研究部会メーリングリスト通信 2015年1月号

<動物遺物学の部屋>

第37回 フィールドで動物遺物を見つけよう(2)〜これは鳥の巣?
 
春になると、大きな川の河川敷にみずみずしい緑が映えてきますね。
岸辺にはアシがたくさん生えていて、広いアシ原ができているところもあります。

たいていは釣り人のおかげでアシ原の中に道ができていますから、その道に入ってみましょう。
背よりも高いアシに囲まれながら歩いていると、アシの茂みに中にこんなものがあったりします↓。

草が丸く編み上げられているようですね。
これは・・・鳥の巣でしょうか?
いえいえ、これはネズミの巣なんですよ。
この巣を作ったのはカヤネズミというネズミです。
ハツカネズミよりも小さくて、日本最小のネズミと言われています。
カヤ原に棲むのでカヤネズミ。
長い尾を使ってカヤの葉伝いに動き回り、繁殖期には葉を編み上げてこんな巣を作ります。
最近は河川敷の整備が進んでいるようで、住みかである広いアシ原が少なくなって、身近なところではカヤネズミはすっかり見られなくなりました。
郊外で川遊びに出かけたら、ちょっとアシ原でこの巣を探して、かわいいカヤネズミたちが棲んでないか調べてみたらいかがでしょう。

このシリーズ、次回のネタはこれです↓。

今日のお言葉です。
「産業時代といはるる近代の文明は、日一日と都會と田園との間の溝渠を深くして來た。今も深くしてゐる。これからも益々深くするに違ひない。」石川啄木

<いきもの写真館>
ここでは、私たちの身近にいるいきものたちを写真で紹介しています。
第77回はコジュケイです。

自動撮影カメラで撮影したものです。
親子づれのコジュケイですね。
なかなか、ほほえましい。

<研究部会からのお知らせ>
2015年も月1回のペースで更新していきます。
よろしくお願いします。