「レベッカ」'40 A.ヒッチコック/監督 ダフネ・デュ・モーリア/原作 ロバート・E・シャーウッド&ジョーン・シンプソン/脚本

ヒッチコックの登場シーン


※英国より渡米したアルフレッド・ヒッチコックが第1回監督した1940年度アカデミー賞受賞作品。

黄金週間は、近場の散策と家でDVDで映画鑑賞の日々。でも、住んでいる場所が場所だけに、観光で来ているかたにも散策中にたくさん出会いました。流石に、大原や嵐山や清水寺に行く気力はありませんが(笑)


ヒッチコックの作品は、カラー作品ばかりで古い白黒作品は未鑑賞でした。ヒッチコックの作品がワンコインで購入できるので、この機会にいくつか入手。まず本作を鑑賞した。

<あらすじ>
英国コーンウォル海岸近くにマンダレイという荘園を持ったマキシム・デ・ウインター(ロウレンス・オリヴィエ)はモンテカルロで知り合った娘(ジョーン・フォンテーン)と結婚して帰邸した。彼は美しい先妻レベッカを失って、2度目の結婚であった。家政婦のデンヴァー夫人(ジュディス・アンダーソン)は、レベッカへの熱愛から、新夫人を成上りの闖入者扱にし、レベッカの居間は生前のままに保存していた。死後も尚レベッカが家を支配しているようだった。恒例の仮装舞踏会のとき、デンヴァー夫人のすすめで、新夫人は廊下にかけられた美しい画像の婦人と同じ衣裳をつけたが、それがひどくマキシムを驚かし心を傷つけたようであった。画像の女性はレベッカだったのであった。新夫人は、夫の心をまだレベッカが支配しているように感じて絶望し、デンヴァー夫人の誘導にのってレベッカのへの窓から身を投げようとし、折から打ち上げられた花火の音で救われた。花火は岸辺近くに難破船のあった知らせで、救難作業の結果、海底に沈んでいたレベッカのヨットと、船中のレベッカの死体が見つけられた。レベッカは嵐の夜ヨットを出して遭難し、死体はその後漂着し、マキシムが確認の上、家の墓地へ葬られていたので、彼女の死..因について新しい審議が開かれ、レベッカは自殺をしたと判定された。レベッカの従兄で彼女と長い間情を通じていたジャック・ファヴェル(ジョージ・サンダース)は、暗にマキシムの犯行を主張した。マキシムは新しい妻にレベッカが淫蕩的な女性で彼を苦しめ、死の日、レベッカにののしられた彼が遂に彼女を追いつめた結果、レベッカが倒れて頭を打って死んだこと、それを彼はヨットに運んで沈めた事実を打ち明けた。一方、レベッカが死の当日訪ねた婦人科医師はレベッカが不治の癌に犯されていたことをつげ自殺の原因を証明した。レベッカは自殺を決意して、夫のマキシムに自分を殺させようとしたのであった。しかしレベッカの深いたくらみは、マキシム夫妻が知るのみであった。愈々レベッカから解放された二人がマンダレイへ帰り着いたとき、邸宅はデンヴァー夫人と共に焼けおちてしまっていた。
レベッカ(1940) - goo 映画

物語の舞台になったコーンウォル(Cornwall)とは、イングランド南西部の半島。実際にはアメリカでロケされたようだが、自動車でマキシムと新妻がマンダレイの荘園に戻るシーンは圧巻。広さが半端じゃあない。それとお屋敷の規模と使用人(執事と女中)の半端じゃあない数。ふーん、イギリスの大地主−郷紳とでもいうのでしょうか−は同じ島国でも日本とはスケールが違う、と感じた。

主演のローレンス・オリビエを始め、相手役のジョーン・フォンティン以外はキャリアのありそうな役者で固めているみたいだ。その分、ジョーン・フォンティンの初々しさが引き出されているようだ。

題名「レベッカ」は、マキシムの死んだ先妻の名。回想シーンもなく、その写真すらない。ただ、大きな肖像画が残されているだけだ。だが、かえって存在感−死してなお屋敷を支配−を際だ出せている。女中頭のデンヴァー夫人(ジュディス・アンダーソン)が、非常に印象に残る怖さだ。レベッカの亡霊と共に屋敷に存在しているようだ。


ヒッチコックにとっては初めてシナリオからのプロセスに参加できなかった作品であり、しかも制作中にこの映画のプロデューサー、デヴィッド・O・セルズニックの散々の横やりを受けて、不満たらたらであった。

レベッカ』は1940年のアカデミー作品賞を受賞。ヒッチコックは監督賞にもノミネートされていたがそちらは『怒りの葡萄』のジョン・フォードが受賞した。ヒッチコックにとっては生涯唯一の最優秀作品賞であるが、フランソワ・トリュフォーとの対談では「あれ(作品賞)はセルズニックに与えられた賞だ」と語り、実際にオスカー像もヒッチコックには与えられなかった(ヒッチコックはその後4度も監督賞にノミネートされたが結局受賞することはなく、壇上でオスカーを手にしたのは1967年、アーヴィング・タールバーグ記念賞(功労賞)の一度きりであった)。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

とあるので、ヒッチコックとしては代表作と言われると、複雑なものを感じるかもしれない。でも、個人的にはとても気に入った作品だ。とくに、先妻・レベッカの遺体が発見以降のテンポがいいなあ。
マキシムの無罪が決まった後に、広大な屋敷が全焼するシーンは、レベッカの呪縛からの解放を暗示しているように思われた。と、同時にイギリスへの決別も暗示しているような…(考え過ぎかも)
レベッカ [DVD] FRT-001