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くろまめ日記

2018-07-25

台湾6(自分探しの旅・台中)

22:01

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ホテルで朝食を済まして、ただ無目的に町を歩く歩く。

いいかげん疲れてきて、ガイドブックに載っていた写真がちょっといいなぁと思って「彩虹眷村」へ行ってみることにする。できればバスで行きたいので書いてある通りに新烏日駅(高鐵台中駅)まで出てバス停を探す。ところが無茶苦茶バス停があってどれに乗れば良いか皆目分からない。バス停前のおじさんに聞いてみるが何か鬱陶しそうにあらぬ方向を指差して何か言うから、うわ〜、怖〜、ってなってとっとと退散する。今度は優しそうなおばさんに聞いてみると、流暢な英語で教えてくれるがこれは自分の英語力では何を言っているのかよく分からない。多分、そこへ行くバスは当分来ないからタクシーで行けと言ったのだろうと解釈してタクシー乗り場へ行く。タクシー乗るの嫌だなぁ、と心がくじけそうになったけどせっかくここまで来たのだからと叱咤激励し客待ちしているタクシーに乗る。紙に書いた「彩虹眷村」を見せると「OK、OK」とか言って車は走り始める。見た所50代なかばの髪の薄くなりかけたおじさん運転手が、片言の英語で、私は日本人は初めて乗せたよみたいなことを話しかけてくる。で帰りも送るから彩虹眷村で30分待ってるから、他、行くきたいところがあれば連れて行くからねと言う。いや、自分はこの村で1日過ごすよ。スケッチ道具を持ってきたから木陰で村の絵を描くよ、サイケデリックな壁画を模写するよと断った。

走り始めてものの10分くらいで目的地に着く。するとそこは自分の想像していた村ではなく、街中に突如現れた異形空間、息を止めたまま一周できるくらいの邸宅。

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描かれた壁画は非常に興味深く、どこか遠くへ連れ去られそうな迫力があったのだが、ここは若者グループ・カップルの撮影エリアとして有名らしくごった返している。黄色い嬌声が空気を震わせている。歩くにも撮影の邪魔にならないよう度々待たねばならず立ち止まると後がつかえる。人気スポットは順番待ちで列をつくっている。一人で来ている中年男性は他にはおらず、間違って乗り込んでしまった女性専用車両のようなバツの悪さ、居心地悪さから15分位でギブアップしてしまう。

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タクシーに戻ると、おじさんはほらすぐ見終わっただろうみたいな顔をしている。で特に他行くところは決めていなかったので、台中に戻って、先日勧められたイトウタカオ設計のオペラハウスでも行ってみようかと聞いてみるがそこは知らないと言う。弱ったなぁとガイドブックをペラペラしてると、ここは行けるよと嬉しそうに「高美湿原」を指して言う。値段を聞くとここから1時間位で片道1,000元、そこから台中のホテルまで1,000元、合計2,000元と言う。あ、じゃあ駄目だ。手持ちは1,000元しかないから、と言うとしょんぼりする。自分と同程度かちょっと上くらいの片言英語で、時にiPadの翻訳を駆使しながら一生懸命コミュニケーションしてくるこのおじさんに次第に好感を持ってきたので、クレジットカードは使えるか?と聞くとOK、OKとふたたび顔を輝かせる。ま、どうせする事ないし2,000元は贅沢だけどこんな機会滅多にないだろうし流れに乗っかってみるのもいいか、とか適当にやけっぱちに決める。

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車中、当たり障りのない会話をしながら1時間ドライブ。

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で、辿り着いたら結構感動した。大きな風車がモニュメントのように立ち並び、そのプロペラを海風が撫でるように回している。

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見渡す限りずっと干潟が続き、

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小さな蟹やムツゴロウが泥の上を歩いている。それを鷺がついばんでいる。

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木製の遊歩道みたいなところもあって、干潟の湿原の真ん中を渡ることができる。

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気持ちも高揚して、台湾は偉いですよ、原発からクリーンエネルギーに切り替える選択をして、みたいなことを一生懸命説明するとおじさんは目を細めてウンウンと頷いている。

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帰り道、すっかり打ち解けた我々は、ラインの交換なんかして、今、実は台北のギャラリーで展示してるんですよ、それはおめでとう、台南に行くなら奇美博物館とか行くといいよとか何とか話したりする。

