山田和樹の西方見聞録2011-12シーズン  2011年 11月7・8日ローザンヌ室内管弦楽団 

ジュネーヴで演奏会をした翌日には、もうローザンヌでリハーサル開始という強行スケジュール。距離が近くて助かった。
レマン湖畔に行けば、まったく時が止まったかのようなローザンヌジュネーヴとは雰囲気も人の気質も違ってくる。
まず、オーケストラが実に折り目正しいことに驚いた。鋭敏なアンサンブル力を備えたオーケストラだった。室内オーケストラというと、全世界的にノン・ヴィブラート寄りのピリオド奏法が主体になりがちであるが、ローザンヌ室内はそうではなく、昔ながらのヴィブラートたっぷりな演奏が僕にはまた心地よかった。
チャイコフスキーの「ロココの主題による変奏曲」で迎えたチェリストジャン・ギアン・ケラスさん。素晴らしい音楽家だった。横で指揮している僕は、リハーサルからずっと鳥肌が立っていた。人柄も温かく、気配りも細やかだ。すぐにまた共演したいソリストの一人である。
メインはシューベルト交響曲第5番。僕は久しぶりに取り上げた曲。交響曲でありながら、そのスタイルはとても
室内楽的。モーツァルトにも負けない天才ぶりを再認識した。