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2010-04-17

これからの広告会社というもの。

10:46 | これからの広告会社というもの。を含むブックマーク

前回のエントリーより。僕のつぶやき。

「ネットの世界はいつも自由競争と寡占・独占の間で危うく揺れている。ただ、そこまでの過程で、料金面で無料・ディスカウントを実現しようとして、すぐさま雑多な広告貼り付け収入に走るのは、仕方ないとはいえ褒められたものじゃない。と思わないでもない。」

さらに、

「 純性な意味での広告会社がこれから生きていくためには、時代のどこかで「1と0で扱う情報」部分に関わる事業から手を引かないといけないと思う。googleが関与する範囲全てということです。この範囲で勝負する会社は、将来的に成長できないか、広告会社ではなくなると思います。 」

さらに、

「情報は水です。マーケティングはその溝の詰りを取り除く作業みたい。」


広告とマーケティングは切っても切り離せない、なんだか腐れ縁みたいな仲のような気がします。

しかしこれからの広告会社という存在には、マーケティング事業はふさわしくないのではないか、とも思います。

ここでいう広告会社とは、広告代理店の中で、媒体のバイイングを行い、クライアントと向き合い共に歩んでいくという前身をもとに、次世代に残りゆく「新しい広告代理店」的な意味合いです。まぁ最早代理という意味に意味はないですが。

「情報は水」です。そしてネットの世界が限りなく整備されていけば、それは非常に綺麗に流れ落ちるようになります。

情報の流通の交通整備を行うという事業からは、やはり広告会社は手を引くべきなのでは??

ただ、その逆は必ずしも真ならずで、ネットの情報流通を支配している側からの「広告」界への侵入はむしろ勢いを増しています。例えばグーグル、例えばアップル。これはビジネスモデル的な問題で、やはり物を売るときはその流通を握るものが強い影響力を発揮するという、シンプルな問題です。佐々木俊尚さん的に言うとコンテナを支配するものが全てを支配するのだそうです。

しかしグーグルが定義する広告と、これまでの広告会社陣営が定義する「広告」はもちろん意味合いが異なります。グーグルが提唱する広告とは言葉を変えると「便利情報」です。これは広告を「流通する情報」という「もの」ベースで捉えている考えが如実に表れています。情報というのは物だから、「あるべきものは、あるべき場所へ」「欲しい人には、欲しいものを」という発想になるのです。

一方広告会社、そしてこれからも広告会社が生き残る頼みの綱的な概念は、広告を情報ではなく感情と捉えることだと思います。感情・経験・意思。そういう記号で表せないドラマを演じることに広告の意味はあるのではないでしょうか。

そこでビジネスモデルの話ですが、それはやはりネットの活用が不可欠になることは間違いないでしょう。

というより、マスな情報発信という形式が適切ではないのです。それはなぜか。

まずあまりにマスに打つことで、ターゲットにしていないユーザーにまで不必要に広告が打たれてしまうというコストの問題がひとつ。しかしこれは俯瞰して見ればネットの世界であろうと起こっている単純な流通の問題でもあるので、実は大きな問題ではないと思っています。

次に、今までのマスメディアの歴史の中で、広告というものが「便利情報」だという意識が浸透してしまったというのが決定的な問題。これは例えばTVCMを番組の枠の合間に流す、新聞広告を有限な紙面の中で面積を割いて掲載する、という手法形式が作ってしまった問題ともいえます。

だから、「広告とコンテンツの垣根がなくなってきている」ということの真意と、iadが提唱する新しい広告展開は一致します。

広告を「もの」として捉えるか「感情」として捉えるか、発信者が考えを変えることでその提供の仕方も変化しているのです。

伝える心さえ備わっていれば、放送という形、それが電波による単方向なのか、コメントが残せたりする双方向なのか、そんな違いは実は重要ではないとさえ思います。

ところが問題はまだあって、それは例えば「知らない人に知ってもらう」という極々基本的な地点です。

これは「伝える」という話よりももっと「ネット」と「オールドメディア」との明確な能力差が測りにくい気がします。というのも、もちろん今はテレビなどのマスメディアがこの分野だけではネットに勝っているという意見が大半なのですが、その理由の大部分が単にテレビの視聴者の多さ、もっというとチャネルの少なさによるところだからです。

僕はテレビの「多チャンネル化」には多少期待しているところがあります。というのも、コンテンツベースで考えたときに、バラエティも報道もスポーツも音楽もドラマも、全部ひっくるめて「4ch」みたいなくくりを続けることに、もう意味が残っていないと感じたからです。