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ホテルに着き、じゃあ今日はどうもありがとう、楽しかったよってカードで払おうとすると、カードが使えないことが判明する。で、慌てたのはおじさんで、色々付属の外付けマシンをいじくってみるけどいっこうに埒があかない。それならセブンイレブンに行けばカードでお金が下ろせるからといって最寄のセブンイレブンに連れて行かれるが、そこのキャッシュディスペンサーみたいなのは全て中国語で全く分からない。うへー、やばいって店員のお姉さんに聞いてみても、お姉さんも英語がわからずもうお手上げ、ってなった時、店内でこちらを伺っていたお客の青年がいきなり話しかけてくる。このクレジットカードはここでは使えないが、銀行ならキャッシングすることができる的な事を英語で教えてくれ、外に出てやきもきしながら待っているタクシーのおじさんと色々話してくれ、結局、ホテルの部屋に戻って日本円をとってきてそれを台湾元に両替して支払うということになる。いや、まあ、参った、焦った。青年には感謝しかない。青年に幸あれと心から願う。

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ホテルで台湾ビールを飲んで一休みしてから晩ご飯を食べに外に出る。だいたい一番最初に書かれているメニューを内容も分からないまま指差す。美味。

夜、タクシーのおじさんからお礼のラインが届く。

2018-07-24

台湾5(自分探しの旅・台中)

00:53

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ホテルの朝食を食べて一服する。どこのホテル前にも大抵灰皿が設置してあってありがたい。

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自強号(特急)で列車の旅。窓側の席だったのでずっと外を眺め続ける。

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台中駅には昼過ぎに到着。ホテルは駅前だったのですぐに分かるが日本語OKと書かれていたにもかかわらず、英語しか通じない。チェックインは3時からというので荷物を預け、駅周りをウロウロする。

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旧台中駅。新しい駅は個性がなくて古い方が良いなぁと思う。

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暑い。

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台湾美術館へはバスで行こうと思ったけど乗場が分からず、タクシーで行く。着いて初めて知ったけど、今年の始めに応募したがあっさり落選した版画のコンクールを開催していて、うぇ〜ってなる。全館無料だったので版画コンクール、台湾の全国美術展、常設展を見る。版画コンクールはベタベタの黒っぽい暗い作品ばかりであまり面白くはない。まあこういうコンクールだったら自分の作品は落選してもしょうがないかと思う。全国美術展は、油絵、彫刻は冴えなかったけど、水墨画、水彩画が抜きん出てて、さすが本場の国だなぁと思う。他、写真、落款、インスタレーション、水彩、ガッシュとカテゴリーが事細かに分かれていてそれも几帳面すぎて面白い。

常設は写真と日本統治時代の台湾美術。写真が、自分の好きなBrassaiやRobert Frankなどのマスターピースが揃っていてじっくり見る。最初にここから見れ始めれば良かったな、と思う。台湾美術は(日本美術もそうだけど)出自というか起源というものが非常に複雑でアイデンティティーの拠り所に苦心してきたそう。中国美術の下敷きの上にオランダ文化が入り、日本の近代絵画コピーみたいなもの入ってきてそれらが接木されて二重三重に捻れている。で、その寄る辺ない感覚は今も続いているそうで、デラシネ的な喪失感がアイデンティティーになっている、みたいな。

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勧められた美術館の「春水堂」へ行く。店に入ると、席に案内され、注文書みたいなのに記しをつける。しかしいくら待っていても店員が注文を聞きに来ないので手を上げて呼び寄せると、その註文書を持ってレジに行き、そこで先にお金を払うらしい。注文した功夫麺とタピオカミルクティーが無事に出てきてホッとして、「あぁ、そういう注文の仕組みだったのかぁ」とひとりごちるとそれが思いの外自分の身体の中で残響し、また猛烈な孤独感が襲ってくる。

帰りはバスに乗って駅に戻る。

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ホテルは台北より綺麗でオシャレ。

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机に入っているのなんだろう、ってしばらく見ていたらコンドームだった。マイッタ!

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テレビは飛行機の様に映画を選んで見ることもできる。

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何だか疲れ果てたので、入る勇気の必要のない小綺麗な若者向けの店で、トマトラーメン(?)みたいなのを食べる。

2018-07-23

台湾4(自分探しの旅・台北)

23:59

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とりあえず、台北駅から地下鉄に乗って士林へ行き、そこからバスで「故宮博物院」へ行く。

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観光客が多くいのでバスも分かりやすく拍子抜けするほどすんなりたどり着く。

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故宮では台湾漫画作家の鄭問の展示「2018鄭問故宮大展: 千年一問」も開催している。知らなかったが1990年代に漫画雑誌「モーニング」で『東周英雄伝』の連載を開始し日本デビュー、以降『MAGICAL SUPER ASIA 深く美しきアジア』などの作品を発表し人気を博した漫画作家だそう。故宮で漫画家が展示するのは初めてのことだそうで、台湾の国民作家、日本でいう手塚治的な巨匠なのだそう。マーブリング、スパッタリング、スタンピング、砂をつける、燃やす等、あらゆるテクニックを使って地をつくりその上に人物を克明に描写していく。美術予備校の芸大コースを思い出す。原画よりも印刷されたものの方が色彩・マチエールが美しいなと思った。筆を用いた線が画力の確かさを裏付けている。

