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night and sundial -the 4th distance-

April 13 (Fri), 2018

[][]3/24(土)本土最南端へ

 3月24日(土曜)。朝、ホテルの朝食を済ませて市電に乗り、涙橋という電停で下りて、海側に歩いていく。住宅街や新興のマンションが建ち並ぶ一角を抜けると港湾地区になり、鴨池港のフェリー乗り場があった。

 ここからは、錦江湾の対岸の垂水(たるみず)までのフェリーが、比較的頻発している。片道480円。

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 9時20分のフェリーに乗船。船内にはうどん屋さんがあり、出航前から早くも行列ができていた。今日は食事がおぼつかないので、食べられるところで食べておくことにする。

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 この日は、佐多岬に行ってみようとしている。大隅半島の先端、本州最南端の岬であり、以前から気になって調べていた。だが、ここは、公共交通機関で行くのは困難な場所である。──まず、岬の最寄りにある集落は「大泊」というところで、そこまでのバス路線は、ないわけではないのだが、バスで行ったらその日に帰るバスはない、というダイヤになっているため、大泊に泊まるしかなく(一応、「ホテル」があるが、営業しているのかいないのかよくわからない)、路線バスでの観光は事実上不可能と考えざるを得ない。また、そもそも、岬は、大泊集落からでも距離があり、自動車道路を1時間以上歩く必要があるようだ。

 そういう観光地には定期観光バスが通じてるんだよ、と思って調べてみたが、大隅半島に、定期観光バスのルートは存在しない。最後の手段はタクシーだが、この地域でタクシー会社がある町は、約40kmも手前の大根占 (錦江町)だけである。──佐多岬は、観光地としては非常に交通の便が悪いところなのだ。

 垂水港から路線バスに乗って、錦江湾の明るい海岸線沿いに南下して、根占の町で下りた。国道の向かいにあるスーパー(A-COOP)でパンと飲み物を買い込み、バス停に戻ると、タクシーが待っていた。──実は垂水に入港する直前に、大根占のタクシー会社に電話を掛けて、11時半に根占のバス停に配車を依頼していたのだった。まだ5分前だ、と思いながらスーパーのビニール袋を下げて道路を渡っていたら、もう待機しているのが見えたので、小走りに駆け寄って、恐縮して乗り込んだ。

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 電話したときは、「根占から佐多岬まで往復してほしい」としか言っていなかったが、「佐多岬に行く前に、雄川の滝に寄ってほしい。今日は夕方の船で指宿に渡るので、17時までに根占港に戻れればよい。」と伝えたところ、観光料金で22,000円とのことだった。

 雄川の滝とは、インスタ映え時代に新しく知れ渡ったタイプの名所のようで、…なんだか、大河ドラマのオープニング映像に出てくるのですって? すれ違いのできない狭隘道路をたどっていくと、忽然と駐車の群れが現れた。観光協会らしい人が誘導したりしているようで、タクシーの運転士が挨拶して、「一名です」などと伝えている。どうやら入込み人数を数えることになっているようだ。仮設トイレや仮設通路が設置されたりしていて、急に人が来るようになっていろいろ追い付いていないような感じだ。

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 滝までは遊歩道があり、片道20分ばかりかかる。

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 竜巻のような現象が起きたらしく、森が荒れ果てている。杉を植林した成れの果てがこれだよ

 清冽な水が流れているが、切り立った岩盤が異様だ。そして、その岩盤に突き当たるところに、滝があるのだった。見えてきたとき、思わず声を上げてしまった。

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 観瀑台が作られている。高い岩盤の上から流れ落ちてくるのに加えて、岩盤の途中からも豊富な水が滴り落ちてくる。そして滝壺は深い緑色。太陽の角度によってはもっときれいだろう。午後の方が良かったのかな? さらに上流にはダムがあるらしく、岩盤の上には九州電力の施設があり、「急に水が増えることがあります…」という内容の放送が流れた。なので、完全に人の手が入っていない自然、というわけではない。しかし、これはすごいよ。こんな大きな規模と複雑な造形の滝が、もし関東にあったら、大観光地になっているだろう。すっかり感心してしまった。

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 タクシーは佐多岬へ。途中、諏訪神社というお宮…

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 奇妙な神社だ。鳥居が横に2つ並んでいるのは、全国でここだけだそうだ。タクシーの運転士さんが、見て行ってください、と立ち寄ってくれたのだが、どんな謂れが? と訊ねると、ご兄弟の神様だそうです、というだけで、それ以上の情報はないようだった。観光客を乗せることが少なく、見てほしい地元の名所はあるけれどストーリーには詳しくないようだ。

 運転士さんからはいろいろな話をうかがう。南大隅町というのは根占と佐多が合併したのだが、過疎と高齢化が進んで、今では併せても人口1万人未満になった。このタクシーは錦江町(大根占)の会社だが、錦江町と南大隅町の大隅半島全体で、この会社の5台しかタクシーがない。薩摩半島と違って大隅半島には温泉がなく、観光開発されない…。佐多岬は、もともと鹿児島の大財閥であるいわさきグループが経営していたが、いわさきが2代目になって撤退してしまい、荒れ放題になっていたのを、今の町長がやっといわさきから買い取って、整備し始めたのだそうだ。──たしかに、来る前にインターネットなどで調べても、佐多岬の展望台や園路が工事中であることはわかるのだが、結局いつ完成するのかよくわからないのだった。ガイドブックの類でも、2017年とか、2017年度中とか、2018年になるとか、いろいろな情報があって、要するに延び延びになっているのだろう、と理解していた。