ところがテレビの多チャンネル化は、同時に今までのテレビがもっていた「チャネルの少なさ」という消極的なメリットをなくすことになります。知らない人に知ってもらうという役割を担える人が、いなくなってしまいます。もちろんそういうもっとも重要な役割が組織や企業体から個人個人に移ってはいるのですが、それが完全に移行してしまってもこれまでの100%、120%のパワーが残っているのかにはやや疑問が残ります。もっとも、個人個人が自分の生まれ持った趣向をベースに自由に生活することが、結果的に社会全体に善の感情のゲージを上げる効果をもたらしてくれれば、それが一番いいのかもしれませんが。

今の日本のテレビを斜めから見れば、「チャネルの少なさ」という特徴を残しつつ「コンテンツベース」の放送ができる、というなんだか「宙ぶらりん」な状態ともとれます。これはコンテンツ側から見ればある意味チャンスのはずです。だからこそ面白いことがいっぱいできるし、自由な競争を妨げているともとれます。一部の大衆向けコンテンツがチャネルの少なさによって時間軸の局所的にとりざたされる様は、多くの人が目にしているでしょう。

テレビの制作陣の話をすると、こういう「宙ぶらりん」な状態をコンテンツ作成者という立場からあくまでも客観的に見て、それを利用するくらいのあざとさを持って欲しいです。少なくとも歪な日本の放送形態に合わせて、作る側の技術継承人材育成も一緒になって歪に進化してしまうことは避けていて欲しいものです。そんなもの、ちょっと先の未来には誰の得にも何の資産にもなりません。

話をテレビから広告会社に戻すと、

これから何より重要になってくるのは簡単にいえばブランド構築という結論になると思います。

それは業務として請け負い、他企業のブランド醸成の手伝いをするという役割ももちろんあるのですが、というより現状それが90%だとも思うのですが、僕はどうしても広告会社それ自体がブランド化する姿をイメージしてしまいます。誤解しないでください、「有名デザイナー、カリスマメディアクリエイター」みたいな大層な名前で有名になることではありません。

もう今の時代、ブランドは世論を形成するものだと言っていいと思います。それはそのブランドをとりまく多くのファンの存在、そこで交わされる会話の中に潜む共通感情・共通意識からくるものです。

ところが広告以外の一般的な業種、例えば飲料メーカーのコカコーラブランドなどがどれほど大きくなっても、それで社会一般的な世論の形成にはならないと言えるでしょう。これは「飲料」というものを扱うモデルの限界(べつに悪いことではない)とも言えます。強いて言えば音楽業界での個人アーティストのブランドなどは理想に近い気もします。それはブランドの信仰対象が「人」という、いろんな感情・行動・物語の要素をもった存在だからです。しかしそれは「個人のアーティスト」に向けられるもので、つまり時間的にみてすごく有限ですし、今のところ音楽業界のモデルは、「組織(レーベル)」とブランドの根本である「アーティスト」の同期は行われていません。

それでは誰がその役割を担うか。だれがネットの内外全ての世界の中でブランドを誇り、かつ人々の生活の中に公平性さと多様性と方向性を指し示すことができるのかとなったときに、僕はそれが広告会社であって欲しいと思っているんです。

その根拠は、元々の背景としてブランド醸成の技術を培ってきたことはもちろん、自分以外の多くのブランドをサポートし、認め、肯定し、かつそれを収益にあげられる業種が広告というものしかないからです。


・・・とまぁ偉そうなことを語りながら、果たして自分がどこまで実現できるものか。

長くなったので、ここまでにします。

(追記)

@sasakitoshinao さんにこの記事の感想をツイートしてもらって、ブログのPVが一気に増えましたw

 @over_try_again でフォローミーです。

(追記)

@tabbata さんにこの記事の感想をツイートしてもらって以下同文。

 読んでくれた方はコメント残していただけると嬉しいです。。。

(追記)

僕のツイッターアカウントは@genfujimotoに変更になりました。よろしくお願いします。

pdy_2010pdy_2010 2010/04/20 00:12 @tabbata さんのTweetから来ました。@tonomiです。
まだ学生にもかかわらず、非常に鋭い広告批評に正直驚いています。
現在、世界的にみて広告の流れはTVCMなどのオールドメディアからソーシャルメディアに大きくかじ取りしつつあります。
これは、昨年のスーパーボールへのCMを止めた会社が最もポピュラーな事例でしょうか。

