jizen日記

2010-07-29 医薬品のターゲットはタンパク質

医原病という言葉に抵抗を覚えられる方は、まだわが国では少ないと思うが、元医薬品メーカーの研究者、佐藤健太郎さんの著書「医薬品クライシス/新潮新書」を読んで、改めて医薬品の本質が垣間見えた気がする。

もっとも、佐藤氏は本の中で、安易な医薬品不信への警鐘を込めて、客観的に医薬品の真の姿を一般の人に伝えようとされている。

特に、興味を引いたのは、日進月歩の医薬品の標的は「たんぱく質」に定められているという点である。それは、酵素と受容体という生体反応の中枢に狙いを定めているという。しかし、このターゲットに到着するまでに、生体膜という障壁が数多く存在し、正確にタンパク質を捉える困難さを研究者の実感として正直に認めておられ、しかも、病気を治すのは薬ではなく、あくまでも薬は応急処置であることを認めておられる。

それでも、医薬品研究者としての威厳を持って、副作用は、医薬品のこのような性質上、あって当然で、それを差し引いて余りある人類への貢献を果たしてきたという自負が全体を通して伝わってくる。

この本に関連して、除草剤に関するある論文に興味深い記載があった。

電子伝達系阻害物質が除草剤の本質であり、医薬品とまったく同じルール(方向性)で開発されているという話である。

分子レベルでの生体生理反応の仕組みは、ミトコンドリア呼吸鎖電子伝達阻害剤や光合成電子伝達系など...最終的には電子の受け渡しで成り立っている。

農薬が生体内のどこで、何を、どうしたために作用するのか?は、医薬品と同じく生物の生命の基本である電子伝達系の阻害に収斂される。スムーズな情報伝達を阻止することで、雑草の生命力を無効化しているのである。

こう考えると、医薬品の過剰摂取は、一貫して生体反応の阻害によって、目的を果たすというルール行なわれているということがわかる。名称も学術論文の医薬品の名称からも阻害薬となっている。

もちろん医薬品が必要な場合は、数多い局面では避けられない。

しかし、自然治癒力に働きかける民間療法とは、ルールがまったく違うということを私たちは理解しておかないと双方にかならず誤解が生じてしまう。

参考ページ:知的障害児の発達に有効な各種メソッドの書籍案内