な描写が印象に残ります。

 そこは異常連続殺人をテーマにした『ザ・セル』の監督である、ということをしっかりわきまえてから観にいった方が安全かもしれません。

 ただしビザールとはいってもグロテスクではなく、そこまで怖い映像でもありませんでした。演出的にも、適度に恐怖を緩和するような配慮がチラホラ。

 「不死者の死」「人間の魂の不滅」コントラストがこの作品のテーマなわけですから、「死」を深く描くために残酷なシーンは不可避だったとも言えそうです。


 シンメトリックな構図から始まるファーストシーンからまず心を持っていかれますが、CGを活かした「作り物っぽい舞台」が演劇めいた面白さを醸しだすこともあり、そこはCM映像の作家らしいと感じるところ。


 そして最大の見所は、やはり金ピカ鎧を着たオリンポスの神々の戦闘シーン。

 「万能の神」らしく、自分用の武器を持たず、その場にある焚き木や鎖を武器化して戦うゼウスが超絶カッコイイ。

 他にアレスアテナポセイドンヘラクレスアポロが登場しますがアレスゼウスの超高速機動戦闘のアクションがたまらない美しさ。

 スローモーション映像による超高速機動戦闘のカッコ良さ」で言うと『ザ・ワン』のアクションに匹敵するレベルと言って差し支えないでしょう。


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 また、ハイライトの戦闘シーンにおいては「神々の戦い」と「英雄同士の戦い」と「一般兵同士の戦い」を同時並行して描くことで、「神─英雄─人」の異なるレイヤーを重ねて感じさせる演出がテーマをよく表していてグッドでした。

 アクション映画好きなら、一度観て損はない映画だと思います。


 あとストーリー的には、ギリシア神話モチーフにしているだけのオリジナルエピソードなんですが。

 そもそものギリシア神話ギリシア悲劇こそがスターシステムを利用した二次創作の集積」でしかない(ヘラの娘を妻にしたヘラクレスが十二神の一人に加えられた、という異説も英語版Wikipediaで紹介されている)わけですから、世界観フリーダムな件についてはおおらかな目で眺めることをお勧めします。


*1:この頃は江口寿史の影響も大きそうだが

*2マスゲームであるオークションMMORPGを経て

*3ビスケを襲った殺人鬼が「武人として手合わせ願う」と頼むことで命拾いしたのも、同じ土俵のゲームで競おうとする態度を見せたため

*4:ただ、王はゲームの面白さを外に広げようとはしなかった点で、理想的なハンターではなかった。しかしコムギと出会う前から「レアモノ」を探すのが面白いなどと、コレクター的な娯楽に興味を示す様子が描かれている

*5:言及できなかったが幽白における幽助の母親や黒呼さんの描き方も面白い

Wed 2011.11/16

漫画購入録/紺野キタ『カナシカナシカ』

漫画購入録/紺野キタ『カナシカナシカ』を含むブックマーク

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 特典ペーパーが配布されているお店で買いたかったので、該当するお店に立ち寄るまで購入を我慢していました。

 少女ファンタジーの名手、紺野キタさんの新作です。


 取り替え子(チェンジリングを正面からテーマにした、現代のフェアリーテイル


 ユングの『元型論』には「二親イメージと呼ばれる幻想が紹介されていますが、人間の子供にとって、「実の親が別に存在するのでないか」と思うのは普遍的なイメージだそうです。

 カトリック幼児洗礼において、実際の両親とは別に「洗礼親」との関係を結ぶのは、「今いる親とは別の親がいるのが自然である」という根源的なイメージを補う意味もあるのだとか?


 二親イメージを放置しておくと、よくある子供の空想なのですが、「自分橋の下で拾われた子供である」と信じたりもするでしょう。

 周囲から感じる疎外感、自分の居場所への違和感、「ふさわしくなさ」が、そうした空想に子供を迷い込ませます。


 そんな子供の空想の、「治療過程」をファンタジーに置き換えているようにも読めるのが、「取り替え子」のフェアリーテイルです。


(「取り替え子」の物語は、「親が自分の子供をよその子供のように感じてしまう」という親視点の空想と、「子供自分自身をよその子だと考えてしまう」子供視点の空想に分けられますが、本作は後者お話になります。)


 『カナシカナシカ』では更に、取り替え子に「バニシング・ツイン」のイメージも加えられています。「空想の親が補われる」二親イメージの逆で、自分は本当は双子の片割れだったのではないかという空想ですね。

 「この家の子であるべきなのは別にいて、本当は自分にふさわしくない居場所ではないか」という、思春期の子供の「居場所のなさ」が優しく、そして淡く悲しく修復されていきます。


