夢への闘い〜その2〜

ポケットを叩くと、ビスケットが一つ。
入っていたところで、それほどには嬉しくもない。
じゃぁ、何が入っていたら楽しいだろうか。

酔っ払って突っ込んだのを忘れていた思いがけないお釣りの札。
可愛らしい親指姫。
プニョポニョしてて触ってると楽しい何か。
洋服のポケットならそんなものなんだが、これが枕となると一味違う。

つまり「ポッケら」には、抱き枕でありながらポケットがついている。
人の体に似せ、ウェストのくびれにまでこだわった形の
顔の横あたりの左右。
膝のあたりの左右。
合計四ヶ所のポッケ。

暑い夏、保冷剤を入れてひんやりと安らかに眠る。
寒い冬には湯たんぽを入れて、ぬくぬくと眠る。
好きな香りのグッズを入れて、癒されつつ眠る。
更に、webやmobileから専用コンテンツをダウンロードして寝ながらにして楽しむ。

そんな使い方が出来たら、これは間違いなく「夢」の「抱き枕」になる。
そう考えたのが始まりでした。
しかし調べてみると、そういう付加価値的な使い道も確かに楽しいのですが、
やはり寝具としての「枕」という価値が絶対に必要不可欠だと思えてきたのです。
そりゃぁそうです。
「枕」なんですから。

通販生活の売上No.1だって、何年も続けて「枕」じゃないですか。
心地よい眠りは、人間の原点なんでしょうね。
実際に自分も、「食欲」などより「睡眠欲」の方がダントツに強い。
そして、数ある「抱き枕」をネットで買いあさり、満足できた「抱き枕」が
「王様の抱き枕」でした。

「私は完全な枕オタクですからね。枕については厳しいですよ。」
いきなり社長に言われた言葉が今でも思い出されます。
「生半可なものは、うちの販売サイトでも扱わないんです。ハードル高いですよ。」
「・・・そ、それはすみません。」
しかし、負けるわけにはいかない。
こちらにも、知識はなくても「夢」は有る。
思いのほか厚くなった企画書を出して、説明というより、語りでした。
「こんな抱き枕があったら、絶対に素敵だと思うんです。そして、その枕の素材と基本的な作り方は、王様の抱き枕でないとダメだと思うんです。」

語り終えた後、間合い良くすぐ裏の東我孫子駅に電車が入ってきました。
「なるほど。なら、やってみましょうか。」
プシューッ。
夢への扉が開いた瞬間でした。

そして、試作品を繰り返し作っては改良を重ねる日々がやってきたのです。
<また、つづく>