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じゃぽブログ

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2011年08月19日

肥後の琵琶弾き 山鹿良之

先日のブログで、「山鹿灯籠まつり」にお声がけくださった木村理郎さんをご紹介しましたが、木村さんとご一緒に制作させていただいたCDが、「肥後の琵琶弾き 山鹿良之の世界〜語りと神事〜」です。

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山鹿市は「やまが」ですが、山鹿さんは「やましか」です。

「待ってました じっちゃん!」

と、声を掛けたくなるくらいのすごみがある語りです。

本CDには、「ワタマシ」(熊本市立熊本博物館所蔵/1963年録音)、「道成寺」(兵藤裕己氏所蔵/1989年録音)、「菊池くずれ」(RKK熊本放送 1974年録音)、「あぜかけ姫」(野村眞智子氏所蔵/1970年録音)、「インストルメンタル」(RKK熊本放送/1974年録音)

が、収録されています。

まず「ワタマシ」ですが、山鹿さんは「ワ(琵琶の琶)魂だ。琵琶でタマシイを入れることだ」と話していたそうですが、新築の家の祝いに行われる儀礼で、熊本県の北部、天草地方で昭和50年代まで行われていた琵琶師による祓いの一種です。f:id:japojp:20110820002422j:image:w170:left

詳しくはCD解説にありますが、琵琶師が作った御幣を立てて(左写真:御幣を切る山鹿師)、それをご神体と見なして、祓い言葉を唱え、般若心経を読み、神話を説き、琵琶の由来を語り、土地、水の恵みを讃え、四方成就を願い、全国各地にある神社仏閣の名を上げます。般若心経のところで琵琶の調子が六調子になるところなど、本当に圧巻です。

儀礼が終わると祝宴になり、余興で琵琶の演奏による物語が語られるのが、庶民の楽しみであったそうです。

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「道成寺」は、ご存知の安珍、清姫の物語です。安珍を慕い追ってきた清姫は、日高川に着いた時、渡し守に向こう岸へ渡らせてくれるよう懇願しますが断られ、不満と怒りで大蛇へと姿を変えます。安珍は女性が入ることを禁じられていた道成寺に逃げ込みますが、清姫は姿を変えているので寺の中に入ることができ、釣鐘の下に隠れている安珍を見つけ、焼き殺してしまう・・というお話しで能、浄瑠璃、歌舞伎でもよく知られています。

肥後琵琶の玉川派でも、「道成寺」は基本の節のすべてを含んだ、重要な外題だったそうです。CD解説書では、日本中世文学を研究されている兵藤裕己氏による歌詞で、山鹿さんが使用するフシを表で見ることができます。

では、続きはまた次週にご紹介します!(→ その2

(写真:木村理郎さん、ヒュー・デフェランティさん所蔵)

(制作担当:うなぎ)