 淡く優しく。紺野さんの淡くてあたたかみのある絵のタッチは、こうしたファンタジーには最高の効果を発揮しますね。

 あと、やはり特典ペーパーのすずろちゃんが可愛かった! 満足です。


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紺野 キタ

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Mon 2011.11/14

小説『魔法科高校の劣等生』の、愛すべきその世界(その2)

小説『魔法科高校の劣等生』の、愛すべきその世界(その2)を含むブックマーク

 ネタバレ無しの紹介エントリ、全二回のうちの後半です。

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魔法科高校の劣等生〈2〉入学編(下) (電撃文庫)魔法科高校の劣等生〈2〉入学編(下) (電撃文庫)
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 「その1」では、幅広い年代にリーチするヤングアダルトな作品であることを強調してきました。

 が、同時に「読み手を選ぶ」「万人向けではない」というハードコアな側面も抜きに語るのも片手落ちでしょう。


 またWeb版感想ページにおける、読者への返答から。


> 人を選ぶ小説


 この評価は、以前にも頂戴したことがあります。(当時は別のPNでしたが)

 私が書く物は、確かにそういう側面があるのでしょうね。


 この小説は万人に受ける作品とは申せませんので……ご期待に添えず申し訳ございません。


 そして作者自身は、前回のエントリでも紹介したように


少年少女冒険小説ジュブナイルと呼ばれていた頃から形を変えながらも受け継がれてきた「ワクワクする小説」が書けるように精進したいと思います。


……という心掛けで執筆しておられるようです。

 実際には、ティーンエイジャーのうちに出会う小説としてなら、『魔法科高校の劣等生』は人を選ばず惹きつける面白さがある、という気がしています。

事実、ぼくがファンコミュニティと関わりながら見るかぎり、魔法科高校の読者はほとんど学生です。)


 しかし人というのは、年齢を重ねたり、読書経験を積んでいくほど好みが偏っていく(or 固まっていく)ものです。

 大人になればなるほど「自分の好みに合ったものしか受け付けなくなる」という切実さは、誰しも覚えのあることでしょう。


 しかし逆に、「最近ライトノベルが苦手」という中年層や、一般小説読みにとってはむしろ「馴染みやすい」小説でもあるというのは、前回述べてきた通り。


 書店に行くたび、山のように刊行されているライトノベルの存在が気になる。僕はライトノベルが読めない。もう30代だからかもしれない。サラリーマン向けのビジネス書や、緊張を強いられるミステリはスラスラ読めるけど、ラノベは実生活との接点が希薄過ぎて、完読できるだけの力が出ない。

〔中略〕

 そんな「ラノベ挫折王」こと僕にしては、珍しく最後まで読み通せた1冊がこの本。(いや、僕が楽しめるって事は、すなわち「どこか古い」という事に他ならず、「最先端たるラノベをチェックしなければ」という危機感は全く解消されないわけだけど。何このジレンマ……。)

幻視球 » 30代オタに優しいラノベ『魔法科高校の劣等生』

 本題の前に、この「受ける層の幅広さ」をなんとなく理解していただければ幸いです。


 それでは、「どんな好みの持ち主にこの小説を読んでほしいのか?」というポイントをこのエントリで挙げていきたいと思います。

 でもこれから書くのは正真正銘、まさに「自分の好みで選んだ」当人の意見ですから、そうとう切り口が偏っていることもご了承下さい。


電撃ブランドから出版される、最大の意義

 第一のポイントは、いきなりコアなところから突いていこうと思いますが……。


 ズバリゼロ年代から妹属性にハマっていた層」にまずアピールしないと話になりません。


 電撃文庫を抱えるメディアワークス社、というと。

 今では「ラノベ界の王者」というイメージもありますが、誤解を恐れずに言うならば、10年ほど前は断然シスプリとかを作っているところ」でした。


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 90年代ではまだ重要視されていなかった「妹」というヒロイン属性を、ゼロ年代の渦中で一気に浸透させてしまったのがシスター・プリンセスというシリーズです。

 そしてシスプリによって顕在化した妹ブームの歴史を集約するため、「人類史上初の「妹キャラ」専門誌」と呼ばれた『「妹ゲーム」大全』インフォレスト)が刊行されたのが2004年


「妹ゲーム」大全 完全保存版―僕たちの大好きな妹キャラが大集合!! (INFOREST MOOK Animeted Angels MANIA)「妹ゲーム」大全 完全保存版―僕たちの大好きな妹キャラが大集合!! (INFOREST MOOK Animeted Angels MANIA)

