2011-12-01 『イタミを感じることができるオトナへ〜理解することで,理解される
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学年だよりの原稿に書いたことを採録します。現役生、保護者の方は今日配られますので、スルーしてくださいね。
FB組も同じ投稿してるんで、読まなくていいかも、です笑。
『イタミを感じることができるオトナへ〜理解することで,理解される』
お金を出せば、どんな「欲しい!したい!」も満たされますが、お金を出しても「そうだね、胸が痛むね、辛いね」という体験はそうそうできるものではありません。
人のイタミを本当に分ろうとするためには、まず「その人の話を、黙って、集中して、しかも途中でどんなに『あの、それは実は違いますよね、僕/私はこう思っててですね』という風に遮らずに」聴くという行為を行う必要があります。
僕は人の話をきちんと聴けない人の意見に対して、たとえそれがどんなに正しく聞こえようとも、猜疑心を抱かずにはおれない。だって、声が大きい事、相手に意見を言わせない事が自分の意見を通す重要なファクター(要素)だったら、相手に対して、相手よりも勝っている理論、相手よりも勝っている話し方の作法を提示した方が勝ちだからです。勝った方が物事の主導権を握れると分っているのなら、勝つ為に必要な要素は「聴く」という行為ではない。「相手に話をさせない」という行為です。
怒った振りをし、納得のいかない様子を顔に出し、相手に対して「自分は怒っているんだ。お前の意見なんか、間違ってる。俺が言っている事が正しく、お前の言っている事は古い、間違っている。時代は変わっているんだ」と言い放てば良いんです。
でも「そんなのこそ、間違ってるんじゃないか」と僕は思っています。
人の話を聞かない人が、自分の意見を押し通すことは、果たして正しい振る舞いだろうか。私たちの生きている世界には色々な人が居る。色んな人の意見は食い違う。色んな人の気持ちはすれ違う。でも、その中でどこかに擦る部分がないか、共通点はないか、何か分り合える部分がないか、と探し求める姿勢が、グループや組織、共同体において、どんな立場の人も粗末にせず、社会の構成員として認め、違いを分り合い、その違うことそのものを組み合わせ、全体がどれくらい成長してけるか、を考える力になるのではないでしょうか。
相手の話を「いや、私はこう思うんだけどな」という気持ちを押し殺して聴くことは大変な忍耐を強いられる事です。しかし、相手の話を「受け止める」事は、相手を理解する事、相手を愛すること、そして、引いては自分も受け止めてもらえることになるのです。
テレビを付け、ネットで新聞を読み、人々のつぶやきを拾うと、実に様々な意見が広くあります。しかし、大きな声でがなり立て、人の意見を聞かない大人が増えている気がして、この頃とても嫌な気分になります。
日本人は古来、自己主張をしない国民だと言われてきましたが、僕はそうは思わない。自己主張をする、という行為によってではなく、相手の事を理解したいと思う「欲求」の旗印をまず立てて、その後、自分と相手の意見の整合性はどこにあるのか、を考える癖がついてるのが日本人であり、その思考こそ、私たちが古来より大切にして来た、島国に暮らすものの英知だと僕は理解しています。
沖縄の旅を考える時、皆さんの事前学習の本読みは、斯様な姿勢を涵養するのに非常に重要な意義を持っています。即ち、語られる言葉を受け止めることこそが、沖縄の苦しみに寄り添う、まず一等初めにせねばならない行為だからです。
俺はこう思う、私は納得がいかない、を述べる前の行為、「なるほど、あなたのイタミはそんなに深かったんですね」と「受け止める」こと、「分らなくても分ろうとする事=オープンマインド」が、相手を知る心構えとして、まず第一義的に求められなければならない行為だと僕は理解しています。
相手の話を遮ったり、相手の話をまともに受け止める事もせず、俺はこうだ、こう思う、私はこうだ、こう思う、という行為は自己陶酔的野蛮さを秘めていると僕は思います。まずは相手よりも先んじて、相手を
言い負かし、持論をより有利な方向へ話を持って行こうとする行為は醜くて野蛮です。
相手を理解し、相手が何を感じているか、どのように思っているかを「静かに聴く事」を通して、人は相手に対するより深い理解を立ち上げる第一歩を踏み出すのです。その事を決して忘れてはならない。
沖縄の本読みをしながら、本が語りかけてくる言葉、記事に対して思う事をよく考えて欲しいと思います。「だまって聴く」「だまって頷く」行為を通して、人は他者理解を深めます。
その行為を通してこそ、相手を負かすのではなく、相手を受けいれる了見の深さと愛を涵養することができるのです。
沖縄の本読み、是非共に真摯に取り組んでいきましょう。

