Hatena::ブログ(Diary)

mit MUSEUM RSSフィード

2012-03-30 「あなたに見せたい絵があります。」@ブリヂストン美術館

あなたに見せたい絵があります。-ブリヂストン美術館開館60周年記念

2012年3月31日(土)〜2012年6月24日(日)

休館日 4/15(日) 4/23(月) 5/28(月)

開館時間  10:00〜18:00(祝日を除く金曜日は20:00まで)

今回はTakさんが企画されたブロガー内覧会があった。この美術館での試みは初めてだそう。特別に撮影も許可して頂いた。

f:id:jfo1501:20120331022549j:image:medium

 ブリヂストン美術館が開館60周年を迎える今年、石橋財団が所蔵する千点以上の作品から、より抜かれた作品が展示される。

今回は九州久留米市にある石橋美術館の所蔵品も合わせてみることができる。

 石橋正二郎氏はコレクションの当初から美術館で見せることを考えながら、コレクションを構築してきたという。最初は坂本繁次郎に会い、彼から青木繁をコレクションに加えることをアドバイスされて、日本の近代絵画を扱うようになる。その後、日本近代絵画に影響を与えたヨーロッパの近代絵画をも集めるようになる。

 石橋氏は「見ていて元気になるような明るい絵」という心からか、自ずと印象派が多くなったそうだ。

今回の展覧会は薄紅色が基調で、11のテーマに沿って選び抜かれた所蔵品が配置されている。

毎回ここの美術館の素晴らしいと思う事は、作品鑑賞のためのラインを木目板で示していること。観賞用の椅子がまたかっこよくて、お薦めの作品に向いて配置されている。部屋と部屋とを繋ぐ四角が逸品を切り取る額のように、また違う魅力を見せる。

今回の解説プレートは、とても平易な表現でわかりやすく語りかける。貝塚学芸員がスライドトークで、小学6年生でもわかりやすい表現と説明された。専門家が「子どもにもわかりやすく書く」ということは実は難しいことのひとつ。楽しい解説で、いつもと違う印象を得た作品も多かった。

以下は11章に分けられた作品群の印象

1章 自画像

 青木繁(6)と坂本繁二郎(7)は九州ゆかりの作家。コレクションの礎となったお二人。その向かいに、マネ(2)とセザンヌ(3)が配す。自画像 中村彝と敬愛するレンブラント自画像(版画)が並んである。古賀春江(10)が恋人に送った自画像のハガキが良い。

明るいローズ色の壁(学芸員によれば、黒が引き立つ色だということで)

f:id:jfo1501:20120330194200j:image:medium

2章 肖像画

 ルノアール描くシェルバンティエ嬢(12)と少女(13)、劉生が描いたテンペラ画の麗子像(17)が並ぶ。関根正二の子供(19)も赤と水色の瑞々しい色彩。

f:id:jfo1501:20120330195000j:image:medium

3章 ヌード

 ルノアール(21)と安井曾太郎(25)の水浴び。国吉康雄(26)は1929年作三越での個展に出品したもの。 

4章 モデル

 藤島武二の「黒扇」(29)は藤島自身が愛した作品。帽子を持つ女(32)は淡い色調。

5章 レジャー

 オペラ、音楽、サーカスなどをこちらにまとめる。道化師はなのだろう。ピカソの「腕を組んですわるサルタンバンク」(39)、ロートレックの「サーカスの舞台裏」(35)、ルオーの「ピエロ」(37)

f:id:jfo1501:20120330195100j:image:medium 

6章 物語

 西洋では新約聖書は芸術イマジネーションの源泉であったという。また西洋ではギリシャ神話を題材をするのに対し、日本近代絵画は日本神話に視野を向けている。その主な作品は青木繁の作品から語られる。藤島武二「天平の面影」から青木繁「天平時代」(45)

f:id:jfo1501:20120330195200j:image:medium

新収蔵品 

ギュスターヴ・カイユボット「ピアノを弾く若い男」(14) こちらは印象派第2回に出品されたもの、当館では初作家だそう。印象派の歴史を考える際に未所蔵である作家を選んだという。日本の美術館でこのように充実したコレクション形成がされていくのは、本当に良いことだと思う。

岡鹿之助「セーヌ湖畔」(73)は以前個展の際に出品された一枚。29歳の作品。


7章 山 

 初めてブリヂストン美術館で日本の古美術を拝見した。雪舟「四季山水図」(49)4幅 帰国後の初期だというが、ほんのり色彩もあり、とても素晴らしい山水画。(小6日本歴史では室町時代=雪舟、本物見られたら、喜ぶだろうな)そしてセザンヌの「サント・ヴィクトワールとシャトー・ノワール」(53)。壁はこの作品の城にあわせた山吹色になっている。

f:id:jfo1501:20120330193100j:image:medium

8章 川 

 ここから鮮やかな水色の壁に。ここではほとんどがセーヌ河とその周辺を描いているという。ボナール(69)が美しい緑、そしてセーヌ河。

9章 海 

 モネ「雨のベリール」(74)と青木繁(84)その海景がよく似ている。パウル・クレーの「島」(79)とモンドリアン(79)が並んで配されるのも良い感じ。

f:id:jfo1501:20120330193600j:image:medium

10章 静物

 入ってすぐに「猫のいる静物」(91)が見える。その白がいい。解説では、藤田は線描の名手で、卵もどこが描き始めかわからないと。是非実際に見て確かめたほうが良い。セザンヌ(86)とピカソ(89)を並べておくのも粋な計らい。見たままに描く方法から、画面の中で如何に再構成していくか、その視点。

11章 現代美術

 抽象画を「ものをあらわさない絵」と表現したところに解説の細やかな配慮を感じる。野見山暁治「風の便り」(108)、そしてザオ・ウーキー(109)。二人とも90代現役。

この美術館での試みは始めてだそうで、特別に撮影も許可して頂いたが、画家の著作権もあり、撮影可能なもの、まだ著作権保護期間中のものは撮影禁止とあり、作品ごとに丁寧に表示されたのも今回のためだけであろう。美術館で著作権を学ぶ機会というのも良いだろうな と考えてみた。

 学校での鑑賞も受け入れているとの事、小学校からこんな名品と向き合える時間があるとは羨ましい限り。その経験がこんな解説や細やかな配慮に活かされている。

 しかし、図録が2000円とは安い! ブリヂストンに行ったら見たい名品といえばこれは必ず収載されている、という名品揃いである。

今回写真は主催して下さる美術館が特別許可下さった事。この夢のような絵画の配置が叶うのも、充実した所蔵品を持つ美術館ならではと感じた。

 遅くまで説明下さった学芸員の方々に感謝したい。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/jfo1501/20120330