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勝手に視やがれ!!テマティック批評計画

2017-01-01 2年越しの『SHARING』 59年しの『チャイナ・ゲイト』

[]2016年映画ベストテン&勝手に映画賞 

日本映画ベストテン(+α)

『SHARING』(篠崎誠)

『さらば あぶない刑事』(村川透

クリーピー 偽りの隣人』(黒沢清

『ジョギング渡り鳥』(鈴木卓爾

ヴィレッジ・オン・ザ・ヴィレッジ』(黒川幸則)

この世界の片隅に』(片渕須直

『いたくても いたくても』(堀江貴大)

ヒメアノ〜ル』(吉田恵輔

『ディストラクション・ベイビーズ』(真利子哲也

『団地』(阪本順治

シン・ゴジラ』(庵野秀明

『お父さんと伊藤さん』(タナダユキ

『ヒーローマニア生活』(豊島圭介

『続・深夜食堂』(松岡錠司

『風に濡れた女』(塩田明彦

『セトウツミ』(大森立嗣

アイアムアヒーロー』(佐藤信介

『SCOOP!』(大根仁

『貞子 vs 伽椰子』(白石晃士)

『女が眠る時』(ウェイン・ワン

『湯を沸かすほどの熱い愛』(中野量太)

『ドロメ(男子篇・女子篇)』(内藤瑛亮)

ジムノペディに乱れる』(行定勲

〇外国映画ベストテン(+α)

『チャイナ・ゲイト』(サミュエル・フラー

『チリの闘い』(パトリシオ・グスマン)

『COP CAR コップ・カー』(ジョン・ワッツ)

ハドソン川の奇跡』(クリント・イーストウッド

『ホース・マネー』(ペドロ・コスタ

マネーモンスター』(ジョディ・フォスター

『山河ノスタルジア』(ジャ・ジャンクー

ブリッジ・オブ・スパイ』(スティーヴン・スピルバーグ

ズートピア』(バイロン・ハワード、リッチ・ムーア)

ヘイトフル・エイト』(クエンティン・タランティーノ

『ダゲレオタイプの女』(黒沢清

キャロル』(トッド・ヘインズ)

フランコフォニア』(アレクサンル・ソクーロフ

『皆さま、ごきげんよう』(オタール・イオセリアーニ

『すれ違いのダイアリーズ』(ニティワット・タラトーン)

ザ・ウォーク』(ロバート・ゼメキス

『光の墓』(アピチャッポン・ウィーラセタクン

『イレブン・ミニッツ』(イェージー・スコリモフスキ)

『ロスト・バケーション』(ジャウム・コレット=セラ)

『スポットライト 世紀のスクープ』(トム・マッカーシー

『誰のせいでもない』(ヴィム・ヴェンダース


『SHARING』は2年越しの日本映画のベストワン。ヒロイン・山田キヌヲは、ベッド、机、いたるところで、右耳を下にした「右枕」の状態で入眠・覚醒をくり返しながら「3・11」にまつわる幻覚予知夢体験する。音響的要素が強いその幻覚予知夢は、左耳だけを隠した左右非対称の髪型によって、常に片方だけ露わにされた右耳が体験(聴取)することで「原発に支えられた世界」の均衡が歪み崩れていく。「3・11」をめぐる「メタ夢落ちホラー」の傑作。

ようやく一般公開された『チャイナ・ゲイト』は59年越しのベストワン。インドシナ戦争(対仏ベトナム独立戦争)時代、アンジー・ディッキンソン演じる子持ちの米中混血ベトナム人ヒロインが、中国人顔の子供を嫌って捨てた仏外人部隊米兵の元夫ジーン・バリーと「子供と三人で一緒にモスクワに行こう」と求愛するベトナム人将校リー・ヴァン・クリーフの狭間で下す苛烈な決断。奇跡の「反共映画」の傑作。

こちらも31年遅れの公開になる『チリの闘い』は、記録映画のベストワン。人々の顔が素晴らしい。その議論する声はもっと素晴らしい。フレデリック・ジェフスキー『不屈の民変奏曲』の元歌が聴ける。

『さらば あぶない刑事』は「東映」セントラル・アーツの集大成的作品。全編デジタルHG撮影のはずなのに、フィルム的感触にあふれる仙元マジックは驚異。

『いたくても いたくても』は「通販プロレス」というアイディアだけでも独創的なのに、会社・家庭・恋愛における痛みと居場所の問題を画面に定着させた、堀江貴大の将来性は「買い」である。

『COP CAR コップ・カー』はアメリカ映画の新作ではベスト。ケヴィン・ベーコンが悪い警官役で銃を撃ちまくる姿をちゃんと撮れば傑作が出来る。もちろん、ちゃんと撮ればという条件つきの話ではあるが…。

ハドソン川の奇跡』は航空映画+川船映画の奇跡的融合。本物の奥さんが素敵。

『ホース・マネー』は続編映画特有の狭隘さを感じてしまった。NY写真も疑問。アフリカ系のスラム街は他にもっとあるはず。それがなければ新作ではベストか。

マネーモンスター』はTVスタジオジャック映画として上出来。ジョディ・フォスターはプロの仕事をしている。

ブリッジ・オブ・スパイ』は東ベルリンの屋外と室内の両方に自転車を走らせたスピルバーグの執念に脱帽。「進撃の巨人」はご愛嬌か。

『ダゲレオタイプの女』はフランス洋館ロケよりも自動車演出に目を見張った。服の端が車のドアに挟まるショットは、日本でも撮ることはできたはずなのに、なぜかフランスで初めて可能になったアメリカB級ノワール的瞬間。ジャック・ターナーの霊に憑依されたのだろうか。

『すれ違いのダイアリーズ』は2016年に見た「タイムスリップもの」のベスト。編集・構成を工夫するだけで、タイムパラドックスなしで、映画は現在と過去を自由に往復しながら、ベタな純愛も展開できるという好例。「水上小学校」のセットと撮影が素晴らしい。

ジムノペディに乱れる』『スポットライト 世紀のスクープ』の2本は、映画中盤から急に撮影・演出がよくなり後半絶好調になる映画として記憶に残った。ここ数年、日米問わず、一本の映画の前半と後半で、はっきり差が出る映画が増えているが(特に撮影)、それは現場の問題なのか、編集によるものなのか、その原因が非常に気になって仕方がない。


2016年「勝手に映画賞」は以下の通り。

女優賞山田キヌヲ(『SHARING』)

男優賞;柳楽優弥(『ディストラクション・ベイビーズ』)

監督賞;篠崎誠(『SHARING』)

脚本賞堀江貴大・木村孔太郎(『いたくても いたくても』)

撮影賞;仙元誠三(『さらば あぶない刑事』)

音響賞;片渕須直(『この世界の片隅に』)

美術賞;原田満生(『続・深夜食堂』)

照明賞;水野研一(『続・深夜食堂』)

特撮賞;樋口真嗣尾上克郎(『シン・ゴジラ』)

ヘアメイク賞;大河内ともみ(『SHARING』)

音楽賞;コトリンゴ(『この世界の片隅に』)

出版賞;木下千花溝口健二論 映画の美学政治学』(法政大学出版局

 

 

以上、部門別に「勝手に映画賞」を選出しましたが、これはあくまでも当方の勝手な判断によるものですので、受賞された方もされなかった方も、どうかいっさい気になさらないで下さい(笑)。

 

2017年はよい年でありますように。

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