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2013-05-18

『聖なる怠け者の冒険』 森見登美彦 

聖なる怠け者の冒険

聖なる怠け者の冒険

 この作品は新聞連載されていたものだけど、単行本化にあたって全面改稿されたとのこと。連載で読んでしまった人は油断していてはいけない。これは週末を愛する人々の、とある土曜日の物語だ。だから連載でバラバラに読むよりは、一冊にまとまった書籍で聖なる土曜日を怠けるために読むべきだ。

 しかし改稿とはまた、作者は怠け者の対極の地にある行為をしたものだ。


「誰が好きこのんで正義の味方なんか。僕は断固として僕の休日を守りぬくんだ。怠けるためならなんでもする」(P37)

(略)一日や二日の休暇に何の意味があろうか。人生全体から見れば誤差の範囲だ。(略)退屈で退屈でイヤになるくらい怠けなければ、働く意欲なんて湧くもんか。(P101)

 土日を全力で怠ける青年。土日に活躍する「ぽんぽこ仮面」なる正義の怪人。怠け者の探偵と週末だけ活動する探偵助手。土日を拡張すべく全力で遊ぶ男女。彼らの長い長い聖なる土曜日が始まるのである。

 相変わらずの軽くて常識外れの語り口である。これはいつも通り。デビュー作『太陽の塔』から変わらず「一人(少数)の奇行が組織化(集団化)する」という内容もいつも通りで、今回も多数の謎組織が登場。太陽の塔では「ええじゃないか」が集団化するという展開は記憶に残るが、そういう規格外の騒ぎは無視しても、「祭り」「クリスマス」などそのものが「巨大化集団化」なのだ。作者はこういう流れや素材が好きなんですね。

 怠け者の読者が、土曜日をゴロゴロして読むに相応しい一冊であった。やっぱり読書とは、現実逃避して怠けるためにあるのだと再認識させられたのだ。月曜日が憎い。


 せっかくだし、ついでにこちらも・・

ジュリアとバズーカ

ジュリアとバズーカ

 『氷』も読みたいんだけど、もう品切れかあ。

 もとはサンリオSFから出ていた短篇集。心を病んだ語り手の世界観と幻覚の連続。めっさ読みやすいんだけど、見事にウツウツとして来る。

2013-05-17

捏ねた

 いまグーグルの検索窓に「機械男」と入れると、候補がなんか違う。

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 近況:まったく読書時間が取れない状態。もう字を読むのがめんどくさいんだよね。買った本を袋から出さないまま全部捨てたら楽だろうなあ。

2013-05-15

演出(キャラつく)る

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参考になってない参考資料

スマイリーと仲間たち

スマイリーと仲間たち

電子書籍化記念

2013-05-13

『機械男』 マックス・バリー 『シスターズ・ブラザーズ』 パトリック・デウィット

機械男

機械男

 子供のころ、僕は列車になりたかった。

 という独白から始まる物語。主人公チャールズ・ニューマンはマニアックな性向を持った30男。独自の価値観に向かって実にまっすぐ夢中になるタイプ。そして今時の携帯電話を手放せない効率主義者である。なんだ俺か。

 このニューマンが描写がリアルで真に迫っているのだが、それに比べると世界がずいぶんと歪んで描かれている。なんとも変な小説だ。ストーリー展開も相当に変なのだが、伏線というか予兆めいた描写はあるので、先にピーンときてしまう。このピーンが嬉しくないというか、完全に「おいやめろ」状態。これは笑っていいのかどうなのか。

 ストーリーは誰が読んでも同じような感想だろう。そして誰もが読後に「ううむ?」と困惑するのではないだろうか。

 ここで考えたい最大のポイントは、個々の読者の価値観によって食い違うだろうニューマンの印象と評価だ。彼をどう読み解くかが大事だ。

 彼はこの有害な物語世界の中で、まったく無害な男なのである。しかし同時に無益な男だ。彼が外挿型(?)の人体強化パーツを夢中になって造るという物語だが、それは彼自身がどうしても必要となってようやく着手しただけのことなのだ。列車になりたいなんて言っていたが、普通なら何にもなれない男だったはずだ。

 そしてとんでもないことに、彼は作中で恋をしてしまうのだ。列車(というか機械だ)になったら人間を愛せるのか。なんて考えると「愛と夢は両立するか」という、意外と古典的なテーマが浮かび上がる。

 普通の読者ならニューマンが愛を手に入れるか失うか、そんなことを考えるだろう。だが実はそれはたいした問題じゃない。問題は彼が恋をしたことだ。だからこのラストで「ううむ?」と読者は考えてしまう。ああ、お前が恋さえしなければ最高の結末だったろうに・・、どうしてもそう考えてしまう。

 実はあまり本の表紙には興味がない。だって並べて眺めるのは背表紙だぜ。漫画ドラゴンボールの背表紙を眺めてるとなぜヤジロベーが2回・・あ、なんでもないっす。

 そんな自分も久しぶりに表紙買いですよ。遠めに見るとドクロなのね。

 ゴールドラッシュに沸くアメリカ。殺し屋の兄弟コンビが、依頼を受けてある男を狙う・・という物語。語りが面白い作品だ。

 この兄弟はまったくモラルがなくて、簡単に人を殺してしまう。かと言って殺人狂でもなし。彼らに後悔も罪悪感もないのは、そういう遺伝子なのか、環境のせいなのか。しかし読んでいると意外に人間味があるし、独特の価値観とルールがあるようだ。まあお近づきになりたくはない。

 この作風・・、どうもジョー・R・ランズデールに近いような気がするのだがどうだろう。といっても最近の賞を狙ったような作風ではなく、『凍てついた七月』(これがランズデールのベストだと思っている)のころのような自由な雰囲気だ。

 読んでるあいだは楽しいけど、読み終えて読者は何も教訓を得られないところもよしとしたい。

Gene Mapper -full build- (ハヤカワ文庫JA)

Gene Mapper -full build- (ハヤカワ文庫JA)

 外見はSFながら、ストーリーの回路はミステリ。個人的にはミステリに分類したい小説。難しいところはないので、広く読まれることができる作品。