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 今から思えば『魔法科高校の劣等生』のメインヒロイン司波深雪は、こうしたムックで中心的に扱われたとしてもまったく遜色の無い妹キャラだと言えます。


 以上のように、メディアワークスと言えば「妹萌え」の由緒ある企業であり、その電撃文庫から『魔法科高校の劣等生』がリリースされるというのは、歴史的に正しい顛末だと思えるわけです。


 (シスプリ世代にしか通じない喩えであろう)『シスター・プリンセス』の妹たちで喩えるなら、


……これらを全て兼ね備えた上に、一貫したキャラクター性で統一されたのが司波深雪という新ヒロインなのです。


 シスプリ世代ならば必読の小説、それが『魔法科高校の劣等生』だと、声を大にして言わせていただきたい。


「賢妹愚兄」で始まる物語

 妹キャラとして新機軸に思えるのは、高校1年生という高めの年代に設定されている上に、学年トップの超優等生で超絶美少女という才色兼備お嬢様として登場するところです。

 妹でありながら、いわゆる「妹系」の幼いキャラとは一線を画したキャラになっています。


 敬語妹であること、黒髪ロングのお嬢様であることなどは、月姫2000年)の遠野秋葉などが先行していますが、血の繋がった妹としてはまだあまり見かけない属性ですね。


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  • 去年の12月に出た小説にも(義理の)敬語妹がいて、地味に流行りそうな兆しもありますが

 深雪は女王様っぽく描かれることもあり、実力などのステータスが高いので「守られるだけ、甘えるだけ」の妹ではなく「見守る」「支える」色合いが濃いのが特徴でしょう。

 その甲斐甲斐しい内助の功っぷりから、読者感想で生まれた「血の繋がった夫婦」という名言が語り草になるほどでした。


  • このファンアートのイチャイチャが二次妄想というより、原作の中でだいたい行われていること、という点でも推して知るべしですが

 文庫版で小見出しサブタイトルは省かれているのですが、Web版の第一部は「賢妹愚兄」というサブタイトルから始まります。

 公にできない才能や、秀でた知性・体術などを持っていても「規格通りの魔法師としては水準以下」の兄と、その兄の才能こそが世界で一番優れていると信じている「誰から見てもスター的な美少女な妹による学園ドラマ

 最初はそんなイメージで読んでみてください、という意図がこのサブタイからも窺えるでしょう。


 「よく出来た妹」と、「妹より下に見られることが多いが、その優秀な妹こそが実力を認める兄」という関係性ですね。

 ぼくや、ぼくの周囲の妹好きも、その関係性がツボで読み始めたようなものですし。


 ただ、妹の深雪がスターであり、その兄・達也が昼行灯でいられたのは中学までのこと。

 高校に入ってからはそうもいられない急展開が続き、周囲がふたりを見る目も「妹>兄」から「兄>妹」へと立場が逆転していきます。

 しかし妹の中では「逆転した立場」などではなく、ようやく「正常な立場」になれた……と考えるくらいの「兄を立てる」思考回路です。


 それはもう、平気で「(食事で)お兄様よりも先に箸をつけることなどできません」とか言えるレベルですからね。

 大和撫子すぎると言いますか、日本の古風な女性観といえば「親に尽くし、夫に尽くし、子に尽くし」と言われたものですが、深雪さんにかかってみれば「兄に尽くし×3」と置き換えても不思議ではない感じ。

 しかも本人は「肉親だから恋愛感情じゃない」と口走っていてコレですから、「この娘は“兄に対する妹”っていう概念を何か別の役割と勘違いしてないか?」とツッコみたくなること請け合いです。


 そんな風に、本人はどうも「兄の妹」というものを「恋人」よりも遥かに濃い男女関係として認識しているらしい、というのも妹モノとしてはハードコアな部類に入ると言えるでしょう。


好感度100%超えの愛情

 「シスプリ」が浸透させた概念の一つに物語スタート時点から好感度MAX」という設定があります。

 深雪もその「好感度MAX感」を踏襲しつつも──MAXどころか400%くらいに感じさせますが──、「妹キャラお約束だから」という無根拠さはなく、「MAXにならざるをえなかった過去事情が赤裸々に描写されていることも特筆すべきでしょう。


 その人目もはばからない敬愛ぶりは「宗教信仰の域に達している」と良く言われるほどですが、佐島勤に先んじて「小説家になろう」から『ログ・ホライズン』書籍化を果たした橙乃ままれさんもまた、深雪さんの巫女的な媚態にアテられていたようです。

