じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

和楽器ご紹介「鼓」

年度末を迎えて、皆様お忙しかったでしょうか。
外を歩くと、もうすぐ桜が咲きそうですね。

今日は、桜の木で作られている楽器「鼓」をご紹介します。鼓の奏者の方と一緒する機会を得まして、わがままを申しまして鼓を見せていただきました。

鼓(つづみ)は日本の伝統的な楽器のひとつで、大鼓、小鼓と種類があり、雅楽で使用される羯鼓(かっこ)も、鼓の一種です。鼓は、能・歌舞伎などのお囃子で使用されていますね。大鼓、小鼓はそれぞれ、能では「おおつづみ」「こつづみ」と呼び、歌舞伎では「おおかわ」「つづみ」と呼んでいるそうです。
小鼓は「胴」と「皮」、そして皮と胴を結ぶ「調べ」という紐で構成されているそうです。組み立てて演奏するのですね!

胴は、冒頭で申し上げましたように桜の木で出来ているそうです。胴には蒔絵が施されており、草花などの絵が多いそうです。綺麗ですね。桜の木は他の木に比べ堅く、長期にわたり変形しにくく、また音をよく反響するとのことです。 桃山時代の楽器もまた現役とか!皮は馬の皮、紐は麻だそうです。

胴は空洞になっています。箏や、三味線の胴の内側にも施されていますが、鼓にも良い音を鳴らすための細工「綾杉」が掘られています。
では、組み立てていただきましょう。まずは皮の間に胴を入れます。


そして皮が均等にはれるように「調べ」(紐)を調整していきます。

このようにして組み上がりました!

ところで、この紐の組み方、すご〜く難しそうでした。そう、まるで「あやとり」をしているみたいです。左手で鼓を持ち、この調べをしぼったり、ゆるめたりして「ポン」とか「タ」という音色を作るのだそうです。
小鼓は良い音を鳴らすために湿り気が必要だそうで、鼓の皮に調子紙という和紙を湿らせてはったり、直接息を吹きかけたりするそうです。気温や湿度などで微妙な調整が必要とのことで、演奏されている方が舞台上で調節されているのを見かけますね。それとは反対に、大鼓の皮は、ヒーターなどで乾燥させるそうです。いろいろ知ると、奥が深そうですね。
弊財団よりリリースされているCDをご紹介します。
『歌舞伎の囃子』

気魄漲る邦楽囃子の世界!人間国宝堅田喜三久が35歳時に編集なしの一発勝負で録音に挑んだ初ソロ・アルバム。
『鼓/望月朴清』

鼓が歌い、演じ、語りかける…。人間国宝・四代目望月朴清、渾身の至芸!三世望月朴清作調「島の千歳」、一調一管による「鼕々」、名曲「船弁慶」。当代の名手共演による、全曲最新デジタル録音盤!

(制作担当:うなぎ)