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 大泊の集落から佐多岬に上る自動車道路は、いわさきグループ時代は有料道路だったのが、町に譲渡されて無料になったものとのことだが、ガタガタと路面整備工事中で、片側交互通行などになっている。運転士さんは、「お客さんを迎えられる状態になってないです」と弱気な言い方である。

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 山道を上るとレストハウスと駐車場があり、そこからは徒歩で園路をたどる。岩崎隧道というトンネルを抜けると、やはり園路も工事中であった。

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 急峻な地形なので工事資材を運ぶためのロープウェイを張っているようだった。頭上で急にガラガラと音が鳴り始めるのでちょっと驚く。

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 御崎神社。鳥居だが、周囲がほとんど日本とは思われない環境だ。──いま、大隅半島では映画の撮影をしているところだそうで、有名女優さんが佐多岬に来て、撮影隊がホテルを借りきったり、根占でもエキストラを集めて撮影をしたとのことだった。この神社と、この神社の「お祭り」が、その映画に出てくるのだという。

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 白く眩しい、真新しい展望台があった。

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 風が強かったが、すばらしかった。270度かそれ以上の角度が、見渡す限り、海なのだ。澄んでいれば種子・屋久が見えるということだが、むしろ、霞んでしまって見えない、見渡す限り対岸や島など見えないほうが、海の広さを堪能できて好ましいように、ぼくには思われた。

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 北緯31度だそうだ。沖縄のほうが南にあるのは、それはわかりきっているけれど、それにしても、日本列島は広い。

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 よいところに来られた、と満足して、タクシーで戻る。

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 本土最南端の漁港、大泊。そして本土最南端の郵便局。

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 16時過ぎに、根占港でタクシーを下りた。なんだかんだで5時間近くも乗せてもらった。腹ごしらえしようと、港の近くの道の駅で地元の生産者のパンなどを買い込んだが、そのパンの不味いこと…。ローソンに行けば良かった。地元を応援しようとするとこうなる、と、憮然としながら食べる。公園では中学生くらいの子供たちが男子グループと女子グループに分かれて遊んでいた。

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 本土最南端のローソン、南大隅根占店。

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 山川港行きのフェリーなんきゅうは小型のカーフェリーで、ぎりぎりにかけこんできた旅行者らしいレンタカーの人が、係員に指でバツを作られて断られていた。満車らしい。今日の最終便だから、これに乗れないとなると延々と大隅半島を戻ることになってしまう。それは脱力だろう。

 一方、指宿港行きの高速船は、17時10分に出航の予定だが…

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 突堤の奥に係留されているので17時過ぎに近づくと、誰もいない。訝っていると、あとから係員が走ってきて、すいません気づかなくて、とのこと。乗船客はぼく一人だけだった。徒歩で観光する人がほとんどいない土地なのだろう。

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 もやった開聞岳を見ながら、海上でフェリーなんきゅうを追い抜いた。山川と指宿は隣の港のような位置関係にある。高速船は根占から20分で、ひと気のない指宿港に着いた。──指宿港は、観光ルートバスも来るらしいが時間が合わない。駅まで20分くらい歩いた。指宿に来るのは2003年以来なので、15年ぶりになるが、駅前は前にもましてさびれている。外国人観光客が増えたようだが、特に寄るところも無いようで、歩き去っていく。

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 さびれきった指宿の駅前通り。

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 JR指宿駅。ここまでなら1時間に1本かそれ以上は列車があるためか、タクシーも常時待機しており、駅の体裁が整っている。

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 それにしても駅の向かいにある鹿児島交通バスの待合室の、この古びかたはどうだろう

 この日は、前日に空室が出たようで15,000円で温泉ホテルを一泊朝食付きで予約できたので、そこに行く前に食事して行こうと思ったのだが、そんなふうに寥々とした指宿の駅前通りで、入った食べ物屋が、変なにおいが漂っている。天丼を頼んだが、これまた異様に不味い。食事を諦め、タクシーでホテルへ向かった。根占でパンを食べたので、特に空腹ではない。

 ホテルは指宿の町からは外れて、指宿と山川の間くらいにあるところだった。チェックインして、部屋まで案内してくれたスタッフは、「お風呂は、露天風呂があります」と誇らしげだったが、いまどき露天風呂があるからって胸を張られても、と思う。設備はやはり古く、客室は個別空調が効かない、Wi-Fiは使えるとネットには書いてあるがどこにも案内が書いてなく、しかしバッファローの無線LAN親機が廊下に取り付けられており、さらに部屋にはソフトバンクのWi-Fiが転がっている、といった調子で、やっていることがちぐはぐである。フロントに訊ねるとSSIDを教えられたが、それはバッファローのほうだったので、室内にあるソフトバンクの機器は、チカチカしてうるさいのでコンセントを引っこ抜いておいた。──浴場に行ってみると、海をみはるかす浴槽の向こうは崖らしく、身を乗り出すなと書いてある。夜なので景色は見えないが、波の音を聞き、海上に明滅する航路標識灯を眺めるともなく眺めながら、のんびりと風呂に入った。

 このホテル、フロントの応対はかなり低レベルで、要するに添乗員がほとんどの世話をしてくれる団体客ばかり扱ってきて、ホテルが主体になって旅行者を相手にする意識がないのだろうな、と感じた。朝食はよかったけれど。

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