(※ここだけの話ですが、オフでお会いする時でも真っ先に『魔法科高校の劣等生』の話題に入るほど。)



 『完全教祖マニュアルの中で、「宗教が生まれる瞬間」を定義して「何か言う人」「それを信じる人」のふたつを成立要件としていたことを思い出します。


 たとえば、いま、あなたの目の前に、奥さんの膝でガタガタ震えている男がいるとしましょう。彼は姉さん女房に泣きつき、自分を襲った怪奇現象を必死に訴えています。「本当なんだ。超自然的存在がオレの首を絞めたんだ」。彼女は夫を慰めて言います。「あなたの言うことを信じるわ」。そうです。この瞬間、夫は「教祖」となったのです。ちなみに、この男の名をムハンマドと言います。〔中略〕そして、これがイスラム教スタートとなったのです。


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 ですが深雪さんの場合、兄が何かを言ったわけでもない(ただし、奇跡はもたらしている)にも関わらず「それを信じる人」へと転換してしまったわけで。

 いわば教祖不在の、「それを信じる人」だけで成立する「一人きりの信仰だというのが、深雪さんの「媚態」をまた神秘的なものにしています。


豊富なサブキャラクターと、背景描写によるリアリティ

 ここまで妹属性のことばかり書いていると、あたかも兄妹の閉鎖的な関係を描いた物語、というように受け取られるかもしれません(っていうか、そうしか読めないですよね普通)。


 しかしその印象はむしろ逆で、サブキャラクターによる魅力で『魔法科高校の劣等生』を読んでいる、というタイプの読者も少なくないようです。

 次はその点をアピールしてみます。


 事実常人離れした精神構造を持つ主人公の達也は、感情移入しにくいキャラクター」としても名が高く、読者の関心がその妹に向かうのは自然なこと。その延長でサブキャラ感情移入していくケースは多いようです。


 しかも男女が均等に登場し、ちょっとした端役や組織の構成員などにもキャラクターとしての役割が与えられています。

 「キャラが増えると混乱しそう」という心配(?)をヨソにして、自然に必要なキャラクターが配置されていくので、主人公たちが生活する「場」としてのリアリティを高める効果があるのでしょう。


 実力がかけはなれている達也や深雪と違って、実際に「劣等生」の烙印を捺されている生徒たちも、達也クラスメイトとして登場します。

 しかし彼らもまた規格からはみ出てしまう者たちであって……ある意味魔法科高校の劣等生』というタイトルを正しく冠しているのは、このサブキャラクターたちだと言えます。


 「The irregular at magic high school」が本作の英語タイトルなのですが、この「The irregular」は単数形であれど、どのキャラクターにもかかりうる名称なのかもしれませんね。


 また、そのキャラクターたちが立脚する舞台「2095年の日本も、百年後の生活や教育、軍事や外交などをシミュレーションした近未来SFとして、読み応えのある内容になっています。


 そうとう幅広く学習した上で書かれた小説という印象ですね。

 ちなみにWeb版には劇中の研究ノート論文がそのまま記述される箇所もあって(こういうところがWeb版の「愛嬌」ですね)、作者はレポート仕様書を書きなれた、技術屋肌な理系の人なんだろうな、と勝手にイメージしています。


