山田和樹の西方見聞録2011-12  2011年 12月2日フランクフルト放送交響楽団 


ドイツの中で高層ビルが立ち並ぶ、といったらここフランクフルトくらいだろう。巨大空港の機能と共にドイツビジネスの中心地である。
オーケストラは名門中の名門。かつてエリアフ・インバルさんが音楽監督で、マーラーブルックナーを取り上げていた黄金期は今でも語りぐさである。今回の演奏会はその名も「デビュー」というシリーズで、僕のような若手指揮者や若手ソリストを迎えてくれる願ってもない企画であり、この「デビュー」演奏会から、グスターヴォ・デュダメルさん(僕と誕生日が一緒!)など多彩な才能が登場している。サン=サーンスの第3交響曲「オルガン付き」。何度も演奏してきた僕の大事なレパートリーであるが、フランクフルト放送響との共演はまた特別な感慨があるものだった。
最初はフランスものということで、音楽との間に距離がある感じだったが、リハーサルが進むにつれて馴染んでもらえたようだ。
併せて、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を、新人ピアニスト・アルグマニャンさんと。日本では頻繁に演奏されるこの有名曲、何とフランクフルト放送響では30年ぶり!考えてみると、ドイツではチャイコフスキーの演奏頻度は日本よりずっと低いかも知れない。国が変わると、趣向も変わって面白い。