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博物院の方は前回見たから適当でいいかな、とか思ったけど、見るととても美しく結構楽しく過ごす。

バスに乗って士林へ戻り、小腹が空いたので勇気を出して店に入る。

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適当に指差して待っていると海鮮粥が出てくる。まだ明るい時間、外行く人々を眺めながら熱い粥をフーフーして食べる。何より、店に入れて注文出来たことが嬉しい。

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士林は夜市の準備で忙しそうに立ち働いている。町自体がこれから始まる饗宴に向けて空ぶかしをしている。噴火する直前のマグマ溜まりのようなエネルギーの凝縮した感じ。一人で電車・バスに乗れたこと、食事も出来たことから気が大きくなり、いっちょ夜市が始まるまで待って冷やかしてみるかとか思っていると、すぐ目の前でスクーター同士の事故を目撃してしまう。途端、のぼせ上がった自意識に冷水を浴びせられ、急に怖くなって暗くならないうちにホテルへ帰る。ホテルで台湾ビールを飲んで一休みしたのち、近くの路地の突き当たりのワンタン麺屋さんに入る。

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今までYさんに連れて行ってもらったお店は人気店、家族友人らが談笑しながら食べる騒がしい店ばかりだったが、ここは、皆、ひとり俯いて静かに食べている。同じ席に座っている親父は面白くなさそうに新聞を読み、それから携帯をいじくりまわしはじめる。しばらくすると店先に出ていた女将さんが何か話しかけ、うっとおしそうに返事したら、ばしばし叩き始める。ああ、目の前の親父は客じゃなくてこの店の亭主だったのか、と思う。路地には上半身裸で刺青をした男性が闊歩している。

2018-07-22

台湾3

23:57

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妻とふたりで迪化街をぶらぶらして、よく分からないレストランで昼飯を食べてから空港に向かう。

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ここでここまで一緒に来てくれた彼女は先に帰る。空港で見送ったあと、物凄い寂寞感孤独感が押し寄せてきて喫煙所で思わず涙ぐむ。自分はこれから「自分探しの旅」など嘯いて、台中・台南まで一人で旅行する予定をたててしまっている。本当に自分は馬鹿者だ、なぜ一緒に帰らなかったのかと激しく後悔する。自分はアウトドアタイプではなく、アトリエでひっそり絵を描いたり、素人木工をして悦に入ったり、アゲハチョウや蟻を観察したり、寝転がって腹を出して本を読んだりするのが好きな根っからのインドア派なのに。

画廊へ行くと、あまりの自分の不安な顔、心細そうな態度に同情して、台北→台中、台中→台南までの台鉄自強号(特急列車)の指定席、左営(高雄)→台北の高鉄(新幹線)の指定席をインターネットで予約してくれ、何かあったらここに連絡しなさいと日本語を喋れる彼女の友人の連絡先を教えてもらう。もはや初めてのお使いの小学生のようだが、その親切心によって心が少し晴れてくる。

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画廊が終わったあと、オープニングパーティーに来てくれた寶蔵巌国際芸術村(トレジャーヒル)のアーティストレジデンスに参加中の日本人作家の作品を見に行く。自分より10才若い彼は、色々な国のアーティストレジデンスを渡り歩いて生きているそうで、偉いなぁ、立派だなぁ、一人旅に不安がっている自分よりはるかに頼もしい。

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込み入った住宅をちょろっと見学して晩ご飯を食べに行く。

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これが人と一緒に食べる最後の食事になると思うとまた寂しさがこみ上げてくる。

2018-07-21

台湾2

23:55

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朝、市場に行く。西日本の豪雨災害チャリティーをされていて、何か申し訳ないような気持ちになる。

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午後から画廊に行く。

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夕方からオープニングパーティー。

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ケータリングの料理は、毎回、展示作品に合わせて作ってくださるそうで、今回もそうらしく大変恐縮する。小便をしている絵だったりするのでさぞ難しかったことと思う。

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夜は、パーティーに集まって頂いた方たちと食事に行く。台湾のお姉さま方は、画廊でもケータリングの料理が無くなったあともスルメのような乾き物を食べつつずっと談笑されていたが、料理の席でも変わらぬスピードで食べられ喋られる。中にひとり日本語を喋れる女性がいて、聞くと日本のトレンディードラマにはまって自然に覚えたそうで、もともと地頭の良い人は言語の習得も早いのだなぁと感心する。何のドラマを見ていたのですか?と聞くと、彼女は年がバレるからととても恥ずかしそうに「W浅野」とおっしゃった。