 そして魔法やバトルの描写からも、舞台設定に劣らずリアリティの高さを目指したこだわりが窺えます。

 再び感想ページから作者のコメント


魔法のあり方については、近未来という舞台設定で実戦的に機能するもの、という発想で組み立てると、ああなりました。

武装した相手に実戦で呪文を唱えていたら間に合わないだろう、というのが根っこですね。

それでも、0.5秒とか1秒とかのタイムラグは致命的な結果をもたらしかねないものですけど。


 そして生まれるのが、徹底した理屈バトルと、物理現象として合理的な必殺技デパート

 誰も「技名を叫びながら魔法を使う」ような愚は犯しませんし、もし叫ぶなら別途に必然性が用意され、必然性なく叫ぶようなことがあれば愚か者の扱いを受けるほど。

 「バトルのお約束」を可能なかぎり廃した、攻撃は早い方が勝つ、という飾り気のない「実戦」ベースの戦闘


 そんな非情さこそが、「優/劣」で生徒で分けていく社会のリアリティを支えてもいるのでしょう。


遅れてきたヤングアダルト小説

 「古いのが、新しい」という言葉があります。

 年齢的にも「若手」ではなく、ソノラマ文庫などのレーベルに愛着を持つという佐島勤は、まさに「古いが新しい」を現代に持ち込んだ作家のように思えます。


 作中世界が「2100年」代ではなく「2095年」に設定されているというのも絶妙で、「21世紀の百年後」ではなく「20世紀末の百年後」なんですよね。

 つまり、我々にとっては過去となった世紀末」を再演するための「2095年」でもあるのでしょう。


 核兵器に代わって「戦略魔法師」という軍事力を内包させることで、旧世紀の冷戦構造に近い状況が用意されたりもしています。

 これはきっと、作者の原体験の中にある、「一番フィクション想像力がワクワクしていた時代」過去ではなく未来世界で描こうとした結果ではないでしょうか。


 この世紀末舞台にしたワクワクするフィクションというテイストについては、「『スプリガン』の百年後」という喩えで語ったこともありました。

 個人的には上手い喩えだったと思うのですが、いかがでしょう?

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 さらに日本そのものは戦時下にあり、「武家」の家柄が再来していたり……。未来でありながら過去日本」へのノスタルジーを強く感じさせるのも『魔法科高校の劣等生』の特色と言えるでしょう。

 深雪さんの大和撫子ぶりは極端な例として、貞操観念昭和レベルに遡っているのもノスタルジックです(婚前交渉が珍しく、肌の露出は控えめ、ロングスカートが主流……とか)。


 この「古いのが、新しい」テイストにヤングアダルトというジャンルが出会うことで、『魔法科高校の劣等生』は広い世代に通じる作品になるのだろう、と前回のエントリに繋げることもできます。


 ぼく個人、「ライトノベル」よりも「ヤングアダルト(YA)」というフレーズに愛着のある世代なのですが、かつてYAだったものをライトノベルと呼んできたことで、失われてきたニュアンスが取り戻されたらいいのに、と思うことが度々あります。

 背伸びしたい子供が憧れ、気の若い大人が愛する。そんなニュアンスダイレクトに表せる「ヤングアダルト」という言葉もっと復権してほしいですね。


 さて、紹介エントリとしては「深雪さんの妹っぷりが如何にスゴいか」という主題(!)に戻りたかったりもするのですが、そちらはまたネタバレ込みで語るべきでしょう。

 キーボードを叩くのは、ひとまずここまで。ご笑覧ありがとうございました。


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関連エントリ

Sun 2011.11/13

『ロケみつ』の水田スパロウと『トリコ』のグルメ

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 吉本芸人が出演している深夜番組『ロケみつ』を録画して、よく食事中のBGVに流してるんですが、和牛水田信二「自力海鮮丼ブログ旅3D」が好きですね。


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 板前という、異例の経歴の持ち主である若手漫才師水田さん。

 魚をさばくプロフェッショナルである一方で、釣りは未経験という釣りのシロウト。


 そんな料理人が、指定された魚を自力で釣り上げて、その場で調理しなければならない、というのが企画のルール

 その野外料理コーナーが一番の見所なんですが、


料理人が産地に赴いて自力で食材を獲得し、土地の味を学ぶ」


……というプロセス少年ジャンプ連載のグルメ冒険漫画であるトリコ連想させるな〜と。


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 たとえ料理人でも「どの島でどんな魚が釣れるか」という知識には詳しくないようで、「この島はそんなもんが釣れるんですか」と土地名産品に驚いてみたり、思わず釣れた大物に「これ店で出したら高級食材ですよ」とありえない贅沢を味わってみたり……。


 『トリコ』の小松シェフが、食の見聞を広めるために冒険してるような感じで、見ているのが楽しいですね。

Thu 2011.11/10

小説『魔法科高校の劣等生』の、愛すべきその世界(その1)

小説『魔法科高校の劣等生』の、愛すべきその世界(その1)を含むブックマーク

 当ブログでも大プッシュ中のジュブナイルSF小説佐島勤魔法科高校の劣等生第3巻が発売になりました。


魔法科高校の劣等生〈3〉九校戦編〈上〉 (電撃文庫)魔法科高校の劣等生〈3〉九校戦編〈上〉 (電撃文庫)
佐島 勤 石田 可奈

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 Amazonの売上ランキングでも文庫総合で一位

 書籍全体でも、明日発売の『空の境界 未来福音』*1と争うほどの位置にいます。


 また刊行と同時に『月刊Gファンタジー』でのコミカライズも発表され、順風満帆にメディア展開しているようです。


f:id:izumino:20111110162401j:image

電撃文庫コミカライズ自体は珍しいことではないですけどね。)


 この人気を支えているのは、担当編集者「原作」と位置づけている……Web版『魔法科高校の劣等生』のファンたちなのでしょう。


 2008年10月12日から二年半近く、ひと月ごとに数回の更新コンスタントに続けただけでなく。

 読者感想の書き込みに応える作者コメント面白さも含めて、抜群のエンターテイナーぶりで固定ファンを着実に獲得してきた作品です。


 ぼく自身は去年の夏くらい……、すでに今あるエピソード全体の八割が執筆済みの時点で『魔法科高校の劣等生』の連載を追うようになったのですが、その上でリアルタイムに感じていたのは、


物語が進めば進むほど面白さが増していく!


