■仕事の生産性を高めるには?その2

 1.管理手段を決定する〜仕事の工程の中に管理手段を組み込む〜
 (1)仕事の工程を管理するというのは、あくまでも仕事を管理することであっ
   て、その仕事をする労働者を管理することではない
 (2)管理の目的は、工程を円滑かつ適正に、高い基準に従って進行させることに
   ある
 (3)仕事の生産性をあげるには、仕事という工程の中に、適切な管理手段を組み
   込まねばならない
   とくに生産の工程の場合には、次の点に関して管理手段を組み込む必要がある
   ①工程の進行方向
   ②工程の質
   ③工程が一定の期間に一定の労働量を投入されたときに生産する量
   ④工程の基準(たとえば機械の保全修理とか安全性についての基準)
   ⑤工程の経済性、つまり資源の使用能率
 (4)管理手段を考える上でのポイント
   ①管理手段は労働者の道具である
   ②管理手段は、決して「労働」の妨げになってはならない
   ③「最小の努力」で工程を許容誤差内に維持する管理方式とはいかなるものか
    を明らかにする
   ④所望の成績について、また、基準からの乖離が許される限界について決めて
    おく
   ⑤管理は、すでに行われた仕事の結果からの「フィードバック」によらねばな
    らない。仕事それ自体が管理のための情報を提供せねばならない
 (5)管理手段を組み込むべきいくつかの重要箇所
   ①機能不良が起こりそうな場所はどこか
   ②制御措置をとる必要があるのかどうかを知るための十分な情報は、工程の中
    のどの箇所にあるのか
   ③工程の中のどの箇所ならば効果的な措置をとりうる余地がまだ残されている
    のか
   ④継続的な制御が必要になるのは工程のどの部分か
   ⑤特定の諸段階においてのみ制御が必要になるのはどの部分か
   ⑥予防的制御が必要になるのはどのあたりか。少なくとも非常に初期の段階で
    制御が必要になるのはどのあたりか
 (6)定型と例外を分ける
   管理方式を設計するには、何が「定型」であり何が「例外」であるかを十分に
   検討せねばならない

 2.仕事の道具・ツールを提供する
 (1)道具は仕事と労働の橋渡しである
 (2)この仕事をやれる道具の中で、最も単純で、最も小型で、最も軽く、最も扱
   いやすい道具は何かを考える
 (3)道具はすべて、人間のための道具であり、したがって仕事の生産性をあげて
   労働者に達成意欲をもたせるという、人間の二重のニーズに役立つものでな
   ければならない

 3.知識労働者の生産性向上
 (1)貢献すべきことは何か(何が仕事なのか)
 (2)成果を上げるためには何に集中すべきか
 (3)成果の上がらない仕事を廃棄する
 (4)成果は何かを定義する
 (5)継続学習

 4.人事の意思決定5つのステップ
 (1)仕事の中味を詳細に検討する
 (2)3〜5人の候補者を検討する
 (3)各人の弱みではなく、強みを検討する
 (4)候補者について、それぞれの同僚、上司から話を聞く
 (5)採用された人に、仕事の中身を確実に理解させる

 5.人事の意思決定5つのルール
 (1)採用や配属に失敗した時、決定を行った人は責任を負う
 (2)仕事のできない人、業績の低い人は、速やかに異動させる
 (3)仕事のできない人、業績の低い人には、その人の強味にマッチする仕事で、
   やり直しの機会を与える
 (4)経営トップは、あらゆるポストの人事を適切に行うよう努力しなくてはな
   らない
 (5)新しく採用した人は、仕事の内容が明確で、いつでも必要なサポートを受
   けられるような、確立された部署や業務に就かせるべきである