じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

第4回初台寄席

第4回初台寄席に行きました。第2回の時もこちらのブログでご紹介しましたが、初台寄席は昨年秋口から始まり、2か月に一度、初台商店街(東京都渋谷区)の居酒屋さんで開催されています。理屈抜きに、おかしい、楽しい。とにかく、何もかも忘れて笑いました。

ここで笑う、ということの効用に焦点を当てますと…。免疫効果を高める、健康増進になることが大きいようです。実際に医学界でも(大真面目な話)そうした研究がなされているそうです。効用、確かに私にも実感があります。現代社会、なかなか随所にストレス源があってすっかり逃れることは難しいわけですが・・・。笑うと、そんなことあんなことが、例え一時的であっても、どこかへ流れて行ってくれる気がします。製薬会社さんのホームページ「健康かけいぼ」から、笑いのもたらすプラス効果の数々を引用します。

(1)脳の働きが活性化
脳の海馬は、新しいことを学習するときに働く器官。笑うとその容量が増えて、記憶力がアップします。また、“笑い”によって脳波のなかでもアルファ波が増えて脳がリラックスするほか、意志や理性をつかさどる大脳新皮質に流れる血液量が増加するため、脳の働きが活発になります。

(2)血行促進
思いきり笑ったときの呼吸は、深呼吸や腹式呼吸と同じような状態。体内に酸素がたくさん取り込まれるため、血のめぐりがよくなって新陳代謝も活発になります。

(3)自律神経のバランスが整う
自律神経には、体を緊張モードにする交感神経とリラックスモードにする副交感神経があり、両者のバランスが崩れると体調不良の原因となります。通常起きている間は交感神経が優位になっていますが、笑うと副交感神経が優位になるので、交感神経とのスイッチが頻繁に切り替わることになり、自律神経のバランスが整います。

(4)筋力アップ
笑っているときは心拍数や血圧が上がり、呼吸が活発となって酸素の消費量も増え、いわば“内臓の体操”の状態。静かに過ごすより笑っているほうが、カロリーの消費量が多くなります。さらに、大笑いするとお腹や頬が痛くなるように、腹筋、横隔膜、肋間筋、顔の表情筋などをよく動かすので、多少ながら筋力を鍛えることにもなります。

(5)幸福感と鎮痛作用
笑うと脳内ホルモンであるエンドルフィンが分泌されます。この物質は幸福感をもたらすほか、“ランナーズハイ”の要因ともいわれ、モルヒネの数倍の鎮静作用で痛みを軽減します。

ストレスに悩まされると呼吸が浅くなり、血流が悪くなり、必要な酸素が体内に運ばれない為に、肩こり等色々な体調不良に見舞われます。笑うことで、そうした不調を寄せ付けず、老化や病気も防いでくれるのですね。「笑う門には福来る」という諺がありますが、ニコニコしている人、ワハハと笑っている人には禍々しいものを寄せ付けない何かが備わるのかもしれません。強烈な力でぐいぐいと笑いの世界に引き込んでくれる落語。健康のためにも、身近な生活とともにあってほしいものです。

さて、今回の噺家さんと演目は、笑福亭瓶二さん「手水廻し」と桂三四郎さん「子ほめ」。お二人とも上方ご出身。私は関西のおおらかな、しかしパンチの効いた笑いが大好きです。そして生で聴くよさも挙げられます。本題に入る前の小話からおもしろい。小話を聴きに来たのか、落語を聴きに来たのか分からなくなる程、本題でないところも面白い。まさにライブの醍醐味、と言えるでしょう。

実は、今回の初台寄席が楽しかった秘密が他にもあります。それは会場が、ホールや寄席のために建てられた常設小屋でなく、街の居酒屋であることに起因します。狭さ、です。お店の方にはちょっと悪い気がしますが、その狭さはちょっとやそっとでありません。狭い空間に落語家も客も詰め込まれます。そうしますと、高座の台を置くスペースもままならない。いきおい、小さな台に何とか座布団を置いて高座とするわけです。驚いたことに、今回の寄席では台よりも上に乗っている座布団の方が大きい状態でした。一番前に座っている客は、腕を伸ばすと自然と演者に触ってしまう近さ。噺家が登場するときは「すいません、ぶつかっちゃって」なんて言いながら、客の合間を分けてやってきます。ぎゅうぎゅう詰めなので、すごい熱気。しかし、これが良いのです。話す方と聴く方に一体感があります。ご出演のお二人が仰るには、この密着した好意的な雰囲気がやりやすいとのこと。お互いに利があります。

居酒屋落語の良さは、時間が適度な長さであること(1〜2時間)、お値段も手ごろ。そして、れっきとした寄席やホールに比べ、皆様のお住まいの近くでやっている可能性が高いことでしょうか。ことによるとお住まいのすぐ近く、ということもありえます。落語を聴くことで健康増進も兼ねられて一石二鳥ですし、是非一度ご自宅や職場の近くで開催されていないかお調べになってみてください。

最後に財団より発売されているCDに三代目桂春團治さんの「子ほめ」がございます。関連してご紹介申し上げます。
ビクター落語 上方篇 三代目 桂春團治(4) 代書屋/高尾/子ほめ

(弘)