……という麻薬的な娯楽性の高さでした。

 もちろん、10日につき一度はストーリーの続きが読めるという、まるで週刊誌のようにスピーディな配信スタイルドライブ感を覚えていたから、という環境的な理由もあるでしょう。


 それにWeb小説の読者というと、(そのユーザー層の厚さに反比例して)ネットではオープンに主張する場を持たない人たちで占められていましたから、主にクローズドコミュニティで共有されていた感動だったと思います。


 これから文庫版で読み始める人たちに対しては、いささか「気の長い話」に付きあわせなければならない部分もあるのですけど、『魔法科高校の劣等生』が「新しいエピソードは必ずそれまでの期待を上回って展開される」ということは自信をもって約束できます。


 ……そういえば、この「大多数を占めるサイレントマジョリティな読者の膨大さ」こそが、作者をよりエンターテイメントに向かわせる原動力となり、娯楽性を確かなものにしていたのではないか……というのも、リアルタイムに肌で感じていたことでした。


 職に繋げる意図もなく、趣味ではじめたものであるに関わらず、明らかに趣味を超えたエンタメ精神(言い方を変えれば「プロ根性」)に満ちている……。

 そんな作者の面白さを届けたい」という静かな熱気は、多くの読者が味わっていたのではないでしょうか。


あなたにこそ読んでほしい」というセールスポイント

 ただ、刺激的な面白さがあるだけに、「読み手を選ぶ」「万人向けではない」という側面があります。


 それは作者自身が自称もしているポイントですし、ファンの多くもそう認識しているところではないでしょうか。

(※余談ですが「読み手を選ぶ」というのは便利すぎる言葉で、現実的にいって「読み手を選ばない」物語などはSFアクション小説という時点で不可能でしょう。それに、もし「日本人の半分が好きになり、もう半分は苦手となる」という命中率の作品を仮定してみれば、それは間違いなくベストセラー小説になりうるメジャーさが保証されているようなものです。)


 例えば友人のレスター伯さんは、自分自身と共通する感性の読者を狙い撃ちしようとしてヤングアダルト世代」の「アラサーに向けた布教エントリをアップしていました。


 その定義にはぼくも含まれるので、個人的には「まさに」といったインパクトのあるエントリでした。一読をお勧めします。


 しかしWeb版のネイティブな読者には、十代の学生層が多いように見えるのもまた事実


 この「実際のヤングアダルト向け」「かつてヤングアダルト小説を愛好していた世代向け」の両立を可能にしているのは、何か。

 それは作者自身が心の底から「ヤングアダルト小説」というカテゴリー愛着を持ち、理想的なヤングアダルトを自ら目指そうとした結果なのではないか、と感じています。


 ところでついつい、ぼく自身なじみのあるヤングアダルト小説というフレーズを用いてしまうのですが、作者の佐島先生ジュブナイルという用語を好んで用いるところから、この人はぼくらより更に上の世代なんだろうな、と考えています。

 以下は感想ページで読むことのできる、読者に向けた作者コメントから。


 似非科学は、最近傍流なのかもしれません。だから逆に新鮮なのかも。

 20世紀の、ライトノベルが「ジュブナイル」と呼ばれていた頃は、この手の似非科学が主流だったんですが。

 もっとも「ウィザーズ・ブレイン」とか「9S」とか「アスラクライン」とか、疑似科学ライトノベルも決して廃れてはいませんが。

 ライトノベル……と言うより、ジュブナイルと言った方がしっくり来るかもしれません。

 一口ライトノベルと言っても多種多様で、読者によって好みも大きく分かれるカテゴリーですから……

 文学的な挿絵よりライトノベル的なイラストが似合う作品だとは思いますけど(苦笑)

 ライトノベルジュブナイル)ではキャラクターの魅力が作品の魅力の大半を占める、というのがサークルの先輩の持論でした。

 尚、私は結構な年ですよ(^^;

 ライトノベル新人賞には年齢制限で引っ掛かってしまうんじゃないでしょうか(^^;;

