[尊号真像銘文]
「如染香人 身有香気」というは、こうばしき気、みにある人のごとく、念仏のこころ、もてる人に、勢至のこころをこうばしき人にたとえもうすなり。このゆえに、「此則名曰 香光荘厳」ともうすなり。勢至菩薩の御こころのうちに念仏のこころをもてるを、染香人にたとえもうすなり。かるがゆえに、勢至菩薩のたまわく、「我本因地 以念仏心 入無生忍 今於此界 摂念仏人 帰於浄土」といえり。「我本因地」というは、われもと因地にしてといえり。「以念仏心」というは、念仏の心をもってという。「入無生忍」というは、無生忍にいるとなり。「今於此界」というは、いまこの娑婆界にして、というなり。「摂念仏人」というは、念仏のひとを摂取してという。「帰於浄土」というは、念仏の人、おさめとりて浄土に帰せしむとのたまえるなりと。