今やブランドはソーシャルメディア内でユーザーが作る時代になっており、かつてのマスメディア(広告会社)がブランド(イメージ)を作っていてそれがほぼ全てだった(楽な)時代とは明らかに異なります。
この大きな流れによって、プロダクトを作る企業が如何にエンドユーザーと紳士に向き合うかが最も重要になってきていると感じます。
この激変する広告業界の未来に、どんな収益につなげられるビジネスモデルを作り上げるかが、われわれ広告に生きる人間の最大の課題といえます。
私自身今は、その答えを探している最中ですが、去年あるクライアントの方の厳しい一言に一筋の光をみた気がして、今はその光を信じて努力しています。

あまり多くを語ってしまうと意見の押しつけになってしまうかと思いますのでこのあたりで。(十分長めのコメントでしたが...w)
志し高い学生がどうなっていくのかを楽しみに今後も拝見させていただきます。

近い将来大きな選択を迫られることがあるかと思いますが、後悔のない選択ができるよう願っています。

jim_utjim_ut 2010/04/20 00:38 @tonomi さんコメントありがとうございました。
・・・

なんかいっぱい書きたい衝動にかられましたが、それはブログ記事にとっておこうと思いますw気が向いたときに読んでみて下さいw

dennisysugaharadennisysugahara 2010/04/20 03:45 エントリーを拝見しましたが、マーケティングに関しては、勉強なさいましたか?
なぜマーケティングがこの世に発生したのか? マーケティングは何のために行なうのか、ということの理解がたらないように感じます。
広告は、マーケティングの中の一要素です。マーケティングがまずあって、その中で広告の果たす役割があるのです。従いまして、広告の仕事の中に『マーケティング事業』というのがあるのではありません。
マーケティング会社というのもありえません。それは、企業が自ら行うしかできない行為だからです。
もっともっと勉強していただけるように、お願いします。

jim_utjim_ut 2010/04/20 03:57 コメント有難うございます。
確かに「広告」に比べれば「マーケ」は勉強したと言えるレベルではありません。というか広告も実は「勉強」らしい「勉強」はしたつもりはなかったりします。。
なので「広告はマーケティングの一部」という主張に異を唱えることはできません。
勉強は是非ともしたいところなので、キチンと反論できるように頑張ります。

そんな、広告がマーケティングの一部だなんて、、、。
今はとても納得できないというのが正直なところです。。
すいません。

dennisysugaharadennisysugahara 2010/04/20 04:29 じゃあ、広告もマーケティングも、勉強してみてください。是非とも!
反論できるようになったら、このブログにエントリして、メールでもください。その時に再訪しますね。
がんばって!

masak88masak88 2010/04/20 15:23 @tabbataさんのtweetからきました。
広告の未来についての想いとして、興味深く拝読致しました。

私は理系、IT系サラリーマンなので広告の現状に非常に疎いのですが、ここに書かれているあるべき像と広告の現状とのギャップってどんなものなんでしょうか?
あと、今後の方向性についての想いのギャップとか。

学生の方に伺うのは変な話なのですが、一般人の感想でした。

jim_utjim_ut 2010/04/21 12:50 masak88さん、コメントありがとうございます。
理想と現実とのギャップですかぁ。確かにツイッターの感想とかは、(やっぱりテレビとか広告の現場の人が多いのですけど)どうしても実際はいろんな壁があるけど〜〜って話になってしまっているのは多いですねぇ。
でもひとつ言えるのは、僕は未来の話をしているのではなくて、今の時代の流れを普通に拾って普通に感じているだけなので、着実にここでの像みたいなのには近づいていると思います。
なんかそんな気がするだけですがww

通りすがり通りすがり 2010/05/10 22:28 ブログが面白かったので、ちょっと気になってコメントです。

>そんな、広告がマーケティングの一部だなんて、、、。
クライアント側からすると、広告はマーケの一部というのが、一般的かと思います。企業または商材によっては、広告展開の重要性が非常に高い場合もありますが、基本的にはマーケの戦略に基づいて、広告計画がたてられ実行されていくからです。マーケは商品開発、価格、ターゲット、予算の配分、営業との連携など、全体に関わる業務も多く含み、広告宣伝は商品を売るための戦略のひとつです。
企業の組織図を見てみるとわかりやすいと思いますよ。
マーケティングの下に広告宣伝のグループが置かれていることはありますが、逆はほとんどないでしょう。
※だから広告が重要ではない・・という意味ではないです

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