> 説明の多さ


 これは本当に匙加減が難しいところです。

 ライトノベルというよりジュブナイルを想定して書いているんですが……だからといって読みやすさを無視するのは邪道のような気がしますし。

 ワクワクするお話、を書きたいとずっと思っています。

 シニカルだったりディストピアだったりするのは私の性根がねじ曲がっている所為で、心掛けだけでは如何ともし難いんですが(^^;、少年少女冒険小説ジュブナイルと呼ばれていた頃から形を変えながらも受け継がれてきた「ワクワクする小説」が書けるように精進したいと思います。


 ちなみに和製英語としての「ジュブナイル」と、外来語である「ヤングアダルト」は内容的にほぼ同義です。

 大人でも楽しめる子供向けちょっと背伸びしたい若者向け……。

 その程度のユルいニュアンス言葉ですが、ぼくの世代で読まれた小説は「ヤングアダルト」と呼ぶが当たり前で、「ジュブナイル」はもっと過去の作品だというイメージでしたね。


 事実、ぼくやレスターさんよりも上の世代である山本天志さんや菅野博之さんからも『魔法科』にハマったという意見を聞いたものです。


 ひょっとしたら、40代以上の年代層にもシンパシーを与える作品なのかもしれません。

(※ちなみに山本天志さんと直接会ってお話したとき、「ジュブナイル小説と言われると確かに一番しっくり来る」と腑に落ちたように仰っていました。)


 さて、ここから具体的な「セールスポイント」の話に進みたかったのですが……。このエントリが長くなってきたので、「その2」に続きます!


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関連エントリ

『魔法科高校の劣等生』3巻が本日発売

| 『魔法科高校の劣等生』3巻が本日発売を含むブックマーク

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 1,2巻の「入学編」上下巻は、7月と8月の連続刊行でした。

 二ヶ月のスパンを挟んだ今回の3,4巻(「九校戦編」の上下巻)は、11月12月連続刊行になるようですね。


*1:なぜか星海社文庫は「文庫」扱いのランキングに入らないらしい。

Wed 2011.11/09

今週のサンデーとマガジン(『電波教師』『アゲイン!!』)

| 今週のサンデーとマガジン(『電波教師』『アゲイン!!』)を含むブックマーク

 今週印象に残った二作品の感想を。


 サンデー新連載第二話の東毅電波教師。(→公式

 『ドラゴン桜』のような学生向け意識改革テーマの下敷きにしつつも、その上に載せているのが「ブログサブカル論を語っちゃう」ようなブロガー目線……、まぁ「我々」のような目線を取り込んでいるっていうのがピリピリしますね。


 マガジン久保ミツロウアゲイン!!体育会系部活の話でありながら、「ダメ人間同士が起こす化学反応」な趣で話が進んでいくのが面白い

 マガジンでは前作となる『トッキュー!!』が、「トッキューにいる時点で体育会的にはすでにエリート」な話だったのと好対照イメージです。


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 2巻は今月発売。

フランスのジャーナリストさんに取材された、鳥山明の本が……

| フランスのジャーナリストさんに取材された、鳥山明の本が……を含むブックマーク

出ました。ジャーナリストが書いたもので、今年、イズミノさんと一緒に取材受けました。

フランスで鳥山明についての本が:夏目房之介の「で?」:ITmedia オルタナティブ・ブログ

 今年の6月末に上京した際、夏目房之介先生といっしょに取材を受けていたのですが。

 オリビエ・リシャールさんという、フランス人ジャーナリストによる鳥山明の本が(フランスで)出版されたそうです。


 去年、早稲田大学の英字新聞に取材されたり(※電子書籍に関するインタビュー記事)、海外配信されるテレビ番組ゲスト出演したこともあるんですが(※藤田和日郎漫画を紹介する役)、「日本人向けじゃない露出仕事」はこれで三件目になりますかね。

 ぼく自身はまったくグローバルじゃないタイプのドメスティック日本人ですが、こうして縁があるのはなんだか嬉しいことです。

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Mon 2011.11/07

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Sun 2011.11/06

月曜日の夜にまたUstやります

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 HARD-WIREDさんとまたギルティクラウンについてのUstをやります。

 時間はまた9〜10時あたりからスタートで、1時間くらいでしょうか。


 関東ではすでに四話が放送されているみたいですが、三話までの内容で語ることになりますね。


 それほどネタバレ重要な作品ではないと思うので、むしろ未見の人へのオススメとして聴いてもらってもいいかも?

 時間が余れば『Fate/Zero』のアニメについての話なんかも入るかもしれません。

 あと、可能ならゲストに入っていただく予定です。

 平日の放送になってしまいますが、当日の告知をお待ちください。


過去の放送

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Sat 2011.11/05

次号の『ちゃお』の読み切りが楽しみ

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f:id:izumino:20111105235420j:image:right 今月の『ちゃお』の次号予告に載っていた、読み切り作品のカットが可愛くて、ちょっと楽しみです。


 作者は小学館第63回新人コミック大賞佳作の泉道亜紀さん。


 「目付きが悪くて周囲に誤解される」系のヒロインなので、ツボな人もいるんじゃないでしょうか。ぼくは好きです。

 笑って!外村さんとかですね。


おまけ

 『ちゃおDX』の予告に載っていたこのヒロイン可愛い


f:id:izumino:20111105234722j:image


 来月の『ちゃお』は12月1日ごろ発売。

 『ちゃおDX』冬の超大増刊号は11月19日ごろ発売とのこと。


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Fri 2011.11/04

『ギルティクラウン』の声いのりと歌いのりとオープニングソングの歌手は全て違う人

| 『ギルティクラウン』の声いのりと歌いのりとオープニングソングの歌手は全て違う人を含むブックマーク

 『ギルティクラウン』のOP「My Dearest」を歌っているのはsupercell名義(当然作曲ryo)。

 ED「Departures 〜あなたにおくるアイの歌〜」の歌はEGOIST名義(作曲ryo)。

 EGOISTのボーカルである楪いのり役の声優茅野愛衣

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 OP映像だと、楪いのりの口パクに合わせてボーカルが入るので、OP歌手も、いわゆる「歌いのり」なのかなーと思っていたら、「EGOIST」のボーカル(=歌いのり)とOP歌手はそれぞれ違う人なのだそうな。


 これまでにsupercellは、初音ミクやnagiをゲストボーカリストに迎え楽曲を発売してきた。supercellは、フジテレビ深夜アニメ枠“ノイタミナ”で放送される新アニメギルティクラウン』(毎週木曜 25:15〜 初回は25:30〜 10月13日スタート)のオープニング主題歌「My Dearest」に決定しており、同曲でこゑだがボーカルを務める。


 また同アニメヒロイン・楪いのりが歌う楽曲も、supercellryoが手掛けており、同曲もオーディションで発掘された千葉県出身の17歳・chellyが歌っており、『ギルティクラウン』の挿入歌とエンディングテーマに決定している。

no title

 マクロス的に言うと「声いのり」が茅野愛衣さん、劇中歌を歌う「歌いのり」がcherryさん、主題歌supercellの新ボーカルがこゑださん、ということですね。

『HUNTERXHUNTER』のアルカの能力のルールが覆い隠しているもの

| 『HUNTERXHUNTER』のアルカの能力のルールが覆い隠しているものを含むブックマーク

 タイトルに「の」が多いですね。


 連載中の『HUNTERXHUNTER』、個人的には会長選挙の行く末の方が興味あるのですが……。

 かりそめにも主人公であるゴンフリークスを救うべく、その手立てを掴もうとするキルア・ゾルディック実家に帰るアルカ編が進行中です。


 そのアルカの能力は、「おねだり」と「お願い」で釣り合いが取られたややこしいルールがわざわざ設定されています。

 いくら作者がゲーム的なギミック(知恵比べやギャンブルの要素)が好きとは言え、なんでまたイベントごとにこういうギミックを新たに組むのかなー、と不思議だったのですが、これって



デウス・エクス・マキナとしか描きようのない新手のスタンド使い

という能力バトル漫画宿命に対し、


「代償と得るものの均衡」を必要以上に誇張したルールを付与すること

ご都合主義的な都合の良さ」から目を逸らさせようとする試み



……としても評価できそうだなあと。

 能力者の存在そのものは後付け設定でも(機械じかけの神であっても)、能力ルール自体に釣り合いが強調されていれば気にならない、ということですかね。


 新手の能力者の起源を「過去のエピソード」に遡らせることで、これはポッと出の能力なんかではありませんよ、と印象づける努力も見て取れるかもしれません。

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 ちなみに先日、『HUNTERXHUNTER』は1巻を最初から読み返してみたのですが、やはり全体像を通してしか解らないような作品性作家性が判明して面白かったです。

 今月は「ニコ生PLANETS」で二度目の出演を予定しているので、その時にじっくり語れたらいいですね。


名無し名無し 2011/11/04 23:25 加えて、アンタッチャブルなところを強調することで
やはり「ポッと出の能力なんかではありませんよ」と印象
づけていると感じました。

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